健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

スピルリナ [英]Spirulina [学名]Spirulina platensis

概要

スピルリナは、マイクロアルジェ (微細藻類) と呼ばれる小さな藍藻の一種で、熱帯のアルカリ度の高い湖などに自生している。地球上に最初に出現した原始的な原核生物であるといわれ、その一つを顕微鏡で見ると、らせん状をしているので、ラテン語で「らせん」を意味するスピルリナと名付けられた。クロロフィルを持ち、光合成を行う。1970年代に健康食品素材として登場して以来、その栄養面から注目を浴びた植物プランクトンであり、主にたんぱく質やミネラルの優良な供給源とされている。俗に、「コレステロールを低下させる」「体重を減少させる」と言われているが、ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない。肝毒性があるミクロシスチンを含むものは避けるべきである。特に小児は感受性が高いことから、検査されていない製品の摂取は危険である。また、フェニルケトン尿症の症状を悪化させる可能性があるため、既往歴のある人は使用を避けること。妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため摂取は避けたほうがよい。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・スピルリナ全藻は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。
・スピルリナ色素、スピルリナ青色素、スピルリナ青は既存添加物 (着色料) としての使用が認められている。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・スピルリナはおよそ65%の粗タンパク質、高濃度のB群ビタミン、フェニルアラニン、鉄やその他のミネラルを含む。B群ビタミンの多くは、B12の類縁物質と考えられるが、それは生体内では不活性型であり、栄養的な意味は不明である。鉄分は、スピルリナ10 g当たり1.5 mgほど体内に吸収される (66) 。

分析法

・製品の品質は特有の成分とされる、スピルリナグロースファクター (SGF) (成長因子) の含有量により決定されるといわれているが、測定法に関する報告がない。スピルリナ含有製品中のミクロシスチン (microcystins) をLC-MS、ELISA等で測定した報告がある (PMID:11501902)
・機能性食品に含まれる脂肪酸をGCにより測定した報告もある (PMID:11767135)

有効性








循環器・
呼吸器


メタ分析
・2015年7月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験7報について検討したメタ分析において、スピルリナの摂取は総コレステロール (7報) 、LDLコレステロール (7報) 、トリグリセリド (7報) の低下、HDLコレステロール (7報) の上昇と関連が認められた (PMID:26433766)


消化系・肝臓

調べた文献の中で見当らない。

糖尿病・
内分泌

RCT
・II型糖尿病患者25名 (試験群15名、平均53.8±7.2歳、インド) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、スピルリナサプリメント2 g/日、2ヶ月間摂取させたところ、血糖値と血中の総コレステロール、LDLコレステロール値が低下したとの予備的な報告がある (PMID:12639401) (65) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。

生殖・泌尿器

調べた文献の中で見当らない。

脳・神経・
感覚器

RCT
・注射療法を受けている特発性眼瞼痙攣患者24名 (42〜83歳、アメリカ) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ比較試験において、スピルリナカプセル (スピルリナ250 mg含有製品) を6ヶ月間摂取させたところ、眼瞼痙攣には影響が認められなかった (PMID:15234278) (94) 。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中で見当らない。

骨・筋肉

調べた文献の中で見当らない。

発育・成長

調べた文献の中で見当らない。

肥満

一般情報
・スピルリナを摂取しても体重が減少しなかったとの報告があるため、スピルリナの体重への影響についてはさらなる検証が必要である (94) 。

RCT
・肥満の成人56名 (試験群29名、平均34.75±8.04歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較において、スピルリナ500 mg×2回/日を12週間摂取させたところ、体重、BMI、自己評価による食欲の減少が認められたが、ウエスト径、血清脂質濃度 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド) 、血管内皮細胞増殖因子に影響は認められなかった (PMID:28431534)

その他

調べた文献の中で見当らない。





試験管内・
動物他での
評価

・鶏 (ホワイトレグホーン種) とその雛にスピルリナ添加飼料を与えたところ、抗SRBC抗体価、血中IgG、PHA-Pに対するリンパ球増殖応答、マクロファージ貪食活性、NK細胞活性が上昇した (PMID:8872497)

安全性

危険情報

<一般>
・不純物がなく、ミクロシスチン (藍藻毒の一種で肝毒性を持つ) が混入していないスピルリナ類を摂取する場合、安全性が示唆されている。いくつかのメーカーではスピルリナを整った設備環境で栽培し、安全性についての分析的なテストを行っており、その旨を表示している (94) 。不純物を含まないスピルリナで、下痢や鼓腸、胃のむかつき、浮腫などが起こることがある (94) (PMID:15234278)
・スピルリナ類は細菌や重金属 (水銀、カドミウム、鉛、ヒ素) 、放射性の2価または3価のイオンを含むことがある。このような不純物を含むスピルリナ類を経口で摂取することは危険性が示唆されている。またミクロシスチンを含むものは肝毒性があり摂取するのはおそらく危険である (63) (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため、使用を避ける (94) 。
<小児>
・小児はさらに感受性が高いため危険である。検査されていない製品は全て避けたほうがよい (63) (94) 。
<その他>
スピルリナ含有製品から有害物質が検出されたという報告がある。
・市販されているクロレラおよびスピルリナを主成分とする製品の一部から鉛 (0.07〜0.75 ppm) が検出された (1999118171) 。
・市販されているスピルリナ食品から鉄 (418〜6,900 ppm) およびマンガン (28.2〜62.9 ppm) が検出された (1991097390) 。
<被害事例>
スピルリナ含有製品摂取との因果関係が疑われる健康被害が報告されている。
・C型肝炎、胃潰瘍の既往歴のある56歳男性 (日本) が、健康食品のスピルリナ製品を4ヶ月間摂取したところ、紫外線A波とB波に対し光線過敏症を示した (2000171344) 。
・75歳女性 (日本) が、スピルリナ製品を約1ヶ月間摂取した後、掻痒を伴う紅色皮疹と発熱をおこし、軽症型薬剤性過敏性症候群と診断された (2004276907) 。
・高血圧や糖尿病などの治療のため、5種類の薬剤を数年間内服している75歳女性 (日本) が、健康食品のスピルリナ製品を1ヶ月間摂取したところ、腹部に掻痒 (皮膚や粘膜の不快な刺激感でかゆみがあり、こすったり、引っ掻いたりするようになること) を伴う紅色皮疹が出現しスピルリナによるDIHS (薬剤性過敏性症候群) と診断された (2006061133) 。
・28歳男性 (ギリシア) がスピルリナを3 g/日、1ヶ月間摂取したところ、胸部と腰部の急性横紋筋融解症を発症した (PMID:18434120)
・高血圧や慢性片頭痛、線維筋痛の既往歴があり、数種のサプリメント (ビタミンやミネラル、ハーブを含む、摂取量不明) を1ヶ月程度摂取していた45歳女性 (アメリカ) が、スピルリナ含有サプリメントを併用しはじめたところ、1〜2日で顔や指関節の発赤をおこした。数週間後、再びそのスピルリナ含有サプリメントの摂取を開始したところ、4日後に発疹が悪化し、目や耳にも腫脹が現れたためアレルギーと診断、サプリメントの使用を中止した。投薬治療を行ったが完全には回復しなかった (PMID:15210464)
・14歳男児 (フランス) がスピルリナタブレット5粒を摂取した6時間後に、蕁麻疹、唇の水泡、喘息を発症し、再摂取テストにおいても下痢を発症、スピルリナの色素タンパク質によるアレルギーと診断された (PMID:19889119)
・49歳女性 (日本) がスピルリナ含有サプリメントを数日間摂取したところ (摂取量等不明) 、顔面に浮腫性紅斑が出現し、そのまま2ヶ月間摂取を継続したところ、紅斑が広範に拡大した。摂取を中止してから3ヶ月後に皮疹が改善しないため医療機関で受診したところ、筋力低下も認められ、皮膚症状を伴った炎症性筋疾患と診断された (PMID:21706829)
・妊娠初期よりビタミンDを、妊娠4ヶ月より過度のスピルリナサプリメント (摂取量等不明) を摂取した妊婦 (フランス) の新生児が、生後1日目に全身発作を呈した。新生児の血清カルシウム値、イオン化カルシウム値、リン酸塩値、カルシトリオール値、および母親の血清カルシトリオール値の上昇が認められ、WHO-UMC基準で"likely"と評価されたため、妊娠中に摂取していたスピルリナサプリメントとの因果関係が疑われる新生児の重度高カルシウム血症と診断された (PMID:21842336)
・高血圧、脂質異常症、II型糖尿病に罹患している52歳男性 (日本) が、ベシル酸アムロジピン、シンバスタチン、アカルボースと併用してスピルリナを5週間摂取したところ、血中肝酵素値 (AST、ALTなど) の上昇が認められ、3週間そのまま摂取したところ悪化した。スピルリナにおけるリンパ球刺激試験が陽性であり、摂取中止により改善したため、摂取したスピルリナとの因果関係が疑われる肝障害と診断された (PMID:12492223)
・アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、口腔アレルギー症候群のある17歳男性 (オランダ) が、スピルリナタブレット300 mgを摂取したところ、10分以内に、唇の掻痒感、顔の腫れ、腕と体にかゆみを伴う発疹と蕁麻疹、吐き気、腹痛、喘鳴、呼吸困難を伴うアナフィラキシーを呈した。プリックテストにより、スピルリナが原因と診断された (PMID:25445756)

禁忌対象者

・スピルリナや藍藻、またその成分に対してアレルギーや過敏症がある人の使用は禁忌である (63) 。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・健常者15名を対象に、スピルリナ200 mg/日を4週間摂取させたところ、血清中のアルカリフォスファターゼ値とカルシウム値が増加した (63) 。
・健康な55歳女性 (中国) が、スピルリナ製品 (詳細不明) を6ヶ月間摂取していたところ、健康診断で血清腫瘍マーカー (CA19-9) が高値を示したが、異常は見つからず、スピルリナ摂取を中止したところ、正常値に戻ったため、スピルリナの摂取が検査値に影響したと考えられた (PMID:25153597)

<試験管内・動物>
・動物実験 (ラット) において、スピルリナの摂取は肝臓におけるCYP1A2およびCYP2E1のmRNA、タンパク質発現および活性を阻害した (PMID:24082030)

<理論的に考えられる相互作用>
・カルシウムを含むサプリメントと併用すると、血清カルシウム濃度が上昇する可能性がある (63) 。
・フェニルアラニンを含む食品と併用すると、フェニルケトン尿症を悪化させる可能性がある。そのため、フェニルケトン尿症の既往歴のある人は使用を避けること (63) 。
・スピルリナは免疫機能を活性化させる可能性があるため、免疫抑制剤の作用を阻害する可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量(
スピルリナを投与:ラット経口(間欠的)180 mg/kg/12日(91)。
2.その他
・総フェオホルバイド値の異なる3種類のスピルリナ製品 (72 mg%、 92 mg%、151 mg%) を用い、ラットに10%スピルリナ混餌食を与え、4時間/日、2万ルクスの光照射を10日間おこなったが、光過敏症は認められず、光照射による体重、血液成分の変化も見られなかった (1996124243) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・重金属などの不純物や肝毒性のあるミクロシスチンを含まないスピルリナ種を摂取する場合、安全性が示唆されている。しかし、ミクロシスチンを含むものは肝毒性があり、摂取するのはおそらく危険である。小児はさらに感受性が高いため危険である。従って検査されていない製品の摂取は全て避けたほうがよい。
・妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため、使用を避ける。
・フェニルケトン尿症の症状を悪化させる可能性は否定できないことから、既往歴のある人は使用を避けること。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ヒトでの有効性については、調べた情報に十分なデータが見当たらない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(66) Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Database(2006)
(65) Cochran Library
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