注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
黒酢 [英]Brewed rice vinegar、black vinegar、Unpolished rice vinegar、Husked rice vinegar [学名]-
概要
一般に、黒酢は静置発酵法で製造された純玄米酢又は純米酢をさし、熟成が進むにつれて黒味が増加しその色調が褐色を呈することから「黒酢」と呼ばれている。鹿児島県福山で約200年前から製造されていることから「福山酢」とも呼ばれている。JAS規格では米酢に分類される。黒酢は米、麹、水をそれぞれ2:1:6 (容積比率) の割合で仕込み、糖化→アルコール発酵→酢酸発酵と順次進行させて熟成させる。俗に「疲労回復によい」、「血圧を下げる」、「血流を改善する」、「脂質代謝を改善する」と言われているが、ヒトでの有効性については信頼できるデータが十分でない。黒酢を食事以外から一度に過剰摂取するときは注意が必要である。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。
法規・制度
成分の特性・品質
主な成分・性質
・醸造酢の日本農林規格 (平成16年6月23日農水告第1215号) の中に米黒酢の規格が定められている。この規格での米黒酢の定義は、「穀物酢のうち、原材料として米 (玄米のぬか層の全部を取り除いて精白したものを除く) 又はこれに小麦若しくは大麦を加えたもののみを使用したもので、米の使用量が穀物酢1Lにつき180 g以上であつて、かつ、発酵及び熟成によつて褐色又は黒褐色に着色したものをいう。」となっている。 ・食品成分表では「黒酢」の一般成分の記載は見当たらない。市販されている黒酢を含む食酢について、酸度、可溶性固形分、アミノ酸量、糖分、ミネラルを分析した報告がある (111) 。また、ヒスタミン160 mg/Lを含むという報告 (101) 、ジヒドロフェルラ酸 (DFA) 24.8 mg/L、フェルラ酸0.95 mg/L、ジヒドロシナピン酸 (DSA) 4.68 mg/L、シナピン酸1.15 mg/L、バニリン酸1.44 mg/L、p-ヒドロキシ桂皮酸を含むという報告がある (PMID:12381140) 。
分析法
・ジヒドロフェルラ酸 (DFA) とジヒドロシナピン酸 (DSA) をUV検出器付HPLCで分析したという報告がある (PMID:12381140) 。 ・黒酢中の有機酸を、カーボン充填カラムを用いて電気伝導度検出器付HPLCで分析したという報告がある (109) 。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
・収縮期血圧130〜159 mmHgかつ拡張期血圧85〜99 mmHgの成人に15%黒酢含有飲料 (34名) 又は15%リンゴ酢含有飲料 (31名) 、プラセボ飲料 (33名) を10週間摂取させた二重盲検試験において、黒酢ならびにリンゴ酢含有飲料の摂取により2〜10週後の収縮期血圧が低下し、血圧低下作用には黒酢に特徴的な豊富なアミノ酸やペプチドではなく、酢酸であることが示唆されたという予備的な報告がある (108) 。
消化系・肝臓
調べた文献の中で見当らない。
糖尿病・内分泌
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
免疫・がん・炎症
・慢性血液透析療法を行っている腎不全患者で、長期にわたって頑固なかゆみを感じる18名 (36〜72歳) に黒酢粕を2.5 g/日、2週間摂取させたところ、摂取前よりもかゆみに対して「効果あり」と感じたのは4名 (22.2%) 、「やや効果あり」と感じたのは8名 (44.4%) 、「効果なし」と感じたのは6名 (33.3%) であったという予備的な報告がある (106) 。この現象についてはさらに検証する必要がある。
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
調べた文献の中で見当たらない。
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
・高血圧自然発症ラット (SHR) に黒酢を0.5〜1.0 mL/3 ml/kg/日、8週間経口投与した研究において、拡張期及び収縮期血圧が低下したという報告がある (102) 。 ・自然発症糖尿病 (KKA) マウスに黒酢 (10倍濃縮、1.5 mL/kg) 又は黒酢もろみ末 (50 mg/kg) を30日間経口投与した研究において、糖負荷試験後の血糖値上昇が抑制されたこと、ラットの反転腸管を用いた研究において、黒酢 (10倍に濃縮したもの) と黒酢もろみ末にグルコース吸収阻害作用を認めたことについての報告がある (103) 。 ・アンジオテンシン変換酵素 (ACE) に対する黒酢の作用を検討したところ、62.5μg/mLから500μg/mLまで阻害作用が認められ、黒酢のエタノール分画上清に強いACE阻害活性が認められたという報告がある (107) 。
安全性
危険情報
・黒酢に含まれる酢酸は、高濃度のものを摂取すると中毒を起こす可能性がある。30%酢酸を約100 mL摂取した後、激しい腹痛と嘔吐、著明な溶血尿が認められ、その後無尿、呼吸困難、播種性血管内凝固症候群になったという報告がある (110) 。 ・アルコール飲用習慣のない43歳男性 (日本) が、黒酢を含む健康食品 (錠剤) を不定期に3〜4ヶ月程度摂取したところ、ALT値、AST値が上昇した。DLST (薬物刺激リンパ球幼若化試験) を行ったところ陽性であり、摂取中止により改善したため、当該製品による薬剤性肝障害と診断されたとの報告がある (2010106474) 。 ・29歳女性 (日本) が、黒酢飲料100 mLを20日間摂取後、200 mLに増量して7日間程度摂取したところ、全身に紅斑が出現した。パッチテストおよびDLST試験で黒酢が陽性であったため、摂取した黒酢による多型紅斑型中毒疹と診断されたとの報告がある (77) 。 ・59歳女性 (日本) が、黒酢を含む製品を毎日摂取していたところ (900 mg/日、摂取期間不明) 、加齢性眼瞼下垂症手術時に通常よりも明らかに出血が多く、止血に相当の時間を要した。出血傾向を示す他の病態や抗血栓薬の服用のないことが確認されており、止血困難の原因として黒酢を含む製品の摂取が疑われたとの報告がある (2008275056) 。 ・黒酢との因果関係が疑われる扁平苔癬の症例報告がある (2009067494) 。 1) 41歳女性 (日本) が、米黒酢エキスなどを含む (含有量不明) 健康食品を4カプセル/日、6ヶ月程度摂取したところ、手、上肢、下肢、体幹に痒みを伴う小丘疹が出現した。パッチテストにより当該製品が陽性であり、摂取中止により6ヶ月後に改善したため、黒酢を含む健康食品による扁平苔癬と診断された。 2) 慢性甲状腺炎の既往歴がある68歳女性 (日本) が、黒酢サプリメント (含有量不明) を3粒/日、3ヶ月摂取したところ、上肢に小丘疹が出現した。黒酢サプリメントのDLSTは陰性であったが、摂取中止により改善したため、黒酢による扁平苔癬と診断された。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
動物他での 毒性試験
・マウスを用いて黒酢の急性毒性試験を行ったところ、LD50は21.5 mL/kgであったという報告がある (104) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
総合評価
・黒酢を食品として摂取する場合はおそらく安全と思われる。妊娠中・授乳中の摂取における安全性については十分なデータが見当たらないため、食事以外からの過剰摂取は避けたほうがよい。黒酢に含まれる酢酸は、高濃度のものを摂取すると中毒を起こす可能性が示唆されている。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・黒酢の有効性についてはヒトでの信頼できる十分なデータが見当たらない。
参考文献
(101) 日本食品科学工学会誌.1998;45(9):545-9 (102) 薬理と臨床.2001;11(6):567-73 (103) 薬理と治療.2006;34(2):199-206 (104) 日本栄養・食糧学会誌.1983;36(4):283-9 (106) 基礎と臨床.1991;25(8):63-7 (107) 基礎と臨床.1985;19(10):237-41 (108) 健康・栄養食品研究.2003;6(1):51-68 (109) 分析化学.2004;53(8):851-6 (110) 日本集中治療医学会雑誌.2004;11:217-21 簡明 食辞林 第二版 樹村房 小原哲二郎ら (PMID:12381140) J Agric Food Chem. 2002 Oct 23;50(22):6501-3 (111) 名古屋市消費生活センター 商品テスト (2010106474) 静脈経腸栄養. 2010;25(1):418 (77) いわゆる健康食品・サプリメントによる健康被害症例集 同文書院 小澤明ほか (2009067494) 皮膚科の臨床.2008;50(12):1557-9 (2008275056) 眼科臨床紀要.2008:1(7);631-3