健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

イソフラボン [英]Isoflavone [学名]-

概要

イソフラボンは大豆、レッドクローバー、クズ、カンゾウなどのマメ科の植物に多く含まれているフラボノイドの一種で、下図に示した構造を有する化合物の総称である。通常、イソフラボンは配糖体として存在しているが、摂取すると腸内細菌等の作用により糖部分が分離したアグリコン型(糖が外れた構造)になって消化管から吸収される。イソフラボンとしては、ゲニステイン、ダイゼイン、ビオカニンA、フォルモネチン、グリシテインなどの種類がある。イソフラボンは植物性エストロゲンと呼ばれ、俗に「女性ホルモン様の作用をする」、「骨粗しょう症の予防や更年期障害を軽減する」、「脂質代謝の改善などに有効である」などと言われている。II型糖尿病、更年期障害ののぼせなどに対しては、ヒトでの有効性が示唆されている。また、大豆イソフラボンを関与成分とし、「骨の健康維持に役立つ」表示が許可された特定保健用食品がある。安全性については、適切に摂取する条件ではおそらく安全と思われるが、アレルギー疾患を持つ人、妊婦・授乳婦が通常の食事で摂る以上に大量摂取することは避けたほうがよい。濃縮物として利用した条件では、乳がん発症や再発等のリスクを高めるなど、有害性を示唆する報告もある。2006年5月、食品安全委員会は大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限を70‐75 mg/日、特定保健用食品として摂取する場合の安全な一日上乗せ摂取量の上限をアグリコン換算(糖が外れた構造に換算)で30 mg/日に設定した(食品安全委員会)。一般的に大豆と他の食品(レッドクローバーやクズなど)から由来したイソフラボンは組成が異なるため、得られる効果も異なると言われている。また、ダイゼインは腸内細菌によってエストロゲン作用等がより強力なイコール(Equol)に代謝されるが、その代謝は人によって異なる(日本人の約半分がイコール産生者)。さらに、イソフラボンを食材として摂取する場合は食材の有する容積や香りなどによりイソフラボンを過剰摂取する可能性が低い。このようなことから、イソフラボンの有効性や安全性を解釈する際には、少なくとも豆腐などの通常の食材の形態として摂取する条件とサプリメントのような濃縮物として摂取する条件では異なった考え方で対応する必要がある。その他詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

成分の特性・品質

主な成分・性質

主要なイソフラボンとしてダイジン、ゲニスチン、グリシチン(アグリコンはそれぞれダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン)、ビオカニンA 、フォルモノネチン、クメストロール、イコール、プエラリン、トリフォリリジン、プラテンセインなどがある(64)。

分析法

・レッドクローバーのイソフラボンを紫外可視検出器(検出波長254 nm) を装着した高速液体クロマトグラフィー(PMID:12270205)、MS/MS(103) (PMID:10691640) (PMID:14601839) (104)により分析した報告がある。
・大豆イソフラボン類の分析法として以下の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法がある。 (1)含水メタノールで抽出したイソフラボン類を、逆相C18カラム、移動相に90%アセトニトリルと10 mM 酢酸アンモニウム/トリフルオロ酢酸(TFA)緩衝液による勾配法を用いたHPLCにて分離し、波長260 nmでの紫外可視(UV)測定を行う(PMID:12822960)。(2) YMC-pack ODS-AM-303 カラム、0.1%氷酢酸と0.1%氷酢酸-アセトニトリル溶液の勾配法を用いたHPLCにて分離し、波長200〜350 nm間のUV吸収を測定する(PMID:9848519)。この他、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)法(PMID:9784181)、キャピラリーゾーン電気泳動法(PMID:9848520)などがある。
・クズのイソフラボン類をフォトダイオードアレイ検出器(検出波長205-400、262 nm)、MS/MSを装着したHPLCにより分析した報告がある(PMID:12848487)
・高速液体クロマトグラフィーを用いた、大豆、大豆製品、白ガウクルア中のイソフラボン類であるプエラリン、ダイジン、ゲニスチン、ダイゼイン、ゲニステインの定量法が報告されている(2001165252)。

有効性








循環器・
呼吸器


・血清脂質に関して、アメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association)は、最近の22の無作為化比較臨床試験の結果から、大豆タンパク質やイソフラボンは、動物性タンパク質の代わりに大量に摂取した場合にのみ、僅かにLDLコレステロールの低下がみられるが、HDLコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク質(a)、血圧には影響を与えないと報告している(PMID:16418439)。現時点ではポジティブな(有効性があるとする)結果とネガティブな(有効性がないとする)結果の両方が存在しており、個々の情報は下記のようになっている。
<血清脂質に関して有効性が示唆されたという報告>
1) 健康な閉経期女性(12名)に大豆イソフラボン(ゲニステイン7 mg、ダイゼイン31 mg、グリシテイン21 mgを含む) 61.8 mgを4週間投与したところ、血清脂質値とLDLコレステロール値が減少した (PMID:11999549)
2) 更年期女性(40名)に大豆イソフラボン(ゲニステイン70 mg、ダイゼイン19 mg、グリシテイン11 mg) 100 mgを4ヶ月投与したところ、総コレステロール値とLDLコレステロール値は減少したが、血圧、血糖値、HDLコレステロール値、トリグリセリド値には影響がなかった(PMID:11864664)
3) 成人女性(24名)に大豆イソフラボンアグリコン40 mg/日、6ヶ月間摂取させたところ、更年期障害の有無を問わず、内臓脂肪とLDLコレステロール値が低下傾向を示した(2004054844)。
4)健康な男女(女性は閉経前)80名(平均58歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーから抽出したbiochaninもしくはformononetin(ゲニステインとダイゼインの前駆体)を40 mg/日、6週間摂取させたところ、男性のbiochanin摂取群(25名)でのみLDLコレステロール値が低下したが、他の対象者や総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド値には影響がなかった(PMID:14985677)
5)閉経後の女性53名(51.3±3.5歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーのイソフラボン80 mg/日を90日間摂取させたところ、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド濃度が低下した(PMID:16373244)。特に、BMIが25以上の対象者(35名)においてその傾向がみられた

<血清脂質に関して有効性が認められなかったという報告>
1) 高コレステロール血症でホルモン補充療法を受けていない更年期女性(20名)に大豆イソフラボン(ゲニステイン44 mg、ダイゼイン44 mg、グリシテイン2 mg) 90 mgを6週間投与すると、エンドセリン依存性血管反応は改善したが、血清脂質値には影響がなかった(PMID:15230485)
2) 乳がん罹患歴がある非糖尿病更年期女性(56名)に大豆イソフラボン(ゲニステイン6 mg、ダイゼイン42 mg、グリシテイン66 mg) 114 mgを3ヶ月投与したが、血清脂質、リポタンパク質は減少しなかった(PMID:15240647)
3) 血清脂質がやや高い更年期女性(66 名)にレッドクローバーのイソフラボン(ビオカニンA26 mg、フォルモノネチン16 mg、ダイゼイン0.5 mg、ゲニステイン1 mg)43.5 mgを12週間投与したが、血清脂質には影響がなかった(PMID:10996349)
4) 男性(46名)とホルモン補充療法を受けていない更年期女性(13名)にイソフラボン(主にゲニステイン)55 mgを夕食とともに8週間投与したが、血清脂質とリポタンパク濃度に影響がなかった(PMID:9521635)
5) 精製された大豆イソフラボン単独ではLDLコレステロールを減少させなかった(PMID:9521635)
6) 45‐60歳で、一週間に35回以上ほてりを感じる更年期女性にレッドクローバーのイソフラボン(イソフラボン57.2 mgを含む製品)を12週間投与すると僅かにトリグリセリドが減少したが、その影響は小さかった (PMID:15207886)
7)閉経前の健常女性25名(試験群12名、平均32.8歳)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーのイソフラボン86 mg/日を3月経サイクル期間摂取させたが、血中の総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク(a)、グルコース、インスリン濃度には影響がなかった(PMID:12654164)
8)健康な女性23名(25-65歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーから抽出したイソフラボン86 mg/日を1ヶ月間摂取させたが、閉経後の女性(7名)でのみHDLコレステロール値の上昇がみられたものの、他の対象者や総コレステロール、トリグリセリド、インスリン様増殖因子には影響がなかった(PMID:14679383)
9)健康な女性177名(試験群86名、55.1±4.7歳)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーのイソフラボン43.5 mg/日を12ヶ月間摂取させたが、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、フィブリノーゲン、プラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI-1)、血圧には影響がなかった(PMID:15226466)
10)閉経後の糖尿病前症(初期糖尿病)の女性180名(48-70歳、試験群120名、中国)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆たんぱく質15 g/日と大豆イソフラボン100 mg/日の併用もしくは大豆イソフラボンを単独で6ヶ月間摂取させたところ、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセリド、C反応性蛋白、血清尿酸値に影響を与えなかった(PMID:21429720)
11) 過体重または肥満の男性10名(56.2±6.18歳、カナダ)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、朝食に高脂肪、高フルクトース食と共に魚油7.0 g (EPA 2.8 g, DHA 1.4 g含有)、大豆イソフラボン(グリコシドイソフラボンとして150 mg)を単独または併用で4日間摂取させたところ、食事摂取後の血清トリグリセリド濃度、酸化ストレスマーカー(脂質ヒドロペルオキシド、酸化LDL、総抗酸化能)に影響は認められなかった(PMID:19339704)
12) アンドロゲン抑制療法中の前立腺がん患者33名(試験群17名、69.2±2.5歳、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆たんぱく質20 g/日(イソフラボン160 mg含有)を12週間摂取させたところ、血中脂質 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド) 、糖代謝 (血糖、グルカゴン、C-ペプチド、HOMA) 、肥満・炎症 (レプチン、レジスチン、アディポネクチン、TNFα、sTNFαRI、sTNFαRII、spg130、CRP、IL-6) マーカーに影響は認められなかった (PMID:20798386)

・クズのイソフラボンであるプエラリンやダイゼインを摂取すると、血漿中のレニン、アンジオテンシンII活性、血小板凝集が減少し、また、抗不整脈作用を示唆する報告がある(PMID:12577374) (PMID:15015382)
・卵胞刺激ホルモンが30 U/L以上で、乳がん罹患歴がある更年期女性(56名)に大豆イソフラボン(ゲニステイン6 mg、ダイゼイン42 mg、グリシテイン66 mg)114 mgを3ヶ月投与したが、CRP、E-セクレチン、一酸化窒素値に、はっきりとした差が認められなかったとの報告がある(PMID:14602747)
・健康な更年期女性(27‐34名)にゲニステイン54 mgを6ヶ月‐1年投与したところ、亜硝酸塩/硝酸塩比、エンドセリンに作用する一酸化窒素の割合は増加し、エンドセリン-1値は減少したとの報告がある(PMID:12052481) (PMID:12727580)
・骨減少の閉経後女性389名(49-67歳)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、等カロリーの低脂肪食と共に、ゲニステイン(54 mg/日)を2年間摂取させたところ、血中脂質に影響しなかったが、フィブリノーゲン、F2-isoprostanes(過酸化脂質マーカー)、血管内皮障害の指標である可溶性細胞接着分子(sICAM-1)と可溶性血管細胞接着分子(sVCAM-1)が低下したという報告がある(PMID:17682090)
・閉経後の女性60名(52-60歳、試験群30名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ゲニステイン54 mg/日を6ヶ月間摂取させたところ、心血管疾患リスク因子(フィブリノーゲン、オステオプロテゲリン(破骨細胞分化抑制因子)、性ホルモン結合グロブリン、空腹時の血糖、インスリン濃度、インスリン抵抗性)の改善が認められたという報告がある(PMID:15772566)
・不眠症状を訴えている閉経後の女性38名(50-65歳、試験群19名、ブラジル)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、イソフラボン100 mg/日を4ヶ月間摂取させたところ、血中酸化ストレスマーカーとホモシステイン濃度に影響は与えなかったという報告がある(PMID:19915736)
・健康な閉経前の女性23名(32.8±9.5歳、試験群11名、オーストラリア)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーのイソフラボン86 mg/日を4性周期間摂取させたところ、血中ホモシステインと葉酸濃度に影響は与えなかったという報告がある(PMID:19951216)
・健康な男女(女性は閉経後)80名(54±0.7歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーから抽出したbiochaninもしくはformononetin(ゲニステインとダイゼインの前駆体)を80mg/日、6週間摂取させたところ、formononetin摂取群(40名)において動脈の硬化指標(動脈系コンプライアンス、脈波伝搬速度)の抑制がみられたが、血圧、血管拡張に影響は認められなかったという報告がある(PMID:12714433)
・2009年6月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験14報について検討したメタ分析において、正常もしくは高血圧前症の成人による大豆イソフラボンの摂取は、収縮期血圧を1.92 mmHg低下させたが、拡張期血圧に影響は見られず、用量依存性も認められなかったという報告がある(PMID:20577121)
・2009年8月までを対象に1つのデータベースで検索できた無作為化比較試験17報について検討したメタ分析において、単離イソフラボンもしくはイソフラボン含有大豆製品の摂取は、それぞれ単独の介入では傾向が異なったものの、全体としては血管内皮機能の指標である血流依存性血管拡張反応(FMD)にわずかに影響を与えたという報告がある(PMID:20709515)
・閉経後の女性325名 (試験群162名、平均60.8±7.2歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆タンパク質25 g/日 (イソフラボンアグリコン91 mg/日含有) を2.7年間摂取させたところ、頸動脈内膜中膜複合体厚の進展に影響は認められなかったが、閉経後5年以内を対象とした場合には、頸動脈内膜中膜複合体厚の進展を抑制したという報告がある (PMID:21903957) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である。


消化系・肝臓

調べた文献の中には見当たらない。

糖尿病・
内分泌

・大豆イソフラボン(植物エストロゲン)は経口摂取で、II型糖尿病に対して有効性が示唆されている。II型糖尿病である閉経後の女性が大豆タンパク30 gとイソフラボン132mgを含む製剤で治療したところ、12週間で空腹時血糖、LDL-コレステロール値、インスリン耐性が改善したという知見がある(66)。
・骨減少の閉経後女性389名(49-67歳)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、等カロリーの低脂肪食と共に、ゲニステイン(54 mg/日)を2年間摂取させたところ、インスリン抵抗性(HOMA-IR)と共に空腹時の血糖値とインスリン濃度が低下したという報告がある(PMID:17682090)
・閉経後の糖尿病前症(初期糖尿病)の女性180名(試験群120名、平均56歳、中国)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆たんぱく質15g/日と大豆イソフラボン100 mg/日の併用もしくは大豆イソフラボンを単独で6ヶ月間摂取させたところ、血糖値やインスリン濃度、インスリン抵抗性(HOMA-IR)に影響を与えなかったという報告がある(PMID:20335543)
・1990年1月から2009年12月を対象に1つのデータベースで検索できた非アジア系女性を対象とした無作為化比較試験10報について検討したメタ分析において、閉経期もしくは閉経後女性による大豆イソフラボンの摂取は、インスリン濃度とインスリン抵抗性(HOMA-IR)をわずかに低下させたが、空腹時血糖値には影響を与えず、用量依存性は認められなかったという報告がある(PMID:20581723)

生殖・泌尿器

・更年期女性の血管障害(ほてりなど)に関して、アメリカ心臓協会(AHA)は、大豆イソフラボンは更年期女性のエストロゲン欠乏による血管障害(ほてりなど)を改善しないと報告している(PMID:16418439)。また、米国医療研究・品質調査機構(AHRQ: Agency for Healthcare Research and Quality)は、大豆イソフラボンの更年期障害への影響の試験結果には矛盾したものが多く、大豆イソフラボン摂取が更年期障害を減少させると判断するには証拠が不十分であると報告している(104)。さらに、閉経期女性(434名)の卵胞期のエストラジオール値についての12の研究報告を総合的に判断すると、大豆によってエストラジオール値が改善されたと判断するには矛盾が生じることを報告している(105)。現時点ではポジティブな結果とネガティブな結果の両方が存在し、個々の情報は下記のようになっている。

<更年期の血管障害(ほてりなど)に関して有効性が示された報告>
1) 大豆イソフラボンの更年期障害のほてりに対する有効性が示唆されている(66)。34‐76 mgのイソフラボンを含む20‐60 gの大豆タンパクを摂取することは、更年期女性のほてりの頻度と重症度をやや減少させ、また、35‐120 mgのイソフラボンを含む大豆イソフラボンエキスも同様の結果が見られる。
2) 47‐57歳のホルモン補充療法を1年以上受けている女性(90名)にゲニステイン54 mgを12ヶ月投与したところ、ほてりをやや減少させた (PMID:15243277)
3) 植物エストロゲンを含有する大豆粉は、複数の小規模無作為割付臨床試験(RCT)から得られた限定的な科学的根拠により、血管運動性の更年期症状を軽減した(25)。なお、4件のプラセボ比較試験のうち2件は大豆サプリメントを評価した二重盲検無作為割付臨床試験(RCT)であるが、他の1件は盲検化されていないイソフラボンの評価であった。
4) 12ヶ月以上無月経で、一日5回以上ほてりを感じる女性(30 名)にイソフラボン80 mgを12週間投与したところ、ほてりを減少させた(PMID:12161042)
5)2006年4月までを対象に5つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験5報について検討したメタ分析において、レッドクローバーイソフラボンの摂取はほてりの頻度をわずかに減少させた(PMID:17239573)

<更年期の血管障害(ほてりなど)に関する有効性は確立されていないという報告>
1) 2008年3月までを対象にドイツ医学ドキュメンテーション情報協会(DIMDI)のデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験17報について検討したシステマティックレビューにおいて、ダイズイソフラボンの摂取は、更年期血管症状の抑制に一貫した影響は認められなかったという報告がある(PMID:19653225)
2) 2010年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた臨床試験について検討したシステマティックレビューにおいて、ブラックコホシュ、イソフラボン、レッドクローバー、ダイズ、ビタミンE、朝鮮人参、トウキ、メマツヨイグサ油、ヤムイモ、カバ、メラトニンを代替医療としてそれぞれ単独使用することが、更年期女性のホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)に与える影響には一定の傾向が認められず、長期使用の安全性データが不十分であったという報告がある(PMID:20833608)

<更年期の血管障害(ほてりなど)に関して有効性が認められなかった報告>
1) 乳がん手術後のほてりの防止には効果がないことが示唆されている(66)。更年期女性(51‐69名)に大豆イソフラボン(ゲニステイン12 mg、ダイゼイン40 mg、グリシテイン28 mg) 80 mgやレッドクローバーのイソフラボン40 mgを3−6ヶ月投与したが、更年期障害を改善しなかった (PMID:14706761) (PMID:11201510) (PMID:12161042) (PMID:11910672) (PMID:12851275)
2) 乳がん患者でほてりを感じる女性(149 名)に大豆イソフラボン150 mgを9週間投与したが、ほてりは減少しなかった(PMID:10694559)
3)2005年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ比較試験17報(レッドクローバーイソフラボン6報、大豆イソフラボン11報)について検討したメタ分析において、レッドクローバーイソフラボンの摂取はほてりを減少させず、大豆イソフラボンの摂取は結果にばらつきがみられた(PMID:16670414)

・更年期障害の女性(14-22名)に大豆イソフラボンアグリコン錠剤(40 mg/日)や大豆胚軸抽出物2,520 mg含有チュアブル錠(大豆イソフラボンとして71.1 mg/日)を3ヶ月間摂取させたところ、自覚症状の問診結果で症状の緩和、簡略更年期指数の減少がみられ、血中卵胞刺激ホルモン濃度の低下、血中イソフラボン濃度の上昇が認められたという報告がある(2003117742)(2004243066)。
・閉経後のアメリカ人女性358名(54.8±3.9歳、試験群235名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、イソフラボンを80 mg/日または120 mg/日、2年間摂取させたところ、乳房密度に影響は認められなかったという報告がある(PMID:19321587)
・49‐65歳の女性(177名、Wolfeのマンモグラフィーパターンの分類ではP2またはDYに該当)にレッドクローバーのイソフラボンの錠剤(ビオカニンA26 mg、フォルモノネチン16 mg、ゲニステイン1 mg、ダイゼイン0.5 mgを含む)を1年間投与したが、乳房密度、エストラジオール値やゴナドトロピン値、更年期症状に影響はなかったとの報告がある(PMID:15084240)
・2009年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験8報について検討したメタ分析において、女性の乳房密度に対するイソフラボン摂取の影響は、全体および閉経後ではなかったが、閉経前ではわずかに増加させる可能性が示唆されたという報告がある(PMID:20511398)
・レッドクローバーのイソフラボン40‐80 mgを毎日摂取すると、45%の患者において乳房痛と圧痛が減少したとの報告がある(PMID:14965665)。大豆イソフラボンの周期的な乳房痛に対する改善効果には、いくつか予備的な科学的根拠はあるが、十分ではない(66)。
・閉経期女性(17名)にイソフラボン100 mgを1年間投与したが、月経周期やホルモンレベル、排卵周期には影響がなかったとの報告がある(PMID:11867507)
・レッドクローバーのイソフラボン40‐80 mgを3ヶ月投与した研究において、良性前立腺過形成の症状を改善させることが示唆されたが、尿流率や前立腺特異抗原値、前立腺の大きさは改善しないとの報告がある(66)。
・骨減少の閉経後女性389名(49-67歳)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、等カロリーの低脂肪食と共に、ゲニステイン(54 mg/日)を2年間摂取させたところ、子宮内膜の厚さに影響しなかったという報告がある(PMID:17682090)
・閉経後の女性53名(51.3±3.5歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーのイソフラボン80 mg/日を90日間摂取させたところ、更年期症状の減少(Kupperman index sucore、膣細胞の核濃縮指数、角質化、基底細胞成熟インデックス)が認められたという報告がある(PMID:16373244)

脳・神経・
感覚器

・55‐74歳の健康な更年期女性(更年期2年以降)で、ホルモン補充療法を受けていない女性(27名)にイソフラボン110 mgを6ヶ月投与したところ、言語記憶を改善させる傾向があったとの報告がある(PMID:12792289)。また、50‐65歳のホルモン補充療法を受けていない更年期女性(18名)にイソフラボン60 mgを12週間投与したところ、わずかに文章と絵の回想テストが改善したとの報告がある(PMID:12895690)
・クズのイソフラボンは予備的な臨床試験の結果、閉経に伴う症状を改善しなかったが、閉経後の女性の認知能を改善したとの報告がある(PMID:12851519)
・閉経後の女性28名(60歳以上)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーから抽出したイソフラボンアグリコン(1日にformononetin 50 mg、biochanin 5 mg)を6ヶ月間摂取させたところ、認知機能に影響は認められなかったという報告がある(PMID:15259285)
・認知機能の改善作用についてはさらなる科学的実証の蓄積が必要である(66)。

免疫・がん・
炎症

・がんに対する影響に関しては、有効性を示した(がんの危険性を低下させる)報告もあるが、イソフラボンの成分や食品に含まれる含有量が一定でないこと、生理活性の強いと考えられるダイゼインの代謝物イコールへの産生能には個人差が大きいことなどにより、現時点での影響は明確でなく、更なる研究が必要である(66)。個々の情報は下記のようになっている。
<がんの予防に対する有効性が示されたという報告>
1) 大豆イソフラボンは経口摂取で乳がん、前立腺がんの予防に有効性が示唆されている(66)。
2) 前立腺がんリスクの高い男性(50-85歳、低悪性度前立腺がん患者5名を含む58名)
を対象とした単盲検無作為化比較試験において、1日40g分離大豆蛋白質(107 mgイソフラボン含有)を6ヶ月間摂取させると、アンドロゲン受容体発現の抑制(前立腺がんの予防に有益と考えられる)を認めた(PMID:17585029)
3) 日本人男性400名を対象とした症例対照研究(症例200名)において、食事からのイソフラボンの摂取が多い人ほど前立腺がんの発症率が低かった(PMID:17634273)
4) 毎日イソフラボンを摂取することは子宮内膜がんのリスクを減少させる(PMID:12902445)

<がんに対する有効性が確立されていないという報告>
1)アメリカ心臓協会(AHA)では、最近の22の無作為化比較臨床試験の結果から、大豆イソフラボンの乳がん、子宮内膜がん、前立腺がんの予防効果や安全性は確立されていないため、大豆イソフラボンをサプリメントとして摂取する事は推奨しないとしている(PMID:16418439)
2)イソフラボン摂取による乳がんへの影響は少ないことが示唆されているが、イソフラボンの成分や食事に含まれるイソフラボン量は一定ではないため乳がんや子宮内膜がんにいかなる影響も及ぼさないとは言い切れない(66)。
3) 大豆イソフラボンの子宮内膜がんの予防効果に関しては、日本やアジアでの疫学的証拠はいくつかあるが、十分ではない(66)(PMID:16418439)
4)大豆を多く含む食品を摂取することはわずかに乳がんの危険性を低下させるとの報告がある(PMID:1673746) (PMID:11352858) (PMID:15456994) (PMID:12813174) (PMID:16595782)が、多くはアジア人女性の研究であり、西洋人の報告は少ない。49‐70歳の西洋人女性が毎日平均でイソフラボン0.4 mgを摂取していたが、乳がんのリスクを減少させなかったとの報告もあり(PMID:14749235)、乳がんへの大豆イソフラボンの影響については更なる研究が必要である。

<がんに対する影響がないとされた報告>
1) レッドクローバーのイソフラボンを大量に摂取することと乳がんとの間には関連性はない(PMID:14749235)
2) 49‐70歳の女性が平均で1 mg/日の植物エストロゲンを投与したところ、乳がん発症の危険性には影響がなかった(PMID:14749235)
3) 女性(79名)に大豆イソフラボン120 mg又はエストロゲン0.625 mgを6ヶ月毎日投与したところ、子宮内膜と膣粘膜に影響を与えなかった(PMID:16257151)
4) 45‐53歳の女性にレッドクローバーのイソフラボン50 mgを3ヶ月投与したが、子宮内膜増生には影響がなかった (PMID:11528360)
5) 2008年7月までを対象に2つのデータベースで検索できた臨床試験32報について検討したメタ分析において、男性による大豆たんぱく質やイソフラボンの摂取に、アンドロゲン抑制作用(前立腺がんの予防に有益と考えられる)は認められなかった(PMID:19524224)
6)前立腺がんの既往歴があり、前立腺特異抗原(PSA)濃度が高い男性53名(試験群28名、平均70.5歳、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ゲニステイン450 mg/日およびダイゼイン300 mg/日含有サプリメントを6ヶ月間摂取させたところ、血中ゲニステイン、ダイゼイン濃度は増加したが、PSAに影響は認められず、二重盲検試験後に続けてオープンラベルで6カ月間摂取させても結果は同様であった(PMID:21058191)

・アンドロゲン抑制療法中の前立腺がん患者33名(試験群17名、69.2±2.5歳、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆たんぱく質20 g/日(イソフラボン160 mg含有)を12週間摂取させたところ、認知能やQOL、睡眠の質、ほてりなどの血管運動性の症状に影響は認められなかったという報告がある(PMID:19758646)

骨・筋肉

・大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品がある。保健機能の表示例:「本品は、骨のカルシウムの維持に役立つ大豆イソフラボンを含んでいるので、骨の健康が気になる方に適した飲料です。」
・イソフラボン摂取による骨への影響は、特に更年期女性において有効性が示唆された報告もあるが、アメリカ心臓協会(AHA)は、最近の無作為化比較臨床試験の結果から、大豆イソフラボン摂取が更年期の骨減少を緩やかにすることは、まだ明確にされていないと報告している(PMID:16418439)。また、米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)は31の臨床試験の結果から、大豆イソフラボン摂取が骨密度や骨形成バイオマーカー、骨吸収バイオマーカーを改善するという証拠は不十分であると報告している(105)。個々の情報は下記のようになっている。
<骨に対する有効性が示唆された報告>
1) 大体頸部骨密度(<0.795 g/cm2)の健康で歩くことのできる47‐57歳までの女性(30 名)にゲニステイン54mgを1年間投与したところ、骨吸収マーカーとなるピリジニウム架橋の排出が減少した(PMID:12369794)
2) 48‐62歳の中国人更年期女性(136名)にカルシウム500 mgとともに40‐80 mgのイソフラボンと投与したところ、腰骨全体と転子の骨ミネラル構成が改善した (PMID:15167303)
3) 大豆イソフラボン80‐90 mgを投与すると、骨密度が改善する可能性がある(PMID:10966908)
4) 30‐40歳の更年期の日本人と中国人の女性にイソフラボン50 mgを投与したところ、骨密度が上昇した(PMID:11152918) (PMID:11450713)
5) 49‐65歳の女性(177名)にイソフラボン43.5 mg(ビオカニンA26mg、フォルモノネチン16 mg、ゲニステイン1 mg、ダイゼイン0.5 mg)を1年間投与したところ、腰椎骨ミネラルの構成成分、骨密度の減少を抑制し、骨形成マーカーを上昇させた (PMID:14749241)
6) イソフラボンは経口摂取で閉経前後の女性における骨粗しょう症の予防に有効性が示唆されている(66)。
7)健常な中高年女性21名(平均年齢49.2歳)を対象とした無作為化クロスオーバー試験において、大豆イソフラボン43mgを2週間摂取させたところ、骨からのカルシウム溶出を示す尿中デオキシピリジノリンの低下が認められたという予備的な報告がある(2006179173)が、この現象については更なる検証が必要である。
8)49-67歳骨量減少の閉経後女性389名を対象とした24ヶ月間の二重盲検無作為化比較試験を低大豆・低脂肪食を摂取させた条件下で実施したところ、試験開始時と対照群(191名)に比べ、1日54 mgゲニステイン(大豆イソフラボンの一種)を摂取させた群(198名)では1年と2年目の大腿骨頸部および腰椎の骨密度(BMD)が上昇し、骨吸収マーカー(ピリジノリンとデオキシピリジノリン)の尿中排泄が低下し、骨形成マーカー(骨型アルカリフォスファターゼ)は上昇したが、胃腸の副作用は多かった(PMID:17577003)
9)骨減少の閉経後女性389名(49-67歳)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、等カロリーの低脂肪食と共に、ゲニステイン(54 mg/日)を2年間摂取させたところ、骨代謝マーカーのオステオプロテゲリン(Osteoprotegerin:OPG)が上昇した(PMID:17682090)

<骨に対する有効性は限定的であった報告>
1) 閉経後の女性403名(40-60歳、試験群269名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ダイズイソフラボン80mg/日もしくは120mg/日を、カルシウム(400 mg/日)とビタミンD(1日おきに 400 IU)とともに24ヶ月間摂取させたところ、ダイズイソフラボン120 mg/日摂取群においてのみ全身骨密度の減少抑制がみられたが、腰椎や大腿骨近位部の骨密度、骨塩量、骨密度評価点数(T score)、血清中骨代謝マーカーに影響は認められなかった(PMID:19759166)
2) 2008年までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験11報について検討したメタ分析において、閉経後女性による大豆イソフラボン平均82 mg/日、6-12ヶ月間の摂取は、腰椎の骨密度を増加させたが、大腿骨近位部、股関節、転子部の骨密度に影響は認められなかった(PMID:20199985)
3) 2009年6月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験17報について検討したメタ分析において、閉経後女性による大豆イソフラボン平均56 mg/日、10週-12ヶ月間の摂取は、骨代謝マーカーである尿中デオキシピリジノリン濃度を低下させたが、血清骨型アルカリフォスファターゼ、血清オステオカルシン濃度に影響は認められなかった(PMID:20452475)

<骨に対する有効性が認められなかった報告>
1) 大豆イソフラボン4‐56 mgの摂取では効果が見られなかった(PMID:10966908)
2) 更年期女性(11 名)に大豆イソフラボン(ゲニステイン7 mg、ダイゼイン31 mg、グリシテイン21 mgを含む) 61.8 mgを3ヶ月投与したが、卵胞刺激ホルモン濃度と骨密度は変化しなかった(PMID:14614218)
3) 平均年齢16.8歳の青年期男性(69 名)にイソフラボン50 mgを6週間投与したが、骨に特有のアルカリフォスファターゼ、ピリジノリン/クレアチニン比に影響がなかった (PMID:12571667)
4) 49‐65歳の女性がイソフラボン40 mgを含むレッドクローバーエキス(製品)を1年間毎日摂取しても、骨塩量や骨密度は増加しなかった(PMID:14749241)
5) アメリカ心臓協会(AHA)では、最近の無作為化比較臨床試験の結果から、大豆イソフラボン摂取が更年期の骨減少を緩やかにすることはまだ明確にされていないと報告している(PMID:16418439)
6) 米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)は31の臨床試験の結果から、大豆イソフラボン摂取が骨密度や骨形成バイオマーカー、骨吸収バイオマーカーを改善するという科学的根拠は不十分であると報告している(105)。
7)60-93歳の女性97名(試験群51名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、1年間、大豆イソフラボン(イソフラボンアグリコンとして105 mg/日)を単独もしくは大豆たんぱく質18 g/日と併用摂取させたが、骨密度に影響はなかった(PMID:19474141)
8) 閉経後の女性224名(45.8-65.0歳、試験群150名、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、36ヶ月間、ダイズイソフラボン80 mg/日もしくは120 mg/日をカルシウム500 mg/日、ビタミンD3 600 IUと併用摂取させたが、骨密度(BMD)に影響はなかった(PMID:19906801)
9)1990年1月から2010年2月を対象に2つのデータベースで検索できた西欧女性を対象とした二重盲検無作為化比較試験12報について検討したメタ分析 において、閉経期もしくは閉経後の女性による大豆イソフラボンの摂取は、腰椎の骨密度(BMD)に影響を与えなかった(PMID:20673147)
10) 閉経後の女性248名 (試験群122名、平均53±3.3歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆イソフラボン200 mg/日を2年間摂取させたところ、骨密度 (BMD) に影響は認められなかった (PMID:21824950)

・閉経後女性71名(45-70歳、試験群35名、ブラジル)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆イソフラボン100 mg/日の摂取と共にレジスタンス運動を実施させたところ、筋力、筋量、体脂肪量などの身体組成への相加効果は認められなかったという報告がある(PMID:20490353)

発育・成長

調べた文献の中には見当たらない。

肥満

・閉経後女性229名(54.3±3.3歳、試験群150名、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、大豆イソフラボン80 mg/日もしくは120 mg/日を12ヶ月間摂取させたところ、除脂肪体重、脂肪量などの身体組成や、ホルモン量(インスリン、レプチン、グレリン、アディポネクチン)に影響は与えなかったという報告がある(PMID:20142790)

その他

・閉経後1年以上経過した女性歯周病患者(77名)に、カルシウム錠剤(Ca500 mg/日)、大豆イソフラボン錠剤(大豆イソフラボン10 mg/日)、併用、プラセボのいずれかを24週間摂取させたところ、カルシウムと大豆イソフラボンの単独あるいは併用での摂取ではプラセボと比較し、Clinical Attachment Level(CAL、歯周病の指標)が減少したという報告がある(2004068481)。





試験管内・
動物他での
評価

・動物実験において、化学物質で誘導された乳がんを大豆イソフラボンが防いだという知見がある(66)。また、クズのイソフラボンを投与すると、自発的なアルコールの摂取を抑えるとの報告がある(PMID:12848487) (PMID:7695042) (PMID:8892531)
・動物実験において、カッコンのイソフラボンとクズのイソフラボンであるダイゼインとゲニステインは閉経後骨粗鬆症モデル動物の骨量減少を用量依存的に抑制することが認められたとの報告がある(PMID:12928827)
・in vitroでは、クズのイソフラボンのプエラリンはβ−アドレナリン受容体の拮抗物質として作用し、血管弛緩作用を発現し(PMID:8010117)、また、実験動物の血圧を15%下げる(21)との報告がある。更に、動物実験において血糖降下作用、コレステロール降下作用、抗不整脈作用が報告されている(66)。

安全性

危険情報

・通常の食品に含まれる量を経口摂取する場合はおそらく安全と思われる。大豆イソフラボン90 mgを2ヶ月間経口摂取した研究で安全性が示されている(66)。大豆を経口で1日60 g(イソフラボンとして185 mgまで) 4ヶ月間摂取させた研究で安全性が示されている(66)。また小児や妊婦、授乳婦が通常の食品に含まれている量を摂取する場合もおそらく安全と思われる(66)。
・2006年5月、食品安全委員会は大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限を70‐75 mg/日、特定保健用食品として摂取する場合の安全な一日上乗せ摂取量の上限をアグリコン換算(糖が外れた構造に換算)で30mg/日に設定した(食品安全委員会)
・イソフラボンにはエストロゲン様作用があり、胎児の発育に影響する可能性があるため、妊婦が医療目的に使用する量を摂取することは避けたほうがよい(66)。一般的に妊娠中・授乳中の摂取に関する安全性については充分なデータがないため、妊娠中・授乳中の使用は避けたほうがよい(101)(66)。また、乳幼児および若年者は大量摂取を避けたほうがよい。
・カンゾウのイソフラボンはエストロゲン様作用、ステロイド様作用があるため、子宮を刺激する可能性があり、妊婦は使用を避けたほうがよい(66)。一週間に500 mg以上のカンゾウのイソフラボンを摂取すると、妊娠38週以前の分娩の危険性が増加するとの報告がある(PMID:11390327) (PMID:12396977)
・乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫などのホルモンに感受性が高い状態にある女性は、大豆イソフラボン、レッドクローバーのイソフラボン、クズのイソフラボンなどの使用を避けるべきである(66) (PMID:15277090)
・結腸直腸がんもしくはアデノーマの家族歴がある閉経後女性34名(50-75歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、レッドクローバーのイソフラボン84 mg/日を8週間摂取させたところ、血清インスリン様成長因子(IGF-I)濃度に影響しなかったという報告がある(PMID:18842999)
・クズのイソフラボンには抗血小板作用が報告されている(PMID:12577374)ため、理論的には、抗凝固療法に影響する可能性がある(66)。
・4歳女児が約3週間、大豆タンパクを含むプロテイン飲料を毎日少量摂取したところ、乳房腫大と膣分泌物増加が認められたという報告がある(2006248863)。
・骨減少の閉経後女性389名(49-67歳)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、等カロリーの低脂肪食と共に、ゲニステイン(54 mg/日)を2年間摂取させたところ、子宮内膜の厚さに影響しなかったという報告がある(PMID:17682090)
・骨減少の閉経後女性389名(49-67歳)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、等カロリーの低脂肪食と共に、ゲニステイン(54 mg/日)を2年間摂取させたところ、中度の有害事象として胃腸への副作用(腹痛、心窩部痛、嘔吐、便秘)が37件(19%)あったという報告がある(PMID:17682090)
・大豆イソフラボンにはエストロゲン様作用があるので、乳がんの患者や家族歴のある人は注意して用いた方がよい(66)。 
・重篤な牛乳アレルギーのある乳幼児が、ミルクの代わりに摂取するのはおそらく危険と思われる(66)。牛乳アレルギーのある乳幼児は、大豆タンパクに対しても感受性が高い可能性がある。
・レッドクローバーのイソフラボンにはエストロゲン様作用があると考えられるので、妊娠中、授乳中の大量摂取は安全でないと思われる(101)。
・クズのイソフラボンにはエストロゲン様作用がある(PMID:12851519)ため、ホルモンに感受性の高い状態の女性は通常の食品形態以外の濃縮物等としてクズを摂取することは避けたほうがよい。これらの症状は乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫を増加させる可能性がある(66)。また、授乳婦に対する信頼できる情報が不十分であるため、摂取は避けたほうがよい(66)。
・カンゾウのイソフラボンはエストロゲン様作用、ステロイド様作用があり、また、子宮を刺激する可能性があるため、妊婦は使用を避けたほうがよい。また、授乳婦は十分な信頼できる情報がないため、使用を避けたほうがよい(66)。

禁忌対象者

調べた文献の中には見当たらない。

医薬品等との
相互作用

・理論上、イソフラボンは抗凝血薬、経口避妊薬、エストロゲン製剤、タモキシフェンなど、併用に注意を要する医薬品が複数考えられる(101)(103)(PMID:11397668)。ゲニステインはタモキシフェンの抗腫瘍作用に拮抗する可能性がある(PMID: 11573864) (PMID:12851519)。経口避妊薬あるいはホルモン補充療法と大量のレッドクローバーの使用は、エストロゲン受容体での競合により影響を与えるかもしれない(66) (PMID:15277090)
・in vitroの実験ではあるが、レッドクローバーのイソフラボンは薬物代謝酵素のCYP1A2、2C19、2C9、3A4を阻害する可能性があるため、これらによって代謝される薬物との併用は注意する必要がある(66) (PMID:15384148) (PMID:15277090)。ただし、ヒトでの報告はない。
・抗生物質は大豆イソフラボンの活性化を阻害する可能性がある(PMID:11305594)
・理論的には、クズのイソフラボンはエストロゲン様作用のあるハーブやサプリメントとの併用で、それらの作用を増強すること可能性がある(PMID:12851519)
・理論的には、クズのイソフラボンは経口避妊薬の作用を競合的に阻害する可能性がある(PMID:12851519)
・予備的な試験では、クズイソフラボンのプエラリンは薬物代謝酵素のCYP450を阻害又は誘導することが示唆されている。しかし、どのCYP450が、どの程度まで影響を受けるかは明らかになっていない(PMID:11133012)
・プエラリンは血糖値を下げる可能性があるので、苦瓜、シナモン、クロム、デビルズクローなどの血糖値を下げる可能性のあるハーブとともに摂取すると低血糖を引き起こす可能性がある(66)。

動物他での
毒性試験

・プエラリンは、実験動物の血圧を15%下げるとの報告がある(21)。
・レッドクローバーから抽出したエストロゲン様物質をラットに経口投与した時の最小中毒量は1,046 mg/kg、雌ラットの生殖器成熟が認められたとの報告がある(91)。
・急性毒性:1)クズイソフラボンの一種であるプエラリンをマウスに静脈注射したときの50%致死量(LD50)は738 mg/kgである(92)。2)イソフラボンが取り除かれたクズ水抽出液をマウスに静脈注射、腹腔注射および経口投与したときのそれぞれの50%致死量(LD50)は1.044 g/kg、2.0 g/kgおよび4.0 g/kgである(92)。
・雌雄ラットに、420.2 mg/gのイソフラボンアグリコン(ゲニステイン230.5 mg/g、ダイゼイン189.7 mg/g)を含む発酵大豆抽出物を、2 g/kgまたは4g/kg経口投与し14日間観察したところ、LD50は4 g/kg以上であった。また20、140、1,000 mg/kg/日、90日間経口投与したところ、140 mg/kg投与群以上で体重減少が、1,000 mg/kg雄群で腹側前立腺、上皮過形成、分泌液の欠乏、上皮細胞の分泌過多観察された(2003180749)。

AHPAクラス分類
及び勧告

レッドクローバー:地上部、花はクラス2b(22)。
大豆:クラス1(22)。
クズ:記載なし
カンゾウ:2b、2c、2d(22)。




総合評価

安全性

・通常食品に含まれる量を経口摂取する場合はおそらく安全と思われる。
・2006年5月、食品安全委員会は大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限を70‐75 mg/日、特定保健用食品として摂取する場合の安全な一日上乗せ摂取量の上限をアグリコン換算(糖が外れた構造に換算)で30mg/日に設定した(食品安全委員会)
・大豆、クズ、レッドクローバーのイソフラボンはエストロゲン様作用を示すことから、妊婦・授乳婦が大量に摂取することは避けるべきである。基本的に、妊娠中・授乳中の摂取における安全性については、充分なデータがないため大豆等の食品として摂取する以外の利用は避けるべきである。また、乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫などのホルモンに感受性が高い状態にある女性は、使用を避けるべきである。複数の医薬品との相互作用を起こす可能性が考えられる。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・大豆イソフラボンは、II型糖尿病に対する有効性が示唆されている。血清脂質、更年期の血管障害に対する有効性については、現時点ではポジティブ(有効性がある)な結果とネガティブ(有効性がない)な結果の両方が存在しており、一定の見解を得るにはさらなる科学的根拠の蓄積が必要である。また、大豆イソフラボンを関与成分とし、「骨の健康維持に役立つ」との表示が許可された特定保健用食品がある。
・レッドクローバーのイソフラボンのヒトに対する有効性については、調べた文献中に十分なデータはなく、高コレステロール血症および更年期障害に対しては効果がないことを示唆した報告がある。
・クズイソフラボンは治療目的では、血糖値、血圧、心臓血管系に対する作用が示唆されているが、食品素材として利用する場合のヒトでの有効性については、信頼できる充分なデータが見当たらない。

参考文献

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