健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

プエラリア・ミリフィカ、ガウクルア [英]Kwao keur [学名]Pueraria candollei var. mirifica (別名Pueraria mirifica)

概要

プエラリア・ミリフィカ (学名Pueraria candollei var. mirifica、別名Pueraria mirifica) は、タイの落葉広葉樹林に広く分布しているタイに特有のマメ科植物で、根もとは木質化して地下で肥大した塊根を形成する。その塊根は円形の球根のように見え、小さな根を介して接続した形状をとるという特徴をもつ。白ガウクルア (White Kwao Krua) が一般的な名称だが、同名の植物にはプエラリア・ミリフィカと類似の植物特性を有するPueraria candollei var candollei (別名Pueraria candollei) がある。プエラリア・ミリフィカは、古くは赤ガウクルア (学名Butea superba) と呼ばれる植物と混同されていたが、現在では違う植物として区別されている。日本でよく知られている葛 (クズ、学名Pueraria lobata) はプエラリア植物であるが、女性ホルモン作用の強い成分の有無から葛とプエラリア・ミリフィカは全く異なる植物と考えるべきである。
プエラリア・ミリフィカには、プエラリア植物に見出されるプエラリンだけでなく、プエラリア・ミリフィカ特有の識別指標とされているデオキシミロエストロール (deoxymiroestrol) やミロエストロール (miroestrol) などが含まれている。デオキシミロエストロールが試料の抽出および単離手順中に酸化されるとミロエストロールになる。デオキシミロエストロールは非ステロイド化合物であるが、17β-エストラジオールとほぼ同等の強いエストロゲン活性をもち、ミロエストロールになるとエストロゲン活性は低下する。ちなみに、プエラリア植物である葛 (Pueraria lobata) にはデオキシミロエストロールやミロエストロールは含まれていない。
プエラリア・ミリフィカの塊根は若返りの民間薬として知られており、サプリメントや化粧品などに利用されている。俗に、「豊胸によい」「肌によい」「若返りによい」「強壮によい」「不妊によい」「更年期によい」「骨粗鬆症や脂質異常症によい」などと言われているが、ヒトにおける有効性については、十分な情報は見当たらない。ヒトにおける安全性については、有害事象として乳房痛、膣出血、イライラや頭痛、吐き気、嘔吐などが認められたという報告がある。
サプリメントから摂取されているプエラリア・ミリフィカの量は1〜2 mg/kg体重/日または約50〜100 mg/日となっている。プエラリア・ミリフィカに含まれる成分は、産地や収穫時期、植物の年齢によってかなり幅があり、それを含む製品についても、含有成分量にかなりの幅があることが指摘されている。ちなみに、製品に含まれるデオキシミロエストロールとミロエストロールを測定した報告では、各製品間でかなりの違いが認められている。これはプエラリア・ミリフィカを含むサプリメントの摂取によって一定した女性ホルモン様の作用が期待し難く、また、デオキシミロエストロールやミロエストロールが多量に含まれる製品の利用により重篤な有害事象を受ける可能性を示唆している。従って、妊娠中・授乳中・小児によるプエラリア・ミリフィカを含むサプリメントの利用は避け、女性ホルモン関連の医薬品の服用者や治療を受けている人も、自己判断で安易にサプリメントを利用することは避けるべきである。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・貯蔵根は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・タイではWhite Kwao Krua、Kwao Krua、Kwao Krua Kwao、Kwao Krua Kao、Guao Krua と呼ばれているが、白ガウクルア (White Kwao Krua) が一般的な名称となっている (PMID:22460444)
・含有成分は、1)イソフラボノイド10成分 (daidzein, daidzin, genistin, genistein, kwakhurin, kwakhurin hydrate, tuberosin, puerarin, mirificin, puemiricarpene) 、2)クメストラン4成分 (coumestrol, mirificoumestan, mirificoumestan glycol, mirificoumestan hydrate) 、3)クロメン3成分 (miroestrol, deoxymiroestrol, isomiroestrol) に分類され、deoxymiroestrol とmiroestrol 、kwakhurinは、プエラリア・ミリフィカのみに見られる識別の指標成分である (PMID:22460444)
・deoxymiroestrol は強いエストロゲン活性 (miroestrolおよびisomiroestrolの約10倍) を持ち、試料の抽出および単離手順中にmiroestrolとisomiroestrolになる (PMID:10691701) 。また、deoxymiroestrol、miroestrol、isomiroestroは、高温および強酸性またはアルカリ性の溶液で不安定で、deoxymiroestrolはmiroestrolまたisomiroestrolに容易に変化する。これらの成分は固形状態のプエラリア・ミリフィカ粗抽出物を-20℃または4℃で360日間保存しても安定であった (104) 。
・deoxymiroestrol、miroestrol、およびイソフラボノイドは塊根では、塊茎皮層により高いレベルで含まれていた (PMID:22460444)
・White Kwao Kruaと呼ばれる植物には、プエラリア・ミリフィカ以外に類似の植物特性を有するPueraria candollei var candollei (別名Pueraria candollei) がある (PMID:22460444)

分析法

・イソフラボン類 (プエラリン、ダイジン等) がフォトダイオードアレイ検出器 (検出波長254 nm) を装着したHPLCにより分析した報告がある (101) 。
・デオキシミロエストロールを単離、NMRにより構造決定した報告がある (102) 。
・製品中のdeoxymiroestrolをELISA法とHPLC法によって測定した報告があり、その含有量は0.154〜10.998μg/g乾燥物であった (105) 。
・製品中のmiroestrolをELISAとHPLC法によって測定した報告があり、 その含有量は0.695〜12.108μg/g乾燥物であった (106) 。

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・健康な閉経後女性71名 (試験群51名、53.16±3.44歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、プエラリア・ミリフィカを20、30、50 mg/日、24週間摂取させたところ、膣の健康度の増加、骨型アルカリフォスファターゼの低下が認められたが、膣の乾燥、子宮内膜厚、血中脂質に影響は認められなかった (PMID:17415017) (PMID:18202589)
・閉経後女性19名 (試験群12名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、プエラリア・ミリフィカ根乾燥物100 mg/日を2ヶ月間摂取させたところ、血清HDLコレステロール、apoA-1の増加、LDLコレステロール、LDL/HDL比、apoB/apoA-1比の低下が認められたが、総コレステロール、トリグリセリド、卵胞刺激ホルモン、CRPに影響は認められなかった (PMID:19060449)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・調べた文献の中に見当たらない。
<妊婦・授乳婦>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらず、強い女性ホルモン様作用を示す物質を含有する可能性があることから、使用は避ける。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらず、強い女性ホルモン様作用を示す物質を含有する可能性があることから、使用は避ける。
<被害事例>
・更年期症状のある女性37名 (タイ) を対象としたオープンラベル試験において、プエラリア・ミリフィカ50 mg/日または100 mg/日を6ヶ月間摂取させたところ、乳房痛、腟分泌物、腟出血、頭痛などが認められた (PMID:14971532)
・無月経症女性9名および人工閉経女性1名を対象とした試験において、ミロエストロールを1 mg/日または5 mg/日を種々の期間で投与したところ、イライラや頭痛、吐き気、嘔吐を起こした (PMID:13689829)
・糖尿病とC型慢性肝炎に罹患していた56歳男性 (日本) が、肝機能改善を目的としてプエラリア・ミリフィカ (ガウクルア) 含有健康食品を自己判断で1週間摂取したところ、全身倦怠感が出現し、医療機関を受診。アルブミン合成能低下、血小板低下とともに胆道系酵素の上昇が認められ、摂取したプエラリア・ミリフィカ含有健康食品との因果関係が疑われる薬剤性肝機能障害と診断された。治療による改善がみられなかったため、入院により肝機能および腎機能低下に対する対症療法と全身管理を継続したが、肝不全が進行し、肝不全・腎不全により死亡した (2010320565) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・エストロゲン様作用のあるハーブやサプリメントとの併用で、それらの作用を増強する可能性がある (94) 。
・経口避妊薬の作用を競合的に阻害する可能性がある(94) 。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最少中毒量)
・Pueraria mirifica Airy Shaw et al. Suvatabhanduの塊根を投与:ラット経口1.4 g/kg/2週 (間欠的) 、1.3 g/kg/13日 (間欠的) 、400 mg/kg/4日 (間欠的) (91) 。
・Pueraria mirifica Wall. Ex Benth根のジクロロメタンまたはエタノールまたは水抽出物を投与:ラット経口15 mg/kg/3日 (間欠的) (91) 。
2.その他
・動物実験 (サル) において、プエラリア・ミリフィカ 10および100 mg/日の投与で月経周期の延長、1,000 mg/日の投与で月経の停止、10 mg/日以上の投与で摂取量に依存した血中エストラジオール、性腺刺激ホルモン (LH、FSH) およびプロゲステロンの低下が認められた(PMID:15647615) (PMID:15805583)
・動物実験 (ラット) において、プエラリア・ミリフィカの投与 (10〜1,000 mg/kg、14日間) による血中性腺刺激ホルモン (LH、FSH) の低下は、メスの方が感受性が高く、摂取中断による回復もメスの方が遅かった。また、臓器重量の増加や組織の形態変化もメスの方が低い摂取量で影響が認められた (PMID:15599108)
・動物実験 (ラット) において、プエラリア・ミリフィカ100 mg/kg、8週間の経口投与は、発情周期の延長、子宮内皮過形成、卵胞数減少、性腺刺激ホルモン低下を誘発した (PMID:17585183)
・動物実験 (ラット) においてプエラリア・ミリフィカは乳腺や子宮に対するエストロゲン様作用を発揮し、その長期投与は0.3% (200 mg/kg/日) の投与量において7,12-ジメチルベンズ[a]アントラセン (DMBA) によって誘発した乳がんの発生率を高めた (PMID:27827907)
・in vitro試験において、プエラリア・ミリフィカ抽出物はヒト乳がん由来培養細胞 (MCF-7) の細胞増殖を亢進した (PMID:15234761)
・in vitro試験において、プエラリア・ミリフィカ抽出物は変異原性を示さなかった (PMID:19738987)

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし(22) 。

総合評価

安全性

・ヒトに対する安全性については、乳房痛、膣出血、イライラや頭痛、吐き気、嘔吐などが認められたという報告がある。強い女性ホルモン様物質を含有することから、安易に使用せず、特に妊娠中・授乳中・小児の使用は避ける。また、女性ホルモンに影響する医薬品や治療を行っている人が自己判断で安易に使用することは避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ヒトにおける有効性については、十分な情報は見当たらない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(PMID:14971532) J Med Assoc Thai. 2004 Jan;87(1):33-40.
(PMID:15805583) Endocrine. 2005 Feb;26(1):33-9.
(PMID:15647615) J Reprod Dev. 2004 Dec;50(6):639-45.
(PMID:15599108) J Pharmacol Sci. 2004 Dec;96(4):428-35. Epub 2004 Dec 3.
(PMID:15234761) J Ethnopharmacol. 2004 Aug;93(2-3):255-60.
(101) 名古屋市衛研報. 2000; 46: 23-7.
(102) 天然有機化合物討論会講演要旨集, 2000; 42nd: 49-54.
(PMID:18202589) Menopause. 2008 May-Jun;15(3):530-5.
(PMID:13689829) Nature. 1960 Dec 3;188:774-7
(PMID:19060449) Tohoku J Exp Med. 2008 Dec;216(4):341-51.
(2010320565) プラクティス.2010;27(5):567-73
(94) Natural Medicines
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(103) New Food Industry. 2004. 46: 14-23.
(104) Journal of Functional Foods 2015. 19 Part A: 269–277.
(105) Talanta 2013.114:73–78.
(106) Analytical Chimica Acta 2013. 785:104–110.
(PMID:17415017) Menopause. 2007 Sep-Oct;14(5):919-24.
(PMID:17585183) J Reprod Dev. 2007 Oct;53(5):995-1005.
(PMID:19738987) Braz J Med Biol Res. 2009 Sep;42(9):816-23.
(PMID:27827907) Toxins (Basel). 2016 Nov 4;8(11).
(PMID:22460444) Front Med. 2012 Mar;6(1):8-21.
(PMID:10691701) J Nat Prod. 2000 Feb;63(2):173-5.