健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

アミグダリン、レートリル、レトリル [英]Amygdalin、 laetrile [学名]-

概要

アミグダリンはレートリル (レトリル) とも呼ばれ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、アーモンド (ハタンキョウ) 、ビワなどのバラ科サクラ属植物の未熟果実の種子にある仁 (じん、カーネル) に含まれる主要なシアン化物産生性配糖体である。咀嚼、消化の過程で有毒なシアン化物を産生する。未熟な果実の果肉や葉、樹皮にも微量含まれている。過去にアミグダリンをビタミンB17と呼び、ビタミンとする主張があったが、この説は現在では否定されている。これはアミグダリンが生体の代謝に必須な栄養素ではなく、また欠乏症も報告されていないためビタミンの定義には該当しないためである。俗に、「がんに効く」「痛みを和らげる」などと言われているが、ヒトにおける安全性・有効性について米国国立がん研究所 (NCI) は、「アミグダリン (レートリル) は、がんの治療、改善および安定化、関連症状の改善や延命に対していずれも効果がなく、むしろ青酸中毒をおこす危険性がある」という結論を出している。サプリメント等により重篤な健康障害を起こした事例も複数報告されており、米国のFDA (食品医薬品局) は米国内でのアミグダリンおよびレートリルの販売を禁じている。果物中のアミグダリンは果実の成熟に従い消失し、また梅干しや梅酒、梅漬けなどの加工によって、分解を促進すると言われているため、これらの加工品に残存しているアミグダリンの量は僅かであると考えられる。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。また、アミグダリンの作用に関する解説は「アミグダリンについて」を参照。

法規・制度

・キョウニン (アンズ/クキョウニン/ホンアンズの種子) 、トウニン (種子) は「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・カンキョウニン、トウニン (葉・花) 、ウメ (ウバイ) の果肉・未成熟の実は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・米国のFDA (食品医薬品局) は米国内でのアミグダリンおよびレートリルの販売を禁じている 。
・FSANZは、オーストラリアおよびニュージーランドでの生のアプリコットカーネルを含む食品の店舗での販売を禁じている (103) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・C20H27NO11。分子量:457.429。
・アンズ、モモなどのバラ科種子にある青酸配糖体。
・アミグダリンは酵素(エムルシンや腸内細菌のβ-グルコシダーゼ)によって分解されるとシアン化水素 (青酸、HCN) を発生する。シアン化水素はチトクロムCオキシダーゼに結合して細胞の呼吸を阻害する非常に強い毒物である (101) (102)。
・果肉中の青酸配糖体は果実の成熟に従い酵素分解されて消失していく。また梅干しや梅酒、梅漬けなどの加工は、アミグダリンの分解を促進すると言われ、それらの加工品ではアミグダリンの影響は非常に僅かであると考えられる。なお、アーモンドには甘味種と苦味種の二種類があり、食用である甘味種 (カンキョウニン) はほとんどアミグダリンを含まない。

分析法

・紫外可視検出器 (検出波長210、254 nm) を装着したHPLCにより分析されている (1983220677) (1985042900) (1987012784) (1988162772) 。

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・米国国立がん研究所 (NCI) は、アミグダリン (レートリル) の効果を検証した臨床研究 (PMID:7033783) に基づき、『レートリルはがんの治療、改善および安定化、関連症状の改善や延命に対しいずれも効果がなく、むしろ青酸中毒をおこす危険性がある』(101) (PMID:15061600) という結論を出している。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・欧州食品安全機関 (EFSA) は、アプリコットカーネルおよび生のアプリコットカーネル関連製品のシアン化物産生性配糖体の急性参照用量 (ARfD) を20μg/kg体重と設定している。ARfDを超えないアプリコットカーネルの推定最大摂取量は成人で0.37 gである (104) 。
・レートリルをヒト (女性) が摂取した時の最小致死量は198 mg/kgで、瞳孔散大、幻覚、知覚異常、呼吸困難などが認められた(91) 。
・レートリルをヒト (女性) が摂取した時の最小中毒量 (Lowest toxic dose) は60 mg/kgで、痙攣、痙攣閾値の変化、消化管運動亢進、下痢、脂肪肝などが認められた(91) 。
・アミグダリンの多量摂取による有害作用としては、悪心、嘔吐、頭痛、めまい、血中酸素の低下による皮膚の青白、肝障害、異常な低血圧、眼瞼下垂、神経障害による歩行困難、発熱、意識混濁、昏睡、死亡などが知られている (101) 。

<妊婦・授乳婦>
・信頼できる十分な情報が見当たらないため、摂取を避ける。

<小児>
・小児におけるARfDを超えないアプリコットカーネルの推定最大摂取量は小児で0.06 gであり、小さめのアプリコットカーネルであっても1日1個の摂取でこの値を超過する可能性がある (104) 。
・アミグダリンをヒト (小児) が摂取した時の最小致死量 (Lowest lethal dose) は50 mg/kgで、吐き気、嘔吐、昏睡、呼吸困難などが認められたという報告がある (91) 。

<その他>
・進行性担がん患者6名 (アメリカ) にアミグダリン4.5 g/m2/日静脈注射をした結果では、臨床症状並びに検査値において中毒症状を認めなかった(PMID:7005480) 。またアミグダリン0.5 g、1日3回経口摂取において、血中青酸レベルは2.1μg/mLまで上昇したが、臨床症状並びに検査値において中毒症状は認めなかった (PMID:7005480)

<被害事例>
・肝がん合併の65歳女性肝硬変患者 (イスラエル) が、アミグダリン3 gを摂取後に低血圧、アシドーシスを来たし死亡した症例報告がある (PMID:3003927)
・ビタミンCを摂取していた68歳女性担がん患者 (オーストラリア) が、アミグダリン3 gを摂取直後に、昏睡、痙攣、重度の乳酸アシドーシスを来たし死亡した症例報告がある (PMID:16014371)
・肝転移を有する32歳女性乳がん患者で、アミグダリン摂取によりショック、呼吸不全を来たした症例報告がある (PMID:16175068)
・転移性結腸がんのため化学療法中の58歳男性 (オランダ) が、がん治療の目的で杏仁を砕いて70個/日、45日間摂取したところ、青酸中毒による肝機能検査結果の悪化が認められた (PMID:24218429)
・転移性上衣腫で治療中の4歳男児 (ドイツ) が、病状が改善しないため自称CAMの専門家の医師の指導の下、ビタミン療法としてビタミンA、B群ビタミン、ビタミンD、ビタミンE、セレン、硫黄の他、アミグダリン製品 (NovoDalin) 500 mg×4回/日の静脈投与および経口摂取、杏仁5〜10個/日を摂取したところ、昏睡、痙攣、脳障害を呈し救急搬送された。急性シアン化物中毒と診断され、加療と摂取中止により改善した (PMID:25605411)
・3歳女児 (トルコ) が杏仁の種8〜12個を摂取したところ、摂取1時間後に7回の嘔吐と意識喪失を起こし来院、急性青酸中毒と診断され、加療により回復した (PMID:23158573)
・菜食主義者の28歳男性 (中国) が大腿四頭筋の治療のため、桃仁を含む漢方薬15種を煎じて、1〜2回/日摂取したところ、摂取後2ヶ月頃からつま先のしびれ、4ヶ月頃から指のしびれを感じ、6ヶ月後来院。血液検査をしたところ、ビタミンB12レベルが低下していたため、ビタミンB12が欠乏したことがアミグダリンによる末梢ニューロパシーを引き起こしたと考えられた (PMID:16418710)
・毎日小さじ1杯の杏仁を摂取していた39歳女性が、追加して杏仁製品(穀粒)を摂取したところ、痙攣を起こし昏睡状態のままICUへ救急搬送された。急性青酸中毒と診断され、加療により回復した (PMID:26289124)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・ビタミンCとの併用でアミグダリン (青酸) 中毒を起こすことがある (PMID:16014371)

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・アミグダリン:ラット経口405 mg/kg、マウス経口443 mg/kg (91) 。
2.TDLo (最小中毒量)
・アミグダリン:ラット経口 (間欠的) 6 g/kg/30日 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・サプリメント等により重篤な健康障害を起こした事例が複数報告されている。米国のFDA (食品医薬品局) は米国内でのアミグダリンおよびレートリルの販売を禁じている。アミグダリンは果実の成熟に従い消失し、また梅干しや梅酒、梅漬けなどの加工はアミグダリンの分解を促進すると言われている。そのため、通常の食品に残存しているアミグダリンの影響は問題にならないと考えられる。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・米国国立がん研究所 (NCI) は、アミグダリン (レートリル) はがんの治療、改善および安定化、関連症状の改善や延命に対しいずれも効果がなく、むしろ青酸中毒をおこす危険性があるという結論を出している。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(PMID:7005480) JAMA. 1981;245(6):591-4.
(PMID:3003927) South Med J. 1986;79(2):259-60.
(PMID:16014371) Ann Pharmacother. 2005;39(9):1566-9.
(PMID:16175068) Eur J Emerg Med. 2005;12(5):257-8.
(PMID:7033783) N Engl J Med. 1982 Jan 28;306(4):201-6.
(PMID:15061600) CA Cancer J Clin. 2004 Mar-Apr;54(2):110-8. Review.
(102) 生物学辞典
(1985042900) 分析化学. 1984; 33(9): 477-81.
(1987012784) 分析化学. 1986; 35(3): 202-6.
(1988162772) 衛生化学. 1988; 34(1): 36-40.
(1983220677) 食品衛生学雑誌. 1983; 24(1): 42-6.
(PMID:24218429) Neth J Med. 2013 Nov;71(9):496-8.
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(PMID:25605411) Wien Med Wochenschr. 2015 May;165(9-10):185-8.
(101) 米国国立がん研究所ファクトシート
(104) EFSA Journal 2016 14(4) Acute health risks related to the presence of cyanogenic glycosides in raw apricot kernels and products derived from raw apricot kernels
(PMID:23158573) J Emerg Med. 2013 44(2) e285-6. 3
(PMID:16418710) Ther Drug Monit. 2006 Feb;28(1) 140-1.
(PMID:26289124) Emerg Med Australas 2015 27(5) 491-2