健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

中鎖脂肪酸 [英]Medium chain triglycerides (MCT) [学名]-

概要

中鎖脂肪酸は、炭素数が8〜12程度の飽和脂肪酸で、母乳、牛乳、やし油、パーム核油等に含まれている。通常食品としてはトリアシルグリセロールの形態で供給される。俗に、「体脂肪になりにくい」「エネルギーになりやすい」と言われている。ヒトでの有効性については、小児のてんかん発作に対して有効性が示唆されている。特定保健用食品では個別に製品毎の安全性・有効性が評価されており、中鎖脂肪酸を関与成分とし「体に脂肪がつきにくい」との表示を許可された特定保健用食品がある。また、安全性については、適切に摂取すればおそらく安全である。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・特定保健用食品がある。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・炭素数8〜10の脂肪酸である。

分析法

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・BMI27〜33 kg/m2の男女31名 (19〜50歳、試験群16名、アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、16週間、摂取エネルギーを男性1,800 kcal/日、女性1,500 kcal/日に制限し、その12% (男性24 g/日、女性18 g/日) を中鎖脂肪酸から摂取させたところ、開始前と比較して空腹時血糖値、総コレステロール値、拡張期血圧の低下が認められたという予備的な報告がある (PMID:18845704)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・中鎖脂肪酸を関与成分とし、「体に脂肪がつきにくい」旨の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
その他
・平均BMI 24.6±0.4 kg/m2の被験者に特定保健用食品の製品あるいは通常の調理油 (対照群) を4〜12週間摂取させたところ、体脂肪量、ウエスト、ヒップ、皮下脂肪面積および内臓脂肪面積は対照油群と比較して抑制された (PMID:12810404)
・肥満女性を対象とした試験では、摂取カロリーを2,200 kcal以下に制限して中鎖脂肪酸を8.9 g/日摂取した結果、1〜2週間後に体脂肪蓄積抑制効果が得られた (PMID:11571605)

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・エイズ感染による消耗に対しては効果がないことが示唆されている (94) 。エイズ患者の体重減少に対してマルチビタミンやミネラルサプリメント単独よりも優れた点は見出せなかった (94) (PMID:3969213)
・悪液質 (がん、結核などの末期に現れる衰弱状態) に対するカロリー供給源として静注で有効性が示唆されているが、長鎖脂肪酸よりも優れている点はないという指摘もある (94) (PMID:10205311) (PMID:8486876) (PMID:3115354)

骨・筋肉

RCT
・フレイルの高齢者38名 (平均86.6±4.8歳、日本) を対象とした単盲検無作為化比較試験において、ロイシン1.2 g+コレカルシフェロール800 IUを含むサプリメントとともに、中鎖脂肪酸6 g/日 (13名) を3ヶ月間摂取させたところ、長鎖脂肪酸6 g/日 (13名) 摂取と比較して、膝伸展時間、歩行速度、足開閉テストの改善が認められたが、握力、最大呼気流量、体組成 (体重、BMI、上腕筋面積、上腕三頭筋皮下脂肪厚、中腕および下腿周囲径) に影響は認められなかった (PMID:27075909)

発育・成長

一般情報
・小児のてんかん発作に対して有効性が示唆されている (94) 。小児における無動発作、間代発作、小発作などに対して経口摂取は発作を抑えることが報告されている (94) (PMID:3101615) (PMID:3969213)

肥満

RCT
・肥満 (BMI27〜33 kg/m2) の成人男女 (19〜50歳、アメリカ) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、減量指導およびエネルギー制限とともに、中鎖脂肪酸18〜24 g/日を16週間摂取させたところ、体重、総脂肪量、体幹脂肪量、腹腔内脂肪組織量の減少が大きかった (PMID:18326600)

その他

RCT
・過体重の男性10名 (平均39.2±2.7歳、アメリカ) を対象とした単盲検クロスオーバー無作為化比較試験において、朝食として、中鎖脂肪酸20 gを含むマフィンを摂取させたところ、コーン油(長鎖脂肪酸)を含むマフィンと比較して、食後のトリグリセリド濃度、血糖値、インスリン、グレリン、レプチン、GLP-1値および3時間後における昼食摂取量に差は認められなかった (PMID:25074387)
・過体重の男性7名 (平均39.6±2.1歳、アメリカ) を対象とした単盲検クロスオーバー無作為化比較試験において、朝食として、中鎖脂肪酸20 gを含む流動食を摂取させたところ、コーン油(長鎖脂肪酸)を含む流動食と比較して、食後のトリグリセリド濃度の上昇抑制、血中レプチン濃度の上昇が認められたが、血糖値、インスリン濃度、グレリン、GLP-1に影響は認められなかった。3時間後に中鎖脂肪酸10 gを含むヨーグルトを摂取させたところ、コーン油を含むヨーグルトと比較して、1時間後における昼食摂取量の減少、ペプチドYY濃度の上昇が認められた (PMID:25074387)





試験管内・
動物他での
評価

・中鎖脂肪酸を含む特定保健用食品をラットに摂取させた研究において、対照群 (菜種油) に比べて、体脂肪の増加 (内臓脂肪および屠体脂肪重量) が抑制された (103) 。

安全性

危険情報

<一般>
・経口あるいは非経口で適切に使用すればおそらく安全である (94) (102) (PMID:3101615) (PMID:3969213) (PMID:10205311) (PMID:8486876) (PMID:3115354)
・経口摂取の副作用として、下痢、嘔吐、局所刺激、吐き気、胃腸の不調、鼓腸、脂質欠乏が報告されている (94) (PMID:3969213) (PMID:7428670)
・健常成人20名 (21〜39歳、試験群10名、日本) を対象とした二重盲検プラセボ比較試験において、食事管理を行いながら、中・長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール製品42 g (中鎖脂肪酸として約4.8 g) を4週間摂取させた結果、血清脂質、ケトン体、体脂肪、肝機能、腎機能に影響なく使用できた (2003103637) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中においても経口あるいは非経口で適切に使用すればおそらく安全である (64) (102) (PMID:3101615) (PMID:3969213) (PMID:10205311) (PMID:8486876) (PMID:3115354)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・臨床検査のトリグリセリド値に影響を与える可能性がある (94) (PMID:9988780)
・中鎖脂肪酸はケトーシスを起こすことがあるので、糖尿病の人は注意が必要である。また中鎖脂肪酸は肝臓で代謝を受けるため、肝硬変患者は昏睡状態になる可能性があるので注意して用いること (94) (PMID:6814231)

動物他での
毒性試験

・動物を用いた単回経口投与試験 (ラットおよびマウス) 、1ヶ月間亜急性毒性試験 (ラット) 、6ヶ月間慢性毒性試験 (ラット) 、胎児試験 (マウスおよびウサギ) において毒性は認められなかった (104) 。また、生殖行動、母体毒性、胎仔毒性および催奇形性試験 (ブタ) 、強制経口投与における発がん性試験 (ラット) において毒性は認められなかった (PMID:10685018)

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・ヒトに対する安全性については、適切に摂取すればおそらく安全である。
・特定保健用食品では個別に製品毎の安全性が評価されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ヒトに対する有効性については、小児のてんかん発作に対して有効性が示唆されている。
・特定保健用食品では個別に製品毎の有効性が評価されている。

参考文献

(64) Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Database、5th ed. Stockton, CA: Therapeutic Research Faculty(2003)((独)国立健康・栄養研究所監訳: 「健康食品」データベース (日本語版),2004(第一出版)刊行予定)
(2003103637) 静脈経腸栄養.2002;17(4):99-105.
(102) AHFS Drug Information, Bethesda, MD. American Society of Health-System Pharmacists (1998)
(103) J.Oleo. Sci. 51(11), 699-703 (2002)
(104) 応用薬理 4, 871-882 (1970)
(PMID:12810404) Asia Pacific J Clin. Nutr. 12(2), 151-160 (2003)
(PMID:3101615) Arch Dis child 61:1168-72 (1986)
(PMID:3969213) Neurology 35;237-8 (1985)
(PMID:10205311) Clin Nutr 17;23-9 (1998)
(PMID:8486876) Intensive Care Med 19;89-95 (1993)
(PMID:3115354) Br J Surg 74;701-4 (1987)
(PMID:10770345) J Acquir Immune Defic Syndr 22;253-9 (1999)
(PMID:7428670) Drugs 20;216-24 (1980)
(PMID:9988780) Altern Med Rev 4;23-8 (1999)
(PMID:6814231) Am J Clin Nutr 36;950-62 (1982)
(PMID:11571605) Int J Obes Relat Metab Disord. 2001 Sep;25(9):1393-400.
(PMID:10685018) Food Chem Toxicol. 2000 Jan;38(1):79-98. Review.
(PMID:18326600) Am J Clin Nutr. 2008 Mar;87(3):621-6.
(PMID:18845704) J Am Coll Nutr. 2008 Oct;27(5):547-52.
(94) Natural medicines
(PMID:25074387) Eur J Clin Nutr. 2014 Oct;68(10):1134-40.
(PMID:27075909) J Nutr. 2016 May;146(5):1017-26.