健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

α-リポ酸 (チオクト酸) [英]Alpha-lipoic acid、 Thioctic acid [学名]-

概要

α-リポ酸は細胞のミトコンドリアに存在し、生体のエネルギー産生反応における補酵素として働く含硫化合物である。生体機能に不可欠な成分だが、体内で合成することができるためビタミンではなく、ビタミン様物質として扱われている。また抗酸化物質でもある。俗に、「疲労回復によい」「運動時によい」「ダイエットによい」「糖尿病によい」「老化防止によい」などと言われている。α-リポ酸は医薬品としても利用されており、その適応は、激しい肉体疲労時にリポ酸の需要が増大したときとされている。ただ効果がないのに長期間使用すべきでないとの注意事項もある。食品として流通しているα-リポ酸商品は一般的に品質・規格が明確でないため、それらの商品に医薬品と同等の安全性・有効性が期待できるとは限らない。また、日本人においてα-リポ酸摂取による低血糖発作が報告されている。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・医薬品ではチオクト酸は注射液、チオクト酸アミドは経口で用いられる。チオクト酸は医薬品の範囲に関する一部基準の改正 (厚生労働省通知関連情報) により食品にも利用できるようになった (「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30)) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・1,2-dithiolane-3-pentanoic acid、1,2-ditholane-3-valeric acid、6,8-thiotic acid、5- (1,2-dithiolan-3-yl) valeric acid、6,8-dithiooctanoic acid。
・C8H14O2S2、分子量206.32。自然界に存在するのは (+) -α-リポ酸である。黄色結晶で水に不溶、脂溶性溶媒に可溶。ナトリウム塩は水に可溶。分子中にジスルフィド (S-S) 結合をもつ。ピルビン酸やα-ケトグルタル酸の酸化的脱炭酸反応の補酵素である。

分析法

・蛋白結合型は、酸や塩基で加水分解した後、FIDあるいはFPD付ガスクロマトグラフィーで分析されている。遊離型はUV、蛍光あるいは電気化学検出器付HPLCで分析されている (PMID:9832248)

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・健康な成人87名 (アメリカ) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ比較試験において、抗酸化物 (ビタミンC 1,000 mg + ビタミンE 600 IU + α-リポ酸600 mg) を単回摂取させたところ、摂取後の血流依存性血管拡張反応 (FMD) が、高齢者 (45名、平均71±1歳) では増加、若年者 (42名、平均25±1歳) では低下した (PMID:22353612)
・末期腎臓病による透析患者52名 (試験群24名、平均53.83±13.29歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-リポ酸600 mg/日を8週間摂取させたところ、血中高感度CRP濃度の低下が認められたが、マロンジアルデヒド、総抗酸化能、血中脂質 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド) に影響は認められなかった (PMID:21908204)
・透析患者325名 (試験群160名、平均58±12歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、トコフェロール666 IU/日+α-リポ酸600 mg/日を6ヶ月間摂取させたところ、血漿中の炎症・酸化ストレスマーカー (高感度CRP、IL-6、F2イソプロスタン、F2イソフラン) に影響は認められなかった (PMID:24371300)
・多発性硬化症患者46名 (試験群24名、平均31.4±6.2歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-リポ酸1,200 mg/日を12週間摂取させたところ、血清中の酸化ストレスマーカー (SOD、GPx、MDA) に影響は認められなかったが、総抗酸化能の低下が認められた (PMID:23485514)


消化系・肝臓

一般情報
・アルコール性肝障害に対して効果がないことが示唆されている (94) 。患者が300 mg/日、6ヶ月間摂取したが、プラセボと比較して有意な症状改善はみられなかった (94) (PMID:6129179)
・アマニタ毒キノコによる中毒症状に他の治療と組み合わせて経口摂取で用いられるが、さまざまな評価がある (94) 。報告されているのは症例報告であり、実験的な裏づけはない。複数の研究者がこの用途に反対している (94) (PMID:8532053) (PMID:366411) (PMID:3087703) (PMID:9607614) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。アマニタ毒キノコ中毒に対して静脈注射で用いられるとの記載がある (94) 。

糖尿病・
内分泌

RCT
・II型糖尿病患者74名 (試験群55名、平均60.3±1.5歳、ドイツ) を対象とした無作為化多施設試験において、α-リポ酸を600、1,200、1,800 mg/日 (1回600 mg、1日1〜3回) 、4週間摂取させたところ、グルコース取り込みが促進され、グルコースの代謝クリアランス率が上昇したという予備的な報告がある (PMID:10468203) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。
・II型糖尿病患者467名 (試験群235名、平均58.0±6.11歳、ドイツ、ポーランド、ウクライナ、ルーマニア、ロシア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-リポ酸600 mg/日を2年間摂取させたところ、HbA1c濃度、視力、糖尿病性黄斑浮腫の発症率に影響は認められなかった (PMID:21811051)
・思春期のI型糖尿病患者40名 (試験群30名、平均14±2.4歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、徐放性のα-リポ酸を14〜21 mg/kg/日、3ヶ月間摂取させたところ、HbA1c濃度、微量アルブミン尿症発症率、酸化マーカー (総抗酸化能、TBARS、PCO、8OHdG) に影響は認められなかった (PMID:18221433)
・インスリン療法中の糖尿病患者で、軽〜中等度の遠位性対称性感覚運動多発性神経障害を有する患者454名 (試験群230名、平均53.3±8.3歳、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-リポ酸600 mg/日を4年間摂取させたところ、下肢神経障害スコア (NIS-LL) および7種類の神経生理学的検査15項目中4項目で改善が認められたが、複合スコアに影響は認められなかった (PMID:21775755)
その他
・II型糖尿病患者13名 (試験群7名、平均67.6±2.9歳、ドイツ) を対象とした臨床試験において、α-リポ酸1,000 mgを点滴静注したところ、グルコース取り込みが促進される傾向があり、グルコース代謝クリアランスおよびインスリン感受性が上昇し、有害事象は報告されなかったという予備的な報告がある (PMID:7575750) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。
・II型糖尿病患者20名 (平均年齢66.0±2.6歳、ドイツ) を対象とした臨床試験において、α-リポ酸500 mg/日を10日間点滴静注したところ、インスリン感受性が改善したという予備的な報告がある (PMID:8817248) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。
・痩せおよび肥満の健常者とII型糖尿病患者、各10名、合計40名 (ドイツ) を対象とした臨床試験において、α-リポ酸を600 mg×2回/日、4週間摂取させたところ、II型糖尿病患者では摂取前と比較してグルコース感受性が上昇し、痩せ型患者ではインスリン感受性も上昇したという予備的な報告がある (PMID:10333946) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・末梢神経障害に対して有効性が示唆されている (94) 。α-リポ酸を1日量として600〜1,200 mg経口摂取あるいは静脈注射で用いたところ、3〜5週間で糖尿病患者の末梢神経障害の症状を軽減したことが示唆されている (64) (PMID:10656234) (PMID:10480774) (PMID:10499773) (PMID:12610036) (PMID:8786016) (PMID:14984445) 。しかしこれ以下の量では効果がなかったとする報告がある (64) (PMID:6769773)
・心臓自律神経疾患に対して効果がないことが示唆されている (64) 。α-リポ酸を経口摂取したところ、心電図で測定した自律神経機能の指標が改善したと思われたが、有意差はみられなかった (94) (PMID:9051389)
・HIV感染による認知障害に対して効果がないことが示唆されている (94) 。小規模試験の結果、α-リポ酸単独摂取、セレギリン (デプレニール、モノアミンオキシダーゼ阻害薬) との併用、プラセボの間で認識能に差はみられなかった (94) (PMID:9521250)
・予備的な知見によると、α-リポ酸を337日以上摂取したところ、各種の認知症患者の認識能の低下を軽減したという結果が報告されている (102) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。
RCT
・軽〜中程度のアルツハイマー型認知症患者78名 (試験群28名、平均73.6±9.1歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-トコフェロール800 IU/日、ビタミンC 500 mg/日、α-リポ酸900 mg/日を16週間併用させたところ、脳脊髄液中の酸化ストレスマーカー (F2-イソプロスタン) の低下が認められたが、その他のCSFバイオマーカー (βアミロイド42、総タウ蛋白、リン酸化タウ) や症状スコア (ADCS-ADL) に影響は認められず、認知機能 (MMSE) の低下が促進された (PMID:22431837)
・健康な成人83名 (試験群41名、平均21.2±2.3歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-アスコルビン酸1 g/日、α-トコフェロール400 IU/日、α-リポ酸600 mg/日を、高地 (標高5,200 m) への移動開始日から滞在期間中 (9日間) の14日間摂取させたところ、急性高山病の発症率と症状に影響は認められなかった (PMID:19273551)
・口腔灼熱症候群の患者52名 (平均67.3±11.9歳、試験群32名、イタリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-リポ酸400 mg/日を8週間摂取させたところ、痛みの自覚症状 (視覚的アナログスケール (VAS) 、マクギル疼痛質問表 (MPQ)) に影響は認められなかった (PMID:18675569)
・双極性うつ病患者40名 (試験群20名、平均46±10.3歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、アセチル-L-カルニチン1,000〜3,000 mg/日+α-リポ酸600〜1,800 mg/日を12週間摂取させたところ、うつ病評価指標 (モンゴメリー/アスベルグうつ病評価尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、臨床全般印象度、ヤング躁病評価尺度) 、脳のエネルギー代謝関連指標 (クレアチンリン酸、pH、NTP) に影響は認められなかった (PMID:23948785)
・シスプラチンまたはオキサリプラチンを含む化学療法を受けているがん患者70名 (18歳以上、試験群34名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-リポ酸600 mg×3回/日を24週間摂取させたところ、化学療法により誘発される末梢神経障害の評価 (FACT/GOG-Ntx、NCI-CTCAE、BPI score、timed functional tests) に影響は認められなかった (PMID:24362907)
・統合失調症の既往歴がある33名 (試験群21名、平均30.6±7.4歳、南アフリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、n-3系不飽和脂肪酸 (EPA 2 g/日+ DHA 1 g/日) とα-リポ酸300 mg/日を2年間摂取させたところ、再発リスク、再発までの期間、再発時の症状に影響は認められなかった (PMID:24996507)
・アルツハイマー病患者39名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、n-3系不飽和脂肪酸3 g/日(DHA675 mg+EPA975 mg含有) を単独 (13名、平均75.9±8.1歳) またはα-リポ酸600 mg/日と併用 (13名、平均76.7±10.6歳) で12ヶ月間摂取させたところ、併用群で認知機能指標 (ミニメンタルステート) 、両群で手段的日常生活動作 (IADL) の低下抑制が認められたが、尿中の酸化ストレスマーカー (F2イソプロスタン) 、アルツハイマー病評価尺度 (ADAS-cog) 、日常生活動作 (ADL) に影響は認められなかった (PMID:24077434)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・HIV感染した人がα-リポ酸を摂取すると、ヘルパーT細胞/サプレッサーT細胞比が上昇するという報告がある (64) (PMID:8141828) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である。
RCT
・慢性腎臓病患者58名 (試験群30名、平均58.6±12.0歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンE 666 IU/日とα-リポ酸600 mg/日を8週間摂取させたところ、血漿中の酸化ストレスマーカー (F2-イソプロスタン、タンパク質チオール) や炎症マーカー (CRP、IL-6) に影響は認められなかった (PMID:21185738)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT
・メタボリックシンドローム患者151名 (ニュージーランド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、α-リポ酸600 mg/日 (34名、平均55±10歳) 、ビタミンE 100 IU/日 (36名、平均57±10歳) 、α-リポ酸+ビタミンE (41名、平均54±13歳) を1年間摂取させたところ、空腹時血糖値、インスリン濃度、HOMA-IR、炎症マーカー (CRP、IL-6、TNF-α) 、アディポネクチン濃度に影響は認められず、ビタミンE単独群で血漿トリグリセリド濃度の上昇が認められた。また、α-リポ酸摂取者 (単独群+併用群) で非摂取者に比較し、血漿遊離脂肪酸濃度の低下が認められた (PMID:22402059)

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に用いれば経口で安全性が示唆されている (94) 。臨床試験では4ヶ月〜2年間まで安全に使用できた (94) (PMID:10480774) (PMID:10499773) (PMID:9051389) (PMID:12610036)
・適切に用いれば静脈注射で安全性が示唆されている (94) 。臨床試験では3週間まで安全に使用できた (94) (PMID:10480774) (PMID:12610036) (PMID:8786016) (PMID:14984445)
<妊婦・授乳婦>
・信頼できる十分なデータがないため使用を避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・経口の副作用としては皮疹が報告されている (94) 。静脈注射では注射部位にアレルギー反応が起きることがある (94) (PMID:9734241) 。治療開始時に、一時的に感覚異常が悪化することが報告されている。また悪心、嘔吐などの胃腸の不調、頭痛が起きることがあり、副作用は高用量を静脈投与した場合に多くみられる (64) (PMID:8786016)
・α-リポ酸をヒトに経口投与した時の最小中毒量 (Lowest toxic dose) は0.83 mg/kgで、血液凝固検査値に影響が認められた (91) 。
・動物実験によると、チアミン欠乏動物に過剰量投与すると死亡したという結果がある。アルコール依存症などチアミン欠乏の人がα-リポ酸を高用量摂取する場合は、チアミンをサプリメントで摂取した方がよいと考えられる (94) (PMID:7649494)
<被害事例>
・α-リポ酸摂取によるインスリン自己免疫症候群 (IAS) による低血糖発作が多数報告されている。IAS発症にはヒト白血球抗原 (HLA) のうちDR4 (DRB1*0406) 型が関わっていることが報告されており、欧米人に比べて多くの日本人がこの表現型を持っているため、α-リポ酸摂取によるIAS発症の事例が多数報告されている。詳細は「α-リポ酸の安全性・有効性情報 (痩身効果との関連)」を参照のこと。
・インスリン治療歴がなく、また糖尿病でもない23〜64歳女性 (18名) と35〜66歳男性 (4名) (日本) が、α-リポ酸またはα-リポ酸を含むサプリメントを3日〜6ヶ月程度服用 (1名は服用期間不明) したところ、低血糖発作を起こし、インスリン自己免疫症候群 (IAS) を発症した (2006288585) (2006300144) (2007110805) (2007123925) (2006264486) (2006297299) (2006297522) (2008050467) (2008162769) (2008035359) (2008099436) (2007335596) (2008007916) (2007242530) (2009082096) (2007123925) (2008271711) (2008125166) (2007343326) (2007110805) (2008188473) 。
・55歳女性 (日本) がα-リポ酸を約1ヶ月間摂取し、インスリン自己免疫症候群を発症した(2003186651) 。
・糖尿病に罹患している (インスリン治療歴なし) 44歳女性 (日本) がα-リポ酸を含む製品を1ヶ月程度摂取したところ、感冒様症状や口渇、全身倦怠感、吐き気、嘔吐、意識朦朧など糖尿病性ケトアシドーシス症状を起こし、α-リポ酸によって誘発されたIASと診断された (2008352708) 。
・数年前より肥満症、高血圧、高尿酸血症に罹患している55歳男性 (日本) が、ダイエット目的でα-リポ酸を225 mg/日、数週間摂取したところ、意識を喪失して医療機関を受診。血糖値は27 mg/dLと低血糖の状態であり、血漿インスリン値、インスリン抗体価が高かった。HLAハロタイプがDRB1*0406であったため、α-リポ酸摂取によるIASと診断された (PMID:17329919)
・32歳女性 (日本) がα-リポ酸を200 mg/日、2ヶ月程度摂取したところ、食前の疲労を訴えて医療機関を受診。血清インスリン値が高値であり、α-リポ酸の摂取中止により回復したため、α-リポ酸によるIASと診断された (PMID:17586737)
・70歳女性 (イタリア) がα-リポ酸600 mg/日含有のマルチビタミンを約20日間摂取したところ、発汗、疲労、失神などをおこした。血清インスリンが高値であり、HLAハロタイプがDRB1*0406であったため、α-リポ酸摂取によるIASと診断された (PMID:21868770)
・43歳女性 (日本) が、α-リポ酸、コエンザイムQ10、L-カルニチンを含む健康食品を約2ヶ月摂取したところ (摂取量等の詳細不明) 、頻発する強い空腹感、低血糖が生じて医療機関を受診。高インスリン血症およびインスリン抗体価が高値であったが、加療および当該製品の摂取中止により回復。摂取していた健康食品に含まれるα-リポ酸によるIASと診断された (2012373826) 。

・14ヶ月齢女児 (トルコ) が、家族のα-リポ酸錠 (600 mg/粒) を摂取し (摂取数不明) 、数時間継続する虚脱、痙攣を生じ救急搬送され、加療により改善した (PMID:26216607)
・20ヶ月齢の男児 (トルコ) が、家族のα-リポ酸錠 (600 mg/粒) を4粒摂取し、4時間後に嘔吐、昏睡、痙攣、頻脈等を呈した (PMID:23713820)
・14歳女性 (ドイツ) が、自殺目的でα-リポ酸を少なくとも6 g摂取したところ、発作、無尿、血小板減少症、凝血障害、心筋収縮能低下による多臓器不全のために24時間以内に死亡した (PMID:24810749)
・34歳女性 (イタリア) が、頸部椎間板ヘルニアによる肩の痛みのために、エトリコキシブ、ナプロキセンの服用とジクロフェナクの筋注とともに、α-リポ酸600 mg、L-カルノシン1,650 mg、亜鉛7.5 mg、B群ビタミン含有のサプリメント製品を摂取したところ、10日後に顔、頭皮に痒みを伴う湿疹を生じ、摂取中止と加療により改善した。パッチテストにてサプリメント製品およびα-リポ酸に陽性を示したことから、α-リポ酸による遅延型過敏症と診断された (PMID:25864490)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・HbA1c値には影響を与えない (94) (PMID:10480774) (PMID:8786016)
・健康な人を対象とした試験で、グリベンクラミドあるいはアガルボース併用による相互作用は認められなかったという報告が1件ある (64) (PMID:10594485)

<理論的に考えられる相互作用>
・血糖低下作用のあるハーブやサプリメント、糖尿病治療薬との併用により、血糖低下作用が増強される可能性がある。臨床検査でII型糖尿病患者の血糖値に影響を与える可能性がある。α-リポ酸はインスリン抵抗性や血糖値調節を改善する (94) (PMID:10333946)
・血糖値を上昇させるハーブは、α-リポ酸の血糖降下作用に拮抗すると考えられる。 (64) 。
・α-リポ酸の摂取は甲状腺機能異常の治療に影響を与える可能性があるので、モニターしながら使用すること (PMID:1815532)
・化学療法薬との併用により効果が低下すると考えられる (94) 。

動物他での
毒性試験

急性毒性:α-リポ酸をラットおよびマウスに経口投与した時の50%致死量(LD50)はそれぞれ1,130 mg/kg、502 mg/kgである (91) 。LD50は>2,000 mg/kgとの報告もある (PMID:16904799)
・α-リポ酸をWistar系ラット (雄雌) に31.6〜61.6 mg/kg/日、4週間経口投与しても有害事象は認められなかった (PMID:16904799) 。またSD系ラット (雄雌) に20〜180 mg/kg/日、24ヶ月間経口投与しても明確な毒性は認められず、NOAEL (無毒性量) は60 mg/kg/日との報告がある (PMID:16899332)
・Ames試験ならびにマウスを用いた小核試験では、α-リポ酸に変異原性や遺伝毒性は認められず、NOAEL (無毒性量) は61.9 mg/kg/日との報告がある (PMID:16904799)
・ネコはイヌやラットと比較してα-リポ酸の毒性を受けやすく、ネコへの経口投与の最大耐量 (MTD) は13 mg/kg、60 mg/kg投与時では、摂食量の低下、過流涎、過剰興奮、運動失調などが認められ、死亡例も観察された (PMID:15059240)

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・ヒトに対する安全性については、適切に用いれば経口で安全性が示唆されている。妊娠中・授乳中の安全性については調べた文献中に十分なデータが見当たらない。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ヒトに対する有効性については、糖尿病患者の末梢神経障害に有効性が示唆されている。効果がないことが示唆されているのは1) アルコール性肝障害、2) 心臓自律神経疾患、3) HIV感染による認知障害である。

参考文献

(64) 健康食品データベース 第一出版 Pharmacist's Letter/Prescriber's Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳
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