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プエラリア・ミリフィカについて
最近、「プエラリア」や「ガウクルア」という健康食品が多く流通しています。これらの商品はプエラリア・ミリフィカという植物成分を配合し、「豊胸」「美肌」「若返り」「強壮」「不妊の改善」「更年期障害の緩和」「骨粗鬆症や高脂血症の防止」などの効果が期待できることをうたっています。これらのうたい文句はプエラリアの植物性エストロゲンの作用に関連しているようです。そこで、現時点で見つけられるプエラリア・ミリフィカに関する情報をまとめてみました。
■プエラリア・ミリフィカとは
プエラリア・ミリフィカ(学名Pueraria mirifica)は、タイ北部に自生するマメ科の植物で、根が大きな塊状になるのが特徴です。タイでは白ガウクルア(一般名White kwao keur)と呼ばれ、その塊根は若返りの薬として知られていました。また、食用にもされていたようです。古くは、赤ガウクルア(学名Butea superba)と呼ばれる植物と混同されていましたが、現在では違う植物として区別されています。日本でよく知られている葛(クズ、学名Pueraria lobata)の近縁種です。
■プエラリアに含まれる植物性エストロゲンとは?
植物中には、エストロゲン(女性ホルモン)とよく似た構造と性質をもつ物質が多く見いだされています。これらは総称して植物性エストロゲンと呼ばれています。植物性エストロゲンは、エストロゲンの受容体に結合することでエストロゲンに似たホルモン作用を示します。
プエラリアにもこのような成分が多く含まれていることが知られています。表にプエラリアに含まれる主な成分の一覧を示しました(PMID:10985090)(PMID:10691701)(PMID:15886524)。

赤字:植物性エストロゲンといわれている成分。
※:大豆にも含まれることで知られています。
■プエラリアには強い植物性エストロゲンが含まれています
プエラリアにはイソフラボン類よりも更に活性の強い植物性エストロゲン(デオキシミロエステロール、ミロエステロールなど)が含まれています。プエラリアの抽出物を配合した健康食品には、イソフラボンについては記載されていても、より作用の強い植物性エストロゲンについてはほとんど記載がありません。詳しくはこのページの下の方(詳細情報)をご参照下さい。
■プエラリアの有効性と安全性について
プエラリアについての有効性情報を検索したところ、ヒト試験で更年期障害に伴う血管運動性症状の緩和効果を示唆する情報が一件見つかりました(PMID:14971532)。しかし、これ以外の効果については動物試験および試験管内実験の結果が中心で、現時点ではヒトで明確な有効性を示した情報は見当たりませんでした。
一方、プエラリアの安全性情報については、次のような研究報告が見つかりました。
・ヒト試験: 更年期症状が相対的に緩和されたが血中エストラジオールの変動が認められ、一部の被験者で貧血、肝機能検査値の変動が報告されています。
・動物試験: プエラリアの摂取は性ホルモンの分泌を低下させ、メスでは排卵を抑制する可能性があります。プエラリアに対する感受性はオスに比べてメスの方が高く、少ない摂取量でも影響が認められると報告されています。
以上の詳細な情報はこのページの下の方(詳細情報)をご参照下さい。
プエラリア摂取によるヒトの健康への影響について、動物試験の結果を単純にヒトに外挿することは難しく、市場には規格や品質の異なる多様な製品が存在することから、すべてのプエラリア含有製品で誰もが同様の症状を起こすとはかぎりません。しかし、エストロゲンに対する反応は個人差が大きいことから、体質によってプエラリアの効果が過剰に現れる人も存在する可能性があります。
■この情報で注意することは?
プエラリアの抽出物を配合した製品には、「プエラリアの主要な植物性エストロゲンはイソフラボン、中でもマメ科クズ属に特有なイソフラボンであるプエラリン」「「プエラリアのイソフラボン含有量は大豆の数十倍」イソフラボンの女性ホルモン作用は穏やかで、女性ホルモンが不足している時はその働きを補い、女性ホルモンが過剰な時はその働きを抑える」などと表示されています。
しかしながら、プエラリアは、類似した成分を含むクズや大豆に比べ、非常に強い作用を有すると考えられます。健康食品の安全性に影響する因子としては、その成分自身の作用もありますが、むしろ摂取量(過剰摂取)、摂取対象者(ハイリスクグループ:感受性の高い人)の影響が大きいと考えられます。現時点でプエラリアの安全な摂取量についてはよくわかっていません。そのため、過大な期待をして安易に利用するのでなく、その必要性を冷静に判断し、利用する際には特に安全性を重視して下さい。
同科のマメ科植物であるクズについては下記のような注意事項があります。プエラリアに関しては現時点では充分なデータが蓄積されていませんが、クズにおける植物性エストロゲン作用の評価が、プエラリアにも共通すると思われることから参考になります。
・理論的には、エストロゲン様作用のあるハーブやサプリメントとの併用で、それらの作用を増強する可能性がある(PMID:12851519)。
・理論的には、経口避妊薬の作用を競合的に阻害する可能性がある(PMID:12851519)。
・クズはエストロゲン様作用をもつので、理論的には、タモキシフェンの作用に影響を与える可能性がある(PMID:12851519)。タモキシフェンを使用している人は、クズを摂取しないよう注意する(64)。
■詳細情報
□プエラリアに含まれる植物性エストロゲンについて
プエラリアのエストロゲン活性の主体といわれているミロエステロールや、ミロエステロールの前駆物質であるデオキシミロエステロールは、イソフラボンに比較して非常に強いエストロゲン活性をもち、エストロゲン受容体に対する結合能はゲニステインのそれぞれ約4倍および20倍、また17β-エストラジオールに匹敵するエストロゲン活性を示したという報告があります(PMID:15876408)。プエラリア中のこれらの含有量はイソフラボン類に比較して低い (PMID:10691701)と言われていますが、非常に作用が強いため、充分なエストロゲン作用を示す可能性があります。
また、プエラリアには、他にもspinasterol(PMID:15886524)、およびkwakhurin(PMID:15703807) という植物エストロゲンが見いだされていますが、いずれも活性の強さや含有量などは不明です。
□プエラリアの有効性と安全性について
ヒト試験:
更年期性血管運動性症状(紅潮、寝汗)を有する閉経期及び閉経後女性37人を対象とした第二相試験(オープンラベル試験)では、プエラリア含有カプセル50および100mg/日、6ヶ月間の摂取により、更年期症状が相対的に緩和されたが、血中エストラジオールの変動が認められ、一部の被験者で貧血、肝機能検査値の変動が報告されています(PMID:14971532)。
動物試験:
サルを用いた試験では、プエラリア10および100mg/日の投与により月経周期の延長が、1000mg/日の摂取で月経停止が認められました(PMID:15805583)。10mg/日以上の摂取で摂取量に依存した血中エストラジオール(PMID:15647615)(PMID:15805583)、性腺刺激ホルモン(LH、FSH)およびプロゲステロン(PMID:15805583)の低下が認められ、メスでは排卵を抑制する可能性があります。
ラットを用いた試験では、プエラリアの投与(10〜1000mg/kgBW、14日間)による血中性腺刺激ホルモン(LH、FSH)の低下は、メスの方が感受性が高く、摂取中断による回復もメスの方で遅いという結果でした。また、臓器重量の増加や組織の形態変化もメスの方が低い摂取量で影響が認められることから、メスの方がプエラリアの影響を受けやすいと言えます(PMID:15599108)。
細胞および試験管内試験:
プエラリアの抽出物はヒト乳ガン由来培養細胞(MCF-7)の細胞増殖を亢進するという報告があります(PMID:15234761)。
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