健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ビルベリー [英]Bilberry、Whortleberry、Huckleberry [学名]Vaccinium myrtillus L.

概要

ビルベリーは、ヨーロッパと北アメリカ原産の低木で砂地または森林に生育する。小さいピンク・グリーンの花が咲き、熟すとブルーブラックの甘い果実がなる。ビルベリーの果実はアントシアニジン(色素の本体)と糖が結合した配糖体アントシアニンを豊富に含む。ビルベリー中のアントシアニンとしては、主に5種類のアントシアニジンと3種類の糖がそれぞれ結合した15種類が知られている。従って、ビルベリーエキスと称する原材料中のアントシアニンは複数の配糖体の総称であり、個別の化合物の組成はビルベリーの産地、収穫時期、エキスの調製法に異なっている可能性がある。俗に、「眼精疲労や近視によい」などと言われている。ヒトでの有効性については慢性静脈不全、網膜症に有効性が示唆されているが、夜間視力には効果がないことが示唆されている。安全性については、通常の食品に含まれる量の果実の摂取はおそらく安全である。葉は大量に摂取した場合、危険性が示唆されている。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・果実と葉は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・米国ではGRAS (Generally Recognized as Safe;一般的に安全とみなされる物質) に認定 (94) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・果実にはアントシアン、アントシアニン、アントシアノシド、フラボノイド、ケルセチン、エピカテキン、タンニン、レスベラトロールなどを含む。葉にはカテコールタンニン、フラボノイド、ケルセチン、レスベラトロール、フェノール性カルボン酸、イリドイド、キノリジンアルカロイドおよび比較的高濃度のクロムを含む (75) (94) 。
・ビルベリーエキスに含まれている主なアントシアニンは、5種類のアントシアニジン(マルビジン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジン)と3種類の糖(グルコース、ガラクトース、アラビノース)がそれぞれ結合したものが知られている(PMID:19029785)。
・ケルセチンの供給源となる (PMID:12548295)

分析法

・品質の指標としてアントシアニン類がフォトダイオードアレイ検出器 (検出波長518 nm) とESI-MS検出器を装着したHPLCにより分析されている (PMID:11513700) 。また、酸加水分解後のアントシアニジン類がフォトダイオードアレイ検出器 (検出波長530 nm) を装着したHPLCにより分析されている (PMID:11559107)
・アントシアニン15種とアントシアニジン5種をHPLC-VIS (540 nm) で分析し、HPLC/MS により同定した報告がある (PMID:19029785)
・ヨーロッパ局方、イタリア薬局方およびUSP (米国薬局方) ではビルベリーの規格が定められている (82) 。
・ビルベリー中およびビルベリーを含む製品中の総アントシアニン量をHPLC、HPLC/MS、HPLC-PDAで分析した報告がある (PMID:17760327)
・ビルベリーに含まれる15種のアントシアニンをHPLC (UV-VIS検出器 波長:520 nm) にて分析した報告がある (PMID:15133222)

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・慢性静脈不全に対し有効性が示唆されている (94) 。

メタ分析
・2014年12月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、ビルベリーの摂取は血中HDLコレステロール (4報) の増加、LDLコレステロール (4報) の低下と関連が認められたが、総コレステロール (5報) 、トリグリセリド (5報) に影響は与えなかった (PMID:26345230)
・2015年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた、ベリー類の摂取と心血管リスクとの関連を調べた無作為化プラセボ比較試験22報について検討したメタ分析において、ビルベリーの摂取はLDLコレステロール (3報) の低下、HDLコレステロール (4報) の上昇と関連が認められた。ホワートルベリーの摂取は総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド (各2報) の低下と関連が認められたが試験によるバラツキが大きく、クランベリージュース (9報) 、ブルーベリー (3報) 、エルダーベリー (2報) の摂取はいずれの指標とも関連が認められなかった (PMID:27006201)


消化系・肝臓

調べた文献の中で見当らない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中で見当らない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中で見当らない。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・糖尿病や高血圧性網膜症などによる網膜の病変に対し有効性が示唆されている (94) 。これらの効果を示すための臨床研究では、ビルベリーのフラボノイドであるアントシアニジン複合体25%を含む組成のものが使用されている (94) 。
・夜間の視力を改善する目的では、実の摂取は効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・VDT (visual display terminals:パソコン画面等の画像表示端末) 作業に従事している健常成人男性10名 (32〜50歳、試験群5名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリーの果皮・果実のエキス粉末120 mg/日を7日間摂取させたところ、眼精疲労による筋調節力 (アコモドグラム) の改善がみられたが、視力、屈折度、瞳孔機能、グレアテスト、動体視力、プリッカー値に影響は認められなかった (101) 。
・健康な成人男性15名 (25〜47歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリー抽出物480 mg/日 (アントシアノサイド25%含有) を21日間摂取させたところ、夜間視力 (VA) およびコントラスト感度 (CS) に影響は認められなかった (PMID:10767671)
・健康成人10名 (平均28.4歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリーエキス (アントシアニジンとして40 mg) を単回摂取させたところ、摂取4時間後のVDT作業負荷による眼の屈折調節機能に影響は認められなかった (2007176276) 。
・VDT作業に従事している健康成人80名 (試験群43名、平均30.6±0.9歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリーカプセル480 mg/日を8週間摂取させたところ、目の疲労の自己評価18項目中6項目のみ改善が認められた (PMID: 25923485)
・眼精疲労の自覚症状がある健康成人21名 (試験群11名、平均45.5±8.7歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリーエキス160 mg/日含有食品 (アントシアニンとして57.6 mg含有) を4週間摂取させたところ、VDT作業後の調節力の低下抑制が認められたが、眼精疲労の自己評価、近点距離、酸化ストレス度、抗酸化力に影響は認められなかった (2013181261)。
・眼精疲労の自覚症状がある健康成人30名 (試験群15名、平均39.1±1.6歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリーエキス (アントシアニン37%含有) 160 mg/日含有食品を4週間摂取させたところ、VDT作業後20分休息した後の縮瞳率および眼精疲労の自己評価が低下したが、VDT作業直後に影響は認められなかった (2015361819) 。
・眼精疲労の自覚症状がある健康成人24名 (試験群12名、平均35.2±1.3歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリーエキス (アントシアニン37%含有) 107 mg/日含有食品を4週間摂取させたところ、VDT作業後の調節機能の低下抑制が認められたが、日常生活およびVDT作業後の眼精疲労の自覚症状に影響は認められなかった (2016154742) 。
・眼精疲労の自覚症状がある健康成人23名 (平均32.8±7.64歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ビルベリーエキス (アントシアニン37%含有) 180 mg/日の他、アサイー粉末、クロセチン、β-カロテン、ルテイン、リコピン、中鎖脂肪酸などを含有する食品を7日間摂取させたところ、VDT作業後の調節機能の低下抑制が認められたが、VDT作業後の眼精疲労の自覚症状に影響は認められなかった (2016108947) 。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中で見当らない。

骨・筋肉

調べた文献の中で見当らない。

発育・成長

調べた文献の中で見当らない。

肥満

調べた文献の中で見当らない。

その他

調べた文献の中で見当らない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中で見当らない。

安全性

危険情報

<一般>
・ビルベリーの実は通常食事に含まれる量の摂取はおそらく安全である (94) 。
・まれに胃腸の不快、吐き気、胸焼け、下痢、糞便・舌・歯の変色を生じる可能性がある (94) 。
・ビルベリーの葉を大量に摂取した場合、危険性が示唆されている。1.5 g/kg体重/日での長期摂取により死亡する可能性がある (94) 。

<妊婦・授乳婦>
・ビルベリーの実は通常の食品に含まれる量での摂取はおそらく安全である (94) 。大量に摂取すると急性毒性が生じ、ヒドロキノン中毒や抗凝血、胃腸障害を起こす可能性がある (94) 。

<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。

<その他>
・ビルベリーを含む製品 (40品目) 中のアントシアニン量およびアントシアニジン量を分析したところ、4品目でアントシアニンが含まれておらず、また、同じ原産地でも含有量に大きな差があった (PMID:17760327)

禁忌対象者

調べた文献の中で見当らない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・葉の抽出物は血糖を低下させる可能性があるので、糖尿病治療薬や同様の作用があるハーブと併用すると低血糖のリスクを高める可能性がある (94) 。
・ビルベリーから抽出したアントシアニジンは出血リスクを高める可能性があるため、非ステロイド性抗炎症薬、抗凝固薬、抗血小板薬や同様の作用があるハーブなどとの併用で、出血リスクを高める可能性がある (94) 。
・葉の抽出物は、臨床検査において、血清中トリグリセリドに影響する可能性がある (94)。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最少中毒量)
・果実の抽出物を投与:マウス経口250 mg/kg/5日 (間欠的) 、500 mg/kg/5日 (間欠的) (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・果実:クラス1 (22) 。

総合評価

安全性

・通常食事に含まれる量の果実の摂取はおそらく安全である。過剰摂取した場合の安全性については十分なデータがない。
・葉は大量に摂取した場合、危険性が示唆されている。
・1.5 g/kg体重/日での長期摂取により死亡する可能性がある。葉の摂取は避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・果実は慢性静脈不全、網膜症に有効性が示唆されている。
・果実は夜間視力には効果がないことが示唆されている。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(PMID:11513700) J Agric Food Chem. 2001 Aug; 49(8): 3987-92.
(PMID:11559107) J Agric Food Chem. 2001 Sep; 49(9): 4183-7.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(75) エビデンスに基づくハーブ&サプリメント事典 南江堂
(PMID:19029785) Shokuhin Eiseigaku Zasshi. 2008;49(5):339-46.
(PMID:12548295) Eur J Clin Nutr. 2003 Jan;57(1):37-42.
(101) あたらしい眼科. 1994; 11(1):117-21.
(102) J Korean Ophthalmol Soc. 2008; 49(10):1629-33.
(82) Herbal Medicines Forth edition (Pharmaceutical Press)
(2007176276) 新薬と臨床. 2007;56(2):180-8.
(2013181261) 薬理と治療. 2013; 41(2):155-65.
(PMID:17760327) J AOAC Int. 2007 Jul-Aug;90(4):911-9.
(PMID:10767671) Altern Med Rev. 2000 Apr;5(2):164-73.
(PMID:15133222) Chem Pharm Bull (Tokyo). 2004 May;52(5):628-30
(94) Natural Medicines
(PMID:26345230) Evid Based Complement Alternat Med. 2015;2015:790329.
(2015361819) 薬理と治療. 2015; 43(3):397-403.
(2016154742) 薬理と治療. 2015; 43(9):1339-46.
(2016108947) 薬理と治療. 2015; 43(12):1741-9.
(PMID:25923485) J Nutr Health Aging. 2015 May;19(5):548-54.
(PMID:27006201) Sci Rep. 2016 Mar 23;6:23625.