健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

バリン [英]Valine (Val) [学名]

概要

バリンは必須アミノ酸の一つであるが、含有する食物も多いため通常の食事では不足しにくいアミノ酸である。ロイシン、イソロイシンとともに、筋肉で代謝される分岐鎖アミノ酸 (BCAA;branched chain amino acid) であり、筋肉のエネルギー代謝に深く関わっている。俗に「筋肉をつくる」、「疲労を抑える」といわれており、運動中の筋肉消耗の低減に一部で有効性が示唆されている。また、脂肪燃焼を促すといわれているが、ダイエット効果に関しては信頼できる充分なデータが見当たらない。安全性については、短期間で適切に経口摂取する場合は安全性が示唆されている。妊娠中・授乳中の安全性については充分なデータがないので、過剰摂取を避ける。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。「指定添加物」:L-体は調味料、栄養強化剤である。

成分の特性・品質

主な成分・性質

略号ValまたはV、C5H11NO2、分子量 (MW) 117.15。

分析法

イオン交換クロマトグラフィーにて分離後、ニンヒドリンなどの発色試薬で発色し蛍光検出器 (励起波長440 nm、蛍光波長570 nm) を装着したアミノ酸自動分析計により分析する方法が一般的である (101) 。

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

・食欲不振に対して経口摂取で有効性が示唆されている。高齢で栄養不良の透析患者の食欲不振を軽減し、全体的な栄養状態を改善する。バリン、ロイシン、イソロイシンを含む分岐鎖アミノ酸を摂取すると、食欲およびカロリー摂取量が速やかに増加し、血中アルブミン値および身体計測値が向上するという報告がある (PMID:11522870) 。がん患者の食欲不振に対しても有効であるとする予備的な知見もある (66) 。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

・慢性の肝性脳症に対して、経口摂取で有効性が示唆されている。分岐鎖アミノ酸は慢性肝性脳障害患者の肝機能試験および窒素バランスを改善するという報告がある(PMID:3116290) (PMID:10779207) (PMID:8676537) (PMID:2204661) 。分岐鎖アミノ酸は、タンパク質サプリメントが有効でない慢性肝性脳障害患者の栄養不良に推奨されている (PMID:10779207) 。潜在性の肝性脳障害に対して、分岐鎖アミノ酸経口摂取で精神運動機能および運動能力に改善がみられたという報告がある (PMID:8315258) (PMID:3882509)
・肝性脳症の既往歴のある肝硬変患者116名 (試験群58名、平均64.1±10.4歳、スペイン) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、標準的な制限食とともに分岐鎖アミノ酸30 g/日を56週間摂取させたところ、肝性脳症の再発リスクに影響は認められなかったという報告がある (PMID:21326220)
・躁病に対して経口で有効性が示唆されている。チロシン非含有で分岐鎖アミノ酸を含む飲料は、躁的興奮を6時間以内に軽減する。7日間摂取で、症状軽減が2週間以上継続するという報告がある (PMID:12611783)
・遅発性ジスキネジー (運動障害) に対して有効性が示唆されている。経口摂取すると症状が軽減するという報告がある (PMID:10367552) (PMID:12777270) 。分岐鎖アミノ酸を含む飲料は、抗精神治療を受けているジスキネジー患者の運動障害を30〜60%軽減した (PMID:12777270)
・予備的な臨床知見によると、分岐鎖アミノ酸の経口摂取で脊髄小脳変性の症状に効果があるという報告がある (PMID:10397076) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (66) 。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

・運動中の筋肉消耗を低減するために経口摂取で有効性が示唆されている (PMID:7810616) (66) 。
・筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に対して経口摂取でおそらく効果がないと思われる。初期の研究ではALSに対して分岐鎖アミノ酸は効果があるとされていたが、最近の研究では摂取は有益ではなく、むしろ肺機能の著しい低下や死亡率の上昇がおそらく起きることが明らかになってきた (PMID:2896868) (PMID:8255440) (PMID:2614487) (PMID:8909433)

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

運動能力を高める目的での経口摂取は効果がないことが示唆されている (PMID:9124069) (66) 。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

・経口摂取では短期間、適切に用いれば安全性が示唆されている (66) 。分岐鎖アミノ酸は6ヶ月までの試験において有意な副作用は報告されていない (PMID:3116290)(PMID:10367552) (PMID:10397076) (PMID:10467608) (PMID:12611783) (PMID:12777270) (PMID:11522870)
・妊娠中・授乳中の安全性については充分なデータがないので、使用を避ける (66) 。
・経口摂取および静脈注射で血清アンモニア濃度が上昇することがあり (PMID:8365971) (PMID:7810616) 、これは疲労や運動協調の低下につながる。また、悪心が起きることがある (PMID:12611783) 。ロイシン、イソロイシン、バリンを含む分岐鎖アミノ酸60 gを代謝機能が正常な人が7日間摂取したところ、血中アンモニア濃度が上昇したが毒性レベルまでは上昇しなかった (PMID:12611783) 。分岐鎖アミノ酸を長期に高用量摂取する場合は肝機能をモニターしたほうがよい。
・メープルシロップ尿症 (分岐鎖アミノ酸が代謝されない先天性異常) の患者は、血中の分岐鎖アミノ酸濃度が高いので分岐鎖アミノ酸の摂取量が上昇すると痙れんや身体的・精神的発育遅延が起きることがある (PMID:11238772)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

・筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 患者における分岐鎖アミノ酸の使用は、肺疾患の悪化および死亡率上昇と関連付けられている (PMID:8255440) (PMID:8909433)
・アルコール依存症患者において肝性脳障害が1例報告されている。この報告によると、分岐鎖アミノ酸使用の中止とともに回復し、再使用とともに再発した (66) 。
・理論的には、分岐鎖アミノ酸とレボドパの併用で、小腸と脳におけるレボドパの輸送と競合し、作用を弱める可能性がある (PMID:832796)
・複数の知見によると、分岐鎖アミノ酸はインスリン分泌を促進する可能性がある(PMID:11238770) (PMID:11790952) (PMID:11934675) (PMID:12183515) (PMID:12610012)ので、理論的には糖尿病治療薬に相加的に働く可能性がある (66) 。
・他のハーブやサプリメント、食品との相互作用については充分なデータがない (66) 。
・臨床検査値に対する影響は知られていない。また臨床的に有意な相乗効果も期待できない (66) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

総合評価

安全性

・短期間、適切に経口摂取する場合、安全性が示唆されている。
・妊娠中・授乳中における安全性については、信頼できる充分なデータがないので使用を避ける。
・筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の治療に分岐鎖アミノ酸を用いた研究で、死亡率が上昇したという報告がある。
・アルコール依存症患者において肝性脳障害が1例報告されている。
・メープルシロップ尿症 (分岐鎖アミノ酸が代謝されない先天性異常) の患者では、痙れんや身体的・精神的発育遅延が起きることがある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、1) 運動中の筋肉消耗の低減、2) 慢性の肝性脳障害、3) 躁病、4) 遅発性ジスキネジー (運動障害) 、5) 食欲不振。
・経口摂取で運動能力の向上には効果がないことが示唆されている
・経口摂取で筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に対してはおそらく効果がないと思われる。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(66) Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Database(2006)
(101) 衛生試験法・注解2000 金原出版株式会社 日本薬学会編
(PMID:8909433) Neurology. 1996;47:1220-6.
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