注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
グリシン、グリココル、アミノ酢酸 [英]Glycine、Glycocoll [学名]-
概要
グリシンはタンパク質を構成するアミノ酸のひとつで、生体内ではセリンより生合成され、生体内の重要な物質 (ポルフィリン、プリン、クレアチン、グルタチオン) の原料となっている。また、胆汁酸や芳香族カルボン酸のグリシン抱合に関与している。俗に「記憶の増強」「良性前立腺過形成」「肝臓と腎臓の保護」「ガン予防」によいと言われているが、ヒトでの安全性・有効性については、調べた文献の中に十分なデータが見当たらない。妊娠中・授乳中の安全性については、十分なデータがないため使用を避ける。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。
法規・制度
「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。 指定添加物 (用途:調味料、強化剤) としての使用が認められている (78) 。
成分の特性・品質
主な成分・性質
略号GlyまたはG、C2H5NO2、分子量 (MW) 75.05。もっとも単純な形の天然アミノ酸で不斉炭素もないので光学異性体 (D、L体) もない。別名グリココルはその甘味に由来する (32) 。 白色の結晶または結晶性の粉末で無臭、甘味がある。水またはギ酸に可溶 (6) 。
分析法
イオン交換クロマトグラフィーによって分離後ニンヒドリンのような発色試薬で発色し蛍光検出器 (励起波長440 nm、蛍光波長570 nm) を装着したアミノ酸自動分析計により分析する方法が一般的である (101) 。 グリシンを乾燥後ギ酸に溶かし酢酸を加えてから過塩素酸で滴定する電位差滴定法の他に、比色法、蛍光法などがある (6) 。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
調べた文献の中に見当たらない。
消化系・肝臓
糖尿病・内分泌
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
・統合失調症患者に対する陰性症状 (意欲低下や感情鈍麻など) の改善が示唆されている (66) が、相反する情報もあるため、更なる検証が必要である。 <有効性が示唆された情報> ・統合失調症の入院患者11名 (22〜60歳、イスラエル) を対象とした二重盲検無作為化クロスオーバープラセボ比較試験において、抗精神病薬 (パーキンソン症候群治療剤のトリヘキシフェニジルまたは睡眠鎮静剤の抱水クロラール) と併用してグリシンを0.8 g/kg/日、6週間摂取させたところ、血中グリシン濃度が増加し、陰性症状、抑うつ症状、認知症状に改善が認められたという報告がある (PMID:8932891) 。 ・統合失調症に罹患している男性14名 (試験群7名、平均36±9.7歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験でグリシンを0.4 g/kg/日 (約30 g/日) 、8週間摂取、その後非盲検試験で8週間摂取させたところ、陰性症状では改善がみられたが、陽性症状 (妄想や幻覚) 、総合精神病理、錐体外路症状には影響はみられなかったという報告がある (PMID:8037263) 。 <有効性が示唆されなかった情報> ・治療抵抗性の統合失調症患者19名 (平均38.8±11.0歳、イスラエル) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ比較試験において、投薬されている抗精神病薬に0.8 g/kg/日のグリシンを加えて6週間投与したところ、錐体外路への影響やうつ症状の回復はみられなかったという報告がある (PMID:9892253) 。 ・治療抵抗性の慢性統合失調症患者19名 (試験群9名、平均35.3±5.26歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、非定型抗精神病薬 (クロザピン) と併用してグリシンを30 g/日、12週間摂取させたところ、陽性症状にも陰性症状にも影響はみられなかったという報告がある (PMID:9892314) 。 ・統合失調症患者27名 (試験群14名、平均39±7歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、非定型抗精神病薬 (クロザピン) と併用して60 g/日、8週間摂取させたところ、陽性症状、陰性症状、認知機能に影響はみられなかったという報告がある (PMID:10784481) 。 ・頸動脈領域での急性虚血性脳卒中患者212名 (試験群135名、45〜75歳、ロシア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、グリシンを0.5〜2.0 g/日摂取させたところ、1.0 g/日摂取群で神経学的状態の指標 (SSS、OSS、バーセルインデックス) の改善、1.0〜2.0 g/日摂取群で血中におけるNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体抗体力価の早期正常化、興奮性アミノ酸 (グルタミン酸・アスパラギン酸) レベルの減少、重度脳卒中患者における脳脊髄液中のGABA (γ-アミノ酪酸) 濃度増加、酸化ストレス指標 (TBARS) の減少、脳卒中発症30日後死亡率の減少がみられたという報告がある (PMID:10629347) 。
免疫・がん・炎症
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
・イソ吉草酸血症の治療に経口で使われることがあるが、その有効性や安全性については更なる検証が必要である (PMID:8804338) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (66) 。 ・女性15名 (24〜53歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化クロスオーバープラセボ比較試験において、グリシンを3 g/日、4日間摂取させたところ、SAM (主観的疲労度) スコア、起床後の頭の冴え具合に改善がみられたという報告がある (110) 。 ・不眠傾向患者171名 (平均47.1±13.3歳、日本) を対象とした臨床試験において、グリシンを3 g/日、4週間摂取させたところ、睡眠深度、中途覚醒回数などの改善がみられたという報告がある (2008178610) (2008310019) 。 ・健常者11名 (平均40.5±10.1歳、日本) を対象とした単盲検無作為化クロスオーバープラセボ試験において、グリシン3 g/日を摂取させたところ、睡眠満足感、寝付きの状況、睡眠時間、日中の眠気、日中の認知機能に改善がみられたという報告がある (2008158548) 。 ・下肢潰瘍に対して外用で有効性が示唆されている。グリシン、システイン、トレオニンを含むクリームを塗布したところ、痛みが軽減し、下肢潰瘍がわずかに改善したという報告がある (PMID:3933019) 。
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
安全性
危険情報
・通常食品に含まれる量を経口摂取する場合、おそらく安全と思われる (66) (PMID:8037263) (PMID:8932891) (PMID:9892253) 。 ・妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータが見当たらないため、サプリメントとしての使用を避ける (66) 。 ・経口摂取でまれに、歐気嘔吐、上部消化管の不快感、軽い鎮静がみられることがあるが、摂取中止で急速にこれらの症状は解消する (66) (PMID:9892253) (PMID:10629347) 。 ・健常者12名 (25〜38歳、日本) を対象とした非盲検試験において、グリシンを9 g/日、7日間摂取させたところ、就寝前摂取で軽度の軟便症状が2名に腹痛が1名にみられたが、試験終了後解消したという報告がある (2006179979) 。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
・統合失調症の患者に対し、クロザピンとの併用で症状が悪化することがある。クロザピン以外の非定型抗精神病薬との併用では症状悪化の報告はされていないが、非定型抗精神病薬との併用には注意すべきである (66) (PMID:9892314) 。
動物他での 毒性試験
1.LD50 (半数致死量) ラット経口7.93 g/kg、ラット皮下5.2 g/kg、ラット静脈内2.6 g/kg、マウス経口4.92 g/kg、マウス腹腔内4.45 g/kg、マウス皮下5.06 g/kg、マウス静脈内2.37 g/kg (91) 。 2.TDLo (最小中毒量) ラット腹腔内投与 200 mg/kg、マウス腹腔内 (間欠的) 6.25 g/kg/5日、ヒト静脈内0.201 g/kg (91) 、ヒト経口800 mg/kg (91) (PMID:17646968) (PMID:17952411) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
参考文献中に記載なし
総合評価
・通常食品に含まれる量を経口摂取する場合、おそらく安全と思われる。 ・妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータが見当たらないため、使用を避ける。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・統合失調症の陰性症状の改善については相反する報告があり、更なる検証が必要である。
参考文献
(6) 第15改正日本薬局方 (30) 「医薬品の範囲に関する基準」 (別添2、別添3、一部改正について) (32) 生化学辞典 第4版 東京化学同人 (66) Pharmacist's Letter/Prescriber's letter Natural Medicine (78) 改訂 食品添加物インデックス 和名・英名E No.検索便覧 中央法規 社団法人日本輸入食品安全推進協会 (91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS) (101) 衛生試験法・注解2000 金原出版株式会社 日本薬学会編 (PMID:3933019) Pharmatherapeutica. 1985 4(4) 227-30 (PMID:9892253) Arch Gen Psychiatry 1999 56(1) 29-36 (PMID:9892314) Am J Psychiatry 1999 156(1) 145-7 (PMID:10784481) Am J Phychiatry 2000 157(5) 826-8 (PMID:8932891) Br J Psychiatry 1996 169(5) 610-7 (PMID:8037263) Am J Psychiatry 1994 151(8) 1234-6 (PMID:10629347) Cerebrovasc Dis 2000 10(1) 49-60 (PMID:8804338) J Pediatr 1996 129(3) 449-52 (PMID:17646968) Psychopharmacology (Berl) 2007 195(1) 85-93 (PMID:17952411) Psychopharmacology (Berl) 2008 196(3) 451-60 (2008178610) 日本臨床内科医会会誌 2008 22(5) 578-584 (2008310019) 大阪府内科医会会誌 2008 17(1) 68-72 (2008158548) Sleep and Biological Rhythms 2007 5(2) 126-131 (2006179979) 生活衛生 2006 50(1) 27-32 (110) Sleep and Biological Rhythms 2006 4 75-7