健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

イノシトール [英]Inositol [学名]Hexahydroxycyclohexane

概要

イノシトールはイノシットとも呼ばれている水溶性のビタミン様物質である。植物中では遊離型のイノシトール又はそのリン酸エステル体 (フィチン酸) として存在している。動物体内ではイノシトールまたはイノシトールリン酸の形で存在している。一般に食品添加物 (強化剤) として使用が認められている。俗に、「脂肪肝や動脈硬化を予防する」「脳細胞に栄養を与える」などと言われている。ヒトでの有効性については、多嚢胞性卵巣症候群の治療に経口摂取で有効性が示唆されている。適切に経口摂取する場合は安全性が示唆されているが、妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないので使用は避ける。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・イノシトール (フィチン) は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・「既存添加物」:強化剤である。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・シクロヘキサン6価アルコールの総称。分子量 (MW) 180.16、融点225〜227℃。9種の異性体が存在するが生理活性型はミオイノシトール (myo-inositol) のみ。水溶性で有機溶媒に不溶。

分析法

1.イノシトールの分析には、電気化学検出器 (pulsed amperometric detector) を装着した高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法が用いられる (PMID:2221394)
2.イノシトールリン酸塩の分析には、核磁気共鳴分析法 (31P-NMR) を用いる(PMID:10606582)
3.イノシトールリン酸塩の分離同定は、硫酸ナトリウム勾配によるイオン交換クロマトグラフィーにて分離した後、質量分析法 (HPLC-MS) により定量を行う (PMID:2653097)

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

一般情報
・多嚢胞性卵巣症候群の治療に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2015年2月までを対象に4つのデータベースで検索できた対照試験5報について検討したメタ分析において、妊婦によるミオイノシトールの摂取は妊娠糖尿病リスク (4報) 、空腹時血糖 (5報) 、食後1時間血糖 (3報) 、食後2時間血糖 (3報) 、関連する合併症 (3報) 、出生時体重 (3報) の低下と関連が認められた (PMID:26496267)
RCT
・多嚢胞性卵巣症候群の肥満女性44名 (18〜40歳、試験群22名、アメリカ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、イノシトールの異性体であるキロイノシトール (D-chiro-inositol) を1,200 mg/日、6〜8週間摂取させたところ、血中トリグリセリドとテストステロンレベルの減少、血圧の中程度の低下、排卵の誘発がみられた (PMID:10219066)

脳・神経・
感覚器

一般情報
・イノシトールは広場恐怖症の有無に関わらず、パニック症候群の治療に、有効性が示唆されている (94) 。
・経口摂取で強迫性障害 (OCD) の治療に、有効性が示唆されている (94) 。
・イノシトールは経口摂取で、統合失調症、アルツハイマー病、自閉症の治療には効果がないことが示唆されている (94) 。
・うつ病の治療に経口摂取でおそらく効果がないことが示唆されている (94) 。
・経口摂取で、SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬) 系抗うつ薬の効果の増強に対して、効果がないことが示唆されている (94) (PMID:10023500) (PMID:10907738)
・注意欠陥過活動性症候群 (ADHD) に対して効果がないと考えられる (94) 。
・リチウム剤 (抗躁薬) による副作用の乾癬を改善するが、リチウムを摂取してない患者の乾癬は改善しないと考えられる (PMID:15149510) 。また、リチウムによる震え、喉の渇き、甲状腺機能低下の軽減には、イノシトールは経口摂取で効果がないことが示唆されている (PMID:1918659)
・イノシトールは糖尿病性神経症の症状を緩和するのに経口摂取でおそらく効果がない (94) 。
RCT
・パニック症候群患者21名 (イスラエル) を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験において、イノシトールを12 g/日、4週間摂取させたところ、パニック症候群の重症度と発作の頻度および広場恐怖症の重症度が減少した (PMID:7793450) 。また、パニック障害患者20名を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験において、イノシトール18 g/日またはフルボキサミン150 mg/日を1ヶ月摂取させたところ、イノシトール摂取でも、パニック症候群の発作がフルボキサミンと同程度減少した (PMID:11386498) 。これらの効果を裏付けるためにはさらに大規模な長期の研究が必要と考えられる (94) 。
・強迫性障害患者13名 (平均33.7歳、イスラエル) を対象とした二重盲検クロスオーバー試験で、イノシトールを18 g/日、6週間摂取させたところイエール‐ブラウン (Yale-Brown) 強迫性障害評価尺度によるスコアが改善したという予備的な報告がある (PMID:8780431)
・うつ病患者28名 (試験群13名、平均63.7歳、イスラエル) を対象とした二重盲検比較試験で、イノシトールを12 g/日、4週間摂取させたところ、ハミルトンうつ病評価尺度によるスコアが改善したという報告 (PMID:7726322) および、うつ病患者28名 (イスラエル) を対象とした10〜12ヶ月の二重盲検比較試験において、12 g/日のイノシトールを摂取させたところ効果があった患者は治療をやめるとすぐに再発したという報告 (PMID:7622343) がある。しかし、うつ病に対するイノシトールの効果は明確ではなく、さらに大規模な長期の研究が必要と考えられる (94) (PMID:15106232)
・ADHDの小児11名 (平均8.9歳、イスラエル) を対象とした二重盲検クロスオーバー試験において、ミオイノシトール200 mg/kg体重を8週間摂取させたところ、症状が悪化したという予備的な報告もある (PMID:9169302)

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

・マウスあるいはラットで欠乏すると脱毛を起こす (6) 。

安全性

危険情報

<一般>
・経口摂取では一般的に安全性が高い (94) 。副作用としては吐き気、疲労感、頭痛、目まいが報告されている (PMID:11386498) (PMID:15149510)
・経口摂取で適切に使用する場合、安全性が示唆されている。イノシトールは12 g/日を4週間および6 g/日を10週間にわたり摂取しても有意な副作用がみられなかった (94) 。
・非経口摂取で適切に、未熟児の呼吸窮迫症候群の治療に使用する場合、安全性が示唆されている (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中のイノシトールの使用の安全性に関しては十分なデータが得られていないため、使用は避けるべきである (94) 。
・授乳中のイノシトールの使用の安全性に関しては十分なデータが得られていないため、使用は避けるべきである (94) 。母乳には十分なイノシトールが含まれており、外からさらにイノシトールを投与する事による有益性は不明である (94) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・フィチン酸 (イノシトール六リン酸) はミネラル、特にカルシウム、亜鉛、鉄の吸収を妨げることが考えられる (94) 。

動物他での
毒性試験

急性毒性:ミオイノシトールをマウスに経口投与したときの50%致死量 (LD50) は10 g/kgである (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・経口摂取で適切に使用する場合、安全性が示唆されている。
・妊娠中・授乳中のイノシトールの使用の安全性に関しては十分なデータが得られていないため、使用は避けるべきである。母乳には十分なイノシトールが含まれており、外からさらにイノシトールを投与する事による有益性は不明である。
・フィチン酸 (イノシトール六リン酸エステル) はミネラル (カルシウム、亜鉛、鉄) の吸収を妨げることが考えられる。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、
 1) 多嚢胞性卵巣症候群
 2) パニック症候群
 3) 強迫性障害 (OCD)
・経口摂取でおそらく効果がないと考えられるのは
 1) うつ病、SSRI (選択的セロトニン再吸収阻害薬) 系抗うつ薬の効果増強
 2) 糖尿病性神経症の症状を緩和
 3) 統合失調症、アルツハイマー病、自閉症の治療、
 4) リチウム剤 (精神安定剤) により誘導される副作用軽減

参考文献

(6) よくわかるビタミンブック 主婦の友社 吉川敏一
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(PMID:2221394) Anal Biochem. 188(2):432-5, 1990.
(PMID:10606582) J Agric Food Chem. 47(12):5116-21, 1999.
(PMID:2653097) Anal Biochem. 176(1):109-16, 1989.
(PMID:7793450) Am J Psychiatry. 1995;152:1084-6.
(PMID:15106232) Cochrane Database Syst Rev. 2004;:CD004049.
(PMID:8780431) Am J Psychiatry. 1996;153:1219-21.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(PMID:10219066) N Engl J Med. 1999 Apr 29;340(17):1314-20.
(PMID:11386498) J Clin Psychopharmacol. 2001 Jun;21(3):335-9.
(PMID:7726322) Am J Psychiatry. 1995 May;152(5):792-4.
(PMID:7622343) Isr J Psychiatry Relat Sci. 1995;32(1):14-21.
(PMID:10023500) Biol Psychiatry. 1999 Feb 1;45(3):270-3.
(PMID:10907738) J Neural Transm. 1999;106(7-8):795-8.
(PMID:1918659) J Affect Disord. 1991 Jul;22(3):165-70.
(PMID:9169302) Eur Neuropsychopharmacol. 1997 May;7(2):147-55.
(PMID:15149510) Br J Dermatol. 2004 May;150(5):966-9.
(94) Natural Medicines
(PMID:26496267) Medicine (Baltimore). 2015 Oct;94(42):e1604.