健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

カルニチン [英]Carnitine [学名]-

概要

カルニチンは、昆虫の成長因子として見つかったアミノ酸の一種であるが、動物の筋肉や肝臓にも広く存在することが明らかになった。脂質代謝に必須であることから、俗に「ダイエットに効果がある」「脂肪を燃やす」と言われているが、ヒトでの有効性については信頼できるデータは見当たらない。一方、循環器への効果が期待され、慢性安定狭心症患者の運動耐性向上、うっ血性心不全患者の症状改善、心筋梗塞発作後の合併症や死亡率の低減に有効性が示唆されている。ただし、効果があるのはL-カルニチンであり、D-カルニチンはL-カルニチンの作用を阻害するため、L-カルニチン欠乏を引き起こすことがある。安全性については、適切に経口摂取する場合はおそらく安全である。妊娠中の安全性については信頼できる十分なデータがないので使用を避ける。血液透析、無尿症、尿毒症、慢性肝疾患の場合には使用を避ける。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。
アセチル-L-カルニチンの情報については、「アセチル-L-カルニチン」の素材情報を参照して下さい。サイトはこちらです→ アセチル-L-カルニチン

法規・制度

・「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・C7H16NO3、分子量 (MW) 162.21。ほとんどすべての生物、各組織に存在する。ヒトの体内ではリジンとメチオニンから合成される。またこの合成にはビタミンCが必須である。

分析法

・示差屈折率検出器を装着したHPLCにより分析されている (102) 。誘導体化後に紫外可視検出器 (検出波長235、254 nm) を装着したHPLCにより分析されている (PMID:10536831) (101) 。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・狭心症に対して有効性が示唆されている。経口摂取で慢性安定狭心症患者の運動耐性を向上させる (PMID:1794297) (PMID:3905631)
・うっ血性心不全に対して有効性が示唆されている。経口摂取で患者の症状を改善する (PMID:10650325) (PMID:3403101)
・心筋梗塞発作後の合併症や死亡率の低減に経口摂取で有効性が示唆されている (94) (PMID:8746285) (PMID:7608438) (PMID:1292918)
・ジフテリア性心筋炎の発症率や死亡率を低減するのに、経口摂取で有効性が示唆されている (94) (PMID:1291495) (PMID:6483504)
・予備的な知見によると、末梢血管疾患患者の歩行可能距離を伸ばした (PMID:3280157) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。
メタ分析など
・2012年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた臨床試験13報について検討したメタ分析において、L-カルニチンの摂取は、全死亡率 (11報) 、心室性不整脈 (5報) 、狭心症 (2報) のリスク低減と関連が認められたが、心不全 (6報) 、心筋梗塞 (4報) のリスクに影響は認められなかった (PMID:23597877)
・2012年12月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験31報について検討したメタ分析において、透析を受けている末期腎臓病患者によるL-カルニチンの摂取は、血清LDLコレステロール (11報) 、CRP (8報) の低下と関連が認められたが、トリグリセリド (19報) 、総コレステロール (19報) 、HDLコレステロール (14報) 、ヘモグロビン (14報) 、ヘマトクリット (9報) 、エリスロポエチン (8報) 、アルブミン (11報) に影響は与えなかった (PMID:24368434)
・2013年7月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報について検討したシステマティックレビューにおいて、18歳以上の血液透析患者によるL-カルニチンの摂取は、LDLコレステロール(8報)の低下が認められたが、総コレステロール (12報) 、HDLコレステロール (8報) 、VLDLコレステロール (2報) 、トリグリセリド (10報) に影響は与えなかった (PMID:24525835)
・2013年11月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験5報 (検索条件:≧18歳) について検討したメタ分析において、心筋梗塞患者におけるL-カルニチンの摂取は、総死亡率 (5報) および心不全、不安定狭心症、再梗塞の発生リスク (各2報) に影響は認められなかった (PMID:25044037)
・2013年4月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験25報について検討したメタ分析において、血液透析患者によるL-カルニチンの摂取は、血清のCRP (6報) 、アルブミン (11報) 、ヘモグロビン (9報) 、コレステロール (11報) 、トリグリセリド (9報) や患者のQOL (3報) 、副作用リスク (3報) に影響を与えなかった (PMID:24535997)
・2015年11月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験7報について検討したメタ分析において、L-カルニチンの摂取は血漿中リポ蛋白 (a) 濃度の低下と関連が認められた (PMID:26754058)
RCT
・健常成人30名 (平均30±8歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化クロスオーバー試験において、L-カルニチン2 g/日を3週間摂取させたところ、高脂肪食 (脂質エネルギー比84%) 摂取後の血流依存血管拡張反応 (FMD) は増加したが、その他の炎症、酸化ストレスマーカー (IL-6、TNF-α、マロンジアルデヒド) の血中濃度に影響は認められなかった (PMID:18993165)
・慢性透析患者31名 (試験群20名、平均48.4±13.8歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、透析時 (1日おき) にL-カルニチン1,500 mgを1ヶ月間摂取させたところ、血流依存血管拡張反応 (FMD) や頸動脈内膜中膜複合体厚に影響は認められなかった (PMID:23626603)

その他
・心臓疾患のある透析患者20名 (試験群10名、平均45.7歳、日本) を対象とした比較試験において、週3回の透析後にL-カルニチン10 mg/kg/回を12ヶ月間摂取させた群では、摂取前と比較して、血中カルニチン濃度の増加と左心室肥大の抑制傾向がみられたという予備的な報告がある (PMID:18503218)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・バルプロ酸の毒性軽減に対して経口摂取で有効性が示唆されている。神経機能や肝機能の低下、高アンモニア血症の患者でバルプロ酸の投与を受けている場合、L-カルニチンのサプリメント摂取が神経機能、肝機能を改善し、血中アンモニア濃度を正常値まで下げた (PMID:8837953) (PMID:8740302)(PMID:8830002)(PMID:10852092)(PMID:8681902)
・甲状腺機能亢進症に経口摂取で有効性が示唆されている。2〜4 g/日のカルニチン摂取により甲状腺機能亢進に伴う症状 (動悸、神経質、無力症など) が改善したという知見がある (94) (PMID:11502782)
メタ分析
・3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験4報について検討したメタ分析において、II型糖尿病患者によるL-カルニチンの摂取は、空腹時血糖値 (4報) 、LDLコレステロール値 (4報) 、アポ蛋白B100 (2報) の低下と関連が認められたが、その他の血中脂質 (4報) 、HbA1c (3報)、リポ蛋白 (a) (2報) には影響は認められず、アポ蛋白AI (3報) の低下と関連が認められた (PMID:23430574)
RCT
・II型糖尿病患者12名 (30〜60歳、試験群6名、メキシコ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン1 g×3回/日を4週間摂取させたところ、インスリン感受性と血中脂質組成への影響は認められなかったという予備的な報告がある (PMID:18714152)

生殖・泌尿器

一般情報
・末期腎疾患 (ESRD) に対して有効である。透析患者に経口あるいは静脈注射で与えると、赤血球数、ヘモグロビンが増加するが、血清脂質やコレステロール値は改善しない (PMID:11856775) 。透析患者のカルニチン欠乏に対する静脈注射はFDAで認められた処方である。
・不妊症に対して有効性が示唆されている。L-カルニチンをアセチル-L-カルニチンと組み合わせて6ヶ月間経口摂取したところ、不妊症の男性の精子の運動能が改善したという知見がある (PMID:15193480) 。妊娠に結びついた例もあるが、有意差は十分ではなかった (PMID:15193480) 。また、無菌性の前立腺副睾丸炎による不妊症の人がL-カルニチンとアセチル-L-カルニチン、非ステロイド系抗炎症剤と併用摂取したところ、精子数と運動能が改善したという知見がある (PMID:12477513)
メタ分析
・2000年までを対象に1つのデータベースで検索できた、長期透析を受けている末期腎臓病患者を対象としたプラセボ比較試験7報について検討したメタ分析において、カルニチン8週間以上の摂取は、痙攣や低血圧のリスクに影響を与えなかった (PMID:18706751)

脳・神経・
感覚器

RCT
・ナルコレプシー (過眠症) 患者28名 (平均41.2±15.9歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン510 mg/日を8週間摂取させたところ、日中の居眠り時間の減少が認められたが、居眠り、脱力発作、睡眠麻痺の回数や、日中の眠気評価 (JESS) 、健康関連QOL (SF-36) に影響は認められなかった (PMID:23349733)
その他
・予備的な臨床知見によると、注意欠陥多動性障害 (ADHD) の症状を軽減する可能性がある (94) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。
・予備的な臨床知見によると、レット症候群 (発達するにつれて様々な特徴的な欠損を呈する広範な発達障害) を持つ女児の生活能力 (well-being) および運動スキルを改善した (PMID:10190267) (PMID:8272924) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・エイズ患者またはHIV感染者にL-カルニチンを投与したところ、CD4およびCD8細胞のアポトーシスを抑制し、これらの細胞数を増加させた (PMID:9069583) (PMID:9573019)
RCT
・血液透析患者36名 (試験群18名、平均48±10歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン1,000 mg/日を12週間摂取させたところ、血清アミロイドA濃度の低下が認められたが、他の炎症マーカー (sICAM-1、sICAM-2、sVCAM-1、sE-selectin、sP-selectin、酸化LDL) に影響は認められなかった (PMID:21439850)
・浸潤性がん患者376名 (18歳以上、試験群189名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、L-カルニチン2 g/日を4週間摂取させたところ、倦怠感や抑うつ、痛みなどの評価に影響は認められなかった (PMID:22987089)
・膵臓がん患者72名 (試験群38名、平均64.4±1.67歳、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン4 g/日を12週間摂取させたところ、BMI、体脂肪量、体細胞量の増加が認められたが、疲労、生存率、入院期間に影響は認められなかった (PMID:22824168)
・末期HIV/AIDS患者35名 (試験群18名、平均48.9±8.8歳、イスラエル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチンを2週間 (0.5 g/日×2日間、1.0 g/日×2日間、2.0 g/日×2日間、3.0 g/日×8日間) 摂取させたところ、血中乳酸濃度の低下が認められたが、疲労 (Brief Fatigue Inventory) 、QOL (Linear Analog Scale-Anemia、Functional Assessment Cancer Therapy) 、身体および精神状態 (Memorial Symptom Assessment Scale-Short Form) 、認知機能 (Mini Mental Status Examination) 、抑うつ (Clinical Evaluation Scale of Depression) に関する指標に影響は認められなかった (PMID:25733927)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

一般情報
・早産児の脂質利用能を高める目的で、経口摂取で有効性が示唆されている(PMID:10331466) (PMID:7844680) (PMID:2124931) (PMID:3096350) (PMID:6406654)
RCT
・低出生体重児25名 (試験群13名、韓国) を対象とした無作為化比較試験において、L-カルニチン10 mg/kg/日を生後5日目から9日目まで摂取させたところ、血中トリグリセリドの低下が見られたが、体重など成長の指標には影響を与えなかった (PMID:20534325)

肥満

RCT
・過体重の成人35名 (平均48.3±6.6歳、試験群18名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン200 mg/日+共役リノール酸700 mg/日含有製品を8週間摂取させたところ、心理症状スコアの「怒りっぽい」の改善が認められたが、その他の心身症状、体格 (体重、体脂肪率、BMIなど) 、糖代謝 (空腹時血糖値、HbA1c、インスリン濃度など) 、血中脂質濃度に影響は認められず、尿中過酸化脂質マーカー (イソプラスタン生成速度、イソプラスタン/CRE) の増加が認められた (2009175519) 。

その他

一般情報
・運動能力や持久力の向上には経口摂取でおそらく効果がない。運動選手が最大負荷の運動をすると血中カルニチン濃度が低下する (PMID:10442273) 。複数の試験の結果、カルニチン摂取で最大酸素摂取量および運動出力に向上がみられた (PMID:2127744) (PMID:4043038) が、カルニチン摂取で運動能力が向上するという実証はない (PMID:8803503)
・カルニチン欠乏症に対して有効である (94) 。先天性代謝異常による一次あるいは二次カルニチン欠乏症に対し、経口あるいは静脈注射は有効である。これはFDAで認められた処方である。
・ヒトでは栄養上の欠乏はないが、ある種の筋萎縮症では欠乏症が認められ、筋細胞に脂肪の異常蓄積が起こる (16) 。
・デュシェンヌ型筋ジストロフィー (もっとも多くみられる小児の筋ジストロフィー) の小児 (PMID:6125278) およびある種の医薬品による筋障害を持つ人 (PMID:8154877) (PMID:10642057) で欠乏症が報告されている。
・以下の場合、血中カルニチン濃度が低くなることがある:バルプロ酸服用中(PMID:1936631) (PMID:1941389) (PMID:8422857) (PMID:7734910) (PMID:1877582) (PMID:9821988) 、妊婦 (PMID:8904477) 、慢性疲労症候群 (PMID:9018019) 、エイズ患者 (PMID:8576568) 、甲状腺機能亢進症 (PMID:11502782) 。しかし、血中濃度と組織中濃度との関連は完全には解析されておらず、血中濃度が低いと必ず欠乏症状が現れるか否かは不明である (PMID:9821988) (PMID:2002205) (PMID:10852092)
・欠乏初期には低グリシン血症を伴い、筋原繊維への脂質の蓄積が進行し筋力低下をもたらす (2) 。
RCT
・トレーニング歴のある健康男性9名 (平均25.2±6歳、フィンランド) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化比較試験において、L-カルニチン2 g/日を23日間摂取させたところ、スクワット運動負荷後の血中マロンジアルデヒド濃度 (酸化マーカー) が低下したという予備的な報告がある (PMID:18545197)
・末梢動脈疾患のため、シロスタゾールを服用中の患者145名 (試験群74名、平均65.8±9.39歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン1 g×2回/日を180日間摂取させたところ、最大歩行時間、歩行距離、身体機能評価に影響は認められなかった (PMID:22615190)
・健常成人35名 (平均48.3歳、試験群18名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ガルシニア・カンボジア500 mg/日とL-カルニチン600 mg/日を主成分としたサプリメントを8週間摂取させたところ、めまいの訴えが減少した (PMID:18385825)
・プロフットボール選手26名 (平均18.42±0.50歳、トルコ) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ比較試験において、運動の1時間前にL-カルニチン3 gまたは4 gを摂取させたところ、走力テスト結果が向上した (PMID:24263659)
・血液透析患者15名 (試験群9名、平均66.2±7.1歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン900 mg/日を3ヶ月間摂取させたところ、血中脂質 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、ApoA1、ApoA2、ApoB) および心肺運動負荷試験での指標に影響は認められなかった (PMID:24803919)





試験管内・
動物他での
評価

・カルニチンをヒト単球の初代培養にLPSとともに添加すると、TNF-α、IL-12産生を抑制した。一方、グルココルチコイドレセプターαを活性化した (PMID:12824292)
・あらかじめL-カルニチンに順応させたMark3ハイブリドーマ細胞をL-カルニチンで処理するとモノクローナル抗体生産の有意な促進が認められたが、順応していない場合にL-カルニチンで処理するとモノクローナル抗体の放出がわずかに減少した。パルミトイルカルニチンも順応させることによりモノクローナル抗体生産の促進がみられたが、酢酸DLカルニチンではモノクローナル抗体の放出が減少した (PMID:7764849)
・2〜6週齢のニワトリにL-カルニチン含有飼料を投与した。牛血清アルブミンを2回免疫した時の抗原特異IgM、IgG、IgA、および総Ig濃度を測定した。L-カルニチン投与により、1回目および2回目の免疫後の抗原特異的な総IgおよびIgG抗体価が増加したが抗原特異的なIgM抗体価は変化しなかった。L-カルニチンの投与は体重増加を促進した (PMID:10743495)

安全性

危険情報

<一般>
・適切に用いれば経口摂取でおそらく安全である (94) (PMID:11502782)
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中の安全性については十分なデータがないため使用を避ける (94) 。
・授乳中は経口摂取で安全性が示唆されている。母乳、調整乳に添加しても副作用は報告されていない (94) 。高用量の影響は不明だが、カルニチンは母乳中に分泌される (94) 。
<その他>
・L-カルニチンの経口摂取、静注の副作用としては、悪心、吐き気、嘔吐、胸焼け、急激な腹痛、胃炎、下痢、体臭、痙攣が知られている (94) 。DL-体の副作用として、極度の衰弱、筋肉のるいそう、ミオグロブリン尿症に起因する無色尿などを伴う筋無力症があげられる。これはD-体との競合でL-体が欠乏するためにおきると考えられる (PMID:7763283)
・血液透析、無尿症、尿毒症の場合は、DL体は使用を避けること。血液透析後にDL体を静注したところ、筋無力症様の症状が起きた (PMID:7763283)
・慢性肝疾患の場合は、カルニチン代謝の低下、あるいはカルニチン生合成の亢進などが考えられるため、使用を避けること (PMID:8913324) (PMID:8985281)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・人工弁置換術を受け、アセノクマノール (抗凝血剤) を服用中の33歳男性 (スイス) が、ボディビル用L-カルニチン製品を1,000 mg/日、10週間摂取したところ、安定していたINRが上昇、摂取中止により再び安定した (PMID:15340883)
<理論的に考えられる相互作用>
・D-カルニチンは能動輸送の過程でL-カルニチンと競合し、L-カルニチン欠乏症を引き起こすことがあるので、使用しないこと (PMID:7763283) (PMID:10454528)
・アセノクマロールとの併用で、その抗凝固作用を強めることがある (PMID:8429297) 。L-カルニチンを1 g/日摂取で、アセノクマロールの作用を有意に増強する。ワルファリンとの併用で同様の作用が起きるか否かは不明である (94) 。
・てんかん発作の既往症がある人では、カルニチン摂取により発作の頻度や重篤度が増大する (94) 。
・臨床検査値 (CD4/CD8、コレステロール、トリグリセリドなど) に影響を与えることがある (PMID:9573019) (PMID:10335697) (94) 。
・臨床的に有意な相乗効果も期待できない (94) 。

動物他での
毒性試験

・10日齢・22日齢・5週齢のCrj:CD雌雄のラットに、L-塩化カルニチンを経口および腹腔内投与したところ、経口投与によるLD50はそれぞれ、10日齢ラットで雄4,374 mg/kg、雌4,578 mg/kg、22日齢ラットで雄6,127 mg/kg、雌6,299 mg/kg、5週齢ラットで雄6,900 mg/kg、雌6,890 mg/kg、また、腹腔内投与によるLD50は、10日齢ラットで雄3,823 mg/kg、雌4,696 mg/kg、22日齢ラットで雄5,510 mg/kg、雌5,730 mg/kg、5週齢ラットで雄5,455 mg/kg、雌5,762 mg/kg、毒性症状として振せんやよろめき歩行、流涎、下痢、自発運動の低下等を認めた (1989216337) 。
・5週齢のSlc:ddY系雌雄マウスに、L-塩化カルニチンを4経路 (経口、静脈内、皮下、腹腔内) 、また15週齢の日本白色種雌雄ウサギに2経路 (経口、静脈内) の条件で投与したLD50値は、経口投与:マウスで雄8,200 mg/kg、雌8,000 mg/kg、ウサギで雄5,400 mg/kg、雌6,000 mg/kg、静脈内投与:マウスで雄3,100 mg/kg、雌3,640 mg/kg、ウサギで雄1,300 mg/kg、雌1,200 mg/kg、皮下投与:マウスで雄4,400 mg/kg、雌4,320 mg/kg、腹腔内投与:マウスで雄1,690 mg/kg、雌1,800 mg/kgであった (1989120083) 。
・平均月齢7ヶ月の雌雄ビーグル犬40匹に、L-塩化カルニチンを、50〜1,600 mg/kg、53週間連続経口投与したところ、800および1,600 mg/kg投与で嘔吐や下痢が見られたが、50および200 mg/kg投与では差が認められず、無影響量は雌雄とも200 mg/kg/日以下、確実中毒量は800 mg/kg/日以上と推定された (1989120080) 。
・平均月齢7ヶ月の雌雄ビーグル犬44匹に、L-塩化カルニチンを50〜800 mg/kg、13週間連続投与したところ、最大無作用量は雌雄とも200 mg/kg/日以下であった (1989120079) 。
・30〜35日齢のCrj:CD系雌雄ラットに、L-塩化カルニチンを100〜5,000 mg/kg、91日間強制経口投与したところ、最大無作用量は450 mg/kgであった (1989120078) 。
・5週齢のCrj:CD系雌雄ラットに、L-塩化カルニチンを4経路 (経口、腹腔内、皮下、静脈内) で投与したLD50は、経口投与:雄6,900 mg/kg、雌6,890 mg/kg、腹腔内投与:雄1,920 mg/kg、雌2,270 mg/kg、皮下投与:雌雄共に5,000 mg/kg以上、静脈内投与:雄1,590 mg/kg、雌1,440 mg/kgであった。毒性症状としては自発的な運動の減少や耳介皮膚の蒼白、立毛、下痢、外鼻孔周囲被毛の赤褐色汚染などが認められた (1989120077) 。
・約7ヶ月齢の雌雄ビーグル犬にL-塩化カルニチン1,000 mg/kg経口投与、800 mg/kg 2回経口投与、2,000〜2,880 mg/kg静脈内投与したLD50は、経口投与:雌雄共に1,600 mg/kg以上、静脈内投与:雄2,444 mg/kg、雌2,272 mg/kgであった。毒性症状は経口投与で嘔吐や下痢、静脈内投与で嘔吐や呼吸促進、心拍数増加、瞬膜の突出、瞳孔の散大等であった (1989120075) 。
・31〜33日齢のCrj:CD雌雄ラット各30匹に、L-塩化カルニチンを100〜2,000 mg/kg、12ヶ月間強制経口投与したところ、最大無影響量は272 mg/kg/日、確実中毒量は2,000 mg/kg/日であった (1989120074) 。
・妊娠7日のSD系ラットに、L-塩化カルニチンを100〜3,000 mg/kg/日、11日間強制経口投与したところ、出生仔の水T迷路試験では547.7 mg投与および3,000 mg投与、母動物には3,000 mg投与でそれぞれ影響が認められたことから、母動物における一般毒性学的無影響量は547.7 mg/kg/日、生殖に対しては3,000 mg/kg/日、胎仔に対しては3,000 mg/kg/日、出生仔の発育・行動に対しては100 mg/kg/日、出生仔の生殖能力に対しては3,000 mg/kg/日である (1989107747) 。
・L-塩化カルニチンの変異原性をRecアッセイ法、エイムス試験、染色体異常試験にて検討したところ、変異原性は認められなかった (1989107743) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

総合評価

安全性

・経口摂取で適切に用いる場合、おそらく安全である。
・妊娠中における安全性については十分なデータがないので使用を避ける。
・授乳中における経口摂取での安全性が示唆されている。
・経口摂取、静注の副作用としては、吐き気、嘔吐、胸焼け、急激な腹痛、胃炎、下痢、体臭、痙攣が報告されている。
・血液透析、無尿症、尿毒症の場合は、DL体(D-カルニチンとL-カルニチンの混合物)の使用は避ける。
・慢性肝疾患の場合は、カルニチン代謝の低下あるいはカルニチン生合成の亢進などが考えられるため使用を避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・カルニチン欠乏症、末期腎疾患 (ESRD) に対して有効である。
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、1) 狭心症、2) うっ血性心不全、3) 心筋梗塞発作後の合併症や死亡率の低減、4) ジフテリア性心筋炎の発症率や死亡率の低減、5) バルプロ酸の毒性軽減、6) 甲状腺機能亢進症、7) 不妊症、8) 早産児の脂質利用能の向上。
・経口摂取で運動能力や持久力の向上には効果がないことが示唆されている。

参考文献

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