健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

アセチル-L-カルニチン [英]Acetyl-L-carnitine [学名]-

概要

アセチル-L-カルニチンは、細胞内のミトコンドリア内膜に存在するアミノ酸の一つで、酵素 (アセチルトランスフェラーゼ) によりカルニチンに変換される。カルニチンは脂質代謝に関与することから、俗に、アセチル-L-カルニチンの摂取が「ダイエットに効く」と言われているが、ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない。また、アセチル-L-カルニチンが脳内に移行してアセチルコリンの産生を促し、老化やアルツハイマー症による記憶力低下を改善する可能性が示唆されているが、この効果についても、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である。安全性については、適切に経口摂取する場合は安全性が示唆されている。妊娠中・授乳中の安全性については、信頼できるデータが十分でないため使用は避ける。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。
カルニチンの情報については、「カルニチン」の素材情報を参照して下さい。サイトはこちらです→ カルニチン

法規・制度

-

成分の特性・品質

主な成分・性質

・生体内ではミトコンドリア内膜に存在する。アセチルトランスフェラーゼによってカルニチンに変換される。

分析法

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・加齢によるテストステロン欠乏に対して、経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・男性ホルモンが低下している高齢男性120名 (平均66歳、イタリア) を対象とした無作為化比較試験において、プロピル-L-カルニチン2 g/日とアセチル-L-カルニチン2 g/日を6ヶ月間併用したところ、テストステロン2g/日を摂取した場合と同程度に性機能不全、抑うつ、疲労などの症状が改善した (PMID:15072869)
・血糖値が高めの成人29名 (試験群14名、平均31±3歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、アセチル-L-カルニチン3 g/日を8週間摂取させたところ、空腹時の血中硝酸/亜硝酸濃度の上昇がみられたが、血糖値、HbA1c濃度、インスリン抵抗性 (HOMA-IR) 、食後血糖AUCに影響は認められなかった (PMID:19490608)

生殖・泌尿器

一般情報
・不妊症に対して有効性が示唆されている。アセチル-L-カルニチンをL-カルニチンと組み合わせて6ヶ月間摂取したところ、不妊症の男性の精子の運動能が改善したという知見がある (PMID:15193480) 。妊娠に結びついた例もあるが、有意差は十分ではなかった (PMID:15193480) 。また、無菌性の前立腺副睾丸炎による不妊症の人がアセチル-L-カルニチンとL-カルニチン、非ステロイド系抗炎症剤を併用摂取したところ、精子数と運動能が改善したという知見がある (PMID:12477513)
・ペーロニー病 (男性の性器組織に柵状物のできる疾患) に対して有効性が示唆されている (94) 。ペーロニー病の患者48名 (イタリア) を対象とした無作為化比較試験においてアセチル-L-カルニチン2 g/日を3ヶ月間摂取させたところ、痛みの減少、症状の進行の抑制がみられた (PMID:11446848)

脳・神経・
感覚器

一般情報
・アルツハイマー病の進行を遅らせる目的で、経口摂取は有効性が示唆されている。アセチル-L-カルニチンはアルツハイマー病の進行を遅らせ、記憶を改善し、認知能や行動性などいくつかの機能を改善する可能性がある。66歳以下の患者、あるいは進行が速い患者において、より効果が現れる (PMID:8797468) (PMID:1444880) (PMID:1944900) (PMID:9677506) (PMID:7723928) (PMID:2178869)(PMID:12598816)(PMID:12804452) 。進行が遅い患者ではメリットがないと思われる (94) (PMID:8797468) 。アセチル-L-カルニチンをコリンエステラーゼ阻害剤と比較した報告はない (94) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。
・老化による記憶力の減退が見られる高齢者において、認知能や記憶を改善するのに有効性が示唆されている (PMID:2178869) (PMID:7813389) (94) 。
・複数の臨床試験によると、経口摂取で高齢者の気分変調や抑うつの症状を軽減することが示唆されている (PMID:2099360) (PMID:2205455) (PMID:3308388) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。
・認知障害が認められる禁酒中のアルコール依存症患者 (30〜60歳代) において、アセチル-L-カルニチン2 g/日の経口摂取で、記憶力と空間視覚に関する (visuo-spatial) 能力の改善に有効性が示唆されている (PMID:2201652) (94) 。
・糖尿病性神経障害に対して有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2014年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験3報において、末梢神経障害患者におけるアセチル-L-カルニチンの摂取は、VAS (visual analog scale) における神経障害性疼痛の軽減と関連が認められた (PMID:25751285)
RCT
・糖尿病性神経障害患者333名 (18歳以上、試験群167名、イタリア) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、最初の10日間は1,000 mg/日を筋注し、その後1年間2,000 mg/日を経口摂取させたところ、神経生理学的指標 (神経伝導速度および感覚と運動の振幅) の改善と疼痛の軽減が見られた (PMID:12455197)
・糖尿病性神経障害患者1,346名 (18〜72歳、アメリカ) を対象とした多施設無作為化二重盲検比較試験において、アセチル-L-カルニチンを500または1,000 mg×3回/日、52週間摂取させたところ、500 mgでは効果が見られないが、1,000 mgで疼痛の緩和が認められた (PMID:15616239)
・注意欠陥多動性障害 (ADHD) の小児112名 (試験群53名、平均8.4±2.3歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、アセチル-L-カルニチン500〜1,500 mgを2回/日、16週間摂取させたところ、ADHDの症状に効果は認められなかった (PMID:18315451)
・注意欠陥多動性障害 (ADHD) の小児40名 (試験群20名、平均8.84±2.03歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、メチルフェニデート (中枢刺激薬) 20〜30 mg/日と共にアセチル-L-カルニチン500〜1,500 mg/日を6週間摂取させたところ、ADHDに対するメチルフェニデートの効果に影響は認められなかった (PMID:21336630)
・脆弱性X症候群で注意欠陥多動性障害 (ADHD) のある男児51名 (6〜13歳、試験群24名、イタリア) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、アセチル-L-カルニチン (海外での医薬品規格) を100 mg/日、1年間摂取させたところ、行動評価尺度 (CGI-P、CGI-T) やヴァイランド適応行動尺度 (VABS) の評価が改善した (PMID:18286595)
・肝性脳症を伴う肝硬変患者125名 (平均48±10歳、試験群65名、イタリア) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、アセチル-L-カルニチン2 g×2回/日を90日間摂取させたところ、プロトロンビン時間の短縮、血清ビリルビン値・AST値・空腹血清NH4値の低下、血清アルブミン濃度の上昇、と各種神経心理学・認知機能検査 (Trail Making Test、 Block Design Test、Symbol Digit Modalities Test、 Auditory Verbal Learning Test、Mini Mental State Examination) の改善がみられた (PMID:18357530)
・双極性うつ病患者40名 (試験群20名、平均46±10.3歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、アセチル-L-カルニチン1,000〜3,000 mg/日+α-リポ酸600〜1,800 mg/日を12週間摂取させたところ、うつ病評価指標 (モンゴメリー/アスベルグうつ病評価尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、臨床全般印象度、ヤング躁病評価尺度) 、脳のエネルギー代謝関連指標 (クレアチンリン酸、pH、NTP) に影響は認められなかった (PMID:23948785)

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

RCT
・線維筋痛症患者102名 (18歳以上、試験群42名、イタリア) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、アセチル L-カルニチンの経口投与 (1,000 mg/日) と筋注 (500 mg/日) の併用を2週間、その後8週間は経口投与 (1,500 mg/日) した結果、疼痛閾値および痛みのある圧痛点の減少が見られた (PMID:17543140)

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

RCT
・片頭痛持ちの健常者72名 (平均39±12歳、ノルウェー) を対象とした三重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、アセチル-L-カルニチン1.5 g/日を1週間、3 g/日を11週間、合計12週間摂取させたところ、頭痛の発生日数や持続期間、鎮痛剤の使用量、自覚症状、抑うつ・不安評価 (HADS) に影響は認められなかった (PMID:25601916)





試験管内・
動物他での
評価

・in vitro 試験で、アセチル-L-カルニチンとL-カルニチンを添加すると精子の運動能に増加がみられた (PMID:20416)

安全性

危険情報

<一般>
・適切に経口摂取する場合は安全性が示唆されている (94) 。しかし、限られたデータしかないので、医療目的に使用する際は血球数、肝機能、腎機能をモニターすることが推奨されている (64) 。
・副作用として、吐き気、嘔吐、興奮 (agitation) が知られている (PMID:1944900) (PMID:2178869) (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・安全性について信頼できる情報が十分にないので、使用を避ける (94) 。
<その他>
・アルツハイマー病の患者において、うつ状態、躁、錯乱、攻撃性などの精神障害が報告されているが、アセチル-L-カルニチンによるものか、疾患そのものによるものかは明確ではない (94) 。
・加齢に伴うテストステロン欠乏に使用する場合、テストステロンとは異なり、6ヶ月の摂取では前立腺の肥大もしくは前立腺特異抗原の増加は起こさなかった (PMID:15072869)
・HIVで多発性神経障害のある患者90名 (試験群43名、平均43.1歳、イタリア) を対象とした無作為化比較試験において、アセチル-L-カルニチン500 mg×2回/日の筋内注射を14日間、もしくは2,000 mg/日の経口摂取を42日間行っても有害な事象は認められなかった (PMID:17461852)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・乳がんの化学療法中の女性409名 (試験群208名、中央値52歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、アセチル-L-カルニチン3,000 mg/日を24週間摂取させたところ、化学療法による末梢神経障害の症状が悪化した (FACT-NTX、FAC-TOIスコアの低下) (PMID:23733756)
<理論的に考えられる相互作用>
・D-カルニチンは能動輸送の過程でL-カルニチンと競合し、L-カルニチン欠乏症を引き起こすことがあり、アセチル-L-カルニチン欠乏も起こす可能性があるため、併用を避ける (PMID:7763283) (PMID:10454528) (94) 。
・L-カルニチンがアセノクマロールと併用することで抗凝固作用を増強することがあり、アセチル-L-カルニチンとも相互作用を起こす可能性がある (94) 。従って、ワルファリンを使用している患者は注意して使用すること (94) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・適切に経口摂取する場合、安全性が示唆されている。
・妊娠中・授乳中における安全性については、信頼できるデータが十分ではないため使用を避ける。
・経口摂取の副作用としては、吐き気、嘔吐、興奮などがある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
経口摂取で有効性が示唆されているのは、
1) アルツハイマー病の進行の遅延
2) 老化による記憶力の減退がみられる高齢者の認知能や記憶の改善
3) 30〜60歳代の認知障害のある禁酒中のアルコール依存症患者における記憶力と空間視覚能力の改善
4) 糖尿病性神経障害
5)加齢に伴うテストステロン欠乏
6)不妊症
7)ペ−ロニー病 (男性の性器組織に柵状物のできる疾患) 。

参考文献

(64) 健康食品データベース 第一出版 Pharmacist's Letter/Prescriber's Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳
(PMID:2201652) Int J Clin Pharmacol Res. 1990;10(1-2):101-7.
(PMID:8797468) Neurology. 1996 Sep;47(3):705-11.
(PMID:1444880) Arch Neurol. 1992 Nov;49(11):1137-41.
(PMID:9677506) Int Psychogeriatr. 1998 Jun;10(2):193-203.
(PMID:7723928) Neurobiol Aging. 1995 Jan-Feb;16(1):1-4
(PMID:7813389) Drugs Exp Clin Res. 1994;20(4):169-76.
(PMID:2201659) Int J Clin Pharmacol Res. 1990;10(1-2):75-9.
(PMID:12598816) Int Clin Psychopharmacol. 2003 Mar;18(2):61-71.
(PMID:12477513) Fertil Steril. 2002 Dec;78(6):1203-8.
(PMID:11446848) BJU Int. 2001 Jul;88(1):63-7.
(PMID:12804452) Cochrane Database Syst Rev. 2003;(2):CD003158.
(PMID:1944900) Neurology. 1991 Nov;41(11):1726-32.
(PMID:2178869) Curr Med Res Opin. 1990;11(10):638-47.
(PMID:15072869) Urology. 2004 Apr;63(4):641-6.
(PMID:15193480) Fertil Steril. 2004 Jun;81(6):1578-84.
(PMID:2099360) Int J Clin Pharmacol Res. 1990;10(6):355-60.
(PMID:2205455) Drugs Exp Clin Res. 1990;16(2):101-6.
(PMID:20416) Int J Fertil. 1977;22(2):85-91.
(PMID:3308388) Drugs Exp Clin Res. 1987;13(7):417-23.
(PMID:12455197) Drugs R D. 2002;3(4):223-31.
(PMID:15616239) Diabetes Care. 2005 Jan;28(1):89-94.
(PMID:7763283) Biochem Pharmacol. 1995 May 17;49(10):1403-10.
(PMID:10454528) J Pharmacol Exp Ther. 1999 Sep;290(3):1482-92.
(PMID:17543140) Clin Exp Rheumatol. 2007 ;25(2):182-8.
(PMID:18286595) Am J Med Genet A. 2008 Apr 1;146(7):803-12.
(PMID:1746852) HIV Med.2007 May;8(4):241-50.
(PMID:18357530) Dig Dis Sci. 2008 Nov;53(11):3018-25.
(PMID:18315451) J Child Adolesc Psychopharmacol. 2007 Dec;17(6):791-802
(PMID:19490608) Nutr Metab (Lond). 2009 Jun 2;6:25.
(PMID:21336630) Child Psychiatry Hum Dev. 2011 Jun;42(3):367-75.
(PMID:23733756) J Clin Oncol. 2013 Jul 10;31(20):2627-33.
(PMID:23948785) J Clin Psychopharmacol. 2013 Oct;33(5):627-35.
(PMID:25751285) PLoS One. 2015 Mar 9;10(3):e0119479.
(PMID:25601916) Cephalalgia. 2015 Oct;35(11):987-95.
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(94) Natural Medicines