健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

植物ステロール [英]Phytosterol [学名]

概要

植物ステロールは、動物ではコレステロールに相当するようなもので、高等植物に含まれるステロールの総称である。β-シトステロール、カンペステロールが 一般的に知られており、植物油、特に胚芽油に多く含まれる。一般に食品添加物(乳化剤)として使用が認められている。俗に「コレステロールを低下させる」などといわれている。ヒトでの有効性については、β-シトステロール、シトスタノールは高コレステロール血症に対して経口摂取で有効性が示唆されている。安全性については、β-シトステロール、シトスタノールは適切に用いれば、経口摂取で安全性が示唆されている。β-シトステロールの経口摂取での副作用はまれであるが、吐き気、消化不良などを引き起こすことがある。妊娠中・授乳中の安全性については充分なデータがないので過剰摂取は避ける。植物ステロールエステルやスタノールエステルを関与成分とする特定保健用食品が許可されている。有効性及び安全性について、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)にて、ファクトシート(科学的知見に基づく概要書)がまとめられている。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される(30)。特定保健用食品がある。

成分の特性・品質

主な成分・性質

植物ステロール。高等植物中に含まれるステロイド骨格をもつアルコールの総称。24位にアルキル基(メチル基、エチル基など)を有する点で、構造上、動物ステロールと異なっている。シトステロール、スチグマステロール、スピナステロールが代表的な植物ステロールで、植物中に遊離あるいは脂肪酸エステルとして存在する。

分析法

ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC-MS)と水素塩イオン化検出器がついたガスクロマトグラフィーを用いた測定(PMID:15113154)や、水素塩イオン化検出器を装着したガスクロマトグラフィー(GLC-FID)を用いた分析法がある(PMID:15113163)

有効性








循環器・
呼吸器


・β-シトステロール、シトスタノールは高コレステロール血症に対して経口摂取でおそらく有効と思われる(66)。β-シトステロールは高コレステロール血症患者において、血中の総コレステロールおよびLDLコレステロール濃度を有意に低下させ、HDLコレステロール濃度には影響がない、あるいはほとんどなかったという報告がある(66)(PMID:9630383)。シトスタノールは通常、食品に添加して摂取される。シトスタノールを単独で、あるいは他の低脂肪食や抗高脂血症薬とともに摂取した高コレステロール血症患者の88%で、総コレステロール値、LDL-コレステロール値が低下したという研究があり、シトスタノール単独摂取で10-15%の低下がみられたという(66)。
・植物ステロールおよびスタノールの血中コレステロール低下効果を検討した臨床試験をまとめて評価したところ、植物ステロールおよびスタノールの効果はほぼ同等であり、遊離型換算で0.8g/日が最小有効摂取量であったという報告がある(2002260705)。
・LDLコレステロール値の低下に有効な植物ステロールの摂取量は2〜3g/日であり、これ以上摂取しても効果は増大しないという報告がある(101)。
・シトスタノールは小児における家族性高コレステロール血症に対して経口摂取で有効性が示唆されている(66)。
・シトスタノールは健康な小児のコレステロール値を下げるのに経口摂取で有効性が示唆されている(66)。シトスタノールを含むマーガリンを摂取することによって、健康な小児のコレステロール値を下げたという知見がある。しかし、正常なコレステロール値を下げることの効用は知られておらず、小児への使用はLDL-コレステロールが190mg/dL以下の場合は勧められない(66)。
・植物ステロールエステルを関与成分とした特定保健用食品が許可されている。表示例は「コレステロールの吸収を抑制する働きのある植物ステロールの配合により、特にLDLコレステロールを下げるのが特徴です」など。
・境界域および軽度高コレステロール血症の日本人成人男性61名(試験群31名)を対象とした二重盲検試験において、遊離型植物ステロール800mgを含む低エネルギーマヨネーズを1日15g、毎日夕食後に12週間摂取させたところ、血清中性脂肪、総コレステロールおよびLDLコレステロール濃度の低下が認められたという報告がある(2005237085)。
・境界型または軽度高コレステロール血症の55名(試験群26名)を対象とした二重盲検試験において植物ステロール884mgを含むマヨネーズを1日15g、3ヶ月摂取させたところ、総コレステロールおよびLDLコレステロール値が低下したという報告がある(2005139539)。
・健常男性15名を対象としたクロスオーバー試験において、植物スタノールエステル210mgを添加した食事を単回摂取させたところ、空腹時血清トリグリセリド値(TG)が130mg/dL以上の人では食後のTGの血清濃度-時間曲線下面積(AUC)の低下が認められ、また総コレステロール値が220mg/dL以上の人ではVLDLコレステロールとレムナント様リポ蛋白コレステロールの低下が認められたという報告がある(2002096075)。
・健常女性20名(平均年齢20.4歳)を対象に植物ステロール(シトステロール78%含有)を1日1-3g,5日間摂取させたところ、植物ステロールの適切な投与量はシトステロールとして1-2g、またより効果的なコレステロール低下作用を発現させるためにはコレステロールとシトステロールを同時に摂取することが必要であるとの報告がある(1986032712)。
・総コレステロール値がわずかに高い健常男性67名(24-59歳、試験群45名)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、植物ステロール添加植物油14g(植物ステロール0.29-0.45g含有)を添加したパンを2-3回/日、4週間摂取させたところ、血清中の総コレステロール値、LDLコレステロール値が低下したという報告がある(2006019587)。
・正常コレステロール値の健常男性22名(21-58歳、試験群11名)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、植物ステロールエステル強化植物油42g(植物ステロール1.336g含有)を添加したパンを2-3回/日、4週間摂取させたところ、血清中のLDLコレステロール、アポリポタンパクB濃度が低下したという報告がある(2006019584)。
・高コレステロール血症の男女50名(40.36±13.47歳、試験群25名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、植物ステロールエステル2.6g/日含有の大豆飲料200mgを8週間摂取させたところ、総コレステロール値、LDL-コレステロール値、非HDL-コレステロール値(総コレステロール値-HDLコレステロール値)の低下が認められたという報告がある(PMID:18837970)
・1980-2007年を対象に5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、成人による植物ステロールもしくは植物スタノール、植物ステロールエステルの3週間-1年の摂取は、血清中のLDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪の低下と関連していたという報告がある(PMID:19713176)


消化系・肝臓

β-シトステロールは胆石に対して経口摂取でおそらく効果がないと思われる(66)。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

β-シトステロールは良性の前立腺肥大に対して経口摂取でおそらく有効と思われる。良性の前立腺肥大において、尿症状を有意に改善し、最大尿流量を上昇させ、排尿後の残尿量を減少させたが、前立腺の大きさには影響を与えなかったという報告がある(66)(PMID:7540705)

脳・神経・
感覚器

・健康男女47名(平均60歳、試験群31名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、植物ステロールもしくは植物スタノール含有マーガリン(植物ステロールもしくは植物スタノールとして2.5g/日)を85週間摂取させたところ、血清ルテイン/ゼアキサンチン濃度に影響はあったが、黄斑色素濃度:MPOD(眼の健康のマーカー)に影響は認められなかったという報告がある(PMID:18986598)

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

β-シトステロールは結核に対する治療補助剤としては、経口摂取で効果がないことが示唆されている。結核に対して従来の治療に加えてβ-シトステロールを投与したところ、リンパ球数は増加したが、治癒までの期間を短縮させることはなかったという知見が複数ある(66)。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

・β-シトステロール、シトスタノールは適切に用いれば、経口摂取でおそらく安全と思われる(66)(101)。β-シトステロールの経口摂取は18ヶ月まで安全とされる(66)。シトスタノールの経口摂取は1年まで安全とされる(66)。
・妊娠中・授乳中におけるβ-シトステロール、シトスタノールの安全性については、充分なデータがないので使用は避ける(66)。
・小児においてシトスタノールは短期間、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われる(66)。小児への使用は3ヶ月まで安全とされる(66)が、それ以上の使用は充分なデータがないので避ける。
・β-シトステロールの経口摂取での副作用はほとんどないが、吐き気、消化不良、ガス、下痢、便秘が起こる可能性がある(66)。
・シトスタノールの経口摂取での副作用は、成人および小児での臨床試験においては報告されていない(66)。しかし、コレステロールの腸管での吸収を低下することから、下痢や脂肪便などの症状が出る可能性はあると思われる(66)。
・51歳女性(イギリス)が血中コレステロール低下を目的に、植物ステロールを含むサプリメントを7日間摂取し(摂取量不明)、全身に発疹が生じたという報告がある(PMID:19438564)

禁忌対象者

シトステロール血症患者に対して、β-シトステロールおよびそのグリコシド体であるシトステロリンは禁忌である(66)(101)。

医薬品等との
相互作用

・β-シトステロールおよびシトスタノールはカロテンとの併用、β-シトステロールはビタミンEとの併用摂取でそれらの吸収や血中濃度を低下させることがある(PMID:10731187)
・植物ステロールは脂溶性ビタミン、特にβ-カロテンの吸収をわずかに阻害する(101)。
・コレステロール値が高めの成人36名を対象に、植物ステロールエステル含有マヨネーズを通常の3倍量(1日45g、植物ステロールエステル2,742mgを含む)で4週間摂取したところ、血清中の植物ステロール濃度の上昇とβ-カロテン濃度の低下が認められたが、臨床的に問題となる値ではなかったという報告がある(2004202144)。
・β-シトステロールおよびシトスタノールはコレステロール低下作用のあるハーブやサプリメント、抗高脂血症薬との併用で、それらの作用を増強することがある(66)。また、臨床検査値においてコレステロール値に影響を与えることが考えられる(PMID:9630383)
・プラバスタチンとの併用で、β-シトステロールの血中濃度が低下するという知見がいくつかある(PMID:9225210)
・シトステロール血症(遺伝による脂質代謝異常のひとつ)の人において、β-シトステロール摂取は症状を悪化させる恐れがある(66)。
・シトスタノールは疾病などの健康状態に対する影響は知られていない(66)。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

参考文献中に記載なし

総合評価

安全性

・β-シトステロール、シトスタノールは適切に用いれば、経口摂取でおそらく安全と思われる。
・妊娠中・授乳中の安全性については充分なデータがないので、使用は避ける。
・小児において、シトスタノールは短期間(3ヶ月)、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われるが、それ以上の使用は充分なデータがないので避ける。
・β-シトステロールの経口摂取での副作用はほとんどないが、吐き気、消化不良、ガス、下痢、便秘が起こることがある。
・禁忌として、シトステロール血症患者に対するβ-シトステロールおよびそのグリコシド体の使用。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取でおそらく有効と思われるのは、1)β-シトステロールとシトスタノールの高コレステロール血症に対する作用、2)β-シトステロールの良性の前立腺肥大に対する作用 。
・シトスタノールの経口摂取で有効性が示唆されているのは、1)小児の家族性高コレステロール血症、2)健康な小児のコレステロール値の低下。
・β-シトステロールは胆石に対して経口摂取でおそらく効果がないと思われる。
・β-シトステロールは結核の補助治療に対して効果がないことが示唆されている。
・植物ステロールエステルを関与成分とした特定保健用食品が許可されている。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(66) Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Database(2006)
(PMID:15113154)J Agric Food Chem. 2004 May 5;52(9):2546-8.
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(PMID:10731187)BMJ. 2000 Mar 25;320(7238):861-4.
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