健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ヒアルロン酸 [英]Hyaluronic acid [学名]Hyaluronan

概要

ヒアルロン酸は、眼の硝子体成分として発見された多糖で、N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が交互に連続した構造をとる高分子化合物である。粘性が高く、動物の結合組織の成分として、皮膚、腱、筋肉、軟骨、脳、血管などの組織中に広範に分布している。生体内では細胞接着や細胞の移動などを制御していることが知られている。加齢とともに減少することから、関節炎などに対する効果や美肌効果などが期待されている。俗に、「関節痛を和らげる」「美肌効果がある」と言われているが、経口摂取によるヒトでの有効性については信頼できる十分なデータは見当たらない。外用として口腔粘膜炎症の治療に、眼内注射として白内障治療の補助剤として、関節内投与 (注射製剤の精製ヒアルロン酸ナトリウムとして)として骨関節炎の治療に利用されるものがあるが、これらは医薬品であり、経口摂取するものではない。安全性については、適切に経口摂取すればおそらく安全である。ただし、妊娠中の経口摂取や授乳中の経口および非経口での使用は、安全性に関する十分なデータがないため、利用を避ける。注射製剤の関節内投与の副作用としてアレルギー反応が起こることがある。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・ヒアルロン酸は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料) 」に区分される (30) 。
・[既存添加物]:製造用剤である (103) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・β-D-N-アセチルグルコサミンとβ-D-グルクロン酸が交互に結合してできた直鎖状の高分子多糖。
・既存添加物として許可されているヒアルロン酸には、鶏冠から抽出したものと細菌 (Streptcoccus zooepidemicus) 培養液から調製したものがあり、それぞれに調整法が示されている (103) 。

分析法

・HPLC法やカルバゾール法により分析されているが、より高感度である高性能キャピラリー電気泳動 (high-performance capillary electrophoresis; HPCE) 法を用いた方法が報告されている (PMID:10701415) 。検出限界は、10μg/mLである。

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

RCT
・粘膜障害のない胃食道逆流症の患者20名 (平均55±18歳、イタリア) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ヒアルロン酸+コンドロイチン硫酸シロップをスプーン1杯/日 (詳細摂取量不明) 、14日間摂取させたところ、胃食道逆流症の症状スコアの低下が認められた (PMID:24379055)

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・白内障治療の補助剤として、眼内注射はおそらく有効である (94) 。この用途以外にも角膜移植、レンズ挿入、緑内障のフィルタリング手術に対する使用がFDAにより認められている (94) 。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・骨関節炎の治療に、関節内投与は有効性が示唆されている (94) 。この用途はFDAで認められているにも関わらず、その効果にはバラツキがある。主観的な関節のこわばりや痛みはヒアルロン酸治療によりやや改善される が、臨床的に有意でない場合もある (94) 。長期使用による症状進行の遅延などについては不明である (94) 。
・口腔粘膜の炎症の治療に、外用でおそらく有効である (94) 。この用途に対する口腔ゲルの使用は米国のFDAで認められている (94) 。
メタ分析
・2003年2月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験22報について検討したメタ分析において、変形性膝関節症患者によるヒアルロン酸の関節内注入は、痛みの減少にわずかな効果が認められたが、試験の質が低く、さらなる検討が必要である (PMID:14679274)
・2009年2月までを対象に5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験7報について検討したメタ分析において、変形性膝関節症患者による2週間の ヒアルロン酸の関節内注入は、副腎皮質ステロイド注入に比べて効果が認められなかったが、4週間、12週間、26週間投与では、副腎皮質ステロイドよりも痛みの減少が認められた (PMID:19950318)
RCT
・変形性膝関節症患者38名 (試験群18名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、筋力トレーニングと共に微生物発酵により製造した純度約97%のヒアルロン酸 (分子量約90万) を200 mg/日、12ヶ月間摂取させたところ、70歳以上では影響は認められず、70歳以下 (平均63.6±0.9歳、21名) において、症状の評価 (JKOMスコア) 5項目中1項目のみ改善が認められた (PMID:23226979)
・膝関節痛を有する43名 (試験群21名、平均62.4±12.5歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、鶏冠抽出物を630 mg/日 (ヒアルロン酸約60 mg/日含有)、16週間摂取させたところ、運動療法と併用した者22名 (試験群11名、平均66.9±14.3歳) においてのみ 、階段昇降能や膝の痛みの改善が認められた (PMID:22993606)
・膝関節痛を有する24名 (試験群13名、平均51.7±4.2歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、鶏冠抽出物を630 mg/日 (ヒアルロン酸約60 mg/日含有)、2週間摂取させたところ、膝の痛みや違和感の自己評価 (VAS) が改善した (2008254316) 。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

RCT
・乾燥肌あるいは肌荒れで悩んでいる35名 (平均31.5±13.3歳、試験群17名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、鶏冠から抽出したヒアルロン酸を120 mg/日、4週間摂取させたところ、肌の水分量、皮膚画像解析による皮膚の状態に影響は認められなかった (2003182010)。
・乾燥肌に悩んでいる39名 (平均43.6±4.6歳、試験群19名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、鶏冠から抽出したヒアルロン酸を120 mg/日、6週間摂取させたところ、角層水分量、皮膚弾力性や皮膚のシワおよびキメの画像解析に影響は認められなかった(2007256344) 。
・乾燥肌で肌荒れ傾向の22名 (平均26.7±6.6歳、試験群11名、日本) に、鶏冠から抽出したヒアルロン酸を240 mg/日、6週間摂取させたところ、顔および全身の肌の状態の評価13項目中3項目のみ改善が認められた (2001235732) 。
・乾燥肌あるいは肌荒れに悩んでいる42名 (平均43.3±4.6歳、試験群20名、日本) に、微生物発酵により製造したヒアルロン酸 (平均分子量30万) を120 mg/日、6週間摂取させたところ、摂取終了2週間後でのみ皮膚水分量の増加が認められたが、摂取中の皮膚水分量や、皮膚弾力性、皮膚のシワおよびキメの画像解析などに影響は認められなかった (2009346196) 。
・乾燥肌傾向の成人女性38名 (試験群13名、平均37.6±2.6歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ヒアルロン酸50 mg/日を8週間摂取させたところ、角層水分量および医師による皮膚の乾燥所見に影響は認められなかった (2008286559) 。
・健常成人女性61名 (平均43.41±0.61歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、分子量300 kDa (20名、平均43.90±1.06歳) または800 kDa (19名、平均43.68±1.23歳) のヒアルロン酸120 mg/日を6週間摂取させたところ、試験終了2週間後でのみ、300 kDaヒアルロン酸摂取群で皮膚の水分量の増加と自己評価の改善が認められたが、皮膚粘弾性には影響が認められなかった (2016045657) 。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に利用すれば、おそらく安全である (94) 。
・注射製剤の副作用として、発赤、激しい痛みが起こることがある (94) 。
・関節内注射の副作用として、関節痛、関節の凝り、出血、腫れ、などを生じる可能性がある (94) 。
・眼内注射により、眼圧が高まる可能性がある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中の経口摂取の安全性については信頼できる十分なデータが見当たらないので使用を避ける (94) 。
・授乳中は非経口摂取でも危険性が示唆されている (94) 。ヒアルロン酸が母乳中に分泌されるか否かは不明であるため、経口、非経口での使用を避ける (94) 。
<被害事例>
・アレルギーの症例は下記の通り。
1) 45歳女性 (イギリス) が、顔のしわにヒアルロン酸0.7 mLを皮下注入したところ、3日後に注入部に紅斑性腫脹を生じた (PMID:11966800)
2) シェーグレン症候群の72歳男性 (日本) が、ヒアルロン酸点眼薬を5日間使用したところ、眼の周囲に発赤腫脹が生じ、パッチテストにて同剤による接触性皮膚炎と診断された (2004278308) 。
3) 1995年〜1999年に (スイス) 、美容のためのヒアルロン酸皮下注入によるアレルギー症状が8件報告されている (詳細不明) (PMID:11207696)
4) 健康な27歳女性 (トルコ) が、24 mg/mLヒアルロン酸1 mL (0.3%リドカイン含有充填剤) を上下の唇に注射したところ、数分後に注入部に浮腫を生じた。ヒアルロン酸を原因とする過敏症反応の疑いが強いと考えられ、抗ヒスタミン薬の使用により改善した (PMID:25798402)

・71歳女性と85歳女性 (アメリカ) がグルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、メチルスルフォニルメタン、Chinese skullcap (コガネバナ) 、black catechu (アセンヤクノキ) を含むサプリメント製品を約3週間摂取 (2〜4粒/日、各成分の摂取量不明) したところ、肝障害を呈したが、サプリメントの摂取を中断後に回復した (PMID:20586134)
・74歳男性 (日本) がコンドロイチン、ヒアルロン酸を4ヶ月間摂取したところ (摂取量不明) 、乾性咳嗽が生じて医療機関を受診、摂取中止により改善したため、当該製品が原因の薬剤誘起性肺炎と診断された (2013330055) 。
・25歳男性 (プエルトリコ) が、ヒアルロン酸皮膚充填剤を50 mL以上 (通常1.5〜6 mL) 注射したところ、翌日より5日間呼吸困難と空咳が続き医療機関を受診。過剰量のヒアルロン酸注射を原因とするびまん性肺胞出血と診断された (PMID:24826208)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

調べた文献の中に見当たらない。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・ヒアルロン酸ナトリウムを投与:ラット経口800 mg/kg以上、マウス経口2,400 mg/kg以上、ウサギ経口 1 g/kg以上 (91) 。
2.TDLo (最小中毒量)
・ヒアルロン酸ナトリウムを投与:ラット経口 (間欠的) 2,275 mg/kg/13週 (91) 。
3.NOAEL (最大無毒性量)
・ヒアルロン酸を投与:ラット経口 (雄) 3,462 mg/kg/日、(雄) 3,563 mg/kg/日 (2012198983) 。
4.NOEL (無影響量)
・ヒアルロン酸ナトリウムを投与:ラット腹腔内9 mg/kg/日 (1986054996) 。
5.その他
・ヒアルロン酸ナトリウム (平均分子量240万) をマウスに最大300 mg/kgを24時間の間隔をあけて2回腹腔内投与したところ、小核試験による変異原性は認められなかった (1993096281) 。
・ヒアルロン酸ナトリウムをマウス (腹腔内) 、ラット (皮下) 、モルモット (皮下) に投与したところ、抗原性は認められなかった (1993096277) 。
・in vitro試験において、ヒアルロン酸ナトリウム (平均分子量188万) に変異原性は認められなかった (1992128941) 。
・高分子ヒアルロン酸をラットの腹腔内に 3ヶ月間投与したところ、投与直後および35日間の回復試験後に毒性は認められなかった (1985141579) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・適切に用いれば、おそらく安全である。
・妊娠中の経口摂取での安全性については信頼できる十分なデータがないので使用を避ける。適切な非経口使用は安全性が示唆されている。
・授乳中の経口摂取での安全性については信頼できる十分なデータがないので使用を避ける。非経口使用は危険性が示唆されている。
・関節内投与の副作用として、発赤、激しい痛み、アレルギー反応が起こることがある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取によるヒトでの有効性については信頼できるデータは見当たらない。
・外用で口腔粘膜の炎症の治療や、眼内注射の白内障治療の補助剤としては、おそらく有効である。
・関節内投与で骨関節炎の治療に有効性が示唆されている。

参考文献

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