注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
クレアチン [英]Creatine (=メチルグリコシアミン) [学名]-
概要
クレアチンはアミノ酸の一種で、体内で合成され、大部分がクレアチンリン酸として筋肉に存在している。クレアチンリン酸は、筋肉が収縮する際にエネルギーとなるATPの再生に使用される。俗に、「持久力を高める」、「疲労を回復する」などといわれている。ヒトでの有効性については、短時間の激しい運動を繰り返す際に、経口摂取で運動能力を高めることが示唆されている。安全性については、適切に経口摂取すれば安全性が示唆されているが、妊娠中・授乳中については十分なデータがないので使用は避ける。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。
法規・制度
「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される(30)。
成分の特性・品質
主な成分・性質
C4H9N3O2、分子量(MW)131.13。90%が筋肉に存在し、心筋に多く平滑筋には少ない。
分析法
血清、尿中のクレアチンの測定方法(Folin法、酵素法)が報告されている(101)(1995177194)。血清、尿中のクレアチンが質量分析器(MS)(PMID:9367508)または紫外可視検出器(検出波長210, 200nm)(PMID:10950297)(103)を装着した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析されている。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
・うっ血性心不全(CHF)に対して経口摂取で有効性が示唆されている。経口摂取でうっ血性心不全患者の運動耐性を改善したが、駆出分画に対する影響はみられなかったという報告がある(66)(PMID:7585833)。 ・慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者80名(試験群38名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、クレアチン22 g/日を5日間、その後3.76 g/日を7週間まで摂取させたところ、筋肉生検ではクレアチン含量の増加が認められたが、健康状態の指標(漸増シャトルウォーキングテスト等)に変化は認められなかったという報告がある(PMID:18420964)。
消化系・肝臓
調べた文献の中に見当たらない。
糖尿病・内分泌
・マッカードル病(5型糖原病:筋肉のグリコーゲンホスホリラーゼの欠損に起因する糖原病で、正常な化学構造の糖原が筋肉に蓄積する)の治療に経口摂取で有効性が示唆されている(66)(PMID:10891977)。予備的な臨床知見によると、日常的に高濃度のクレアチンを摂取した結果、運動能力が改善し、運動後の筋肉痛が低減した人もみられたという(66)。 ・II型糖尿病患者25名 (試験群13名、平均57.5±5歳、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、運動プログラムと共に、クレアチン5 g/日を12週間摂取させたところ、HbA1c、食後の血糖曲線下面積の低下が認められたという報告がある (PMID: 20881878) 。
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
脳回転状網膜脈絡膜萎縮の治療に経口摂取で有効性が示唆されている。クレアチン摂取によって、同病患者における視力衰退の進行が遅くなったという報告がある(66)。
免疫・がん・炎症
関節リウマチに対して経口摂取は効果がないことが示唆されている(66)。
骨・筋肉
・短期間の激しい運動の繰り返しの際に、運動能力(特に筋肉の)を高める目的での経口摂取は有効性が示唆されている。多数の研究から、クレアチンはある種の激しい運動に有効という結果が得られているが、他の運動には効果がないという報告もある。(健康な若い人において)単回の運動よりは、短期間に最大の運動を繰り返し行う場合にもっとも有効であると思われる。またより長い時間、意図的に有酸素運動と無酸素運動を交互に行う場合に、効果が高いとされている。有酸素運動での効果はないとされている。高齢者でも効果はみられないという報告がある。慢性的に用いるよりは、短期間に使用する方が効果が高いとされ、ほとんどの研究では20 g/日を5日間摂取して効果を見ている(66)。 ・運動習慣がない健康な高齢者16名(平均70.4歳、試験群8名)を対象とした二重盲検試験において、クレアチン5〜20 gを8週間、毎日摂取させ、同時に筋力トレーニングを行ったところ、レッグプレスの1-RM(最大挙上重量)が増加したという報告がある(2005233484)。 ・高齢男女39名(65〜85歳、試験群21名)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、レジスタンス運動と共にクレアチン5 g/日、共役リノール酸6 g/日を6ヶ月間摂取させたところ、脂肪量の低下、除脂肪量、膝、胸、腕の筋力の増加がみられたが、血漿クレアチニン値も上昇したという報告がある(PMID:17912368)。 ・男性ボート競技選手20名(平均19.4歳、試験群10名)を対象とした二重盲検試験において、クレアチン20 gを6日間、毎日摂取させたところ、2,000 mローイングのタイムが向上したという予備的な報告がある(2001164499)。この現象については更なる検証が必要である。 ・活動的な成人20名(平均21.7歳、試験群10名)を対象とした二重盲検試験において、クレアチン20 gを6日間、毎日摂取させた結果、間欠的自転車スプリント運動の3回目以降の結果が向上したという報告がある(2000257664)。 ・大学ラグビー男子選手17名(平均19.5歳)を対象とした二重盲検試験において、クレアチンサプリメント20 mgを3週間、毎日摂取させた結果、膝屈曲筋力と無酸素性運動時の疲労耐性が上昇したという報告がある(2000210625)。 ・心臓病患者70名 (平均57.5±8.4歳、試験群33名、ベルギー) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、週3回の有酸素運動とレジスタンス運動とともにクレアチン5 g/日を3ヶ月間摂取させたところ、心肺機能 (心拍、酸素脈、VO2peak、Respiratory exchange ratio peak)、筋力、生活の質の評価 (SF-36、MacNew Heart Disease) 、血中脂質濃度に影響は認められなかったという報告がある (PMID:20576665) 。 ・さまざまな筋ジストロフィーをもつ成人および小児において、筋肉の強さと日常の活動を向上させる目的で経口摂取は有効性が示唆されている(PMID:10802796) (PMID:15159476)。毎日クレアチンを8週間摂取したところ、筋力と日常的な活動にやや改善がみられたという報告がある(66)(PMID:10802796)。
発育・成長
肥満
その他
・トレーニングを積んだ運動選手の能力を向上させる目的には、経口摂取でおそらく効果がないと思われる(66)。 ・60歳以上の人の運動強度や体格の改善の目的には、経口摂取でおそらく効果がないと思われる(66)。
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
安全性
危険情報
・適切に用いれば経口摂取で安全性が示唆されており(66)、連続摂取で5年まで安全という報告がある(66)。 ・クレアチンを大量に長期間摂取すると、重篤な副作用が出やすくなり、危険性が示唆されている(66)(63)。 ・経口摂取の副作用としては、胃腸の痛み、吐き気、下痢が報告されている(66)(63)。 ・臨床試験では報告されていないが、クレアチンを摂取した男子学生運動選手のうち、25%で筋肉の痙攣が起きたという知見もあり(66)、クレアチンは筋痙攣や筋肉の衰弱などを引き起こし、筋肉裂傷を起こす可能性がある(63)。 ・健康な人ではまれだが、腎臓の障害があったり、そのリスクのある人においては、クレアチン摂取が腎機能に影響を与える可能性が示唆されている(66)(63)。多くの研究では5〜20 g/日を最長5年間まで摂取した人における腎機能の変化はないとしている(66)が、1例、5 gを4回/日、4週間摂取後に急性間質性腎炎や巣状尿細管障害が起きたという報告がある(66)。 ・クレアチン(5 g/週3回)、混合ハーブ、その他アミノ酸、ビタミンやミネラルなど複数のサプリメントを6ヶ月間摂取していた24歳男性が、急性腎障害、高血圧およびタンパク尿を発症し、組織検査では急性間質性腎炎の症状を呈し、原因物質はクレアチンと考えられた、という報告がある(PMID:17046619)(63)。 ・クレアチンを摂取すると、高熱不耐症や発熱、脱水症、血液量の低下、電解質平衡異常がおこる可能性がある(63)。 ・クレアチンは下肢のコンパートメント症候群(損傷を受けた筋肉に過度の腫れが生じ、筋肉や周囲の軟部組織に不可逆的な損傷や壊死が起こる可能性のある状態)のリスクを増大させる可能性がある(63)。 ・27歳の健康な男性重量挙げ選手が、クレアチンを主成分とするサプリメントを8〜9ヶ月前から、ホエープロテインを主成分とするサプリメントを4週間前から摂取したところ、無痛黄疸を呈する急性胆汁うっ滞性肝障害を発症し、サプリメントの摂取停止により回復したという症例報告がある(PMID:18452122)。 ・42歳男性ボディービルダーがクレアチン5 gを4回/日(その後クレアチン5 g/日に変更)、1ヶ月程度摂取し、血糖値やクレアチニン値、HbA1c値が高値であったため、その後メトフォルミン500 mg2回/日をクレアチンと1ヶ月程度併用摂取したところ、急性腎不全と乳酸アシドーシスをおこしたという事例報告がある(PMID:20223410)。 ・腎疾患の既往症がある人、糖尿病患者など、腎機能不全のリスクが高い人はクレアチン の使用を避けたほうがよい(66) (63)。 ・II型糖尿病患者25名 (試験群13名、平均57.5歳、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、運動トレーニングとともに、クレアチン5 g/日を12週間摂取させたところ、腎機能 (51Cr-EDTAクリアランス、クレアチニンクリアランス、尿蛋白、血清および尿中尿素や電解質) に影響は与えなかったという報告がある (PMID:20976468) 。 ・クレアチンは肝機能に影響を与える可能性があるので、肝臓疾患を患っている人は注意して使用したほうがよい(63)。 ・クレアチンは喘息症状と関連があるので、クレアチンにアレルギーのある人は使用しないほうがよい(63)。 ・クレアチンは理論上、インスリンの活性に影響を与える可能性があるため、糖尿病や低血糖症の人は注意して使用したほうがよい(63)。 ・妊娠中、授乳中の安全性については十分なデータがないので、使用を避ける(66) (63)。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
・高用量のクレアチンは腎機能に対して有害な影響を与えるかもしれないので、理論的には腎毒性のある医薬品との併用で、その副作用が増悪することが考えられる(63)が、まだ報告はされていない(66)。 ・クレアチンは肝臓の機能に影響を与える可能性があるので、肝毒性の可能性となる薬物やハーブ(チャパラルやコンフリー、エキナセア、ジャーマンダーなど)、サプリメントと併用して使用しないほうがよい(63)。 ・クレアチンは理論上、インスリンの活性に影響を与える可能性があるため、血糖値に影響する薬やハーブ、サプリメントを使用している人は注意して使用したほうがよい(63)。 ・クレアチンと併用してプロベネシドを摂取すると、体内のクレアチン濃度が上昇するため、副作用が増強する可能性がある(63)。 ・クレアチンには脱水や電解質平衡異常の可能性があるので、利尿薬(ヒドロクロロジアジドやフロセミド)や利尿作用があるハーブ(アーティチョークやセロリ、セイヨウタンポポなど)を含むサプリメントと併用しないほうがよい(63)。 ・クレアチンはロバスタチンなどのコレステロール低下薬やベニコウジなどの作用を強める可能性がある(63)。 ・カフェインやエフェドラとの併用で、脳卒中などの重篤な副作用が起こる可能性がある(63)。クレアチン6g、カフェイン400〜600 mg、エフェドラ40〜60 mg、その他種々のサプリメントを6週間摂取した運動選手において、虚血性心臓発作が報告(PMID:10671124)されている。また、カフェインはクレアチンの運動能力に対する効果を減弱させると思われる(PMID:8929583)(PMID:9627907)(63)。 ・クレアチンはビタミンA,D,E,Kの有効性を低減させる可能性がある(63)。 ・クレアチンは代謝されてクレアチニンになるので、臨床検査においてクレアチニン値の上昇が考えられる(66)。 ・炭水化物とクレアチンの併用は、単独で用いるより筋肉のクレアチン濃度を上昇させたという報告(PMID:8899067)がある。
動物他での 毒性試験
AHPAクラス分類 及び勧告
総合評価
・適切に用いれば、経口摂取で安全性が示唆されており、連続摂取で5年まで安全という報告がある。 ・妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないので、使用を避ける。 ・多量摂取は副作用が出やすくなり、危険性が示唆されている。副作用としては、胃腸の痛み、吐き気、下痢が報告されている。 ・腎疾患の既往症がある人、糖尿病患者などの腎機能不全のリスクが高い人は、使用を避けたほうがよい。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・経口摂取で有効性が示唆されているのは、1)うっ血性心不全、2)脳回転状網膜脈絡膜萎縮の治療、3)短時間の激しい運動の繰り返しにおける運動能力の向上、4)マッカードル病、5)筋ジストロフィー。 ・経口摂取で関節リウマチに対して効果がないことが示唆されている。 ・経口摂取で、60歳以上の人の筋力の増強や身体組成の改善、トレーニングを積んだ運動選手の能力を向上させる目的には、おそらく効果がないと思われる。
参考文献
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