健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

ブラックコホシュ [英]Black cohosh、 Black snakeroot [学名]Cimicifuga racemosa (L.) Nutt. (別名:Actaea racemosa L..)

概要

ブラックコホシュは北米に分布する多年草植物であり、先住民が伝承してきた神経痛の治療用薬草である。現在、米国では人気のあるサプリメントの一つで、俗に、「女性ホルモンのバランスを整える」と言われ、月経前症候群や更年期症状の緩和に利用されている。安全性については、適切に経口摂取する場合は安全性が示唆されているが、妊娠中・授乳中は危険性が示唆されているため使用を避ける。また、肝毒性の可能性が懸念されている。海外ではブラックコホシュ摂取との関連が疑われる肝機能障害の事例報告が多数ある。そのため欧州医薬品局 (EMEA) のハーブ医薬品に関する委員会 (HMPC) 、英国医薬品 (MHRA) 、フランス食品安全庁 (AFSSA) 、フィンランド食品安全局は、製品への警告表示の追加など、健康被害防止に対する注意喚起を行っている。日本でも2006年8月、厚生労働省が注意喚起を行った (108) 。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・全草は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品とは判断しない成分本質 (原材料)」に該当 (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・トリテルペン配糖体 (アクテインacetin、シミゴシド) 、樹脂、サリチル酸塩、イソフェルラ酸 (isoferulic acid) 、タンニン、ラヌンクリン (アネモニンに変わる) 、精油、fukinolic acidを含む。
・薬用部分は根と根茎 (アメリカショウマ) 。根茎は秋に掘り出し、水洗後、ひげ根を除いてから日干ししたものを使用する。米国メイン州、オンタリオ州などに分布。多年草で高さ75 cm〜2 m。花期は6〜8月。
・ニューヨークで2002〜2004年に購入した11種のブラックコホシュ製品の品質について分析した結果、3種にはブラックコホシュではなくそれに類似したアジア産ハーブのActaea種 (Actaea cimicifuga、A. dahurica、A. yunnanensis等) が、1種にはブラックコホシュとActaea種の両方が使用されていることが確認されたという報告がある (PMID:16637680)

分析法

・triterpene glycosides (actein、 27-deoxyactein、 cimicfugoside M、 cimicifugoside) がLC/MSにより分析されている (PMID:11105569)

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・更年期症状のある女性351名 (45〜55歳、アメリカ人) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ160 mg/日もしくはマルチ植物サプリメント (1日量としてブラックコホシュ200 mg、アルファルファ400 mg、チェストツリー200 mg、トウキ400 mg、Chamaelirium luteum 200 mg、リコリス200 mg、オーツ400 mg、ザクロ400 mg、シベリアニンジン400 mgを含む) を3ヶ月間摂取させたところ、血清中の総コレステロール、HDL、LDL、トリグリセリド、グルコース、インスリン、フィブリノゲン濃度に影響は認められなかった (PMID:17275226)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

一般情報
・更年期障害における諸症状に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。閉経後の女性におけるほてりなどの症状を軽減すると思われるが、多くの場合効果がみられるまでに4週間ほどかかる。患者によってはエストロゲンと同等の効果が現れたという知見もある (PMID:2841818) (PMID:11975864) (PMID:12609561) (PMID:11501568)
メタ分析
・2016年3月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験62報について検討したメタ分析において。ブラックコホシュの摂取は、ホットフラッシュの頻度 (4報) に影響を与えなかった (PMID:27327802)
・2010年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた臨床試験について検討したシステマティックレビューにおいて、ブラックコホシュ、イソフラボン、レッドクローバー、ダイズ、ビタミンE、朝鮮人参、トウキ、メマツヨイグサ油、ヤムイモ、カバ、メラトニンを代替医療としてそれぞれ単独使用することが、更年期女性のホットフラッシュ (ほてり、のぼせ) に与える影響には一定の傾向が認められず、長期使用の安全性データが不十分であった (PMID:20833608)
・2008年1月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験9報について検討したメタ分析において、ブラックコホシュの摂取は更年期のほてりなどの血管運動性徴候を改善させる可能性があるが、結果は研究によりバラツキが大きく、より多くのデータが必要である (PMID:20085176)
RCT
・更年期症状のある女性351名 (平均52.2歳、試験群235名、アメリカ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、ブラックコホシュ160 mg/日もしくはマルチ植物サプリメント (ブラックコホシュ200 mg、アルファルファ400 mg、チェストツリー200 mg、ザクロ400 mg/日) を1年間摂取させたところ、ほてりや夜間発汗の軽減作用 (PMID:17179056) 、および、膣症状、月経周期、ホルモン状態の変化 (PMID:18257142) は認められなかった。
・ほてり症状 (ホットフラッシュ) のある更年期女性66名 (試験群18名、平均53.94±4.04歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験においてブラックコホシュ128 mg/日を12ヶ月間摂取させたところ、ほてり、認知機能に影響は認められなかった (PMID:19590458)
・閉経後女性122名 (試験群81名、平均52.5±3.7歳) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ6.5 mg/日を12週間摂取させたところ、クッパーマン指数 (更年期指数) が20以上の対象者 (試験群35名) でのみ、更年期症状の抑制が認められた (PMID:16039414)
・ほてりや夜間発汗症状のある閉経期もしくは閉経後の女性88名 (試験群21名、平均54.4±3.9歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ128 mg/日を12ヶ月間摂取させたところ、症状の改善は認められなかった (PMID:19609225)
・閉経後女性84名 (試験群42名、平均51.4±4.0歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験においてブラックコホシュ根抽出物6.5 mg/日を8週間摂取させたところ、GCS (更年期症状スケール) の総スコアおよび各項目 (精神症状、身体症状、血管運動症状、性的症状)において改善が認められた (PMID:24499633)
・閉経後女性84名 (試験群42名、平均51.47±4.09歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ根抽出物6.5 mg/日を8週間摂取させたところ、血管運動症状の改善およびほてりの回数の減少が認められた (PMID:25276716)
・更年期症状のある女性54名 (試験群27名、平均50.3±3.4歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ抽出物40 mg/日を12週間摂取させたところ、更年期症状の評価 (ホットフラッシュの回数、クッパーマン指数、MENQOL、Global satisfaction) に影響は認められなかった (PMID:24941138)

脳・神経・
感覚器

RCT
・閉経期不安障害の女性28名 (試験群15名、平均56.7歳) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ64 mg/日を2週間、続けて128 mg/日を10週間 (計12週間) 摂取させたところ、不安障害の評価 (HAM-A、 PGWBI) には影響を与えなかった (PMID:19745648)

免疫・がん・
炎症

RCT
・乳がん患者またはそのリスクが高い女性116名 (平均56.4±8.53歳、アメリカ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュを含むカプセル (Cimicifuga racemosa 20 mg含有) を4週間摂取させたところ、顔面紅潮やQOLに影響は認められなかった (PMID:16782922)
・子宮筋腫のある女性62名 (試験群34名、平均52.6±3.0歳、中国) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、ブラックコホシュ抽出物40 mg/日を12週間摂取させたところ、チボロン (合成エストロゲン製剤) 2.5 mg/日摂取群と比較して、筋腫の体積の中央値、平均粒径、幾何平均径が低下した (PMID:24719645)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

・乳がん患者において、12ヶ月間経口摂取で、タモキシフェン治療の副作用で生じるほてりの度合いと頻度が減少した (PMID:12609560)





試験管内・
動物他での
評価

・樹脂は動物に対して血圧降下作用を有することが報告されている (23) 。
・動物に対して血糖減少作用を示している (23) 。
・動物実験では、抽出物はエストロゲン受容体に結合せず、エストロゲン依存性遺伝子を制御せず、エストロゲンが関連する腫瘍の増殖を抑制することもなかった (PMID:8905606) (PMID:11875334) (PMID:12711012) (PMID:11368622)
・動物モデルを用いた予備的な報告によると、ブラックコホシュは骨に対して弱いエストロゲン様活性があり、下垂体からの黄体形成ホルモン分泌を抑える。しかし子宮重量を増やすことはなかった (PMID:14514351)
・乳がん細胞を用いた実験では、腫瘍増殖の促進はみられなかった (PMID:12408370) (PMID:12067987) (PMID:15167307) 。複数の成分は乳がん細胞の増殖を抑える可能性があると思われた (PMID:14758092)
・動物実験では、乳がんリスクに対する影響は観察されなかった。しかし、がんの転移を促す可能性がある (94) 。

安全性

危険情報

<一般>
・強力な治療薬なので、ハーブ医療の経験を有する者によってのみ使用可 (94) 。
・経口摂取で通常起こる副作用としては、胃腸の不調が報告されている (PMID:12381254) (PMID:10178637) (22) (58) (63) (94) 。他には発疹、頭痛、めまい、体重増加、下肢のだるさ、痙攣が報告されている (PMID:11352967) (PMID:12609561) (63) (94) 。
・過剰摂取は、激しい頭痛、めまい、視覚障害、心拍数の減少、吐き気、嘔吐、発汗を起こす (63) (94) 。
・ドイツのコミッションE (薬用植物の評価委員会) では使用の上限を6ヶ月としている (22) (58) 。
・適切に用いれば経口摂取で安全性が示唆されている (94) 。有害事象はまれで、軽度かつ可逆的なことが多く、消化器症状、皮疹が主であるとのシステマティック・レビューがある (PMID:12544678) 。6ヶ月までの試験で安全に摂取できた (PMID:9650153) (PMID:2841818) (PMID:11352967) (PMID:11975864) (PMID:12435217)
・2000年〜2007年を対象に5つのデータベースで検索できたハーブ製品による肝毒性報告について検討したレビューにおいて、減量を目的とした製品 (N-ニトロソフェンフルラミン、ウスニン酸、エフェドラアルカロイドを含むもの) やテルペノイドを含むハーブ (ニガクサ属、スカルキャップ、ツボクサ、ブラックコホシュ) による肝毒性の危険性が指摘されている (PMID:18318821)
・肝機能障害を起こす懸念がある (63) (PMID:12697018) 。2006年の時点で、ブラックコホシュの利用が疑われる肝機能障害の事例報告が海外から出され、米国やカナダ、英国、オーストラリア、フランス、フィンランドから注意情報が出されている (101) (102) (106) (109) (110) (111) 。2006年8月3日、日本の厚生労働省もブラックコホシュの利用に関して注意喚起している (108) 。肝機能障害に関しては、国外で49症例の報告が確認されており、4例では肝不全により肝移植が必要となったという報告がある (106) (107) 。ブラックコホシュと肝機能障害の因果関係について結論は出ていないが (PMID:12697018) 、ブラックコホシュを摂取する患者は肝機能をモニターした方がよい (63) (64) 。
・ブラックコホシュとの関連が疑われる肝毒性報告69例を国際医学団体協議会 (CIOMS) の基準で分析したところ、肝機能障害とブラックコホシュとの因果関係は希薄であった (PMID:19586731)
・1つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、ブラックコホシュのイソプロパノール抽出物 (40〜128 mg/日) の3〜6ヶ月間の摂取は、肝機能に影響を与えなかった (PMID:21228727)
<妊婦・授乳婦>
・授乳中は経口摂取で危険性が示唆されている (63) (94) 。とくに高用量で乳児に副作用が起きる懸念があるため、摂取は避ける (20) (63) (94) 。
ブラックコホシュ単独あるいは他のハーブとの併用による肝毒性の個々の報告は以下のとおり。
・2005年6月までに検索可能な7種のデータベースとコミッションEモノグラフについて検討したシステマティック・レビューにおいて、ブラックコホシュに対する理論的・科学的エビデンスは乏しく、妊娠期には陣痛の誘導、ホルモン作用、月経促進、無排卵作用、授乳期にはエストロゲン様作用もしくは抗エストロゲン作用の影響が懸念されるため、使用には注意を要する (PMID:17085773)
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・ブラックコホシュやキンポウゲ科の植物にアレルギーがある人は使用を避けたほうがよい (63) 。
・野生のブラックコホシュには少量のサリチル酸が含まれているため、アスピリンや他のサリチル酸塩にアレルギーのある人は注意して使用する (63) 。
・痙攣疾患のある人や血栓塞栓性疾患、脳卒中の既往歴のある人は注意して使用する必要がある (63) 。
・ニューヨークで2002〜2004年に購入した11種のブラックコホシュ製品の品質について分析した結果、3種にはブラックコホシュではなくそれに類似したアジア産ハーブのActaea種 (Actaea cimicifuga、A. dahurica、A. yunnanensis等) が、1種にはブラックコホシュとActaea種の両方が使用されていることが確認された (PMID:16637680)
<被害事例>
・ブラックコホシュ単独あるいは他のハーブとの併用による肝毒性が複数報告されている。
1) 47歳女性 (オーストラリア) がブラックコホシュを1週間摂取し (摂取量不明) 、肝不全を起こして移植を行った (PMID:12381254)
2) 50歳女性 (イギリス) が更年期症候群を軽減するためにブラックコホシュを摂取後 (摂取量不明) 、持続する頭痛を発病し、肝機能の低下が認められ、摂取の中止により改善した (PMID:18202968)
3) 37歳女性 (イタリア) がブラックコホシュ含有サプリメントを1年半摂取したところ(摂取量不明)、肝炎を発症し、摂取中止により回復した (PMID:19472866)
4) 2ヶ月前に子宮摘出と両側卵管卵巣摘出を受けた51歳女性 (イギリス) が、ブラックコホシュを摂取後 (摂取量不明) 、上腹部痛を訴え、肝機能の低下が認められ、摂取の中止により改善した (PMID:18202968)
5) 52歳女性 (ドイツ) がブラックコホシュと他のハーブの混合製品 (200 mL中にブラックコホシュ20 mL、グランドアイビー80 mL、ゴールデンシール20 mL、イチョウ40 mL、オート40 mL含有) を3ヶ月間で600 mL以上摂取し、急性肝不全を起こし、移植を行った (PMID:14503910)
6) 53歳女性 (アメリカ) がブラックコホシュと大豆イソフラボンを含有する製品を度々摂取し (摂取量、期間不明) 、肝機能障害と診断された (PMID:20130783)
7) 62歳女性 (ベルギー) がブラックコホシュ240 mg/日と他のハーブ含有製品 (大豆抽出物4.41 g/日、アカツメクサ120 mg/日、ワイルドヤム500 mg/日、クズ12.5 mg/日、トウキ500 mg/日、セントジョーンズワート100 mg/日、カルシウムリン酸塩350 mg/日) を3ヶ月間摂取し、肝壊死を伴う肝機能障害を起こした (PMID:19404202)
8) レボチロキシン (甲状腺ホルモン剤) を100μg/日使用していた54歳の女性 (アメリカ) が、ブラックコホシュ1,000 mg/日を8ヶ月間併用し、劇症肝炎を生じた(PMID:16721764)
9) レボチロキシン (甲状腺ホルモン剤) を0.05 mg/日使用していた42歳女性 (アメリカ) が、ブラックコホシュ含有製品を6ヶ月間併用し (摂取量不明) 、急性肝炎と診断された (PMID:20130783)
10) 閉経後50歳女性 (アメリカ) が、2年間摂取していたランソプラゾール (15 mg/日、胃薬でプロトンポンプインヒビター) とともにブラックコホシュを40 mg/日、2週間摂取したところ、急性肝炎を発症した。症状がブラックコホシュの摂取開始により出始め、摂取中止により回復したことなどから、発症原因は ブラックコホシュであると診断された (PMID:18203607)
11) イルベサルタン、レボチロキシン、インスリン、シンバスタチンを服用している58歳女性 (ベルギー) がブラックコホシュ80 mg/日を12ヶ月間摂取し、慢性肝炎を起こした (PMID:19404202)
12) 2007年6月までを対象に2種のデータベースと、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダの政府機関の公表で検索できた症例報告を対象にレビューを行ったところ、ブラックコホシュ製品に関する肝機能障害の症例報告が30例報告され、全ての症例がブラックコホシュ製品に関連する可能性があった (PMID:18340277)
13) 44歳女性 (ドイツ) がブラックコホシュ製品5 mg/日を4週間前から摂取したところ (摂取量不明) 、体液貯留、血液凝固活性化、一過性自己免疫性肝炎を起こした (PMID:19657787)
14) 35歳女性 (イタリア) がハーブ (ブラックコホシュ、ツルドクダミ、カンゾウ) 含有製品を4週間摂取し (摂取量不明) 、胆汁うっ滞と肝機能障害を起こしたが、ハーブ含有製品の摂取を申し出なかったため、胆のう切除術を受けた (PMID:21222373)
15) 51歳女性 (オーストラリア) が更年期症状のためにブラックコホシュ根抽出物を20 mg含む錠剤を1錠、3年間間欠的に摂取し、更年期症状が悪化したため2ヶ月前より2錠/日摂取したところ、昏睡、吐き気、関節痛、黄疸が生じて医療機関を受診。血清中の肝酵素値上昇が認められたため、ブラックコホシュ摂取による急性肝機能障害と診断、肝臓移植後に回復した (PMID:18393750)
16) 甲状腺機能低下症で服薬中の60歳女性 (イギリス) が、ブラックコホシュを2週間摂取したところ (摂取量不明) 、痒み、暗色尿、黄疸を呈し、亜急性肝不全と診断され、肝移植を行った (PMID:23833086)
17) 44歳女性 (アメリカ) が、ブラックコホシュを約1ヶ月摂取したところ (摂取量不明) 、無痛性黄疸を生じて医療機関を受診。肝機能検査値の異常、結節性肝硬変、胆汁うっ滞、肝細胞損傷などが認められた。ブラックコホシュの摂取開始時より発症、摂取中止により肝機能検査値が正常化したことなどから、ブラックコホシュ摂取による亜急性肝機能障害と診断された (PMID:25093128)

・ブラックコホシュとメマツヨイグサ、チェストツリーを摂取した女性で1例、発作が報告されている (PMID:12544678)
・45歳女性がブラックコホシュとチェストツリー (実、種子) 、月見草油を4ヶ月間摂取したところ、強直間代発作 (手足がこわばり、痙攣が起こるもの) が起こったという報告がある (63) 。
・ブラックコホシュ製品による筋障害の発生がイタリアで報告されている。更年期症状を緩和する目的でブラックコホシュ由来の健康食品を摂取していた女性が、重度の筋無力症を起こし、血中クレアチンフォスフォキナーゼと乳酸デヒドロゲナーゼの顕著な上昇が認められた。摂取中断により症状と血中生化学値は徐々に回復した (PMID:16360941)
・54歳と64歳の女性がブラックコホシュを40 mg含むハーブ製品を2回/日、2〜4ヶ月摂取したところ、皮膚血管炎を発症したという2件の事例報告がある (PMID:17434040)
・既往歴のない健康な59歳女性 (オーストラリア) が、ブラックコホシュの根の抽出物製品を1粒/日 (含有量不明) 、2週間摂取したところ、3度の失神を起こし、完全心ブロックと診断された (PMID:20955128)
・46歳女性 (トルコ) が更年期症状のためにブラックコホシュ20 mg/日と朝鮮ニンジン50 mg/日を含むサプリメントを15ヶ月間以上摂取したところ、口唇ジスキネジアを発症し、摂取の中止と加療により回復した (PMID:24247891)
・腺筋症と子宮筋腫があるが症状の安定していた55歳女性 (韓国) がブラックコホシュとセイヨウオトギリソウ含有ハーブ製品を17ヶ月間摂取したところ (摂取量不明) 、類内膜腺がんを発症した (PMID:24456461)

禁忌対象者

・妊娠中は危険性が示唆されている (20) (63) (94) 。月経促進、子宮刺激作用があり、流産のリスクが増すため、禁忌である (63) (94) 。また、推奨量の使用であれば影響は少ないが、チンキ剤はアルコール含量が高いため、妊娠中は使用してはいけない (63) 。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・ブラックコホシュとブルーコホシュ (Caulophyllum thalictroides) を分娩促進剤として使用し自然分娩した子どもに重度の多臓器低酸素障害がおこったとの報告がある。おそらく、ブルーコホシュ (Caulophyllum thalictroides) に含まれる血管収縮作用のある配糖体が原因と考えられるが、併用には注意が必要である (63) 。
・24歳女性が、流産誘発剤として48〜56%アルコールに溶解したブラックコホシュ根とアメリカンペニーロイヤル (Hedeoma pulegioides L.) を2週間摂取したところ (摂取量の詳細不明) 、死亡したという報告があるため、併用には注意が必要である (63) 。
・健康な成人12名 (平均24±3.0歳、アメリカ) を対象としたオープンラベル試験において、ブラックコホシュ根抽出物1,090 mg×2回/日を28日間摂取させたところ、CYP2D6活性を阻害した (PMID:15900287)

<試験管内・動物>
・動物実験 (マウス) において、ブラックコホシュ抽出物は総CYP含量およびCYP2B、CYP3A活性を増加させた (PMID:23470874)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、市販のブラックコホシュ製品7製品のいずれにもCYP3A4阻害作用は認められなかった (PMID:19353999)
・in vitro試験 (HepG2細胞) において、ブラックコホシュのエタノール抽出物およびイソプロパノール抽出物は、CYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4活性を阻害した (PMID:20406160)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、ブラックコホシュのエタノール抽出物は、CYP2D6、CYP3A4活性を阻害した (PMID:21827327)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、セイヨウオトギリソウ、ブラックコホシュ、ショウガはタモキシフェン (CYP450の基質) 、イリノテカン (carboxyesteraseの基質) の代謝を阻害した (PMID:23738729)

<理論的に考えられる相互作用>
・エストロゲン様作用があるので、ホルモン感受性のがんや既往症をもっている人、またはタモキシフェンやラロキシフェンなどのホルモン補充療法を受けている人は使用を避ける (63) (94) (PMID:11352967) 。また、ホルモン補充療法の代わりにブラックコホシュを使用する際は、骨量をモニターしたほうが良い (63) 。ブラックコホシュ単独の影響であるかは不明だが、乳がん患者85名 (試験群:42名) を対象とした試験において、2ヶ月間ブラックコホシュとタモキシフェンと併用したところ、子宮内膜増殖症、膣からの出血、体重増加、子宮内膜掻爬術、子宮摘出、乳がん再発がそれぞれ1例ずつ報告されている (63) 。
・肝毒性のあるハーブや医薬品との併用は肝機能障害のリスクを増加させる可能性がある。また、肝疾患をもつ人が摂取すると症状が悪化することが考えられるため避ける (PMID:12381254) (PMID:14503910) (PMID:12697018) (63) 。
・降圧作用があると考えられるため、降圧薬との併用により相互作用を起こす可能性がある (63) 。そのため、降圧療法を受けている人は注意して使用したほうがよい (63) 。
・野生のブラックコホシュには少量のサリチル酸が含まれているため、抗血小板薬や抗凝固薬の作用を増強する可能性がある (63) 。
・チンキ剤はアルコール含量が高いため、メトロニダゾールと併用して摂取すると、ジスルフィラム反応が起こる可能性がある (63) 。

動物他での
毒性試験

・ブラックコホシュの変異原性、催奇形性、発がん性は陰性であったという報告がある (63) (64) 。
・in vitro 実験により、ブラックコホシュは化学療法薬ドキソルビシンおよびドセタキセルの毒性を増加させることが示唆されている (64) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・根茎:クラス2b (22) 。

総合評価

安全性

・適切に用いれば経口摂取でおそらく安全である。しかし、治療目的で使用する場合は、専門家の指示を求める必要がある。
・ドイツのコミッションEでは使用の上限を6ヶ月としている。
・妊娠中・授乳中は危険性が示唆されているため、摂取は避ける。
・まれに胃腸の不快感を起こすことがある。また頭痛、めまい、体重増加、足のだるさ、痙攣などがあげられる。過剰摂取により、激しい頭痛、めまい、視覚障害、心拍数の減少、吐き気、嘔吐を起こす。
・肝毒性の可能性が懸念される。海外ではブラックコホシュ摂取と関連が疑われる肝機能障害の事例が報告されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で更年期障害における諸症状に対して有効性が示唆されている。

参考文献

(20) ハーブ大百科 誠文堂新光社 デニ・バウン
(21) グリーンファーマシー 健康産業新聞社 James A.Duke
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(23) 天然食品・薬品・香粧品の事典 朝倉書店 小林彰夫ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(58) The Complete German Commission E Monographs
(PMID:11105569) Planta Med. 2000 Oct;66(7):635-40.
(PMID:11352967) J Clin Oncol. 2001 May 15;19(10):2739-45.
(PMID:12381254) Med J Aust. 2002 Oct 21;177(8):440-3.
(PMID:14503910) Med J Aust. 2003 Oct 6;179(7):390-1.
(PMID:12697018) Med J Aust. 2003 Apr 21;178(8):411-2.
(PMID:12609560) Maturitas. 2003;44 Suppl 1:S59-65.
(PMID:12544678) Menopause. 2003;10:58-64.
(PMID:11501568) Obstet Gynecol. 2001 Jun;97(6):suppl 1-11.
(PMID:8905606) Maturitas. 1996 Oct;25(2):149-53.
(PMID:11875334) Menopause. 2002 Mar-Apr;9(2):145-50.
(PMID:12711012) J Steroid Biochem Mol Biol. 2003 Feb;84(2-3):259-68.
(PMID:11368622) J Agric Food Chem. 2001 May;49(5):2472-9.
(PMID:14514351) Eur J Endocrinol. 2003 Oct;149(4):351-62.
(PMID:12408370) Breast Cancer Res Treat. 2002 Nov;76(1):1-10.
(PMID:12067987) Cancer Res. 2002 Jun 15;62(12):3448-52.
(PMID:15167307) Menopause. 2004 May-Jun;11(3):281-9.
(PMID:14758092) Breast Cancer Res Treat. 2004 Feb;83(3):221-31.
(PMID:9650153) J Womens Health. 1998 Jun;7(5):525-9.
(PMID:2841818) Zentralbl Gynakol. 1988;110(10):611-8.
(PMID:11975864) J Womens Health Gend Based Med. 2002 Mar;11(2):163-74.
(PMID:12435217) Ann Intern Med. 2002 Nov 19;137(10):805-13.
(PMID:10178637) Adv Ther. 1998 Jan-Feb;15(1):45-53.
(PMID:12609561) Maturitas. 2003 Mar 14;44 Suppl 1:S67-77.
(101) Black cohosh (Cimicifuga racemosa) and hepatotoxicity. CURRENT PROBLEMS in Pharmacovigilance(MHRA), Volume 30, October 2004 (http://www.mca.gov.uk/aboutagency/regframework/csm/csmhome.htm)
(64) 健康食品データベース 第一出版 Pharmacist's Letter/Prescriber's Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳
(102) 食品安全情報 No. 23 / 2004 (2004. 11. 10) 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部 (http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2004/foodinfo-23_2004.pdf)
(PMID:16360941) Phytomedicine. 2006 Jan;13(1-2):115-8. Epub 2005 Jun 24.
(106) Australian Adverse Drug Reactions Bulletin, Volume 25, Number 2, April 2006
(107) 「医薬品安全性情報」Vol.4 No.08 (2006/04/20) 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部
(PMID:16721764) Liver Transpl. 2006 Jun;12(6):989-92.
(PMID:16637680) J Agric Food Chem. 2006 May 3;54(9):3242-53.
(108) 厚生労働省
(109) AFSSA
(110) Evira
(111) Health Canada
(PMID:17085773) Can J Clin Pharmacol. 2006 Fall;13(3):e257-61. Epub 2006 Nov 3.
(PMID:17179056) Ann Intern Med. 2006 Dec 19;145(12):869-79.
(PMID:17434040) J Am Acad Dermatol. 2007 May;56(5 Suppl):S124-6
(63) ハーブ&サプリメント NATURAL STANDARDによる有効性評価 産調出版株式会社 渡邊昌日本語監修
(PMID:18203607) Del Med J. 2007 Nov;79(11):441-4.
(PMID:18257142) Menopause. 2008 Jan-Feb;15(1):51-8.
(PMID:18202968) Climacteric. 2008 Feb;11(1):84-8.
(PMID:18340277) Menopause. 2008 Jul-Aug;15(4 Pt 1):628-38.
(PMID:16039414) Maturitas. 2005 Aug 16;51(4):397-404.
(PMID:16782922) J Clin Oncol. 2006 Jun 20;24(18):2836-41.
(PMID:17275226) Maturitas. 2007 Jun 20;57(2):195-204.
(PMID:19472866) Altern Ther Health Med. 2009 May-Jun;15(3):62-3.
(PMID:19586731) Maturitas. 2009 Aug 20;63(4):302-14.
(PMID:19745648) J Clin Psychopharmacol. 2009 Oct;29(5):478-83.
(PMID:19590458) Menopause. 2009 Nov-Dec;16(6):1167-77.
(PMID:20130783) Case Report Med. 2009;2009:918156.
(PMID:20085176) Altern Ther Health Med. 2010 Jan-Feb;16(1):36-44.
(PMID:19609225) Menopause. 2009 Nov-Dec;16(6):1156-66.
(PMID:20955128) Med J Aust. 2010 Oct 18;193(8):479-81.
(PMID:20833608) J Am Pharm Assoc (2003). 2010 Sep-Oct;50(5):e106-15.
(PMID:19404202) Eur J Gastroenterol Hepatol. 2009 Aug;21(8):941-5.
(PMID:19657787) Climacteric. 2010 Apr;13(2):187-91.
(PMID:21222373) Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2010 Oct;14(10):865-70.
(PMID:21228727) Menopause. 2011 Apr;18(4):366-75.
(PMID:18318821) J Gastroenterol Hepatol. 2008 Mar;23(3):366-73.
(PMID:19353999) Drug Metabol Drug Interact. 2009;24(1):17-35.
(PMID:20406160) Curr Drug Saf. 2010 Apr;5(2):118-24.
(PMID:23470874) Shokuhin Eiseigaku Zasshi. 2013;54(1):56-64.
(PMID:18393750) Med J Aust. 2008 Apr 7;188(7):420-2.
(PMID:23833086) BMJ Case Rep. 2013 Jul 5;2013. pii: bcr2013009325.
(PMID:21827327) Xenobiotica. 2011 Aug 9. [Epub ahead of print]
(PMID:24247891) J Neuropsychiatry Clin Neurosci. 2013 Oct 1;25(4):E50.
(PMID:23738729) J Pharm Pharmacol. 2013 Jul;65(7):1014-25.
(PMID:24456461) J Obstet Gynaecol. 2014 Feb;34(2):213-4.
(PMID:24499633) Chin Med. 2013 Nov 1;8(1):20.
(PMID:25093128) Case Rep Gastrointest Med. 2014;2014:860614.
(PMID:25276716) J Caring Sci. 2013 Jun 1;2(2):105-13.
(PMID:15900287) Clin Pharmacol Ther. 2005 May;77(5):415-26.
(PMID:24719645) Evid Based Complement Alternat Med. 2014;2014:717686.
(PMID:24941138) Climacteric. 2015 Feb;18(1):79-85.
(94) Natural Medicines
(PMID:27327802) JAMA. 2016 Jun 21;315(23):2554-63.