健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ビタミンB1 (チアミン) [英]Vitamin B1 (Thiamine) [学名]Vitamin B1 (Thiamine)

概要

ビタミンB1は、糖からエネルギーを得るために必須な水溶性ビタミンの1つであり、中枢神経および末梢神経の機能を正常に保つ作用がある。精製された食品や糖質の多い食品、アルコールなどの摂取が多い人では、不足しがちなビタミンといわれている。一般に「糖質の分解を助ける」「中枢神経や末梢神経の機能を正常に保つ」などと言われている。ヒトでの有効性については、ビタミンB1欠乏やビタミンB1の必要量が高まる状態に対して有効性が示されている。経口で適切に摂取する場合は安全と思われるが、まれにアレルギー反応が起こることがある。神経筋遮断薬との併用は、その作用を増強する可能性があるため注意が必要とされている。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「ビタミンB1解説」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。「指定添加物」 (塩の形で強化剤) である。
・「栄養機能食品」の対象成分である (下限値:0.3 mg、上限値:25 mg) 。→通知文1 (PDF) 通知文2 (PDF)

成分の特性・品質

主な成分・性質

・生体内や食品中では、主としてビタミンB1及び3種類のビタミンB1リン酸エステルの型で存在する。水溶性、白色の結晶で、有機溶剤には難溶。ビタミンB1塩酸塩 (分子量337) 、ビタミンB1硝酸塩 (分子量327) 、ビタミンB1一リン酸エステル (分子量398) 、ビタミンB1二リン酸エステル (分子量496) 、ビタミンB1三リン酸エステル (分子量513) (13) 。

分析法

・一般的な分析法として、0.1 N塩酸により試料からビタミンB1を抽出した後、精製し、蛍光検出器 (励起375 nm、蛍光440 nm) を装着したHPLCにより分析する方法が報告されている (105) 。
・HPLCを用いた、チアミンとそのリン酸エステル3種の全血アッセイ法が報告されている (2003039309) 。
・チアミンとそのリン酸塩3種を、UV検出器付きHPLC (波長248 nm) を用いて分析したという報告がある (2003039373) 。

有効性








循環器・
呼吸器


メタ分析
・2013年4月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験18報 (検索条件:期間≧12ヶ月) について検討したメタ分析において、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸の摂取は脳卒中の発症リスクに影響を与えなかった (PMID:24282609)


消化系・肝臓

調べた文献の中で見当らない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・糖尿病性神経症に対し、経口摂取で有効性が示唆されている (66) 。

生殖・泌尿器

一般情報
・大規模無作為割付臨床試験 (RCT) (556例) において、ビタミンB1は月経困難症に対する鎮痛効果がみられた (25) 。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・経口摂取で白内障の発生を減少させるのに有効性が示唆されている (94) 。大規模な疫学調査の結果から、食事からのチアミンの摂取量が多いことと核白内障の発生リスクの減少に相関があったことが分かった。
RCT
・健康な高齢女性220名 (平均63歳、試験群111名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンサプリメント (ビタミンC 150 mg、ビタミンE 36 mg、ビタミンB1 2.4 mg、ビタミンB2 3.2 mg、ビタミンB6 3.4 mg、ビタミンB12 9μg、ナイアシン34 mg、パントテン酸16 mg、ビオチン200μg、葉酸400μg、カロテン9 mg、マグネシウム50 mg、セレン60μg含有) を6ヶ月間摂取させたところ、認知機能に影響は認められなかった (PMID:15917019)

免疫・がん・
炎症

RCT
・アフタ口内炎の経験者160名 (試験群83名、平均35.7歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシン、パントテン酸、葉酸を米国の食事摂取基準値の100%量含有するマルチビタミンを1年間摂取させたところ、アフタ口内炎発生数、症状の持続期間、口内の痛みなどに影響は認められなかった (PMID:22467697)

骨・筋肉

調べた文献の中で見当らない。

発育・成長

調べた文献の中で見当らない。

肥満

調べた文献の中で見当らない。

その他

(欠乏症・先天異常)
・チアミン欠乏症 (脚気、ペラグラに関連する末梢神経炎、妊娠による神経炎などを含む) の治療に経口で有効である (94) 。
・アルコール中毒や肝硬変、胃腸の疾患などによる吸収不良、および拒食症や吐き気、嘔吐などによる不十分な摂取、または妊娠中や炭水化物の摂取の増加、肉体的活動量の増大、甲状腺機能亢進、感染症、肝臓病などによる必要量の増大による欠乏に対し、栄養補助食品として経口摂取した場合有効である (94) 。(ただしこのようなケースでの欠乏はまれである) 。
・亜急性の壊死性脳脊髄症 (SNE:リー症候群) 、メープルシロップ尿症 (分岐鎖アミノ酸症) 、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損に伴う乳酸アシドーシスや高アラニン血症などのような、遺伝性疾患による代謝異常の一時的な改善に用いる場合、経口摂取で有効である (94) 。





試験管内・
動物他での
評価

・欠乏すると食欲減退を起こす (3) (55) 。
・チアミン3リン酸は神経組織に多量に存在し、神経伝達を助けるとされている (1) が、詳細は不明である (13) 。
・欠乏するとウェルニッケ脳症 (1) (3) (13) (55) 、末梢神経障害 (3) (4) (55) 、精神的・心理的変調 (集中力欠如、神経質、不眠症、非協調性) (2) などを起こす。その原因はビタミンB1不足によるエネルギー代謝障害、アシドーシス、トランスケトラーゼ活性低下、細胞外グルタミン酸の増加から来る興奮毒性障害が考えられる (1) 。

安全性

危険情報

<一般>
・経口摂取で適切にチアミンを使用する場合、おそらく安全である。チアミンは一般的に毒性がないと考えられている。高濃度摂取しても腸の不調以外は認められない (1) (2) 。ただしまれに皮膚炎やその他の過敏反応の原因になることがある (66) 。大量 (100〜500 mg) を血液中に投与しても一般的には耐性がある (1) 。
・一日の推奨量の100〜200倍を数回投与した時にのみアレルギー反応に関する毒性が報告されている (1) 。
・米国食品医薬品局 (FDA) が許可した注射剤を適切に使用する場合、おそらく安全である。
・注射剤のチアミンは、熱感、ちくちくした感じ、かゆみ、痛み、じんましん、衰弱、吐き気、落ち着きのなさ、喉の詰まり感、血管性水腫、呼吸困難、チアノーゼ、肺水腫、胃腸の出血、一時的な血管拡張と低血圧、血管破裂、死亡などを引き起こす可能性がある (66) 。筋肉内注射をした部位で、圧痛や硬化が起こる可能性がある (66) 。また、チアミンの非経口投与は、低リスクのアナフィラキシーを起こす可能性がある (PMID:14974055)
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中の経口摂取は推奨量 (以下RDA) のレベルであればおそらく安全である (94) 。米国の食事摂取基準 (DRI) では、妊婦および授乳婦のRDAは1.4 mg/日 (94) (日本人には「日本人の食事摂取基準」の推奨量や目安量を参照 (詳細は「ビタミンB1解説」)) 。ただし妊娠中・授乳中の大量摂取の安全性に関しては十分な情報が得られていない (94) 。
<被害事例>
・49歳の女性 (日本) がビタミンB1製剤による薬剤熱と、インドメタシンによるアレルギー性肝障害を併発した症例が報告されている (1988099371) 。
・35歳女性、58歳女性 (日本) で、チアミンジスルフィド、塩酸ピリドキシン、酢酸ヒドロキソコバラミンを含む点滴後、熱感を伴う紅斑が出現、誘発試験より固定薬疹と診断された (1991054807) (2003255457) 。
・54〜77歳女性 (日本) が、ビタミンB1・B6・B12複合製剤を静脈注射後、皮疹などの過敏症反応を生じ、チアミン1リン酸ジスルフィド (ビタミンB1誘導体) による即時型アレルギーと診断された (1993226819) (2004036185) (1989125646) 。

禁忌対象者

調べた文献の中で見当らない

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・短期のメトフォルミン治療を受けている多嚢胞性卵巣症候群の女性患者60名 (試験群:B群ビタミン19名、葉酸17名、トルコ) を対象とした前向き無作為化試験において、メトフォルミン (850 mgを1日2回) とB群ビタミン (ビタミンB1 250 mg, ビタミンB6 250 mg, ビタミンB12 1000μgをそれぞれ1日2回) または葉酸 (174μgを1日2回) を3ヶ月間摂取させたところ、血清中ホモシステイン濃度が減少した (PMID:15790610)

<理論的に考えられる相互作用>
・神経筋遮断薬との併用は、作用を増強する可能性があるため、注意を要する (PMID:213943)
・抗生物質、ループ利尿薬、フルオロウラシル、メトホルミン、経口避妊薬、フェニトインはビタミンB1の体内濃度に影響を与えることがある (PMID:7722187) (PMID:7733128) (PMID:7960489) (PMID:1867241) (PMID:1466372) (PMID:8644620) (PMID:12602748) (PMID:10482307) (PMID:2865519) (PMID:10367801) (PMID:7387463) (PMID:12719212) (PMID:7400487) (PMID:1112084) (PMID:7361702) (PMID:528156) (PMID:8269914) (PMID:7093823) (PMID:8313145)
・カナマイシン、クロルプロマジン、クロロキン、ストレプトマイシン、パラコート、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、イミプラミン、キニジン、ヒドララジンなどの薬物が、ビタミンB1とメラニンの結合を阻害した (1994020590) 。
・臨床検査において、尿酸、ウロビリノーゲンなどの値に影響を与えることがある (102) 。
・スギナ (トクサ属) は、胃の中でビタミンB1を失活させることのできるチアミナーゼ様物質を含んでおり、チアミン欠乏症状をおこす可能性がある (103) 。ビタミンB1欠乏のリスクのある人はトクサ属の製品の使用を避ける。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中で見当らない。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・経口摂取で適切に使用する場合はおそらく安全である。ただし、まれに高感受性反応が起こることがあり、アレルギー反応に関する報告がある。妊娠中・授乳中の経口摂取は、推奨栄養所要量のレベルであればおそらく安全であるが、大量の摂取に関して十分な情報はない。神経筋遮断薬との併用は、薬剤の作用を増強する可能性があるため、注意を要する。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で有効と判断されているのは、チアミン欠乏症の治療、ならびに必要量が増大すると想定される欠乏 (例えば、炭水化物の摂取の増加) に対しての作用である。
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、糖尿病性神経症、白内障の発生の減少に対する作用である。

参考文献

(1) 最新栄養学 第7版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(2) 新栄養化学 朝倉書店 内藤 博ら
(3) 第六次改定 日本人の栄養所要量 食事摂取基準 第一出版 健康・栄養情報研究会 編
(4) 四訂 食品成分表 女子栄養大出版部 香川芳子 監修
(5) 栄養成分バイブル 主婦と生活社 中村丁次
(13) ビタミンの辞典 朝倉書店 日本ビタミン学会 編
(25) クリニカル・エビデンス日本語版 日経BP社 日本クリニカル・エビデンス編集委員会
(55) Harper's Biochem 23th ed
(66) Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Database(2006)
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(105) 五訂 日本食品標準成分表分析マニュアルの解説  財団法人日本食品分析センター/編集
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
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(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
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