健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

カミツレ (カモミール) [英]German chamomile [学名]Matricaria chamomilla L. (=Matricaria recutita) きく科 [シカギク属]

概要

カミツレはカモミールとしてハーブティーなどでよく知られる代表的なハーブの一つである。カモミールというとジャーマンカモミールがまずあげられるが、ローマンカモミールもほぼ同じような用途で使用されている。民間での効用は多岐にわたっており、俗に「消化管の健康を維持する効果や抗炎症作用、鎮静作用、抗菌作用などがある」と言われている。使用法も経口摂取、外用、また入浴剤をはじめ、シャンプーやローションに配合されることも多い。しかし、ヒトでの有効性・安全性については信頼できるデータが見当たらない。ただしジャーマンカモミールはドイツのコミッションE (薬用植物の評価委員会) で治療目的での使用が承認されている。一方、ローマンカモミールは未承認ハーブとして記載されており、薬用としての効果は劣る上、アレルギー様の副作用のリスクがあることが報告されている。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・小頭花は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・「既存添加物」:カモミール抽出物は苦味料等の香辛料抽出物である。米国ではGRAS (一般的に安全と見なされる物質) 認定。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・精油 [アズレン (azulene) 、ビサボロール (bisabolol) ] 、カマアズレン (chamazulene) 、ファルネセン、フラボノイド (ルチン、クエルシメトリン) 、クマリン(アンベリフェロン) (coumarin) 、植物酸 (吉草酸) 、脂肪酸、青酸配糖体、サリチル酸誘導体、多糖類、コリン、アミノ酸、タンニンを含む。
・カミツレの花は少なくとも0.4% (V/W) の精油を含み、主要な成分はα-ビサボロール (bisabolol) とビサボロールオキサイドA およびBである。この花はさらにマトリシンと、アピゲニンやアピゲニン7-グルコシドのようなフラボン類を含む (58) 。
・ジャーマンカモミールは芳香性で背の低い一年生草本。ヨーロッパ、北アジア、西アジア原産、北アメリカで帰化。ローマンカモミールは強い芳香があり、毛におおわれる多年生草本。南ヨーロッパ、西ヨーロッパ原産、北アメリカで帰化。両者ともに広く栽培されている。茎は直立でよく枝を分け、高さ30〜70 cm。葉は細く裂け互生。夏、茎端に径2 cm内外の頭状花をつけ、舌状花は白色、中央の管状花は黄色。頭状花を乾燥したもの (カミツレ (花)) を茶剤などに用いる。花から水蒸気蒸留で精油を採取する。

分析法

・脂溶性成分が水素炎イオン化検出器 (FID) を装着したガスクロマトグラフィーにより分析されている (101) 。配糖体が紫外可視検出器 (検出波長310 nm) を装着したHPLCにより分析されている (102) 。フラボノイド類、フェノール酸誘導体がフォトダイオードアレイ検出器 (検出波長200〜450、335 nm) 、質量分析器 (MS) を装着したHPLCにより分析されている (103) 。

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中で見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中で見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中で見当たらない。

生殖・泌尿器

RCT
・月経前症候群の女性90名 (試験群45名、平均22.42±2.55歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、ジャーマンカモミール100 mg×3回/日を連続する2ヶ月の月経周期摂取させたところ、メフェナム酸250 mg×3回/日の服用と比較して症状の軽減が認められた (PMID:24439651)

脳・神経・
感覚器

RCT
・不眠症患者34名 (試験群17名、平均42.2±13.5歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ジャーマンカモミール抽出物270 mg×2回/日を28日間摂取させたところ、睡眠時間や睡眠の質、日中の症状に影響は与えなかった (PMID:21939549)
・全般性不安障害の患者57名 (試験群28名、平均45.5±14.53歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ジャーマンカモミール抽出物220 mg入りカプセルを1個/日、2個/日、3個/日、4個/日を各1週間、その後、5個/日4週間、連続して摂取させたところ、症状評価尺度5種類 (HAM-A、Beck Anxiety Inventory、Psychological Well Being、Clinical Global Impression Severity scores、HAM-D) のうち2種類 (HAM-A、HAM-D) でのみ改善が認められた (PMID:19593179) (PMID:22894890)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・放射線療法、ある種の化学療法による粘膜の炎症の予防および治療にジャーマンカモミール外用は有効性が示唆されている (94) 。ジャーマンカモミールをうがい剤として用いた場合、放射線治療やある種の化学療法剤治療から由来する粘膜の炎症を予防し、また治療したように思われた (PMID:1800734) 。しかし、フルオロウラシルを用いた場合の炎症にはプラセボと同等の結果であった (PMID:8630960)
・がんの放射線療法に伴う皮膚炎の予防にジャーマンカモミール外用は有効でないことが示唆されている (94) 。

骨・筋肉

調べた文献の中で見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中で見当たらない。

肥満

調べた文献の中で見当たらない。

その他

RCT
・無作為化比較試験によりカモミールエキス配合クリームのアトピー性皮膚炎に対する効果が報告されている (PMID:10799352)
・健常男性22名 (日本) を対象としたプラセボ対照比較試験において、0.5%カミツレエキス配合クリームまたはプラセボクリームを1日2回塗布し、紫外線Bを照射したところ、1週間目および2週間目に黒化度を下げる効果が観察され、カミツレエキスの色素沈着に対する抑制効果を確認できたという予備的な報告がある (2000091683) 。この効果についてはさらなる検証が必要である。





試験管内・
動物他での
評価

・ベリフェロンとカマアズレンはカンジダに効果がある (10) 。
・カマアズレンは黄色ブドウ球菌に対して殺菌作用を示す (10) 。
・抗菌、静菌作用がある (58) 。
・オイルは抗菌活性、とくにグラム陽性菌とカンジダ菌に対して効果をもつ (23) 。

安全性

危険情報

<一般>
・ジャーマンカモミール、ローマンカモミールともに、適切に用いればおそらく安全である (94) 。
・ジャーマンカモミールの花は治療目的で使用する場合、短期間ならば安全性が示唆されている (94) 。
・ジャーマンカモミール茶は多量摂取すると、嘔吐を起こすので危険性が示唆されている (64) (63) 。
・ドイツでは「浸剤は眼の近くで使用してはならない」との製品表示を義務付けている (22) 。ジャーマンカモミールは眼の近くへの使用は避けること (94) 。
・カモミールを含む洗顔剤でアレルギー性結膜炎を起こす可能性がある (63) 。
・国によってはローマンカモミールの精油を法規制の対象とする (20) 。ローマンカモミールの精油を吸入あるいはアロマテラピーで用いる場合、安全性が示唆されている (PMID:10484830)
<妊婦・授乳婦>
・ローマンカモミールは子宮を刺激する作用 (堕胎促進、月経促進、子宮収縮) があるので妊娠中は使用を避ける (20) (22) (94) 。
・ジャーマンカモミール、ローマンカモミールともに妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないので使用を避ける (94)。
・34歳 (妊娠20週、3妊2産) 、32歳 (妊娠35週、1妊0産) の妊婦(イギリス)が、それぞれカモミールティー (カモミールを紅茶に混ぜたもの) を継続的に摂取したところ (量および期間は不明) 、胎児に動脈管早期収縮がみられた (PMID:19705407) (PMID:19705407)
<その他>
・ジャーマンカモミールはアレルギー反応 (接触性皮膚炎、湿疹、重篤な過敏症、アナフィラキシーを含む) を起こすことがある (PMID:2674263) (94) 。眼に用いると刺激性がある (94) 。
・ローマンカモミールは外用で、接触性皮膚炎を起こすことがある。20%の人で何らかの皮膚アレルギー症状が出るともいわれている (94) 。
・ローマンカモミールは複合のアレルギーをもつ人でアレルギー反応が陽性になることが観察された (58) 。ジャーマンカモミール、ローマンカモミールともにキク科の植物と交差アレルギーがある (94) ため、ヨモギやブタクサ、キクなどの植物にアレルギーのある人は、カモミールの使用を避けたほうがよい (63) 。
・カモミールには傾眠作用や鎮静作用があるので、車や重機を運転する人は使用を避けたほうがよい (63) 。
・理論上、カモミールにはクマリンが含まれているため、出血のリスクが高まる可能性があり、出血性疾患のある人や、出血のリスクが高くなる薬を飲んでいる人は、注意して使用する必要がある (63) 。
<被害事例>
・ヨモギとブタクサによる花粉症の既往歴のある40歳女性 (日本) が、カモミールやレモンバーム、レモングラスを混ぜたハーブティーを飲んだ5分後、口唇や咽頭、眼の違和感と共に全身性蕁麻疹と呼吸困難を発症し、カモミールによる口腔アレルギー症候群と診断された (2004274540) 。
・アトピー性湿疹、カバノキ花粉アレルギー、リンゴと木の実に対する口腔アレルギー症候群の既往歴がある38歳白人男性 (ドイツ) が、ジャーマンカモミール茶を摂取した1時間後に全身性じんましん、血管性浮腫、呼吸困難などの重度のアナフィラキシー症状を生じた。血清IgE値、プリックテスト、口唇誘発テストにより、カモミール (茶) が陽性であったため、摂取したカモミール茶によるアナフィラキシーと診断された (PMID:19050375)
・豆乳摂取による呼吸困難感と花粉症の既往歴がある71歳女性 (日本) が、カモミール茶を摂取したところ (摂取量不明) 、10分後に手掌の掻痒および舌の腫脹が出現して医療機関を受診、加療により回復した。プリックテストによりカモミール茶が陽性であったため、カモミール茶によるアナフィラキシーと診断されたとの報告がある (2011257121) 。
・ハーブティーのパッキング作業に10年間従事している47歳女性 (スペイン) が、3年前から仕事中に鼻水、くしゃみ、目と鼻の痒み、目の充血などを呈し、プリックテストによりカモミールのドライフラワーによる職業性アレルギー性鼻炎結膜炎と診断された (PMID:25345315)
・75歳女性 (アメリカ) が、ホットカモミールティーを5年間、毎日摂取したところ、まぶた、あご、耳の痒みを生じ、受診。パッチテストにてジャーマンカモミールに陽性を示したため、カモミールによる接触性皮膚炎と診断され、カモミールティーの調製および摂取の中止、加療により改善した (PMID:25622757)

禁忌対象者

調べた文献に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・ワルファリン服用中の70歳の女性 (カナダ) がジャーマンカモミールベースのローションをティースプーンサイズで4〜5回/日、ジャーマンカモミールティーを4〜5カップ/日併用し、複数箇所の内出血を起こした (PMID:16636327)
・ジャーマンカモミールの2週間の慢性摂取で尿中クレアチニン排泄量が減少することがある (PMID:15656647) 。この作用は、摂取をやめて2週間続くが、メカニズムはわかっていない。
<試験管内・動物>
・動物実験 (ラット) において、2%ジャーマンカモミールティーを4週間経口摂取させたところ、肝臓のCYP2D、CYP3A、CYP2E活性に影響は認められなかったが、CYP1A2活性を減少させた (PMID:11697539)
<理論的に考えられる相互作用>
・鎮静効果のあるハーブや中枢抑制薬、ベンゾジアゼピン系薬物との併用により、その作用および副作用を増強させる可能性がある (94) 。
・クマリンを含むため、ワルファリンの作用を増強させる可能性がある (94) 。
・予備的な知見によると、ジャーマンカモミールはチトクロームP450 (CYP3A4) を阻害する可能性がある (PMID:10969720) ので、同酵素で代謝を受ける医薬品の体内動態に影響を与えることが考えられるが、ヒトでは報告されていない (94) 。
・ローマンカモミールは喘息を悪化させることがある (64) 。
・ローマンカモミールは、食物、臨床検査値に対する影響は知られていない。また臨床的に有意な相乗効果も期待できない (64) 。

動物他での
毒性試験

・ジャーマンカモミールの主な有効成分であるビサボロールは、動物実験では毒性、催奇形性はないことが示唆されている (PMID:117474)
・ラット肝S-9Mixを用いたエイムス試験で、カミツレが突然変異原性を示した (1985178027) 。
・in vitro実験レベルでの知見として、ジャーマンカモミールは肝臓の薬剤代謝酵素チトクロームP450 (CYP3A4) を阻害する可能性がある。つまり、CYP3A4で代謝される薬物レベルを上昇させる可能性がある。まだこの知見はヒトでは報告されていないが、これらの薬剤を投与されている患者での摂取は慎重に行うか、避けたほうがよい (PMID:10969720)
急性毒性:1) ジャーマンカモミールオイルをラットに経口投与したときの50%致死量 (LD50) は、10 g/kgである (91) 。2) ローマンカモミールオイルをラットに経口投与したときの50%致死量 (LD50) は、5 g/kg以上である (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・ジャーマンカモミールはクラス1 (適切に使用した場合、安全に摂取することができる) (22) 。


・ローマンカモミールはクラス2b (妊娠中は使用しない) (22) 。

総合評価

安全性

・ジャーマンカモミール、ローマンカモミールともに、適切に経口摂取すればおそらく安全である。しかし、ジャーマンカモミール茶は多量摂取すると、嘔吐を起こすので危険性が示唆されている。
・ローマンカモミールは妊娠中は使用しない。
・授乳中の安全性については十分なデータがないので使用を避ける。
・ジャーマンカモミールやローマンカモミールはアレルギー反応(接触性皮膚炎、重篤な過敏症、アナフィラキシーを含む)を起こすことがある。特に、眼に用いると刺激性がある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ジャーマンカモミールの外用は放射線療法、ある種の化学療法による粘膜の炎症の予防および治療に有効性が示唆されている。

参考文献

(10) ハーブ大全 小学館 R.メイビー
(20) ハーブ大百科 誠文堂新光社 デニ・バウン
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(23) 天然食品・薬品・香粧品の事典 朝倉書店 小林彰夫ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(58) The Complete German Commission E Monographs
(101) 生薬学雑誌. 1992; 46(4): 384-8.
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(64) 健康食品データベース 第一出版 Pharmacist's Letter/Prescriber's Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳
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