健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

コエンザイムQ10、ユビキノン、ビタミンQ [英]Ubiquinone (UQ) [学名]Ubiquinone (UQ)

概要

コエンザイムQ10 (CoQ10) はユビキノンとよばれる脂溶性のビタミン様物質であり、体内でも合成される。その中でもCoQ10が動物に存在する型である。コエンザイムQ10の「10」という数字は構造中のイソプレンという化学構造の繰り返し数を表している。1つのイソプレンは5個の炭素からできており、10個のイソプレンは50個の炭素数になることから、コエンザイムQ10をコエンザイムQ (50) と表示することもある。俗に、「活性酸素の増加を抑制する」などといわれる。ヒトでの有効性については、ミトコンドリア性脳脊髄障害の治療に対して有効性が示されている。安全性については、経口で摂取する場合はおそらく安全である。しかし、妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないことから摂取を避ける。CoQ10は血圧に対して影響する可能性があることから降圧剤を併用した場合は、血圧の変動に注意する必要がある。CoQ10は医薬品としても利用されているが、食品として流通しているCoQ10商品は一般的に品質・規格が明確でないため、それらの商品に医薬品と同等の安全性・有効性が期待できるとは限らない。また、食品としての適切な摂取目安量を設定する科学的根拠は、現時点では不十分なため、厚生労働省からは医薬品として用いられる量 (1日30 mg) を超えないようにとの通知 (食安新発第0823001号) (報道発表資料) が出されている (当サイト内の「コエンザイムQ10について」も参照) 。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・日本薬局方 「ユビデカレノン」は「医薬品」 (代謝性強心剤で1日30 mgの用量) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・脂溶性。ユビキノンとして生物界に広く存在する。高等動物ではイソプレン単位n=10が用いられている。Q10の"10"はイソプレンの数を示す。

分析法

・電気化学検出器を装着したHPLCにより分析されている (101) 。

有効性








循環器・
呼吸器


<心臓>
一般情報
・経口摂取で、うっ血性心不全に対して、有効性が示唆されている (94) 。軽度から重度のうっ血性心不全患者 (ニューヨーク心臓協会 (NYHA) クラス分類II-IV) に対し、通常の治療にコエンザイムQ10をプラスすると、QOL (64) (PMID:9420639) (PMID:7752841) 、入院率 (94) 、肺水腫 (64) 、心臓性喘息 (64) 、その他うっ血性心不全の症状である呼吸困難 (64) (PMID:7752841) (PMID:15188947) 、末梢の浮腫 (64) (PMID:7752841)、肝臓肥大 (64) (PMID:7752841) 、不眠 (94) 、心機能(PMID:7752827) (PMID:9266518) (PMID:10416042)、運動耐容能 (PMID:9420639) (PMID:14695923) (PMID:14695924) (PMID:15188947) 、うっ血性心不全の重症度 (NYHA分類) (PMID:14695923) (PMID:14695924) (PMID:15188947) などを改善させると思われる。ただしコエンザイムQ10の心不全への有効性については議論の余地がある。同じような用量と治療期間を用いた他の研究者らによれば、心臓駆出率や運動耐容能や酸素消費量の向上 (PMID:10766682) や冠動脈再建手術に対する心筋保護効果 (PMID:8619701) はほとんど見られない。
・コエンザイムQ10のうっ血性心不全に対する有効性を示した初期の研究はいずれも小規模で観察期間も短い。近年の大規模な無作為割付臨床試験 (RCT) ではその有効性は示されていないことから、現時点では科学的根拠が不十分であることが指摘されている(PMID:12420040) (PMID:14695924) 。米国心臓学会/米国心臓協会はコエンザイムQ10の治療目的での摂取について「心不全の治療法に対しては、さらに多くの科学的根拠が蓄積されるまで推奨できない」 (102) と位置づけている。コエンザイムQ10単独で摂取する場合、心不全に対して有用であるという根拠は不十分であるが、ただし他の心不全の薬と併用すれば有効である可能性がある (94) 。
・予備的な臨床研究で、コエンザイムQ10の経口摂取は、狭心症患者における運動耐容能を上昇させる (PMID:3927692) 可能性が示唆されている (94) 。ただしコエンザイムQ10の狭心症への有効性については議論の余地がある。コエンザイムQ10は副作用や医薬品との相互作 用などの問題点があることから、米国心臓学会/米国心臓協会はコエンザイムQ10の治療目的での摂取について「慢性安定狭心症の治療に対しては、有益および有効ではない」(103) と位置づけている。
メタ分析
・2012年7月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験13報について検討したメタ分析において、うっ血性心不全患者によるCoQ10の摂取は、左室駆出率 (11報) の増加と関連が認められたが、重症度評価 (NYHA分類) (3報) に影響は与えなかった (PMID:23221577)
・2014年1月までを対象に1つのデータベースで検索できた無作為化比較試験8報について検討したメタ分析において、心臓バイパス手術患者におけるコエンザイムQ10の摂取は、強心薬の使用率 (6報) 、心室性不整脈の発症リスク (2報) の低下と関連が認められたが、入院期間 (2報) 、心房細動の発症リスク (3報) に影響は与えず、心係数 (体表面積で補正した心拍出量) (2報) の低下が認められた (PMID:25344142)
・2013年12月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、健常者またはスタチン (高脂血症治療薬) を使用していない心血管疾患リスク保有者によるコエンザイムQ10の摂取は、拡張期血圧 (2報) 、血中脂質 (総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド (各1報) ) に影響は認められず、収縮期血圧 (2報) に対する影響は、試験によるバラツキが大きく評価できなかった (PMID:25474484)
RCT
・心不全患者39名 (試験群17名、平均62±7歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を150 mg/日、3ヶ月間摂取させたところ、心不全の重症度評価 (NYHA分類) と活動能力 (Specific Activities Scale、Naughton exercise test times) の改善が認められた (PMID:18705154)
・男性消防士65名 (試験群33名、平均55±6歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、熟成ニンニクを1,200 mg/日、コエンザイムQ10を120 mg/日、1年間摂取させたところ、冠動脈カルシウムスコアの増加抑制と血清C反応性蛋白値の低下(PMID:22923934) 、内皮機能の改善 (脈波伝播速度の減少、デジタル熱モニタリングの上昇) (PMID:22858191) が認められた。
・高齢男女443名 (試験群221名、平均78.0±3.2歳、スウェーデン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 200 mg/日+セレン200μg/日を平均5.2年間摂取させたところ、心血管疾患死亡率の低下、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント濃度上昇抑制、心エコーでの心機能改善が認められたが、全死亡率に影響は認められなかった (PMID:22626835)
その他
・高血圧又は心疾患を伴った儀慎擇II型糖尿病患者127名 (46〜90歳、日本) を対象に、コエンザイムQ10 (製品) を30〜60 mg/日、平均4ヶ月間 投与したところ、安静時心電図でST下降が改善され、また、STスコアは減少し、自覚症状 (胸部不快感、胸部不安感胸部圧迫感、動悸、息切れ) が改善され、主治医の効果判定では、「やや改善」以上の効果が認められた (1989146023) (1984029051) 。
・心室性期外収縮患者15名 (14〜69歳、日本) を対象に、コエンザイムQ10 (製品) を1日に60〜90 mg、6〜12週間投与し、4週間の休養期間を設け、観察期、投薬期、休薬期の各時期にホルター心電図を施行したところ、自覚症状が改善し、また心室性期外収縮に対する効果を認めた (1987132634) 。
・健常若年者10名 (21〜34歳、日本) 、心疾患のない高齢者10名 (59〜75歳) 、虚血性心疾患患者22名 (46〜73歳) を対象とし、コエンザイム Q10 (製品) を1日に30〜90 mg、4週間投与したところ、血清コエンザイムQ10濃度は上昇し、虚血性心疾患患者において30〜90 mg/日の投与はPEP/LVET比、心電図所見の虚血性ST・T変化を改善した (1987030830) 。 (PEPはpre-ejection period、前駆出時間を、LVETはLV ejection time、左室駆出時間をそれぞれ意味する。PEP/LEVT比は左心収縮機能を反映する一つの指標で、この値の低下は駆出率の改善を意味するものである。)
・心疾患男性患者10名 (30〜67歳、日本) を対象として、コエンザイムQ10を1日に30〜120 mg、3週間ずつ投与したところ、左房径、左房収縮終期径は60 mg以上の投与条件において減少し、僧帽弁後退速度は増加した (1986033641) 。
・心疾患患者9名 (32〜75歳、日本) に、コエンザイムQ10 (製品) を1日に30〜60 mg、4〜13週間投与したところ、60 mg投与条件において左房径、左室収縮終期径、左室拡張終期径が減少し、僧帽弁後退速度、左室駆出分画、平均左室心内円周収縮速度が改善された (1984130326) 。
・慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者で慢性肺性心症を合併している9名 (39〜70歳、日本) に、コエンザイムQ10を1日に30 mg、1ヶ月間 (加療中の3名には3ヶ月間) 投与したところ、駆出率と僧帽弁後退速度が上昇した (1984088711) 。
・統合失調症患者94名 (22〜55歳、日本) にコエンザイムQ10 (製品) を1日に30〜60 mg、それぞれ1年間投与したところ、1日に60 mg投与すると血清コエンザイムQ10濃度が正常値まで回復し、心電図のT波の非特異的異常波形が改善される傾向にあった (1986151279) 。
・心不全患者8名 (33〜69歳、日本) に、コエンザイムQ10 (製品) を1日に60 mg、8週間投与し、投与前-投与後8週目に臥位エルゴメーターによる運動負荷を行ったところ、SV (stroke volume:1回排出量) 、CO (cardiac output:心拍出量) 、EF (ejection fraction:駆出量) が増加し、多少なりとも自覚症状の改善が認められた (1984120234) 。
・NYHAIおよびII度の虚血性心疾患15名 (48〜77歳、日本) に、コエンザイムQ10を1日60 mg、平均12週間経口投与し、20°臥位自転車エルゴ メーターを用いて50 watt 3分間と、100 watt 3分間を連続して行う簡易二段階負荷を行ったところ、運動負荷後の収縮期血圧が上昇し、前駆出時間の指標 (QE0) が短縮され、心収縮機能の指標 (E波 高) が上昇し、一回拍出量および心拍出量の指標 (E/E0IIA およびE/E0IIA・HR) が増加した (1984120261) 。
(注:NYHAはNew York Heart Association、ニューヨーク心臓協会が定めた心不全の症状の程度の分類のことで、I-IV度があり、症状が一番軽いのがI度、重いのがIV度である。)
・NYHAII度の安定型労作性狭心症患者18名 (試験群12名、日本) を対象にコエンザイムQ10を1.5 mg/kgを1日1回点滴静注にて7日間投与し、投与後0〜7日目に運動負荷を行ったところ、運動耐容量、運動持続時間が増加した (1983250843) 。
・虚血性心疾患者労作性狭心症患者11名 (日本) に、コエンザイムQ10 (製品) を1日に30〜40 mg、12〜16週間投与したところ、運動耐容能が向上し、運動負荷に伴うβ-トロンボグロブリン (血小板放出反応) の上昇が予防された (1984145858) 。
・少なくとも2年以上抗精神病薬 (主にハロペリドール、クロルプロマジン、チオリダジン) を服用している精神分裂者94名 (22〜55歳、日本) にコエンザイ Q10 (製品) を1日に30 〜60 mg、それぞれ1年間投与したところ、1日に60 mg投与すると血清コエンザイムQ10濃度が正常値まで回復し、心電図のT波の非特異的異常波形が改善される傾向にあった (1986151279) 。
・向精神薬服用期間が短く (2年未満は67%) 、心電図異常がある患者24名 (日本) に、コエンザイムQ10 (製品) を1日に30〜60 mg投与したところ、ST波、T波、U波が改善し、向精神薬服用期間の短い (1年未満) 患者ほど改善率が高かった。また、出現した副作用は下痢 (1名) であった (1984031928) 。
・抗精神病薬服用患者58名 (試験群29名、日本) を対象に、1日にコエンザイムQ10を60 mg、4週間摂取させたところ、心拍数が減少し、抗精神薬服用期間1年以上6年未満の患者について左房径の拡大が減少した (1983081070) 。

<血圧>
一般情報
・経口摂取で高血圧に対して、有効性が示唆されている (94) 。コエンザイムQ10は他の降圧剤と併用で、相加的な血圧降下作用を示すと思われる。また他 の降圧剤の用量を減少させたり薬を止めることが出来る可能性がある。コエンザイムQ10は複数の収縮期高血圧患者の収縮期血圧 (最高血圧) を降下させた (94) (PMID:14695924) (PMID:11780680) 。ただしコエンザイムQ10の降圧効果については議論の余地があり、現時点では科学的根拠が不十分であることから、治療目的での摂取についてはいかなる指針や勧告も発表されていない (PMID:14695928)
メタ分析
・2015年11月までを対象に8つのデータベースで検索できた二重盲検クロスオーバーまたは並行無作為化プラセボ比較試験2報について検討したメタ分析において、コエンザイムQ10の摂取は収縮期、拡張期血圧に影響を与えなかった (PMID:26935713)
RCT
・左心室拡張期機能障害のあるII型糖尿病患者74名 (オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 200 mg/日とfenofibrate (高脂血症治療薬) 160 mg/日を単独もしくは併用で6ヶ月間摂取させたところ、心臓の左室拡張能に影響は認められなかったが、併用群で収縮期血圧の低下、単独摂取群で拡張期血圧の低下が認められた (PMID:18487480)
・慢性腎臓病患者85名 (平均56.5±1.4歳、試験群45名、オーストラリア) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 200 mg/日を単独もしくはn-3系不飽和脂肪酸4 g/日と併用で8週間摂取させたところ、併用群でのみ心拍、血圧、血中中性脂肪値が低下したが、単独群では影響は認められず、コレステロール値、インスリン濃度は両群とも影響が認められなかった (PMID:19705518)
・メタボリックシンドロームの成人30名 (平均64±1歳、ニュージーランド) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を100 mg×2回/日、12週間摂取させて24時間自由行動下血圧を測定したところ、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍に影響は認められなかった (PMID:22113168)
その他
・高血圧または心疾患を伴った糖尿病患者73名 (平均63.8歳、日本) に、コエンザイムQ10 (製品) を1日に30 mg、平均22週間投与したところ、拡張期血圧、心拍数が低下し、また、自覚症状が改善された (1985007072) 。

<その他>
メタ分析
・2011年7月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験5報について検討したメタ分析において、コエンザイムQ10の摂取は、血流依存性血管拡張反応 (FMD) の上昇と関連が認められたが、nitrate-mediated arterial dilatation (NMD) に影響は与えなかった (PMID:22088605)
RCT
・肥満症患者51名 (試験群26名、平均42.7±11.3歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を200 mg/日、12週間摂取させたところ、血中脂質や酸化・炎症マーカー (リポ蛋白a、酸化LDL、CRP、白血球数) 、 上腕・足首脈波速度 (baPWV) 、疲労度評価 (FSS) に影響は認められなかった (PMID:21370966)
その他
・呼吸困難を訴える慢性呼吸器疾患患者275名 (日本) に、コエンザイムQ10 (製品) を1日に60 mg、6ヶ月間投与したところ、最大呼気圧が改善され、自他覚症状・検査所見の改善率は軽度改善以上49.2%であった (1986085726) 。
・狭心症患者9名 (平均59.3±3.9歳、日本) にコエンザイムQ10を1日に60 mg、平均6.3±1.3週間を投与し、低浸透圧溶血抵抗試験を行ったところ、溶血基点と溶血終点は低下した (1990065343) 。


消化系・肝臓

その他
・慢性肝機能障害患者12名 (1〜13歳、10.6〜33.0 kg、日本) に、コエンザイムQ10を1日に20〜50 mg、100日間投与したところ、尿中の酸化ストレスマーカーおよび肝機能が改善傾向を示したという予備的な報告がある (2004147141) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・まれな糖尿病の一種であるミトコンドリア遺伝子異常糖尿病 (MIDD:maternally inherited diabetes and deafness) による進行性インスリン分泌障害、運動不耐、聴力損失を防ぐ可能性が、幾つかの初歩的で基礎的な研究で示されている (94) 。
・コエンザイムQ10は経口摂取で、糖尿病患者の血糖値のコントロールには効果がないという報告がある。I型、II型糖尿病患者とも、血糖値のコントロールが向上したりインスリンの必要量を減少させることはなかった (PMID:10220205) (PMID:10416046) 。一方、コエンザイムQ10の血糖降下作用がII型糖尿病患者で観察されたという報告もある (PMID:12428181)
RCT
・過体重または肥満の冠動脈心疾患合併II型糖尿病患者60名 (試験群30名、平均65.9±12.5歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を100 mg/日、8週間摂取させたところ、血清インスリン濃度、HOMA-IR、HOMA-Bの低下が認められたが、空腹時血糖値、量的インスリン感受性検査指数 (QUICKI) 、血清脂質 (トリグリセリド、VLDLコレステロール、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール) 、高感度CRP、酸化ストレス関連マーカー (一酸化窒素、総抗酸化能、グルタチオン、マロンジアルデヒド) に影響は認められなかった (PMID:26385228)

生殖・泌尿器

メタ分析
・2012年12月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験3報について検討したメタ分析において、不妊症の男性によるコエンザイムQ10の摂取は、精子の密度、運動性の増加と関連が認められたが、妊娠率に影響は認められなかった (PMID:23912751)
RCT
・突発性無精子症・過小精子無力症を有する不妊症男性47名 (試験群23名、平均34.17±4.52歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を200 mg/日、12週間摂取させたところ、血中 (PMID:21399391) および精漿中 (PMID:23289958) の抗酸化能の上昇が認められたが、精液パラメーター (精子濃度、運動性、正常形態) に影響は認められなかった。
・不妊症の男性228名 (試験群114名、平均31歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を200 mg/日、26週間摂取させたところ、精子の密度、運動性、正常形態の割合が増加したが精子の数に影響は認められなかった (PMID:22704112)
・健康な成人252名 (試験群126名、平均52.7±6.1歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を400 mg/日、12週間摂取させたところ、血清前立腺特異抗原濃度の減少が認められたが、性ホルモン (テストステロン、ジヒドロテストステロン、黄体形成ホルモン、性ホルモン結合グロブリン) 濃度に影響は認められなかった (PMID:23199523)
・不妊患者24名 (試験群10名、平均39.0±0.79歳、カナダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を600 mg/日摂取させ、摂取開始2ヶ月後から排卵誘発と顕微授精による不妊治療を行ったところ、卵母細胞の染色体異数性率、妊娠率および生児出生率に影響は認められなかった (PMID:24987272)
その他
・乏精子症患者39名 (平均35.6歳、平均不妊期間61.7ヶ月、日本) を対象に、コエンザイムQ10 60 mg/日を12〜16週間摂取させたところ、精子濃度、総精子数、総運動精子数が上昇し、高度乏精子症群では運動率も上昇した (1985080482) 。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・ミトコンドリア脳筋症の治療に、有効である (94) 。コエンザイムQ10の6ヶ月にわたる投与は、一部の遺伝的あるいは後天的なミトコンドリア性機能不全による疾病患者の症状を軽快させると思われる。ある種のコエンザイムQ10製剤 (UbiQGel) は、米国食品医薬品局 (FDA) ではミトコンドリア脳筋症に対するオーファンドラッグとして認められている (94) 。
・筋ジストロフィーの治療に経口摂取で、有効性が示唆されている (94) 。
・パーキンソン病の治療に対して、有効性が示唆されている (94) 。
・経口摂取で、ハンチントン病の治療に対して、効果がないことが示唆されている (PMID:11502903) 。1日600 mg以下の量を30ヶ月以上摂取した結果、コエンザイムQ10はハンチントン病患者の機能低下の進行を遅延しなかった。何人かの研究者は、臨床的に有意な効果を得るためにはさらに高用量の摂取が必要である可能性を示唆している (64) 。
・初歩的な知見で、片頭痛の予防に有効な可能性がある (94) 。
RCT
・初期のパーキンソン病患者80名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を300 mg/日 (試験群21名、平均60.9±10.8歳) 、600 mg/日 (試験群20名、平均61.9±11.7歳) 、1,200 mg/日 (試験群23名、平均59.9±11.2歳) 、16ヶ月間摂取させたところ、1,200 mg/日摂取群でのみ、パーキンソン病統一スケール (UPDRS) の悪化抑制が認められた (PMID:12374491)
・中程度のパーキンソン病患者131名 (試験群64名、平均60.7±9.1歳、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ナノ粒子のコエンザイムQ10を300 mg/日、3ヶ月間摂取させたところ、パーキンソン病統一スケール (UPDRS) II/IIIの変化に影響は認められなかった (PMID:17502459)
・初期のパーキンソン病患者600名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、全員にビタミンEを1200 IU/日摂取させる条件で、プラセボ (203名、平均61.3±10.5歳) 、コエンザイムQ10を1,200 mg/日 (201名、平均63.3±9.8歳) または2,400 mg/日 (196名、平均62.8±9.7歳) で16ヶ月間、あるいはドパミン療法を必要とする時期まで摂取させたところ、パーキンソン病統一スケール (UPDRS) の変化に影響は認められなかった (PMID:24664227)
・偏頭痛のある子ども120名 (6〜17歳、アメリカ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を100 mg/日、16週間摂取させたところ、頭痛の症状や頻度、期間に影響は認められなかった (PMID:21586650)
・軽〜中程度のアルツハイマー型認知症患者78名 (試験群25名、平均71.4±8.4歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQを400 mg×3回/日、16週間摂取させたところ、脳脊髄液中の酸化ストレスマーカー (F2-イソプロスタン)、CSFバイオマーカー (βアミロイド42、総タウ蛋白、リン酸化タウ) 、症状スコア (ADCS-ADL、MMSE) に影響は認められなかった (PMID:22431837)
・II型糖尿病で多発性神経障害を発症している患者49名 (試験群24名、平均55.3±8.4歳、メキシコ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を400 mg/日、12週間摂取させたところ、神経障害の症状スコア低下、血清中過酸化脂質濃度の低下が認められたが、血清中神経成長因子 (NGF-β) 濃度に影響は認められなかった (PMID:22595020)
・線維筋痛症の女性20名 (18歳以上、試験群10名、スペイン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 300 mg/日を40日間摂取させたところ、重症度 (FIQ) 、圧痛点の数、痛み (ビジュアルアナログスケール) の低下が認められたが、睡眠の質 (ピッツバーグ睡眠質問票) に影響は認められなかった (PMID:23458405)
・再発寛解型多発性硬化症の患者45名 (試験群22名、平均33.1±7.6歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 500 mg/日を12週間摂取させたところ、血清SOD活性の上昇、MDA濃度の低下が認められたが、GPx活性、総抗酸化能、総合障害度に影響は認められなかった (PMID:23659338)
・慢性疲労症候群患者73名 (試験群39名、平均49.3±7.1歳、スペイン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 200 mg+NADH (還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド) 20 mg /日を8週間摂取させたところ、ピッツバーグ睡眠質問票における睡眠困難、睡眠薬使用の減少が認められたが、その他の睡眠の質、自転車エルゴメーターでの最大心拍数、呼吸商、最大運動負荷量、血圧、主観的運動強度、主観的な疲労の程度に影響は認められなかった (PMID 26212172) 。
その他
・キーンズ-セイアー症候群患者7名、その他のミトコンドリア脳筋症患者2名 (20〜53歳、日本) を対象に、コエンザイムQ10 150 mg/日、1年以上摂取させたところ、投与開始数ヶ月後より全身倦怠感の減少、好気的運動時の乳酸血症の改善などを認め、コエンザイムQ10投与中止により悪化が認められたという予備的な報告がある (1989110031) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。
・慢性進行性外眼筋麻痺 (CPED:chronic progressive external ophthalmoplegia) 患者5名 (平均41.8歳、日本) と健康成人男性8名 (平均32.6歳) を対象に、コエンザイムQ10を150 mg/日、3ヶ月間摂取させたところ、CPED患者の投与前に消失していた階段現象が見られるようになった (1995049790) 。
・難治性起立性調節障害患者100名 (平均年齢37.8歳、日本) を対象に、コエンザイムQ10 (製品) を30 mg/日、3〜13.5ヶ月摂取させたところ、自覚症状で83%、心電図TII波の異常で50%、Schellong試験で82%に改善が見られたという予備的な報告がある (1991141256) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・HIV/AIDS患者の免疫機能を向上させるのに経口摂取で、有効性が示唆されている (94) 。
・初歩的な知見で、進行した乳がんに対して、手術や化学療法、抗酸化物質、n-3脂肪酸、n-6脂肪酸との併用でコエンザイムQ10は治療を助ける可能性がある (94) 。
・コエンザイムQ10の抗ガン剤への耐容性について検討したシステマチックレビュー (系統的総説) がある (PMID:15514384) 。コエンザイムQ10は抗ガン剤 (主にアントラサイクリン系抗ガン剤) による心臓及び肝臓毒性を緩和する可能性があるが、逆に抗ガン剤の効果を減弱するおそれもある。この効果については議論の余地がありさらに厳密な試験が必要である。
RCT
・運動習慣のない男性14名 (平均19.8±0.9歳、トルコ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ較試験において、コエンザイムQ10を100 mg/日、8週間摂取させたところ、血漿中のアディポネクチンおよび炎症マーカー (TNF-α、IL-6) に影響は認められなかった (PMID:20136458)

骨・筋肉

メタ分析
・2014年5月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験6報について検討したメタ分析において、スタチン治療患者によるコエンザイムQ10の摂取は、スタチン治療の副作用であるミオパシー (血漿中クレアチンキナーゼ濃度、筋肉痛:各5報) に影響を与えなかった (PMID:25440725)
RCT
・ポストポリオ症候群患者14名 (試験群7名、平均71歳、スウェーデン) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、週3回の筋レジスタンス運動と共にコエンザイムQ10を200 mg/日を12週間摂取させたところ、筋力、筋持久力、QOLに影響は認められなかった (PMID:18843432)
・スタチン治療による筋肉痛を発症している患者76名 (試験群40名、平均61.6歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を60 mg×2回/日、3ヶ月間摂取させたところ、痛みの評価に影響は認められなかった (PMID:22608359)
・アトルバスタチン治療による筋障害を呈している患者41名 (試験群20名、中央値58歳、ノルウェー) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 400 mg/日とセレン 200μg/日を12週間摂取させたところ、自覚症状や筋機能評価に影響は認められなかった (PMID:23301875)
・シンバスタチン20 mg/日、8週間の服用によりミオパシーを生じた患者38名 (試験群20名、平均58±10歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、シンバスタチンとともにコエンザイムQ10を600 mg/日、8週間併用させたところ、痛みの評価 (BPI) 、痛み発症までの時間、筋力、VO2maxに影響は認められなかった (PMID:25545331)

発育・成長

一般情報
・コエンザイムQ10は経口摂取で、運動能力の向上にはおそらく効果がない (94) 。
・初歩的な臨床研究で、コエンザイムQ10の経口摂取は狭心症患者における運動耐容能を上昇させる可能性が示唆されている (64) (PMID:3927692)

肥満

調べた文献の中で見当らない。

その他

一般情報
・外用で歯周病の治療に対し、おそらく効果がない (94) 。
・ワルファリン使用による脱毛症に対し効果がある可能性を示唆する初歩的な知見がある (94) 。
・初歩的な臨床研究で、コエンザイムQ10の経口摂取は歯周病に対し有効である可能性が示唆されている (94) 。
RCT
・運動習慣のある成人男性23名 (試験群12名、平均28.2±8.8歳、スウェーデン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を90 mg/日、8週間摂取させたところ、運動負荷による最大酸素摂取量、血中乳酸閾値、心拍、血中ヒポキサンチン、尿酸、クレアチンキナーゼ濃度に影響は認められなかった (PMID:22079391)
・運動習慣のある成人15名 (平均42.7±10.4歳、アメリカ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を300 mg/日、4週間摂取させたところ、運動パフォーマンス (トレッドミル、サイクルスプリントテスト) や血中酸化マーカー (マロンジアルデヒド、過酸化水素) 、血中乳酸値に影響は認められなかった (PMID:22966414)
・健常成人17名 (平均37.5±9.9歳、男9名 女8名、日本) を対象としたランダム化二重盲検クロスオーバー試験において、コエンザイムQ10を100 mg/日もしくは300 mg/日、8日間摂取させたところ、300 mg/日の摂取により、VAS (visual analog scale:主観的な疲労感の評価尺度) における疲労度および運動負荷による疲労 (自転車エルゴメーターによる最大速度の低下) が軽減した (PMID:18272335)
・50歳以上でスタチンを服用している運動選手19名 (平均63.5±8.2歳、アメリカ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を200 mg/日、6週間摂取させたところ、無酸素性作業閾値までの時間、筋力の増加が認められたが、無酸素性作業閾値、乳酸値、乳酸ピルビン酸比、クレアチンフォスフォキナーゼ、最大酸素摂取量、呼吸交換比、フィットネスの自己評価に影響は認められなかった (PMID:23306418)
・化学療法を受けている乳がん患者236名 (試験群122名、中央値52歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 300 mg/日をビタミンE 300 IU/日と24週間併用させたところ、ビタミンE単独摂取群と比較して、疲労、落ち込み、QOLの自己評価 (POMS-F、FACIT-F、LASA-Fatigue、FACT-B、CES-D) に影響は認められなかった (PMID:22682875)
・ポリオ遅発性後遺症による疲労を訴える患者101名 (試験群52名、平均69.9±8.4歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を100 mg/日、60日間摂取させたところ、疲労スケール (MAF、FSS) に影響は認められなかった (PMID:26645517)
その他
・歯周病患者22名 (33〜66歳、日本) を対象に、コエンザイムQ10を100 mg/日、2ヶ月間摂取させたところ、22名中17名の血液中のT4/T8比が上昇した。うち11名にさらに6ヶ月間投与を続けたところ、8名の血清中IgG濃度が上昇し、コエンザイムQ10濃度は最大で2〜3倍上昇した。歯肉縁下細菌叢・歯肉炎の臨床評価からも、免疫機能が改善されたという予備的な報告がある (1994226386) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。
・歯周病患者33名 (33〜66歳、日本) を対象に、コエンザイムQ10を100 mg/日、2〜8ヶ月間投与したところ、歯肉炎指数、歯周ポケットの深さ、歯肉縁下細菌叢は運動性桿菌とスピロヘータが減少したという予備的な報告がある (1994226385) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。
・コエンザイムQ10は経口摂取で、急性冠動脈疾患患者における血中脂質過酸化生成物を低下させたという報告が同じ研究グループにより報告されている (PMID:10077397) (PMID:9825179) (PMID:12841346) 。他方、冠動脈疾患患者における血清LDL酸化抵抗性(PMID:9684746) 、II型糖尿病患者における血中脂質過酸化生成物 (PMID:12428181) 、喫煙男性におけるDNA酸化傷害の指標である尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン排泄量 (PMID:9022536) を減少させなかったという報告もある。

(欠乏症・先天異常)
・衰弱や疲労、発作などの症状を示すコエンザイムQ10欠乏症は極めてまれに報告され、コエンザイムQ10はこれらの症状を改善した (94) 。





試験管内・
動物他での
評価

・脂質の抗酸化作用を持つので、細胞膜を酸化から保護し、ビタミンEを節約する (5) (6) (16) 。
・薬として大量に投与すると、動脈硬化や高血圧 (メカニズムはアルドステロンへの拮抗作用による) にも有用とされる (2) (6) 。
・免疫細胞や白血球の作用を高める (2) (5) 。
・免疫増強作用がある (2) 。
・精子を活発にする (5) 。
・糖質をエネルギーに変えて血液中の糖分を減らす (5) 。
・酸素の利用効率を高める (5) 。
・臓器移植の際の心臓、腎臓、肝臓などの臓器を摘出時の虚血状態に対し強くする (6) 。

安全性

危険情報

<一般>
・経口摂取で適切にコエンザイムQ10を使用する場合、おそらく安全である (94) 。コエンザイムQ10に関連する研究では、有意な毒性は報告されていない (64) 。
・外用で、粘剤 (ガム) としてコエンザイムQ10を使用する場合、おそらく安全である (94) 。
・コエンザイムQ10は軽度の副作用を引き起こす可能性がある (胃の不調が0.39%、食欲不振が0.23%、吐き気が0.16%、下痢が0.12%の人で見られた) (63) 。一日当たり100 mgを超える量を摂取する場合、2〜3回に分けて摂ることで副作用を最小限に抑えることができる (64) 。
・理論上、コエンザイムQ10を含むサプリメントに対してアレルギーが起こる可能性がある (63) 。
<妊婦・授乳婦>
・摂取に関しての安全性情報は十分ではないため摂取を避ける (94) 。
<その他>
・コエンザイムQ10含有食品と表示し、該当する製品からコエンザイムQ10はほとんど検出されず、代わりに別のイデベノンという医薬品成分 (日本では承認取消) が検出された事例がある ( 104 ) 。
<被害事例>
・61歳女性 (日本) がコエンザイムQ10とシソ葉抽出物を含むサプリメントを2ヶ月間摂取後、薬剤性肺炎を発症した (PMID:17087347)

禁忌対象者

調べた文献の中で見当らない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・健常成人18名 (日本) を対象に実験開始6日前からケノデオキシオール酸400 mg/日又はフェロジピン480 mg/日を投与し、実験当日に食事 (食パン75 g、バター10 g、牛乳200 mL) を摂取させ、30分後にコエンザイムQ10 100 mgを投与したところ、ケノデオキシオール酸の投与により血中コエンザイムQ10濃度が増加したが、フェロジピンの投与では差が認められなかった (1989048637) 。
・II型糖尿病患者71名 (試験群38名、オーストラリア) を対象とした二重盲検ランダム化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10を200 mg/日、2週間摂取させたところ、HbA1c値の低下が認められたとの報告がある (PMID:12428181) ことから、血糖降下薬と併用した場合、相加的な効果が認められるかもしれない。こまめに血糖値をモニターする必要がある (63) 。
・ワルファリン服用中の血栓塞栓症患者3名 (68〜72歳、日本) がコエンザイムQ10を30 mg/日 (1名は摂取量不明) 摂取したところ、2週間後 (1名は摂取期間不明) にワルファリンの効果が激弱し、INR (国際標準化比、凝固因子活性の表記法のひとつ) が低下した (2005063172) 。
・高コレステロール血症治療薬であるスタチンの副作用として筋障害 (筋肉痛、痙れん、筋力低下、重症の場合まれに横紋筋融解症など) が報告されており (PMID:16127807) ( 105 ) 、スタチン服用中の患者で筋肉 (PMID:16003294) や血液 (PMID:15942122) (PMID:8254097) 中のコエンザイムQ10濃度が減少するという報告がある。しかしながらスタチンによる筋障害発症のメカニズムは不明な点が多く、コエンザイムQ10の摂取がスタチンの副作用を減弱するという確証は得られていない。スタチン治療にコエンザイムQ10を併用すると血中コエンザイムQ10濃度の低下を抑制したという報告 (PMID:7752830) はあるが、筋肉中コエンザイムQ10濃度への影響について検討した報告は見あたらない。
<理論的に考えられる相互作用>
・降圧薬との併用は、コエンザイムQ10が血圧に影響を与える可能性があり、薬の作用が増強される可能性があるため、注意を要する (PMID:7752851) (PMID:12428181) (63) 。
・稀にコエンザイムQ10を摂取したことにより肝酵素が増加したという報告があるため、肝疾患を患っている人や、肝機能が低下する可能性がある治療を受けている人は、十分な注意が必要である (63) 。
・ワルファリンを投与されている患者では、コエンザイムQ10との併用でワルファリンの抗凝固効果が薄れる可能性がある (PMID:7968059) (PMID:10902065) 。この原因としてコエンザイムQ10にメナキノン (ビタミンK) 様作用があるためとの説もあるが明確ではない (2005063172) 。ワルファリンとコエンザイムQ10を併用する場合、こまめにワルファリンの投与量をチェックする必要がある。
・コエンザイムQ10を含むサプリメントを摂取している際は、激しい運動を自粛するように勧告されることが多い (63) 。
・ベニコウジはスタチンと同様にHMG-CoA還元酵素阻害活性を有することから、コエンザイムQ10レベルを低下させる可能性がある (94) (PMID:15705235)

動物他での
毒性試験

・ddN系雄性マウスにコエンザイムQ10を40 mg/kg/日で4日間腹腔内投与し、最終投与30分後にジアゼパムを経口投与し、pentetrazol 100 mg/kgを皮下注射したところ、ジアゼパムの抗痙攣作用、強調運動抑制作用、筋弛緩作用を1.8〜2.7倍に増強された (1983020121) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・経口摂取で適切に使用する場合、おそらく安全である。
・妊娠中・授乳中に対する安全性情報は十分でないため摂取を避ける。
・降圧薬および糖尿病薬との併用は、薬の作用が増強される可能性がある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ミトコンドリア脳筋症の治療に有効である。経口摂取で有効性が示唆されているのは、1) うっ血性心不全、2) 高血圧、3) 筋ジストロフィー、4) パーキンソン病、5) HIV/AIDS患者の免疫機能向上、6) コエンザイムQ10欠乏症に対する作用である。
・米国心臓学会/米国心臓協会はコエンザイムQ10の治療目的での摂取について「心不全の治療に対しては、さらに多くの科学的根拠が蓄積するまで推奨できない」「慢性安定狭心症の治療に対しては、有益および有効ではない」と位置づけている。
・糖尿病患者の血糖値のコントロール、ハンチントン病の治療に対しては、効果がないことが示唆されている。運動能力の向上にはおそらく効果がない。

参考文献

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(5) 栄養成分バイブル 主婦と生活社 中村丁次
(6) よくわかるビタミンブック 主婦の友社 吉川敏一
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