健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

セレン [英]Selenium (Se) [学名]Selenium (Se)

概要

セレンは、ヒトにとって必須な微量元素であり、その欠乏は中国東北部の風土病 (克山病)としてよく知られている。セレンは、酸化障害に対する生体防御に重要なグルタチオンペルオキシダーゼ類の活性中心であり、抗酸化反応において重要な役割を担っている。俗に、「老化やがんを防ぐ」「生活習慣病を予防する」などと言われ、前立腺がんの発生率低下、全がん死亡率の減少など、一部にヒトでの有効性が示唆されている。安全性については、許容摂取量の範囲で適切に摂取すればおそらく安全であるが、他のミネラルに比べてセレンは必要量と中毒量の範囲が極めて狭いことから、使用にあたっては特に注意が必要である。催奇形性や流産のおそれがあるため、妊娠中の過量摂取は避けるべきである。セレンを多く含む食品としては、ねぎ、わかさぎ、いわしなどがある。日本人のセレンの平均摂取量は約100μg/日とされており、通常の食事から十分量を摂取できていると考えられる。従って、セレンを含有するサプリメントなどを摂取する場合、過剰摂取に特に注意が必要である。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「セレン解説」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当 (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号Se原子番号34、原子量78.96。周期律表中イオウ (S) と同族であり、化学的にも同様な性質を示す。含硫アミノ酸のメチオニンとシステインのSと置換した形のセレノメチオニン、セレノシステインとして植物や細菌、動物体内中に存在している。

分析法

・HPLC法 (PMID:11575581) 、または原子吸光法 (PMID:10649844) (2008333677) による方法がある。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・心臓病の予防に、効果がないことが示唆されている (94) 。冠状動脈性心疾患の人において、100μg/日のセレンをβカロテン、ビタミンCと共に摂取した結果、心臓血管病の進行や関連する心筋梗塞の発生を抑制しなかった。この抗酸化物質の組み合わせは、HDLの中でも最も心臓を守るとされるHDL2の濃度を減少させるかもしれないという証拠がいくつかある (94) 。
・50μg/日のセレン化酵母摂取が、15 mgのβカロテンと60 mgのビタミンEとの併用で、脳卒中死亡率、がん死亡率、そして全体の死亡率を減少させたという予備的な報告があるが、肺がんと直腸結腸がんへの効果に関しては論争がある (94) 。
メタ分析
・2006年3月までを対象に、3種のデータベースで検索可能な無作為化比較試験16報をメタ分析したところ、ビタミンE、ビタミンC、β-カロテン、セレンの抗酸化物質および葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12のB群ビタミンの投与はアテローム性動脈硬化症の進行に効果が認められなかった (PMID:17023716)
・2012年11月までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験50報について検討したメタ分析において、ビタミンや抗酸化物質 (ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、β-カロテン、セレン) のサプリメント摂取は心血管疾患 (心筋梗塞、狭心症、脳卒中、一過性虚血発作) の発症および心血管関連死、心突然死のリスクに影響を与えなかった (PMID:23335472)
RCT
・心血管疾患のない人1,004名 (試験群504名、平均62.5歳、アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、200μg/日のセレン摂取は、7.6年間の追跡で心血管疾患の発生を抑制しなかった (PMID:16495471)
・健康なボランティア186名 (試験群100名、平均56±6歳、フランス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、抗酸化物質 (1日にビタミンC 120 mg、ビタミンE 30 mg、β-カロテン 6 mg、セレン 100μg、亜鉛 20 mg) を2年間摂取させたところ、尿中の11-dehydro TXB2/2,3 dinor 6 keto PGF1α (血小板活性化の指標で冠状動脈性心疾患リスクと相関する) が低かった (PMID:17914127)
・健康なアメリカ人男性42名 (試験群22名、平均31±9.4歳) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン300μg/日を48週間摂取させたところ、上腕動脈の血流依存性血管拡張反応 (FMD) 、ニトログリセリン投与後の最大拡張血管径に影響は認められなかった (PMID:19036851)
・成人のぜんそく患者197名 (試験群99名、平均40.0歳、イギリス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、酵母由来セレン100μg/日を24週間摂取したところ、QOL、肺機能、ぜんそく症状スコア、気管拡張剤使用回数に効果は見られなかった (PMID:17234657)
・高齢男女443名 (試験群221名、平均78.0±3.2歳、スウェーデン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 200 mg/日+セレン200μg/日を平均5.2年間摂取させたところ、心血管疾患死亡率の低下、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント濃度上昇抑制、心エコーでの心機能改善が認められたが、全死亡率に影響は認められなかった (PMID:22626835)
・初産妊婦229名 (試験群115名、平均30.35±4.55歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン60μg/日を妊娠12〜14週から出産まで摂取させたところ、子癇前症のリスクに関連する因子 (可溶性血管内皮細胞増殖因子受容体 (sFlt-1) 、胎盤成長因子 (PlGF) 、アクチビンA、インヒビンA、VCAM-1、E-セレクチン、ニトロチロシン) 、炎症マーカー (CRP、ペントラキシン3) に影響は認められなかった (PMID:24708917)


消化系・肝臓

メタ分析
・2011年1月までを対象に、6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、肝臓病患者によるβ-カロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、セレンなどの抗酸化物質の摂取は、全死亡率や肝臓疾患による死亡率に影響を与えなかった (PMID:21412909)

糖尿病・
内分泌

メタ分析
・2013年11月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験4報について検討したメタ分析において、セレンサプリメントの摂取はII型糖尿病リスクに影響を与えなかった (PMID:24858736)
RCT
・成人男女1,202名 (試験群600名、平均63.4±10.2歳、アメリカ) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験データの2次解析において、セレン200μg/日を平均7.7年間摂取した群は、プラセボ群と比較してII型糖尿病になるリスクが高かった (PMID:17620655)
・前立腺がんに罹患している高齢男性140名 (平均72.8±6.65歳、試験群94名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験の二次解析において、セレン200μg/日または800μg/日の5年間の摂取は、血清グルコース濃度に影響を与えなかった (PMID:20670733)
・前立腺がんリスクの高い男性699名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン200μg/日 (234名、平均65.2±8.0歳) または400μg/日 (233名、平均65.5±7.7歳) を5年間摂取させたところ、血糖値に影響は認められなかった (PMID:23489776)
・高齢者473名 (平均67.5±4.1歳、試験群361名、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン100μg/日、200μg/日、300μg/日のいずれかを6ヶ月間摂取させたところ、血漿アディポネクチン濃度に影響は認められなかった (PMID:23028897)
・II型糖尿病患者60名 (試験群33名、平均53.54±7.52歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、通常の薬物治療に加え、セレン200 μg/日を3ヶ月間摂取させたところ、HDLコレステロールの増加が認められたが、薬物治療による血糖およびHbA1cの改善を阻害した (PMID:23633679)

生殖・泌尿器

RCT
・妊娠初期の初産婦166名 (試験群83名、平均21.6±2.5歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン100μg/日を出産まで摂取させたところ、子癇前症の発症率に影響は認められなかった (PMID:20708525)
・下部尿路症状または前立腺肥大のある男性55名 (試験群26名、平均55.0±5.8歳、チェコ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン240μg/日+シリマリン570 mg/日を6ヶ月間摂取させたところ、国際前立腺症状スコア (IPSS) の改善、最大尿流率、平均尿流率の上昇、排尿後残尿、血漿総前立腺特異的抗原 (PSA) レベルの低下が認められたが、膀胱容量、PSA F/T比、テストステロン濃度、酸化ストレスマーカーに影響は認められなかった (PMID:24012146)

脳・神経・
感覚器

RCT
・健康な高齢女性220名 (平均63歳、試験群111名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンサプリメント (ビタミンC 150 mg、ビタミンE 36 mg、ビタミンB1 2.4 mg、ビタミンB2 3.2 mg、ビタミンB6 3.4 mg、ビタミンB12 9μg、ナイアシン 34 mg、パントテン酸 16 mg、ビオチン 200μg、葉酸 400μg、カロテン 9 mg、マグネシウム 50 mg、セレン 60μg含有) を6ヶ月間摂取させたところ、認知機能に影響は認められなかった (PMID:15917019)

免疫・がん・
炎症

<がん>
一般情報
・がんの発生率や死亡率との関連についての報告があるが、現時点ではポジティブな (有効性があるとする) 結果とネガティブな (有効性がないとする) 結果の両方が存在している。また、部位により異なることが示されている。個々の情報は下記のとおり。
≪がんの発生率や死亡率の抑制効果が示唆されたという報告≫
一般情報
1) 全がん死亡率および発病率を低下させるのに経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。ただし、乳がん、膀胱がん、皮膚がん、白血病-リンパ腫に対しては、このような効果の証拠はない (66) 。
2) 前立腺がんの発生率の減少に、経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。血中、血漿中、および足の爪のセレン濃度を測定した結果より、食事からのセレンの摂取量の増加は前立腺がんのリスクを減少させると思われている。このようなサプリメントの効果は、セレン欠乏の人で最も大きく現れる。食事からの十分なビタミンEの摂取が、セレンの前立腺がん予防効果をさらに向上させるかもしれない。
3) 疫学調査ではセレンの土中濃度がもともと低い地方で、皮膚がんの素因がある人を対象に、二重盲検試験でセレンの摂取とがんの関連をみた結果、皮膚がんの発生率は変わらなかったが、肺がん、大腸がんと前立腺がんの発生率は33〜54%減少した。全体のがん死亡率は50%低下、前立腺がんでは37%の低下がみられた (53) 。
4) 50μg/日のセレン化酵母摂取が、15 mgのβ-カロテンと60 mgのビタミンEとの併用で、脳卒中死亡率、がん死亡率、全体の死亡率を減少させたという予備的な報告がある (94) 。
メタ分析
1) 2009年4月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験8報について検討したメタ分析において、セレンサプリメント単独摂取は、対象者全体、血清セレン濃度が低い人 (<125.6 ng/mL) 、または、がんリスクが高い人における全がん発症リスク低減と関連が認められた (PMID:22004275)
RCT
1) 内視鏡ポリープ切除術を受けた患者330名 (試験群164名、中央値57.5歳、イタリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン200μg/日、亜鉛30 mg/日、ビタミンA 2 mg/日、ビタミンC 180 mg/日、ビタミンE 30 mg/日を5年間摂取させたところ、中央値4年後までの腺腫再発率の低下が認められた (PMID:23065023)
≪がんの発生率や死亡率の抑制効果がみられなかったという報告≫
一般情報
1) 皮膚がんの発生率を減少させるのに、経口摂取で効果がないことが示唆されている (94) 。200μg/日のセレン摂取は、基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、非メラノーマ性皮膚がんの発生を抑制しなかった。
2) 肺がんの発生率を減少させるのに、経口摂取で効果がないことが示唆されている (94) 。疫学調査の結果、食事からのセレン摂取の増加は、肺がんリスクを減少させなかった。ただし欠乏している人では、少し効果があるかもしれない (94) 。
メタ分析
1) 2003年9月までを対象に、4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験25報について検討したシステマティックレビューにおいて、がん患者によるセレン、ビタミンC、ビタミンA、β‐カロテンなどの抗酸化物質の摂取と全死亡率との関連は認められなかった (PMID:16849679)
2) 2005年8月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報についてのシステマティックレビューにおいて、β-カロテン、セレン、ビタミンEなどの抗酸化物の摂取は、全がん発症率や死亡率に影響を与えなかった (PMID:18173999)
3) 2007年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験31報 (22試験) について検討したメタ分析において、抗酸化サプリメント (β-カロテン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、セレン) の摂取はがんの発症もしくは再発率に影響を与えず、サブグループの分析 (4試験) においては膀胱がんのリスク増加を示した (PMID:19622597)
4) 2009年5月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、抗酸化物 (セレン、β-カロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE) の摂取は、大腸がん、大腸腺腫の発症リスクや死亡率に影響を与えなかった (PMID:24620628)
RCT
1) 3,365名 (試験群1,677名、35〜64歳、中国) を対象とした無作為化比較試験において、ビタミンC (250 mg) とビタミンE (100 IU) およびセレン (37.5μg) を含有するサプリメントを1日2回、7.3年間摂取させた結果、胃の前がん性病変の有病率や胃がんの発生率にプラセボとの差はなく (PMID:16849680)、14.7年後までの胃がん発生率や胃がんによる死亡率にも影響は認められなかった (PMID:22271764)
2) 成人男女13,017名 (35〜60歳、男5,141名、女7,879名、フランス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、セレン (100μg/日) 、ビタミンC (120 mg/日) 、ビタミンE (30 mg/日) 、β-カロテン (6 mg/日) 、亜鉛 (20 mg/日) を平均7.5年間摂取させたところ、女性では皮膚がんのリスクが増加し、男性では影響はみられなかった (PMID:17709449)
3) 前立腺特異的抗原 (PSA) 値が4.0 mg/mL以下の男性34,887名 (平均62〜63歳、試験群26,191名、アメリカ、カナダ、プエルトリコ) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンE 400 IU/日、セレン200μg/日を単独または併用で7〜12年間摂取させたところ、肺がん、結腸直腸がんの発症リスクに影響は認められず (PMID:19066370) 、セレン単独または併用群では前立腺がん発症リスクにも影響は認められなかったが、ビタミンE単独群では前立腺がん発症リスクの増加が認められた (PMID:21990298) 。また、このうち11,267名を対象とした平均5.6±1.2年間の追跡調査において、セレンおよびビタミンEの単独摂取、併用のいずれにおいても加齢性白内障発症リスク、白内障摘出術受療率に影響は認められなかった (PMID:25232809)
4) 高悪性度の前立腺上皮細胞内腫瘍の男性303名 (平均62.8歳、試験群156名、カナダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、1日に大豆たんぱく質を40 g、ビタミンEを800 IU、セレンを200μg、3年間摂取させたところ、前立腺がんへの進行率に影響は認められなかった (PMID:21537051)
5) 前立腺がんに罹患している男性140名 (平均72.8±6.65歳、試験群94名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン200μg/日または800μg/日を5年間摂取させたところ、前立腺がん特異抗原の経時的変化率 (PSA velocity) に影響は認められず、800μg/日摂取群の中で摂取開始前から血中セレン濃度が高かった対象者では、PSA velocityの上昇が認められた (PMID:20647337)
6) 前立腺がんリスクの高い男性699名 (平均65.4±7.7歳、試験群467名、アメリカ、ニュージーランド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン200μg/日または400μg/日を5年間摂取させたところ、いずれの摂取量においても前立腺がん発症リスクや前立腺特異抗原の経時的変化率 (PSA velocity) に影響は認められなかった (PMID:22887343)

<その他>
一般情報
・がん以外の有効性については信頼できるデータが十分にない (94) 。HIV感染患者に対しセレノメチオニン (セレンの生体内における存在形) が臨床症状に効果がなかったという予備的な報告がある (94) 。
メタ分析
・2012年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、敗血症患者によるセレンサプリメントの摂取と、全死亡率 (5報) 、院内肺炎リスク (2報) 、ICU滞在期間 (2報) に関連は認められなかった (PMID:23791608)
RCT
・造血幹細胞移植を受ける患者74名 (試験群37名、平均33.3歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン200μg×2回/日を高用量化学療法開始1日目から造血幹細胞移植後14日後まで摂取させたところ、重度の口内炎発症リスクと発症期間の減少が認められたが、全体の口内炎発症リスクや症状の持続期間 (PMID:23292233) 、血漿中の炎症マーカー (TNF-α、IL-1β、IL-6) (PMID:24942646) に影響は認められなかった。

骨・筋肉

一般情報
・リウマチ性関節炎の治療に、経口摂取で効果がないことが示唆されている (94) 。セレン化酵母を200μg/日摂取した場合、リウマチ性関節炎の客観的指標を改善しなかった。生活の質 (QOL) の指標はわずかだか改善する可能性がある (94) 。
RCT
・アトルバスタチン治療による筋障害を呈している患者41名 (試験群20名、中央値58歳、ノルウェー) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 400 mg/日とセレン 200μg/日を12週間摂取させたところ、自覚症状や筋機能評価に影響は認められなかった (PMID:23301875)

発育・成長

調べた文献の中で見当らない。

肥満

調べた文献の中で見当らない。

その他

一般情報
・高濃度のヒ素に暴露されている中国人の血中ヒ素濃度をセレン化酵母 (高セレン培地で培養したビール酵母でセレンサプリメントとして使用される) が低下させたが、ヒ素の毒性に対する臨床的な影響は不明であったという予備的な報告がある (94) 。
・ヨウ素欠乏の地域において、セレンが甲状腺ペルオキシダーゼ抗体 (TPOAb、バセドー氏病や橋本病患者で高抗体で検出されることが多く、補助診断的意義がある) を低減するかもしれないという予備的な報告がある。しかしこの効果とヨード欠乏症との関連は不明である (94) 。
メタ分析
・2005年10月までを対象に、4種のデータベースで検索可能な無作為化比較試験68報について検討したシステマティックレビューにおいて、成人に対するビタミンC、セレンの投与は、死亡リスクの減少に効果が認められなかった (PMID:17327526)
RCT
・自己免疫性甲状腺炎と甲状腺機能低下症の小児49名 (平均12.2±2.2歳、試験群31名、ドイツ) を対象とした無作為化比較試験において、通常の治療に追加して亜セレン酸ナトリウム 100μg/日または200μg/日を12ヶ月間摂取させたところ、血漿中の甲状腺ペルオキシダーゼ抗体 (TPO Ab: 自己免疫性甲状腺疾患で高値を示す抗体) 濃度に影響は認められなかった (PMID:20526530)
・健康な成人8,112名 (試験群4,081名、男性平均52.1±4.7歳、女性平均47.9±6.5歳、フランス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンC 120 mg/日、ビタミンE 30 mg/日、β-カロテン6 mg/日、セレン100μg/日、亜鉛20 mg/日を平均76.0±4.2ヶ月間摂取させたところ、健康関連QOL (HRQOL) に影響は認められなかった (PMID:22158670)

(欠乏症・先天性異常)
・欠乏すると心筋障害を招く (1) (2) (14) (53) 。
・欠乏すると更年期の症状が増す (5) 。
・欠乏するとフケや抜け毛が増える (5) 。





試験管内・
動物他での
評価

・動物実験では高濃度セレン投与で腫瘍発生を抑制した (1) 。

安全性

危険情報

<一般>
・セレンは毒性の強い元素なので、安易な多量摂取は危険である (5) 。
・適切に用いれば経口摂取でおそらく安全であり、400μg/日まで安全であったとされるが、それ以上の摂取はおそらく危険である (94) 。
・過剰摂取により疲労感 (1) (3) (66) 、焦燥感 (3) (66) 、爪や髪の変化 (1) (3) (5) (66)、脱毛 (1) (5) (55) 、末梢神経障害 (1) (3) 、悪心 (1) (3) (5) 、吐き気 (66) 、嘔吐 (1) (3) (66) 、腹痛 (3) 、下痢 (3) 、う蝕 (1) 、易刺激性 (1) (55) 、皮膚炎 (1) (55) 、体重減少 (66) をおこす。
・中国での地域的なセレン慢性中毒例では、一日の摂取量は4,990μgにも及んでいる (1) 。慢性毒性はヒ素中毒に似ており、脱毛、爪の変形、爪郭炎、疲労感、焦燥感、易刺激性、吐き気、嘔吐、呼気のニンニク臭がある (66) 。セレンの毒性は他にも筋肉の圧痛、震顫、頭のふらつき、顔面紅潮などがあげられる (66) 。
・セレンは血小板減少症、軽度の肝臓や腎臓の機能障害の原因となりうる (66) 。
・セレンの摂取は皮膚がんと関連があるという説があるが、6年間にわたる200μg/日のセレンサプリメント摂取の結果では、皮膚がんリスクへの影響は見られなかった。しかし13年にもわたる長期のサプリメント摂取では、扁平上皮細胞がんや非メラノーマ性がんがわずかに増加した可能性が示唆されている (66) 。
・セレンの多い食事を摂ると生殖細胞の運動性を減少させる可能性があるが、男性の生殖能に与える影響は不明である (66) 。
<小児>
・経口摂取で適切に摂取する場合、おそらく安全である (94) 。また、早産児に経鼻胃チューブを通して摂取した場合は安全性が示唆されている (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中においても耐容上限量未満であればおそらく安全である (94) 。それ以上の摂取は避けること。妊娠中の過量摂取は催奇形性、流産のおそれがある (94) 。
<その他>
・市販のミネラル補給用サプリメント22製品には、日本人の食事摂取基準の推奨量を超えるセレンが含有されていた (2008333677) 。
<被害事例>
・前立腺特異抗原レベルが高値を示した75歳男性 (オーストラリア) が、セレンが前立腺がんに有効との情報をインターネットで得て、亜セレン酸ナトリウム10 g (純度96%) を摂取し、3.5時間後に嘔吐、下痢、腹痛、低血圧などを発症し、摂取6時間後に急性セレン中毒で死亡した (PMID:17014408)
・セレンを過剰に含むサプリメント製品によるセレン中毒が報告されている。詳細は以下のとおり。
1) セレン7.33μg/mL含有と表示されたサプリメントに、実際にはセレンが800.5μg/mL含有されており、この製品を摂取 (セレンとして24,015μg/日) した55歳の女性 (アメリカ) が、摂取開始1週間後からの下痢と5週間後からの進行性の脱毛により来院し、腋窩・性器・四肢の脱毛、全身の筋痙攣、関節痛、倦怠感、集中力の欠如も認められた (PMID:18559845)
2) セレン200μg/回含有と表示されたサプリメントに、実際には200倍以上のセレンが含有されており、この製品を1〜3.5ヶ月間摂取した45歳と56歳の女性 (アメリカ) が、進行性の脱毛や掻痒、頭皮の剥離性発疹、爪の変色、倦怠感を呈しセレン中毒と診断された (PMID:20542184)
3) セレン200μg/回含有と表示されたサプリメントに、実際にはセレンが40,800μg/回含有されており、この製品を利用していた201名 (アメリカ) に、下痢、疲労、脱毛、関節の痛み、爪の変色、吐き気などがみられた (PMID:20142570)
4) セレン6.6μg/mL含有と表示されたサプリメントに、実際にはセレンが1,360μg/mL含有されており、この製品を10〜60日間摂取した9名 (38歳男性、37歳女性、15歳男性、57歳男性、56歳女性、43歳女性、49歳男性、46歳女性、57歳男性、アメリカ) が、摂取開始1週間以内から、脱毛、爪ジストロフィー、胃腸症状、記憶障害などを呈した (PMID:22165838)

禁忌対象者

調べた文献の中で見当らない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・他のハーブやサプリメントとの相互作用については十分なデータがない (66) 。
・1日18 mgの鉄の補給は、妊娠中に血中セレン濃度が上昇するのを防ぐ可能性がある (PMID:11204463)
・ナイアシンやHMG-CoA還元酵素阻害薬のシンバスタチンは、セレンとβカロテン、ビタミンCとの組み合わせにより効果が減弱する。またセレンはスタチン系HMG-CoA還元酵素阻害薬の効果を弱める可能性がある (PMID:11757504)
・臨床検査ではクレアチニン・キナーゼ濃度、心電図に影響を与えることが考えられる (101) 。
・血液透析患者では透析中に血中セレン濃度が低下しやすく、またヨウ素欠乏症の患者において、セレン欠乏はヨウ素欠乏症を悪化させる可能性がある (PMID:11385942)

動物他での
毒性試験

・妊娠中のラットに妊娠13日目から生後18日目まで0.02 mg/kgまたは0.2 mg/kgのセレンを1日1回、皮下投与し、仔ラットにう蝕形成飼料を与えたところ、上顎臼歯裂溝部でう蝕誘発性が高くなった (1983254003) 。
・仔ラットを4群に分割し、セレンを皮下注射 (投与用量は0.02 mg/kg/日または0.2 mg/kg/日、投与期間は生後1日目〜70日間投与または生後19日目〜52日間投与) し、同時にう蝕形成飼料で飼育したところ、生後1日目〜70日間投与の条件では、上顎臼歯裂溝部のう蝕羅患度が高かった (1983254004) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし

総合評価

安全性

・セレンは毒性の強い元素なので、安易な多量摂取は危険である
・妊娠中の過量摂取は催奇形性、流産のおそれがある。また過剰摂取による末梢神経障害や消化器の機能異常がある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・前立腺がんの発生率の減少に、経口摂取で有効性が示唆されている。
・心臓病の予防、皮膚がんの発生率低下及びリウマチ性関節炎の治療に、効果がないことが示唆されている。

参考文献

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