健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

亜鉛 [英]Zinc (Zn) [学名]-

概要

亜鉛はアルコールデヒドロゲナーゼ等の脱水素酵素、DNAポリメラーゼ等の多くの酵素に含有され、遺伝子発現、タンパク質合成など多くの生体の反応に関わっている。また、免疫機能全般に大きな影響を与えており、亜鉛の欠乏は成長障害、食欲不振、味覚障害などを起こす。一般に、「味覚を正常に保つ」「生活習慣病を予防する」などといわれ、亜鉛欠乏症や栄養失調による病気の治療、味覚減退の改善など、一部にヒトでの有効性が示唆されている。安全性については、適切に摂取すればおそらく安全であるが、過剰摂取により神経症状、免疫障害、銅欠乏症などを起こすことがある。亜鉛は保健機能食品 (栄養機能食品) の対象成分となっているが、乳幼児・小児については、あえて錠剤やカプセル剤の形状で補給・補完する必要性がない旨の注意喚起が出されている (通知文PDF) 。亜鉛を多く含む食品としては、魚介類、肉類などがある。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「亜鉛解説」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・「栄養機能食品」の対象成分である (下限値:2.1 mg、上限値:15 mg)。→通知文1 (PDF) 通知文2 (PDF)

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号Zn、原子番号30、原子量65.38、

分析法

・乾式灰化法、湿式分解法あるいは希酸抽出法に従って、灰化、分解、抽出を行い、原子吸光法により分析されている (104) 。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・亜鉛欠乏症の人における鎌状赤血球症に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
・心臓に対する保護作用に関する疫学的科学的根拠はほとんどない (25) 。
・亜鉛不足の人における、動脈および静脈性下肢潰瘍に、経口摂取で有効性が示唆されている (94) が、亜鉛が十分である人では効果がないとされる (PMID:10796629) 。静脈性下肢潰瘍の治療に対する有益性は不明であるとの見解もある (25) 。
メタ分析
・2014年12月までを対象に3つのデータベースで検索できた臨床研究24報について検討したメタ分析において、亜鉛の摂取は、総コレステロール値 (24報) 、LDLコレステロール値 (17報) 、トリグリセリド値 (19報) の低下と関連が認められたが、総コレステロール、トリグリセリドでは試験によるバラツキが大きく、HDLコレステロール値 (21報) に影響は認められなかった (PMID:26244049)
・2015年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験9報について検討したメタ分析において、抗生物質による治療を受けている5歳未満の重症肺炎患者による亜鉛の摂取は、重症肺炎の罹患期間 (5報) 、入院期間 (3報) 、治療不奏功リスク (6報) 、抗生物質変更 (5報) 、肺炎関連因子 (頻呼吸、低酸素血症、胸壁の引き込み、発熱) の罹患期間、死亡率 (5報) との関連は認められなかった (PMID:26811108)
RCT
・健康なボランティア186名 (試験群100名、平均51±6歳、フランス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、抗酸化物質 (1日にビタミンC 120 mg、ビタミンE 30 mg、β-カロテン6 mg、セレン100μg、亜鉛20 mg) を2年間摂取させたところ、尿中の11-dehydro TXB2/2,3 dinor 6 keto PGF1α (血小板活性化の指標で冠状動脈性心疾患リスクと相関する) が低かった (PMID:17914127)
・HIV感染者を含む肺結核患者154名 (試験群77名、平均30歳、南アフリカ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、レチニルパルミテート (パルミチン酸レチノール) 200,000 IU/日と亜鉛15 mg/日を8週間摂取させたところ、治療成績や体重増加に影響は認められなかった (PMID:21068353)


消化系・肝臓

<下痢>
一般情報

・栄養失調または亜鉛欠乏症の小児における急性下痢の期間と症状を軽減するのに経口摂取でおそらく有効である (94) 。下痢消耗症のHIV感染者において、ビタミンAおよびEとの併用で、ビタミンの吸収を改善しないことが示唆されている (PMID:10197378)
メタ分析
・2009年までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験37報について検討したメタ分析において、小児による亜鉛の摂取は、下痢の罹患率と有病率の低下と関連が認められたが、慢性下痢や赤痢の罹患率、死亡率との関連は認められなかった (PMID:21569418) 。しかしながら、試験によるばらつきが大きく、さらなる検証が必要である。
・2013年1月までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験18報について検討したメタ分析において、5歳以下の急性下痢に対する亜鉛の摂取は、症状持続期間 (13報) の減少と関連が見られたものの試験によるばらつきが大きく、嘔吐の頻度 (4報) が増加した (PMID:23764669)
RCT
・急性下痢の小児808名 (6ヶ月〜59ヶ月齢、試験群537名、インド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、通常の治療に加えて、亜鉛2 mg/kg/日を2週間、単独もしくは銅0.2 mg/kg/日と併用摂取させたところ、下痢の期間や症状に影響は認められず(PMID:19416499)、費用対効果が悪かった (PMID:23177894)
・急性下痢の乳幼児353名 (試験群176名、平均15.5±4.9ヶ月齢、バングラディッシュ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、亜鉛20 mg/日、10日間投与の治療後、亜鉛10 mg/日またはプラセボを3ヶ月間摂取させ、9ヶ月間後まで追跡したところ、急性下痢発症頻度の低下が認められたが、呼吸器感染症発症頻度には影響が認められなかった (PMID:20374562)
・乳児258名 (6〜11ヶ月齢、試験群134名、インド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、亜鉛20 mg/日を2週間摂取させたところ、5ヶ月後までの下痢の発症率、下痢の日数、1回の下痢の症状の持続期間の低下が認められた (PMID:23733798)

<その他>
一般情報

・消化性潰瘍の治療および予防に有効性が示唆されている (94) 。アセキサム酸亜鉛 (zinc acexamate) はH2受容体拮抗薬と同程度、胃および十二指腸潰瘍を改善する可能性が示唆されている(PMID:1386327)が、他の塩の効果はよく知られていない (94) 。
・亜鉛が銅の吸収の阻害および排泄を促進するため、経口摂取でウィルソン病の症状改善に有効性が示されている (94) 。
・亜鉛不足で慢性再発性アフタ (消化管粘膜に浅い小潰瘍を形成する病変) の患者に660 mg/日の亜鉛を摂取させると症状が改善した (PMID:870981) が、亜鉛が十分である人では効果がない (PMID:870981) (PMID:7048184)
・炎症性腸疾患の治療には、効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・非アルコール性肝硬変患者60名 (試験群30名、平均51.3±15.8歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、硫酸亜鉛50 mg/日を90日間摂取させたところ、重症度 (Child-Pugh)の改善、血清中銅、クレアチニン濃度の低下が認められた (PMID:22827782)

糖尿病・
内分泌

メタ分析
・2011年7月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験14報について検討したメタ分析において、亜鉛サプリメントの摂取は、空腹時血糖値 (14報) の低値と関連が認められたが、HbA1c (5報) 、インスリン (7報) 濃度との関連は認められなかった (PMID:23137858)

生殖・泌尿器

一般情報
・鉄と葉酸のサプリメントを摂取している妊娠中の女性において、亜鉛の経口摂取は鉄状態の改善に対し、効果がないことが示唆されている (94) 。
・貧血のある妊娠中期 (平均20.9±1.4週) の妊婦80名 (20〜38歳、試験群24名、日本) を対象に亜鉛 (β-アラニル-L-ヒスチジネイト亜鉛として1日34 mg) を8週間投与したところ、インスリン様成長因子-Iと総鉄結合能が増加し、新生児の出生体重2,500 g未満の例が少なかった (2001119808) 。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・神経性食思不振症 (拒食症) に経口摂取で有効性が示唆されている。亜鉛のサプリメントは患者の体重を増加させ、抑うつ状態を改善する可能性がある (94) 。
・注意欠陥過活動性障害 (ADHA) の児童における、多動、衝動性、社会的不適合の症状の改善に、従来の治療法との併用で有効性が示唆されているが、注意欠陥は改善しないと考えられる (94) 。
・ADHDの小児患者では血清中亜鉛濃度が低いという報告 (PMID:8682903)(PMID:8959299)があり、亜鉛濃度の低い患者では刺激薬治療 (デキストロアンフェタミン) が十分な効果を示さないという報告もある (PMID:2269593)
・味覚減退 (亜鉛欠乏によるものだけでなく、ガスチン/炭酸脱水酵素VI欠乏症、カプトプリル服用や頭部の放射線療法による味覚障害など) に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。成人尿毒症患者において、経口または透析液による亜鉛補充は味覚を改善するが、小児透析患者ではおそらく効果がない (94) 。
・抗酸化作用のあるビタミンとの併用摂取で、加齢性黄斑変性の進行を遅らせるのに有効性が示唆されている (94) 。ただし、亜鉛単独経口摂取では予防に対し、効果がないことが示唆されている (94) 。亜鉛80 mgとビタミンC 500 mg、ビタミンE 400 IU、βカロテン15 mg (いずれも1日量) を併用摂取したところ、中等症から重症の加齢性黄斑変性患者のうち、27%で視力低下のリスクが低減し、24%で病状進行のリスクが低減した。これは亜鉛単独摂取ではみられない (94) 。大規模疫学調査では、食事からの亜鉛の摂取が多いと加齢性黄斑変性の進行を抑制する可能性が示されている (PMID:8694736) (PMID:16380590)
・抗酸化作用のあるビタミンとの併用摂取で、白内障には効果がないことが示唆されている (94) 。55〜80歳の栄養状態のよい人において亜鉛80 mgとビタミンC 500 mg、ビタミンE 400 IU、βカロテン15 mg (いずれも1日量) を併用摂取したところ、白内障の発生や進行、手術の必要性について何の効果も見られなかった。ただしもっと早い段階での介入や長い期間のサプリメント投与での効果については不明である (94) 。
・耳鳴りの治療に対し、効果がないことが示唆されている (94) 。
・頭部外傷直後に非経口投与することにより、神経機能の回復に有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2007年2月までを対象に7種のデータベースで検索出来た無作為化臨床試験 (RCT) および前向きコホート試験12報についてのメタ分析において、抗酸化物質 (ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン) の食事摂取量と早期加齢性黄斑変性症の発症の間には相関がなかった(PMID:17923720)
・2014年3月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、小児または妊婦による亜鉛の摂取は、小児期の知能 (5報) 、実行機能 (4報) 、運動機能 (3報) の発達に影響を与えなかった (PMID:25920424)
RCT
・健康な高齢者387名 (55〜87歳、試験群257名、イタリア、フランス、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、亜鉛15 mg/日または30 mg/日を6ヶ月間摂取させたところ、気分 (the Positive and Negative Affect Scale) に影響は認められなかった (PMID:21272413)
・ ADHDの児童 (対照群202名、平均9.61歳、トルコ) 400名を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、硫酸亜鉛150 mg/日を12週間摂取させたところ、多動、衝動性、社会的不適合を改善したが、注意欠陥症状は改善しなかった (PMID:14687872)
・ADHA患者44名 (試験群22名、平均8.04±1.73歳、イラン) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、硫酸亜鉛 55 mg/日 (亜鉛量として約15 mg) をメチルフェニデート 1 mg/kg/日と6週間併用させたところ、亜鉛併用群ではメチルフェニデート単独投与群より症状の改善が認められた (PMID:15070418)
・健康な乳児560名 (4〜6ヶ月齢、試験群421名、タイ) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、亜鉛10 mg/日、鉄10 mg/日を単独または併用で6ヶ月間摂取させたところ、9歳の時点における認知機能 (IQ、WISC-III、学校の成績) に影響は認められなかった (PMID:21270383)
・乳幼児734名 (12〜35ヶ月齢、試験群546名、ネパール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、鉄12.5 mg/日+葉酸50μg/日、亜鉛10 mg/日のいずれかまたは両者を36ヶ月齢時まで摂取させたところ、7〜9歳時における知能や運動機能、実行機能 (UNIT、Stroop test、Backward Digit Span test、Go/no-go test、MABC、Finger-tapping test) に影響は認められなかった (PMID:22566538)
・大うつ病性障害患者37名 (試験群20名、平均37.0±9歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、抗うつ薬治療とともに硫酸亜鉛 (亜鉛として25 mg/日) を12週間摂取させたところ、症状の評価 (HDRS) が改善したが、血漿中IL-6、TNF-α、BDN-a濃度に影響は認められなかった (PMID:23602205)

免疫・がん・
炎症

<免疫>
一般情報

・単純ヘルペスに対して外用で有効性が示唆されている (94) 。硫酸亜鉛は口唇および性器ヘルペス両方の症状と発症期間を改善するようである (94) 。顔面および口囲ヘルペス患者46名を対象とした無作為化二重盲検臨床試験において、発症から24時間以内に0.3%酸化亜鉛とグリシンのクリームを2時間毎に治癒するまで、もしくは21日間使用したところ、発症期間の短縮および諸症状の緩和が認められた (PMID:11347285)
・風邪の予防や罹患期間の短縮に対する効果は、成人の罹患期間短縮にトローチ剤摂取の有効性が示唆されている (94) が、小児における亜鉛トローチの効果は成人と一致しない (94) 。経鼻投与の効果は見解が一致せず、亜鉛のスプレー式点鼻薬が症状の軽減と期間を短縮するという報告がある一方で、効果がないという報告もある (94) 。また、風邪の予防にはサプリメントからの亜鉛の摂取は効果が無いと考えられる (94) 。いずれにおいても、現時点では、ポジティブな結果とネガティブな結果の両方が存在している。
・ 多くの研究で、成人がグルコン酸亜鉛または酢酸亜鉛のトローチ剤 (亜鉛として9〜24 mg含有)を摂取すると、風邪の症状期間が有意に短縮されると報告されている (94) 。この場合、症状が出てから48時間以内にトローチ剤の摂取を始め、日中は2時間おきに摂取する必要がある。この摂取法は小児には有効でない (94) 。
・学童496例を対象とした臨床試験において、グルコン酸亜鉛トローチの投与が風邪の期間を短縮した (PMID:12424502)
・成人のライノウィルス感染患者273名および風邪の患者281名 (18〜65歳) に酢酸亜鉛5,11.5 mg含有トローチまたはグルコン酸亜鉛13.3 mg含有トローチを日中2〜3時間おきに14日まで使用させたが、期間や症状の改善は認められなかった (PMID:11073753)
・上気道感染症に対する亜鉛 (グルコン酸塩) の有益性は不明である (25) 。
・高齢者において、硫酸亜鉛25 mg/日の経口摂取により細胞性免疫が向上すると考えられる (PMID:9434661) が、抗体反応およびインフルエンザワクチン後のインフルエンザ感染の発症に対する効果はないと思われる (PMID:10218756) (PMID:10408666) 。血液透析患者では亜鉛欠乏のリスクが高いが、亜鉛を投与してもインフルエンザワクチンへの反応は改善しないと思われる (PMID:9684909)
・経口摂取で免疫機能を向上させるのに、効果がないことが示唆されている (94) 。
・亜鉛は栄養不良の3ヶ月から5歳までの子供の肺炎の発生率を低下させる (94) 。亜鉛は肺炎のリスクを20%まで減少させるが、症状の継続期間は短縮しない。
・はしかと肺炎を併発した9ヶ月〜15歳の患者に標準的な抗菌剤と100,000 IUのビタミンAに、20 mg/日の亜鉛を6日間併用しても、亜鉛による追加効果は認められない(PMID:12198006)
・栄養不足の子供のマラリアの予防や治療に経口摂取で、効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析など
・2006年12月までを対象に、Medlineデータベースで検索可能な無作為化比較試験14報について検討したところ、風邪に対する亜鉛トローチやスプレー式点鼻薬の効果は確認できなかった (PMID:17682990)
・2011年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ比較試験7報について検討したメタ分析において、重症急性下気道感染症にて入院中の5歳未満の幼児による亜鉛の摂取は、症状の持続期間や入院期間に影響を与えなかった (PMID:22726876)
RCTなど
・風邪の患者45名 (18歳以上、試験群22名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、亜鉛13.3 mg含有トローチを2〜3時間おきに摂取させたところ、罹患期間、せき・鼻水の持続期間の短縮と自覚症状スコアの早期改善、炎症マーカー (sIL-1ra、ICAM-1) の減少がみられた (PMID:18279051)
・風邪の症状が現れて24時間以内の小児247名 (6〜16歳、試験群123名、アメリカ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、グルコン酸亜鉛 (亜鉛として10 mg含有) のトローチを1日5〜6回使用させても回復までの期間に変化は見られなかった (PMID:9643859)
・成人79,240名 (21〜65歳、スペイン) を対象としたコホート試験において、食事からの亜鉛摂取と風邪の発症には相関が得られなかった (PMID:11805584)
・亜鉛等の血清中濃度が低い、介護施設の高齢者81名 (平均84.17±8.1歳、フランス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、亜鉛20 mg/日とセレン100μg/日を組み合わせて投与すると感染症の罹患率が減少したという予備的な報告がある (PMID:9267584) が、亜鉛欠乏リスクの無いヒトにおいては亜鉛のサプリメントは免疫機能を向上させないと思われる (PMID:12720590)
・発展途上国の幼児826名 (試験群415名、平均3.56歳±0.04歳、インドネシア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、亜鉛10 mg/日を2ヶ月間単独摂取後、ビタミンAを200,000 IU 単回摂取させ、さらに2ヶ月間亜鉛摂取を継続させたところ、ビタミンA摂取後では上気道感染リスクの低下と症状持続期間の短縮が認められた (PMID:22414819)
・急性下気道感染症の乳幼児106名 (試験群53名、平均6ヶ月齢、インド) を対象とした三重盲検無作為化プラセボ比較試験において、亜鉛20 mg/日を5日間摂取させたところ、症状が改善するまでの期間や入院期間に影響は認められなかった (PMID:20882421)
・亜鉛不足の乳幼児96名 (試験群48名、平均25.4±1.8ヶ月齢、インド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、グルコン酸亜鉛10 mg/日を60日間摂取させたところ、急性下気道感染症の発症リスク低下と発症後の回復期間の短縮が認められた (PMID:22981241)
・入院患者270名 (2〜23ヶ月齢、バングラディッシュ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、病院における標準的な抗菌剤投与と併せて20 mg/日の亜鉛を摂取させたところ、重度の肺炎の継続期間が短縮した (PMID:15158629) 。また、軽度の呼吸器感染症のリスクを減少させると考えられる (PMID:17545379)
・急性細菌性肺炎の乳幼児98名 (2ヶ月齢〜5歳、試験群49名、インド) を対象とした単盲検無作為化プラセボ比較試験において、抗菌薬の服用と共に亜鉛20 mg/5 mL含有のシロップを、1歳未満は2.5 mL/日、1歳以上は5 mL/日、14日間摂取させたところ、症状の持続期間、治癒率に影響は認められなかった (PMID:21660397)
・重症肺炎の乳幼児610名 (2〜35ヶ月齢、試験群305名、ネパール) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、抗菌薬による治療と共に亜鉛を1歳未満は10 mg/日、1歳以上は20 mg/日、最長14日間摂取させたところ、症状の持続期間や治療の失敗率に影響は認められなかった (PMID:22392179)
・重度の肺炎で入院中の小児117名 (試験群64名、平均9歳、ネパール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、抗菌剤の投与による通常の治療に加えて、亜鉛10 mg×2回/日を7日間摂取させたところ、症状の持続期間や入院期間に影響は認められなかった (PMID:22856593)
・新生児敗血症の乳児614名 (試験群307名、ネパール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、抗生物質による標準的な治療とともに亜鉛1 mg/kg/日を回復または死亡まで摂取させたところ、死亡率、入院期間、抗生物質必要量に影響は認められなかった (PMID:23255688)
・血清亜鉛濃度低値 (70μg/dL未満) の施設在住高齢者31名 (試験群16名、平均87.0±5.0歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、微量栄養素 (ビタミンA、C、E、B群、銅、鉄、セレン) とともに亜鉛5 mg/日または30 mg/日を摂取させたところ、亜鉛5 mg/日摂取群に比較し30 mg/日摂取群において、抗CD3/CD28抗体またはフィトヘマグルチニン刺激によるT細胞増殖の亢進、血中T細胞数増加が認められたが、T細胞の活性、血清CRP、アルブミン、銅、メタロチオネインの各濃度に影響は認められず、血清LDH濃度上昇が認められた (PMID:26817502)

<がん>
一般情報

・前立腺がんに対して効果がない、もしくはリスクを上昇させると考えられる (94) 。
・大規模調査においては、亜鉛サプリメントを100 mg/日以上もしくは10年以上摂取している人では前立腺がんの発症リスクが高かった (PMID:12837837)
RCT
・ 男性3,616名 (45〜60歳、カナダ) を対象とした無作為化臨床試験において、1日に亜鉛20 mg、ビタミンC 120 mg、ビタミンE 30 mg、β-カロテン6 mg、セレン100μgを平均8年間摂取させたところ、前立腺特異抗原 (PSA) が低い人では前立腺がんのリスクを減少するかもしれないが、PSA 3μg/L以上の人ではリスク減少は認められなかった (PMID:15800922)
・放射線療法を受けている頭頚部がん患者144名 (試験群72名、平均62±13歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、硫酸亜鉛50 mg/回×3回を放射線治療期間中摂取させたところ、放射線療法による口腔粘膜炎、咽頭炎の発症リスクに影響は認められなかった(PMID:23720981)
・内視鏡ポリープ切除術を受けた患者330名 (試験群164名、中央値57.5歳、イタリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セレン200μg/日、亜鉛30 mg/日、ビタミンA 2 mg/日、ビタミンC 180 mg/日、ビタミンE 30 mg/日を5年間摂取させたところ、中央値4年後までの腺腫再発率の低下が認められた (PMID:23065023)
・リンパ性または骨髄性白血病患者38名 (1〜18歳、試験群20名、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、化学療法とともに、亜鉛2 mg/kg/日を60日間摂取させたところ、体重の増加、感染症発生数の減少が認められたが、口内乾燥感、味覚機能障害、吐き気、嘔吐、粘膜炎発生数に影響は認められなかった (PMID:23963274)
その他
・マルチビタミンを週7回以上摂取していて、個別に亜鉛も摂取している人では前立腺がんに関連する死亡率が高かった (PMID:17505071)

<炎症>
一般情報

・腸性先端皮膚炎に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
・経口摂取で陽性肢端皮膚炎 (乳幼児期に見られる亜鉛の吸収障害による疾患。進行性の皮疹を主症状とする) の改善に有効である可能性が示唆されている (94) 。アレルギー疾患の既往症がある43歳女性が、壊死性末端紅斑およびC型肝炎の感染が見られ、亜鉛220 mg×2回/日の経口投与とインターフェロンα-2bを3×106 U、3回/週の皮下注射による治療を行ったところ、6ヶ月後に治癒した (PMID:10871939)
・ハンセン病に対して、亜鉛の経口摂取は医薬品との併用で有効性が示唆されている (94) 。ハンセン病患者は亜鉛濃度が低いことがわかっている。初期の臨床試験では、薬剤治療に亜鉛を加えたところ、ステロイドの使用量を減らすことができた (94) 。
・アトピー性皮膚炎には効果がないと考えられる (94) 。
・湿疹、乾癬およびリウマチに由来する関節炎の治療には経口摂取で効果がないことが示唆されている (94) 。
・ニキビの治療に経口摂取で、またエリスロマイシンとの併用で外用でも有効性が示唆されている (94) 。規模が小さいが、ほとんどの結果から、亜鉛がニキビを改善すると思われる (94) 。ただし従来の治療法との比較は明らかでなく、テトラサイクリン系との併用は結果が一致しない (94) 。
RCT
・アトピー性皮膚炎患者50名 (1〜16歳、イギリス) を対象とした二重盲検比較試験において、硫酸亜鉛185.4 mg/日を経口摂取させても、表面積、紅斑の重症度、痒み、睡眠障害の軽減や治療薬の減量は見られなかった (PMID:1782922)

骨・筋肉

一般情報
・週3回以上筋痙攣 (こむらがえり) がある亜鉛欠乏症の肝硬変患者12名 (アメリカ) に硫酸亜鉛を220 mg×2回/日 12週間摂取させたところ、筋痙攣が消失あるいは頻度と痛みが減少した (PMID:10682870)
・亜鉛摂取量や血清亜鉛濃度の減少と骨ミネラル濃度の減少は男女ともに相関関係がある (94) 。閉経後女性において、銅、マグネシウム、カルシウムとの組み合わせで骨量の減少を抑制する可能性が示唆されている (94) 。

発育・成長

一般情報
・血中の亜鉛濃度が低い妊婦において、胎児の体重および頭周囲の増加に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。また、亜鉛欠乏で成長不良の新生児において、成長促進および健康の向上に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
・亜鉛欠乏の子供の成育を促進するのに経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。亜鉛のサプリメントは亜鉛欠乏リスクにさらされた発展途上国の子供の成育促進に有効であるが、サプリメントより栄養強化食品のほうが実践的であるとする研究者もいる (94) 。
・ビタミンA欠乏症の子供のビタミンA状態を改善するのに有効性が示唆されている。亜鉛はビタミンAと組み合わせる事により、それぞれ単独よりビタミンA充足率を改善するようである (PMID:11756065)
・栄養不足の子供のマラリアの予防や治療に対して、経口摂取で効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・1984〜2009年を対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験17報について検討したメタ分析において、妊娠中の亜鉛投与は子どもの出生時体重に影響を与えない (PMID:21608422)
・2013年12月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為比較試験9報について検討したメタ分析において、1〜8歳の子どもによる亜鉛サプリメント (強化食品を含む) の摂取は、体重増加 (5報) 、身長−年齢Zスコア (7報) 、体重−年齢Zスコア (8報) 、体重−身長Zスコア (4報) のいずれにも影響を与えなかった (PMID:25335444)
・2015年4月までを対象に20のデータベースで検索できた比較対照試験8報について検討したメタ分析において、通常の食品への亜鉛添加 (小児の発育不全 (2報) 、低体重 (2報) ) または他の栄養素強化食への亜鉛添加 (貧血リスク (2報) 、血中ヘモグロビン濃度 (3報) ) の影響は認められなかった (PMID:27281654)
RCT
・妊娠10〜24週の女性1,295名 (試験群646名、平均24.1±5.2歳、ペルー) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、鉄60 mg/日および葉酸250μgに併せて亜鉛15 mg/日を出産4週間後まで摂取させたところ、鉄の状態を示す指標であるヘモグロビン値および血清フェリチン濃度 (PMID:10731503) 、妊娠期間、子どもの出生時の体重や体格(PMID:10419991) 、12ヶ月齢までの呼吸器疾患、発熱、皮膚疾患リスク (PMID:20227716) 、身長、頭囲、上腕囲、脂肪量など (PMID:18614736) に影響は認められなかったが、下痢の発症頻度や日数の減少 (PMID:20227716) や体重、胸囲、下腿最大囲、下腿筋面積の増加(PMID:18614736) が認められた。

肥満

調べた文献の中で見当たらない。

その他

一般情報
・脱毛症の治療には、効果がないことが示唆されている (94) 。
・歯磨き粉もしくはうがい薬に亜鉛単独もしくはトリクロサン (抗菌剤) との組み合わせで用いた場合、歯垢の蓄積、歯肉炎、歯石の形成を抑制すると考えられる (94) 。
メタ分析
・2012年12月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験8報 (検索条件:期間≧6ヶ月) について検討したメタ分析において、就学前の子どもによる亜鉛の摂取は、総死亡率 (8報) 、死因別死亡率 (下痢 (4報) 、肺炎 (3報) 、マラリア (1報) 、その他 (3報) ) に影響を与えなかった (PMID:24244591)
RCT
・健康な成人8,112名 (試験群4,081名、男性52.1±4.7歳、女性47.9±6.5歳、フランス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンC120 mg/日、ビタミンE30 mg/日、β-カロテン6 mg/日、セレン100μg/日、亜鉛20 mg/日を平均76.0±4.2ヶ月間摂取させたところ、健康関連QOL (HRQOL) に影響は認められなかった(PMID:22158670)
・乳幼児25,490名 (1〜36ヶ月齢、試験群17,079名、ネパール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、鉄12.5 mg/日+葉酸50μg/日、またはこれらに亜鉛10 mg/日を加えて36ヶ月齢時まで摂取させたところ (1〜11ヶ月齢児は半分量) 、48ヶ月齢までの死亡率、下痢や呼吸器感染症の発症率に影響は認められなかった(PMID:16413878)
・乳幼児41,276名 (1〜35ヶ月齢、試験群20,968名、ネパール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において亜鉛10 mg/日を単独または鉄12.5 mg/日+葉酸50μg/日と併用して36ヶ月齢時まで摂取させたところ (1〜11ヶ月齢児は半分量) 、48ヶ月齢までの全死亡率、1歳未満の死亡率に影響は認められなかった (PMID:17920918)
その他
・高齢女性38,772名 (平均61.6歳、アメリカ) を対象に平均19年間の追跡を行ったコホート研究において、カルシウムサプリメント利用者では総死亡リスクの低下が認められたが、マルチビタミン、ビタミンB6、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅サプリメントの利用者では死亡リスクの増加が認められた (PMID:21987192)





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中で見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に用いた場合、経口摂取および外用、塗布でおそらく安全である (94) (108) 。
・過剰により神経症状 (14) 、吐き気 (94) 、嘔吐 (1) (14) (55) (94) 、腎障害 (14) (94) 、免疫障害 (53) (94) 、上腹部痛 (1) (94) 、消化管過敏症 (55) (94) 、めまい (1) 、HDLコレステロールの低下 (1) (94) 、低銅血症 (1) (94) 、下痢 (94) などのおそれがある。その他の毒性としては、風邪様の中枢神経症状 (発熱、咳、無気力、倦怠感、神経障害) などがあげられる。また亜鉛誘導型の銅欠乏症に付随した諸症状がある (94) 。
・アルツハイマー病に亜鉛の蓄積が関わっている可能性がある (1) 。
・日常的に亜鉛を高濃度摂取していると、良性の前立腺肥大になるリスクが高まる可能性があるという予備的な報告もある。また100 mgの亜鉛サプリメントを毎日摂取するか、あるいは10年以上摂取した場合、前立腺がんのリスクが2倍になるという疫学調査結果がある (94) 。
・長期の過剰摂取は銅欠乏を引き起こす (53) 。
・鼻腔内投与は危険性が示唆されている。動物実験で不可逆的な嗅覚消失の報告があるので、注意して使用すること (94) 。ヒトにおいても、グルコン酸亜鉛点鼻用ゲルの使用は嗅覚減退と関連している可能性が報告されている (PMID:20644061)
・経口で多量摂取はおそらく危険である (94) 。サプリメントの450〜1,600 mg/日の慢性摂取で鉄芽球性貧血が起こる (94) 。硫酸亜鉛10〜30 gは成人の致死量である (94) 。
・亜鉛の欠乏症には有効であるが、長期に渡るサプリメント摂取は推奨出来ない (94) 。
<小児>
・適切に用いれば経口摂取でおそらく安全である (94) 過剰摂取は鉄芽球性貧血および銅欠乏症が起こりやすくなり、おそらく危険である (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・適切に用いれば経口摂取でおそらく安全である (94) が、上限値以上の摂取はおそらく危険である (94) 。妊娠後期に多量摂取すると未熟児産や死産の原因となるので注意が必要である (94) 。また授乳中に多量摂取すると、乳児の銅欠乏症が起きることがある (94) 。
<その他>
・透析患者における腎性骨異栄養症 (慢性腎不全に伴う骨代謝障害の総称) の進展と食餌性亜鉛摂取量の間には相関が見られ、骨形成と骨吸収のバランスを保つためには、亜鉛の投与を含めた亜鉛の適切な摂取に留意すべきである (2004289538) 。
・HIV感染患者は亜鉛を高濃度摂取すると生存期間が短縮するというエビデンスがあるので注意が必要 (94) 。
<被害事例>
・糖尿病、胃切除、閉塞性動脈硬化症に伴う左右下肢切断などの治療を受けている80歳男性 (日本) が、経腸栄養剤 (亜鉛15 mg/日を含む) と市販の亜鉛サプリメント (10 mg/日) を摂取していたところ、血清銅の顕著な低下を認め、銅欠乏性貧血と診断された。亜鉛サプリメントの摂取中止および投薬により回復した (2011324119) 。
・Doose症候群 (ミオクロニー失立発作てんかん) の3歳男児 (アメリカ) が亜鉛含有サプリメントを摂取し (亜鉛20〜30 mg/日摂取、摂取期間不明) 、重度の貧血、好中球減少を呈した (PMID:23316828)

禁忌対象者

調べた文献の中で見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<試験管内・動物>
・降圧剤による亜鉛のキレート作用と味覚障害の関連を調べるため、pH滴定法と分光光度法による亜鉛の安定定数を測定したところ、フロセミドはpβ2=4.24、 カプトプリルはpβ2=14.72と非常に高い値であった (1988154159) 。

<その他>
・医薬品との相互作用は多く知られている。カプトプリル (PMID:9477394) (PMID:2195291) 、シスプラチン (PMID:9112132) 、テトラサイクリン (102) 、フルオロキノロン系薬 (PMID:10090423) (PMID:7669261) 、ペニシラミン (PMID:8440814) 、ある種の利尿薬 (PMID:6359484) などがあげられる。
・銅との併用で銅の吸収を阻害するおそれがある (PMID:9794697) 。食品中およびサプリメントとしてのイノシトール6リン酸 (フィチン酸) が亜鉛の吸収を阻害 (キレート化) すると考えられる (101) 。非ヘム鉄は亜鉛と消化管での吸収機構を競合するため、その吸収を阻害する可能性がある。
・臨床検査に対する影響としては、I型糖尿病患者において、50 mg/日の摂取でヘモグロビンA1cが増加する可能性 (PMID:7990711) 、血中HDLレベルを低下させる可能性がある (PMID:240709)
・血色素症 (ヘモクロマトーシス) 患者には注意が必要 (103) 。緑内障患者は亜鉛含有の点眼薬の使用を避けるか、注意して用いること (103) 。吸収不良 (クローン病、短腸症など) の場合は亜鉛の吸収が低く、尿中排泄が高くなるので亜鉛欠乏症になるおそれがある (51) 。リウマチ患者は亜鉛の吸収が低い傾向にある (PMID:9101495) 。長期にアルコールを多量に摂取していると、亜鉛の吸収が阻害され尿中排泄が高まる傾向にある (101) 。
・ブラン、フィチン酸、カルシウム、リンを多く含む食品との同時摂取は、亜鉛サプリメントの吸収を阻害すると考えられる (102) 。コーヒーとの同時摂取で亜鉛の吸収率が50%近くまで阻害されるおそれがある (PMID:52087)

動物他での
毒性試験

・鼻腔内投与は危険性が示されている(94)。
・Wister系雄性ラットに、硫酸亜鉛を1.5 mg/日、3日間腹腔内投与したところ、投与終了の翌日に高値を示した各臓器の亜鉛量が、完全に排泄されて正常に戻るまでに3週間を必要とし、14日後頃より肝臓において腫張、皮膜肥厚と繊維芽細胞の増加、グリソン氏鞘を中心とした銀好性線維の増加、フィブリノーゲンの出現とフィブロネクチンの増殖、類洞の拡張と微絨毛の異常な発達および内皮細胞周辺での増殖などが認められた (1986120463) 。
・ラットに硫酸亜鉛を、1.5 mg/体重/日、3日間腹腔内投与したところ、投与終了の14日後頃より肝臓において腫脹、不規則な繊維性の拡大が認められ、硫酸亜鉛が肝組織のコラーゲン形成を促進させる可能性が示唆された (1991144074) 。
・ラットに亜鉛0.5%含有食を投与し、8週間飼育したところ、平均動脈血圧が高く、Cu/Zn-SOD活性の減少が認められた (2003220649) 。  
※SOD=活性酸素を除去する酵素。
・ウサギに、硫酸亜鉛を亜鉛量で3 mg/kg、2時間ごとに3回、静脈内投与したところ、強い摂餌低下が起こり、その原因として亜鉛投与が銅の代謝異常を起こし、肝臓の銅が著しく低下したためである (1994127001) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・適切に用いた場合、経口摂取でおそらく安全である。ただし、多量摂取および長期的な使用はおそらく危険である。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で有効と判断されるのは、亜鉛欠乏症および亜鉛欠乏や栄養失調に関わる病気の治療と予防である。
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、
 1) ウィルソン病 (遺伝病のひとつで銅蓄積症ともいう)
 2) 味覚減退、胃潰瘍、腸性先端皮膚炎、神経性食思不振症 (拒食症)、ニキビ
 3) 低亜鉛症の人における再発性のアフタ性潰瘍
 4) 学童における注意欠陥過活動性障害 (ADHA)
である。
・非経口投与で有効性が示唆されているのは、
 1)頭部外傷直後の神経機能の回復
 2)単純ヘルペス、下肢の潰瘍における外用 
 3)歯磨き粉やマウスウォッシュとして使用した場合、歯垢の蓄積、歯肉炎、歯石の予防
である。
・経口摂取で効果がないことが示唆されるのは、
 1) 免疫機能の向上
 2) 鉄と葉酸のサプリメントを摂取している妊娠中の女性における鉄状態の改善
 3) アトピー性皮膚炎
 4) 湿疹、乾癬およびリウマチに由来する関節炎
 5) 脱毛症
である。

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