健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

マグネシウム [英]Magnesium (Mg) [学名]Magnesium (Mg)

概要

マグネシウムは、幅広い細胞反応に必須なミネラルであり、生体において300種以上の酵素反応に関与している。また、カルシウムと共に骨の健康に必要なミネラルでもあり、カルシウムの作用と密接に関与している。マグネシウムの欠乏では神経疾患、精神疾患、不整脈、心疾患などが起こる。俗に、「心臓病や高血圧を予防する」と言われ、マグネシウム欠乏症の治療および予防、軽・中症の高血圧の治療、片頭痛の予防などに対しては、一部にヒトでの有効性を示唆する報告もある。安全性については、適切に摂取すればおそらく安全であるが、過剰摂取により下痢や高マグネシウム血症などを起こすことがあり、特に重篤な腎不全患者には注意が必要である。マグネシウムは保健機能食品(栄養機能食品)の対象成分となっているが、乳幼児・小児については、あえて錠剤やカプセル剤の形状で補給・保管する必要性がない旨の注意喚起が出されている (通知文PDF) 。マグネシウムを多く含む食品としては、ナッツ類、魚介類、豆類などがある。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「マグネシウム解説」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・「栄養機能食品」の対象成分である (下限値:75 mg、上限値:300 mg) 。→通知文1 (PDF) 通知文2 (PDF)

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号Mg、原子番号12、原子量24.31。酸化物、水酸化物、フッ化物、炭酸塩、リン酸塩などは水に難溶。

分析法

・干渉抑制剤添加-原子吸光法分析が行われている (107) 。
・カプセルまたはタブレット状の製品中のステアリン酸マグネシウムを、ガスクロマトグラフィー (GC) を用いて測定した簡易測定法が報告されている (PMID:16640294)

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・軽症〜中等症の高血圧の治療に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。血圧降下剤と600〜1,000 mgのマグネシウムの併用により血圧がやや低下したという知見ある。ただし、それ以下の摂取量ではこの効果はなかった (94) 。
・高血圧者に対する有益性は不明である (25) 。
・冠状動脈疾患を持つ人における狭心症発作の低減に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
・トルサード・ド・ポワント (心室頻拍の発作の一種) の治療に静注でおそらく有効である (94) 。それ以外の様々な頻脈の治療に対しても静注で有効性が示唆されている (94) 。重篤な不整脈患者のうち、抗不整脈薬が効かない人に対してもマグネシウム静注が有効であろうとする知見がいくつか報告されている (94) 。
・静注で、急性心筋梗塞の後の不整脈と致死率の低下に有効性が示唆されている (94) 。静注マグネシウム波及性心筋梗塞の後に生じる複合心室性不整脈の発生率を減少させると思われる。しかしこの効果に関しては論議が分かれる。また経口摂取のマグネシウムでは効果がないと思われる (94) 。
・脳卒中の予防に、食事からの摂取で有効性が示唆されている (94) 。男性において食事からのマグネシウム摂取量を増加させることは脳卒中のリスクを減少させる可能性がある。しかしサプリメントでの摂取では同じ効果があるという証拠はない。
・冠血管痙攣症を持つ人の心臓発作の予防に静注で有効性が示唆されている (94) 。マグネシウム静脈投与 (0.27 mmol/kg、20分以上) で、冠状動脈を拡張させ、アセチルコリンによる心臓発作が抑制されたという知見がある (94) 。
・血中マグネシウム濃度が低い人における僧帽弁脱出の症状緩和に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
・高コレステロール血症に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。塩化マグネシウム、酸化マグネシウムの摂取によりLDL値がやや低下し、HDL値がやや増加したという知見がある (94) 。
・心停止患者の蘇生率を向上させる目的での静注は、効果がないことが示唆されている (94) 。
・慢性の閉塞性肺疾患における急激な悪化の治療に、静注で有効性が示唆されている (94) 。
・重篤な喘息の急な発作時に、一般的な療法が無効な場合、症状の緩和に静注で有効性が示唆されている (94) 。しかし、喘息に経口摂取では効果がないことが示唆されている (94) 。
・重症度の高い急性喘息の人に対するマグネシウム静注は有益である可能性が高い (25) 。最近行われた1件のシステマティック・レビューにおけるサブグループ解析で、重篤な急性喘息の人に対して、通常の治療に加えてマグネシウムを静注すると、入院率が低下する可能性があることが示唆された (25) 。
・急性の脳卒中患者において、マグネシウムの静注は、神経保護剤のように働くとの予備的な報告がある (94) 。
メタ分析
・2012年5月までを対象に11のデータベースで検索できた前向き研究16報について検討したメタ分析において、血中マグネシウム濃度が高いと心血管疾患リスク (8報) の低減が認められたが、虚血性心疾患 (4報) 、致死性虚血性心疾患 (4報) リスクとは関連が認められず、マグネシウム摂取量が多いと虚血性心疾患リスク (7報) 低減が認められたが、致死性虚血性心疾患 (3報) 、心血管疾患 (9報) リスクとは関連が認められなかった (PMID:23719551)
・2012年2月までを対象に3つのデータベースで検索できた前向き研究19報について検討したメタ分析において、血清マグネシウム濃度依存的に心血管疾患リスクの低減が認められ (8報) 、マグネシウム摂取量が多いと心血管疾患リスクの低減が認められたが、摂取量依存性は認められなかった (13報) (PMID:23520480)
・2010年7月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験22報について検討したメタ分析において、成人によるマグネシウム120〜973 mg/日、3〜24週間の摂取は、収縮期、拡張期血圧のわずかな低下と関連が認められた (PMID:22318649)
RCT
・糖尿病前症および低マグネシウム血症の患者57名 (試験群29名、平均39.8±16.0歳、メキシコ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、5%塩化マグネシウム溶液30 mL/日 (382 mgマグネシウム相当) を3ヶ月間摂取させたところ、空腹時血糖および血清中の高感度CRP濃度が低下した (PMID:24814039)
・メタボリックシンドロームまたはII型糖尿病の家族歴がある健康な成人14名 (平均26.3±3.1歳、イタリア) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ピドロ酸マグネシウム8.1 mmol×2回/日を8週間摂取させたところ、血圧、血中脂質 (総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド) 、糖代謝(血糖値、インスリン濃度、HOMA-IR、HbA1c) 、血管内皮機能 (FMD) 、血管硬化度 (carotid distensibility、stiffness Index、reflection Index) に影響は認められなかった (PMID:24984823)
・過体重または肥満の男女51名 (試験群26名、平均62±5歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、マグネシウム350 mg/日を24週間摂取させたところ、脈波伝播速度の改善が認められたが、脈波増大係数、収縮期および拡張期血圧 (外来血圧、24時間血圧) 、脈圧、心拍数に影響は認められなかった (PMID:27053384)


消化系・肝臓

一般情報
・便秘時および手術や検査前の下剤として経口摂取で有効である (94) 。
・胃酸過多、胃食道逆流疾患の症状緩和 (胃酸中和) を目的として経口摂取で有効である (94) 。
RCT
・結腸切除回復術を受けた患者49名 (試験群22名、平均63.5歳、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、酸化マグネシウムを1 g×2回/日、術後7日間摂取させたところ、腸機能回復や入院期間に影響は認められなかった (PMID:21883811)

糖尿病・
内分泌

一般情報
・II型糖尿病の血糖値コントロールに経口摂取は、効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・妊娠糖尿病患者70名 (試験群35名、平均29.1±4.6歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、酸化マグネシウム250 mg/日を6週間摂取させたところ、糖代謝マーカー (空腹時血糖値、インスリン濃度、HOMA-IR、QUICKI) の改善、血清トリグリセリド値、VLDLコレステロール値、高感度CRP、血漿マロンジアルデヒドの低下が認められたが、その他の血清脂質濃度 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール) 、抗酸化マーカー (血漿NO、総抗酸化能、グルタチオン) に影響は認められず、インスリン分泌能 (HOMA-β) の改善が抑制された (PMID:26016859)

生殖・泌尿器

一般情報
・子癇前症および子癇の予防または症状管理に、腸管外投与がおそらく有効である (94) 。早産の子宮収縮の緊急予防に対する使用は議論の余地があるが、臨床医の多くはマグネシウムとβアドレナリン拮抗剤が第1選択薬であるとしている (94) 。硫酸マグネシウムの静注により、分娩を24〜48時間遅らせることができる (94) 。
・マグネシウムの補給の子癇前症の予防に対する有益性は不明である (25) 。子癇前症について報告した2件の無作為割付臨床試験 (RCT) (女性474例) を統合した1件のシステマティック・レビューが見つかったが、規模が小さく信頼できる結論は得られなかった (25) 。ただし子癇に対する硫酸マグネシウムの投与は有益である (25) 。
・月経困難症に対する有益性は不明である (25) 。
・早産時の子宮収縮の緊急予防に静注で有効性が示唆されている (94) 。1件の無作為割付臨床試験 (RCT) では、月経困難症に対してアスパラギン酸マグネシウム1日3回摂取が評価され、6ヶ月後プラセボに比べて有意に良好な鎮痛効果をもたらしたが、この研究は小規模であり、ただちに有効性を示すことはできない (25) 。
・月経前症候群(PMS)の緩和に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
・腎結石の再発防止に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。水酸化マグネシウムの予防的摂取により、カルシウム結石の再発率が低下したという知見がある (94) 。また、ビタミンB6との併用摂取で、腎結石の既往症のある人における尿中シュウ酸値が低下したという知見がある。しかしこれが直ちに結石の発症低下につながるかは不明である (94) 。水酸化マグネシウムよりもクロルサリドンなどの医薬品の方がより予防効果が高いという報告もある (94) 。
・女性における排尿筋不全などによる尿失禁の改善に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・乳がんの既往歴がありホットフラッシュを訴える女性275名 (18歳以上、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、酸化マグネシウムを800 mg/日 (93名) または1,200 mg/日 (91名) 、8週間摂取させたところ、ホットフラッシュの回数および症状の自己評価に影響は認められなかった (PMID:25423327)
・妊娠25週の妊婦59名 (試験群29名、平均28.8±0.7歳、スウェーデン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、マグネシウム300 mg/日を分娩まで摂取させたところ、妊娠37週における収縮期血圧の低下が認められたが拡張期血圧、分娩時の持続時間、在胎期間、出生体重に影響は認められなかった (PMID:23715924)

脳・神経・
感覚器

一般情報
・片頭痛の予防と月経前症状としての片頭痛に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。急性の片頭痛に静注で有効性が示唆されている (94) 。
・群発性頭痛に静注の有効性が示唆されている (94) 。
・血中マグネシウム濃度の低い子供での注意欠陥多動性障害 (ADHD) の症状改善に役立つ可能性があるという、予備的な臨床での知見がある (94) 。
・テタニーの治療に従来の治療法と静注の併用に対する有効性が示唆されている (94) 。
・がんに伴う疼痛の緩和、子宮摘出後の痛みのコントロールに静注で有効性が示唆されている (94) 。
・騒音による難聴の予防に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・健康な高齢女性220名 (平均63歳、試験群111名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンサプリメント (ビタミンC 150 mg、ビタミンE 36 mg、ビタミンB1 2.4 mg、ビタミンB2 3.2 mg、ビタミンB6 3.4 mg、ビタミンB12 9μg、ナイアシン 34 mg、パントテン酸 16 mg、ビオチン 200μg、葉酸 400μg、カロテン 9 mg、マグネシウム 50 mg、セレン 60μg含有) を6ヶ月間摂取させたところ、認知機能に影響は認められなかった (PMID:15917019)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・おできやカルブンケル (よう:皮膚や皮下組織に生ずる急性化膿性炎症) を含む炎症や皮膚潰瘍の治療に外用で有効性が示唆されている (94) 。
・傷の治癒を早めるために外用で有効性が示唆されている (94) 。

骨・筋肉

一般情報
・妊娠中のこむらがえりに経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
・線維筋痛症に対してリンゴ酸との併用で有効性が示唆されている (94) 。
・グルテン過敏腸疾患による骨粗鬆症において骨密度を増加させるのに経口摂取で有効性が示唆されている (66) 。
・多発性硬化症における痙縮 (けいしゅく) を減少させる、下肢静止不能症候群 (restless leg syndrome) の治療に効果がある可能性あり、閉経後の骨粗鬆症の予防に役立つ、などの予備的な知見がある (94) 。
RCT
・過体重の中年女性69名 (試験群35名、平均46.5±3.8歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、マグネシウム250 mg/日を8週間摂取させたところ、握力、膝伸展筋力、Timed get-up-and-go テスト結果に影響は認められなかった (PMID:23619906)

発育・成長

一般情報
・早産児における脳性麻痺のリスク低減を目的とした静注は、効果がないことが示唆されている (94) 。

肥満

調べた文献の中で見当らない。

その他

一般情報
・低マグネシウム血症の人の発作の管理に静注で有効性が示唆されている (94) 。
・慢性疲労症候群(CFS)に筋肉注射で有効性が示唆されている (94) 。しかしこの有効性については統一した見解がない (94) 。CFSに対する有益性は不明であるという報告がある (25) 。
・CFSに対する効果に関するシステマティック・レビューは見つからなかった。1件の無作為割付臨床試験 (RCT) (32例) でマグネシウムの注射とプラセボとを6週間にわたって比較していたが、この試験では有意な効果が認められた (25) 。しかし小規模試験であるため、ただちにマグネシウムの有益性を示すものとはいえない。
・運動時のエネルギーおよび持久力の向上に対しては、効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・嚢胞性線維症の小児44名 (平均12.86±3.72歳、ブラジル) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、通常の治療とともにマグネシウム300 mg/日を8週間摂取させたところ、最大呼気圧、最大吸気圧、SKスコアの増加が認められた (PMID:22648717)
その他
・高齢女性38,772名 (平均61.6歳、アメリカ) を対象に平均19年間の追跡を行ったコホート研究において、カルシウムサプリメント利用者では総死亡リスクの低下が認められたが、マルチビタミン、ビタミンB6、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅サプリメントの利用者では死亡リスクの増加が認められた (PMID:21987192)

(欠乏症・先天性異常)
・マグネシウム欠乏症の治療と予防に経口摂取で有効である (94) 。マグネシウム欠乏はしばしばアルコール依存症や肝硬変、うっ血性心不全など、ある種の病気の時に起こり、他の電解質の欠乏症を合併していることが多い。またマグネシウム欠乏はII型糖尿病におけるインスリン感受性に悪影響を与える可能性がある (94) 。
・欠乏により神経過敏症 (28) 、抑うつ (19) 、興奮 (19) 、痙攣 (28) (56)、などを招く。
・欠乏すると筋肉細胞でのカルシウムとのバランスが崩れ、筋肉の収縮がうまくいかず、痙攣、震えなどの症状が出る (1) 。
・欠乏により脱力感 (56) 、振戦 (1) (56)を招く 。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中で見当らない。

安全性

危険情報

<一般>
・通常の食品に含まれるマグネシウムの過剰摂取で健康障害が起こったという報告は見当たらない (3) (108) 。
・適切に用いれば、経口摂取および腸管外投与でおそらく安全である (94) 。耐容上限値を超えての摂取は危険性が示唆されている。下痢や高マグネシウム血症が起こることがある (94) 。
・外用での硫酸マグネシウムの長期利用は危険性が示唆されている。肌にダメージをもたらすおそれがある (94) 。
・経口摂取で下痢 (3) 、嘔吐 (1) 、筋力低下 (19) 、血圧低下 (1)、呼吸抑制 (1) などが起こる。高マグネシウム血症は、渇き、低血圧、傾眠、吐き気、嘔吐、精神混乱、筋力低下、呼吸低下、徐脈、昏睡、心臓発作などを起こし、死に至ることもあるが、腎機能が正常な人ではまれである (66) 。
・臨床試験において、マグネシウム摂取した女性では25例中5例が血液循環障害および腸不快感を経験した (25) 。
・重篤な中毒はマグネシウム含有薬 (制酸剤、下剤) などが重篤な腎不全を持つ患者に慢性的に投与された場合に生じる (1) 。
・制酸剤 (とくにカルシウムを含まないもの) の長期摂取により、電解質バランスが崩れ、下痢を起こすことがある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中においても適切に用いればおそらく安全である (94) 。
・出産前の筋肉注射は安全性が示唆されている (94) 。出産前2時間以内の静脈投与はおそらく危険である。
・妊娠中毒症の人に静脈投与した場合、新生児の呼吸抑制が起こるおそれがある (94) 。
<小児>
・適切に用いれば、子供でも経口摂取および腸管外投与でおそらく安全である (94) 。
・耐容上限値を超えた摂取はおそらく危険である (94) 。
<その他>
・高齢者は低マグネシウム血症になりやすいので注意 (PMID:9595547)
・吸収不良(胆汁分泌障害、腸内感染症などさまざまな要因による)の場合、マグネシウムの腸管吸収が低下することがある (PMID:3294519) (PMID:9583850)
・腎障害を持つ人は注意して用いること (105) (94) 。
<被害事例>
高マグネシウム血症による死亡が複数報告されている。
・知的障害、痙性四肢麻痺、発達障害の既往歴がある28ヶ月の男児 (アメリカ)が、麻痺と便秘の治療のため炭酸カルシウム、マルチビタミン、必須脂肪酸、乳酸菌のサプリメントと共に酸化マグネシウムを800 mg/日、3週間 (搬送前数日間は2,400 mg/日) 摂取したところ、心肺停止となり医療機関に搬送、血中マグネシウム濃度は20.3 mg/dLまで上昇しており、治療を受けたが死亡した。(PMID:10654978)
・31歳女性 (アメリカ) がエプソン塩 (ほぼ100%硫酸マグネシウム)で数週間うがいをしたところ、意識を消失し医療機関に搬送、血中マグネシウム濃度は23.6 mg/dLまで上昇しており、治療を受けたが死亡した。(PMID:11858925)
・高血圧のため降圧剤を服用していた75歳女性 (日本) が、民間療法として減量目的に塩化マグネシウムを含む牛乳摂取 (摂取量不明) と温浴中での腹部マッサージを4日間に3回実施したところ、激しい下痢を生じ、数時間後に高マグネシウム血症により死亡した(PMID:24020515)

・摂食異常と統合失調症の既往歴がある35歳の妊婦 (日本) が、酸化マグネシウムや市販の潟下薬等を20錠/日 (摂取期間等詳細不明) 摂取していたところ、母体の体重増加不良および胎児の発育不良傾向がみられ、37週で低出生体重にて分娩、無呼吸発作および代謝性アルカローシスが認められ、加療により回復した。母親にも代謝性アルカローシス、腎機能低下および低カリウム血症を認め、母子ともに偽性バーター症候群と診断され、潟下薬乱用が原因と考えられた (2015304554) 。

・2005年4月から2008年8月までに、国内において、医薬品の酸化マグネシウム剤の長期投与によると疑われる高マグネシウム血症が15例 (うち死亡が2例:80代女性が2 g/日摂取、90代女性が1.5 g/日摂取) (109) 、2015年10月の時点における直近3年度で29例 (うち、因果関係が否定できない症例19例) 、死亡4例 (同1例) が報告されており (110) 、医療用の酸化マグネシウム服用中に高マグネシウム血症の症状 (吐き気、嘔吐、立ちくらみ、めまい、脈が遅くなる、皮膚が赤くなる、力が入りにくくなる、体がだるい、傾眠(眠気でぼんやりする、うとうとする)) があらわれた場合、すぐに医療機関を受診するよう注意喚起が出されている (111) 。ただし、医薬品として投与される場合の量は、食品からの摂取量に比較しかなり多い。

禁忌対象者

・高マグネシウム血症は心ブロックを起こすことがあるので、マグネシウム静注は、心ブロック患者には禁忌 (104) (105) (94) 。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・ホウ素との併用で血中マグネシウム濃度が上昇することがある (PMID:7840072) (PMID:3678698) (PMID:7889883)
・カルシウムとの同時摂取でマグネシウムの吸収が抑えられるが、臨床的にはマグネシウムの挙動に有意差はない。しかし同時摂取を避けることが望ましい (101); (PMID:7836628) (PMID:9277559)
・ビタミンDはマグネシウムの吸収を促すため、正常なマグネシウム摂取量の人では高濃度のビタミンDと併用すると、高マグネシウム血症を招くおそれがある (7) ; (PMID:1992050) (PMID:6335925) (PMID:3680484) (PMID:6689108)
・アミノグリコシド系抗生物質と、高レベルのマグネシウム静注で、神経筋の衰弱や麻痺が起こる可能性がある (102) 。
・マグネシウムはCa拮抗薬の作用を強める可能性がある (103) 。
・マグネシウムの排出を促進する薬物 (ループ系・チアジド系利尿薬、アミノグリコシド系抗生物質、アンホテリシンB、シスプラチン、β-2アゴニスト、コレスチラミン、副腎皮質ホルモン、シクロスポリンなど) との併用はマグネシウム摂取の効果を低下させる可能性がある (102) (104) (PMID:7988180) (PMID:3542342) (PMID:2896843) (PMID:5052395) (PMID:3987479) (PMID:2671213) (PMID:3551599) (PMID:2436474) (PMID:6536835) (PMID:1514533) (PMID:3543513) 。マグネシウムの排出を抑制する薬物 (カリウム保持性利尿薬) との併用はマグネシウム摂取の効果を増大させ、血中濃度を上げる可能性がある (PMID:3551599) (PMID:2436474) (PMID:6536835) 。テトラサイクリン、フルオロキノロン等の薬剤との併用で、同薬の吸収を低下させるおそれがある。これらの薬剤はマグネシウム摂取の少なくとも2時間前か、4時間後に使用すること (103) 。ビスホスホネート系薬との同時摂取で、その吸収を妨げる。2時間以上間隔をあけて摂取する (102) (105) 。
・ニフェジピン経口摂取と硫酸マグネシウム静注との併用で、深刻な低血圧および神経遮断が起こることがある (103) 。
・非経口摂取のマグネシウムは骨格筋弛緩剤 (塩酸ツボクラリンなど) の作用を増強させることが考えられる (103) 。
・医薬品の中にはマグネシウム濃度に影響を与えるものがある。ジゴキシンは、マグネシウムの尿細管再吸収を減少させ、尿中への排出を増加させる (PMID:1507935) 。エストロゲンは、柔組織や骨によるマグネシウムの取り込みを増強する (PMID:2132751) 。ペニシラミンは、マグネシウムとキレートを形成することがある (PMID:6285552) 。緩下薬の長期使用は、低マグネシウム血症のような電解質の障害を引き起こすことがある (102) 。
・臨床検査値に対する影響はいくつか知られているので注意が必要である。[アルカリホスファターゼ、ACE、血圧、カルシウム、コルチゾル、心電図、甲状腺ホルモンなど] (106) 。
・高齢者は低マグネシウム血症になりやすいので注意 (PMID:9595547) 。高マグネシウム血症は心ブロックを起こすことがあるので、マグネシウム静注は、心ブロック患者には禁忌 (104) (105) 。吸収不良 (胆汁分泌障害、腸内感染症などさまざまな要因による) の場合、マグネシウムの腸管吸収が低下することがある (PMID:3294519) (PMID:9583850) 。腎障害を持つ人は注意して用いること (105) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中で見当らない

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・通常の食品に含まれるマグネシウムの過剰摂取で健康障害が起こったという報告は見当たらない。
・適切に用いれば、成人及び子供は経口摂取でおそらく安全である。
・過剰摂取では下痢や高マグネシウム血症が起こることがある。特に重篤な腎不全患者における大量摂取は非常に危険である。
・マグネシウム静注は、心ブロック患者には禁忌。
・種々の医薬品との相互作用の可能性がある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・マグネシウム欠乏症の治療と予防に経口摂取で有効と判断される。
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、1) 軽症-中等症の高血圧の治療、2) 冠状動脈疾患を持つ人における狭心症発作の低減、3) 高コレステロール血症の改善、4) 片頭痛の予防と月経前症状としての片頭痛及び騒音による難聴の予防、5) グルテン過敏腸疾患による骨粗鬆症における骨密度の増加、6) 便秘時および手術や検査前の下剤としての利用、7) 腎結石の再発防止、8) 女性における排尿筋不全などによる尿失禁の改善、9) 妊娠中のこむらがえりである。

参考文献

(1) 最新栄養学 第10版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(3) 日本人の食事摂取基準 (2015年版)
(19) ミネラル事典 朝倉書店 糸川嘉則編
(5) 栄養成分バイブル 主婦と生活社 中村丁次
(28) 最新栄養学 第9版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(25) クリニカル・エビデンス日本語版 日経BP社 日本クリニカル・エビデンス編集委員会
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