健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

セイヨウイラクサ、ネトル、ネットル [英]Stinging nettle、 Nettle [学名]Urtica dioica L.

概要

セイヨウイラクサは北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、アジアにみられる、高さ30〜50 cmになる繊維質の多年生植物で、6月から9月にかけて葉腋から円錐形に緑色の花をつける。全体に刺毛があり触れると痛く、皮膚が赤く腫れる。全草が利尿剤、緩下剤などの民間薬として用いられてきた。近年、健康食品の素材としても利用され、俗に、「花粉症によい」「前立腺によい」などと言われているが、ヒトでの有効性については、調べた文献に十分な情報が見当たらない。安全性については、適切に摂取する場合は安全性が示唆されているが、授乳中の安全性については、信頼できるデータが十分でないため、使用は避けるべきである。また、子宮収縮作用による流産の可能性があるため、妊娠中の使用はおそらく危険である。副作用として、根抽出物の摂取はアレルギー性皮膚炎などを起こすことも知られている。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・イラクサ属 (ウルチカソウ/ネットル) 茎、種子、根、葉は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・ビタミン類 (A、C、Kなど) やミネラル類 (カルシウム、カリウム、珪酸、鉄など) 、インドール類 (主にヒスタミン、セロトニン) 、クロロフィル、配糖体および遊離のβ-シトステロール、スコポレチン (scopoletin) 、ケルセチン (quercetin) 、ケンフェロール (kaempferol) 、ルチン (rutin) を含む (23) (102)。
・茎、葉に揮発性の刺激成分を含む (102) 。

分析法

・フラボノイド類が紫外可視検出器を装着したHPLCにより分析されている (101) 。
・精油成分をGCとGC/MSにより分析した報告がある (PMID:22310841)

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・II型糖尿病患者45名 (試験群24名、平均54.48±6.38歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セイヨウイラクサ抽出物100 mg/kg体重/日を8週間摂取させたところ、血中総抗酸化能マーカー4種 (MDA、SOD、GPx、TAC) のうち、2種 (SOD、TAC) のみ増加が認められた (PMID:22545363)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

RCT
・II型糖尿病患者92名 (試験群46名、平均52.2±7.1歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セイヨウイラクサ葉抽出物500 mg×3回/日を3ヶ月間摂取させたところ、空腹時血糖、食後2時間血糖、HbA1cの低下が認められた (PMID:24273930)

生殖・泌尿器

<前立腺>
一般情報
・ドイツのコミッションE (ドイツの薬用植物の評価委員会) において、根は前立腺肥大のステージ1〜2の排尿困難への使用が承認されている (58) 。
・前立腺肥大症に対しての効果は以下に示すように相反する報告がある。

≪効果がみられたという報告≫
RCT
・前立腺肥大患者253名 (試験群127名、平均68±7歳、ロシア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ノコギリヤシ果実抽出物320 mg/日とセイヨウイラクサ根抽出物240 mg/日を含む特定の製品を24週間摂取させたところ、国際前立腺症状スコア (IPSS) の改善が認められた (PMID:15928959)
・初期の前立腺肥大症患者431名 (50〜88歳、試験群215名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化多施設比較試験において、ノコギリヤシ果実抽出物320 mg/日とセイヨウイラクサ根抽出物240 mg/日含む特定の製品、またはフィナステリド (5α-還元酵素阻害剤) 5 mg/日を24週間摂取させたところ、最大尿流および前立腺の縮小、国際前立腺症状スコア (IPSS) の改善がフィナステライドと同程度認められた (PMID:10971268)
・良性前立腺肥大患者620名 (試験群305名、中央値64歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セイヨウイラクサ120 mg×3回/日を6ヶ月間摂取させたところ、症状スコア (IPSS)、残尿量の低下、最大尿流率の増加が認められたが、前立腺容量、血清前立腺特異抗原、テストステロン量に影響は認められなかった (PMID:16635963)

≪効果が認められなかったという報告≫
メタ分析
・1997年までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報についてメタ分析による検討を試みたが、セイヨウイラクサ単独使用による前立腺肥大への効果を検討した試験は見当たらず、評価はできなかった (PMID:11276294)
RCT
・前立腺肥大患者44名 (試験群21名、平均65.1±8.1歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セイヨウイラクサ根抽出物80 mgを含有する他のハーブ抽出物との混合物を3回/日、6ヶ月間摂取させたところ、症状の評価、前立腺特異抗原、前立腺の大きさ、前立腺組織変化などに影響は認められなかった (PMID:10751856)
・良性前立腺肥大患者49名 (試験群27名、中央値65.3歳、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セイヨウイラクサ300 mg/日+ピジウム25 mg/日を6ヶ月間摂取させたところ、症状スコア (IPSS) 、QOL、最大尿流率に影響は認められなかった (PMID:15748367)

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

RCT
・アレルギー性鼻炎患者69名 (試験群31名、平均34.7歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セイヨウイラクサ地上部の凍結乾燥エキス300 mgを含むカプセルを症状のある間摂取させたところ、アレルギー性鼻炎の症状を緩和する可能性を示したという予備的な報告がある (PMID:2192379) が、この現象についてはさらなる検証が必要である 。
・骨関節炎患者27名 (平均60歳、イギリス) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ試験において、セイヨウイラクサ葉を外用 (疼痛部位に切って貼付) で1週間使用させたところ、症状の自己評価5項目中2項目でのみ改善が認められた (PMID:10911825)
・II型糖尿病患者45名 (試験群24名、平均53.92±6.82歳、イラク) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、セイヨウイラクサ水アルコール抽出物100 mg/kg/日、8週間摂取させたところ、血清中IL-6、hs-CRPの減少が認められたが、TNF-α、インスリン感受性、BMI、ウエスト周囲に影響は認められなかった (PMID:22303583)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている(94) 。根は6ヶ月まで安全に用いることができたと報告されているが、長期間摂取した場合の安全性は、十分な情報が見当たらない (94) 。
・副作用としては、根の摂取による胃腸の不快感、多汗、アレルギー性皮膚炎が知られている (94) 。地上部は摂取での副作用はほとんど知られていないが、果汁の摂取によりときに下痢を起こすことがある。外用で使用部位にかゆみが出ることがある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・イラクサは流産および子宮刺激作用があると考えられるため、妊婦が摂取することはおそらく危険である (94) 。
・授乳中の安全性については信頼できるデータが十分でないので、使用は避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・心臓病や腎臓病による浮腫がある人は避けるべきである (58) 。
・糖尿病、高血圧、腎機能障害のある人の利用は、症状に影響を与える可能性があるので注意を要する (94) 。
<被害事例>
・33歳男性 (トルコ) がセイヨウイラクサ茶を2カップ/日、1ヶ月間摂取し女性化乳房症を発症、また33歳女性 (トルコ) がセイヨウイラクサ茶を1ヶ月間摂取し乳漏症を発症し、両例ともイラクサ茶の摂取中止により症状が改善した (PMID:18264183)
・32歳女性 (トルコ) が、関節痛低減を目的に、浸漬したセイヨウイラクサを2週間摂取後、生のイラクサ葉の樹液を吸い出すために舌に乗せたところ、5分以内に重度の舌の腫れ、痛みおよび蕁麻疹を発症し、取り除いた後も数時間持続した (PMID:15130574)
・授乳中の23歳女性 (トルコ) が、亀裂乳頭のために、セイヨウイラクサを沸騰させた水溶液を乳頭に2回/日、2日間塗布したところ、乳児 (17日齢) が全身性蕁麻疹を発症した (PMID:20953796)
・糖尿病の78歳男性 (イギリス) が、前立腺肥大のために、セイヨウイラクサ、シバムギ根、Epilobium parviflorum、タマネギを含有するハーブ製品を摂取し、低血糖症状を呈し救急搬送された (PMID:19078824)
・47歳男性 (ロシア) が、セイヨウイラクサを用いた料理を習慣的に摂取していたところ (摂取量不明) 、6ヶ月にわたる腹痛と15 kg以上の体重減少により受診。巨大な植物胃石が見つかり、開腹除去手術を受け、回復。セイヨウイラクサの繊維が原因と診断された (PMID:27386137)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・セイヨウイラクサにはビタミンKが多く含まれているので、抗凝固剤と併用すると、作用を減弱させることがある (94) 。
・糖尿病治療薬とセイヨウイラクサの併用は、血糖コントロールに影響を与える可能性がある (94) 。
・過剰のセイヨウイラクサと血圧降下剤、中枢神経抑制薬、利尿薬を併用すると、相加作用を持つ可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・セイヨウイラクサ抽出物を投与:マウス腹腔内1 g/kg以下 (91) 。
・セイヨウイラクサ水抽出物を投与:マウス腹腔内3.5 g/kg (91) 。
2.TDLo (最小中毒量)
・セイヨウイラクサ水抽出物を投与:ラット経口250 mg/kg (91) 。
3.その他
・in vitro試験 (ヒト末梢リンパ球) において、精油は濃度依存的に染色体異常、小核頻度、アポトーシス細胞、壊死細胞、二核細胞を増加させた (PMID:22310841)

AHPAクラス分類
及び勧告

・葉:クラス1 (22) 。

総合評価

安全性

・適切に摂取する場合、安全性が示唆されているが、長期間の摂取については信頼できる情報が十分ではない。
・副作用としては、根の摂取により胃腸の不快感、多汗、アレルギー性皮膚炎が知られている。
・セイヨウイラクサは流産および子宮収縮作用を有する可能性があるため、妊娠中の使用はおそらく危険である。
・授乳中の安全性については、信頼できるデータが十分でないため、使用は避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・調べた文献に十分な情報が見当たらない。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(23) 天然食品・薬品・香粧品の事典 朝倉書店 小林彰夫ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」 (別添2、別添3、一部改正について)
(58) The Complete German Commission E Monographs.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(101) Food Chem. 1999; 66: 289-92.
(75) エビデンスに基づくハーブ&サプリメント事典 南江堂
(PMID:10751856) J Urol. 2000 May;163(5):1451-6.
(PMID:2192379) Planta Med. 1990 Feb;56(1):44-7.
(PMID:2580383) Urologe A. 1985 Jan;24(1):49-51.
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(94) Natural medicines
(PMID:27386137) Clin Case Rep. 2016 Jun 3;4(7):710-1.