中国製ダイエット食品からまたも医薬品成分を検出

画面を閉じる

 

 

発信者

国立健康・栄養研究所

本文

中国製ダイエット食品からまたも医薬品成分を検出
 
 岩手県は29日、仙台市内の食品輸入業者が輸入、販売した中国製のダイエット食品を服用していた県内の30歳代女性がこの製品との因果関係は不明ながらも死亡した事例を発表しました厚生労働省発表。その製品から医薬品成分「シブトラミン」が検出されたため、同県と、連絡を受けた宮城県は薬事法に違反する (無承認無許可医薬品) として、両県内の販売店と輸入業者に販売の中止と回収を指示しました。

 このダイエット食品は「V・L (ヴィーナス・ライン) 21」というもので、「中国海南創美生物工程有限公司」が製造し、仙台市青葉区の「 (有) ランドエース」が2001年秋ごろから輸入していたようです。V・L 21の主成分は、深海の有殻海洋生物の外殻から抽出した純天然の殻多糖質と殻繊維素とされています。岩手や宮城県などのエステサロンや美容院、および東京都杉並区にあるネット販売元で販売されています。商品はカプセルであり、一箱60錠 (約20日分) のものはネット特別価格9,500円で販売。販売サイトの勧めによると、8週間このダイエット食品を摂取すると顕著な効果が現れるとされています。

 岩手県によると、V・L 21一カプセル当たり0.86〜0.14 mgのシブトラミンが検出されました。被害の女性は、7月4日に盛岡保健所管内の医療機関で死亡しました。医療機関から、女性が複数のダイエット食品を服用していたとの情報が寄せられましたが、女性の死亡がシブトラミンによるものかどうかは分からないとしています。

 シブトラミン (sibutramine) は、アメリカなどで過去に肥満抑制薬として使われ、心臓に悪影響を及ぼし32名の死者を出した重大な副作用の事例がありました。シブトラミンに関する詳細な情報は、「中国で摘発されている保健食品中に含まれる塩酸シブトラミンについて」をご参照ください。

 一昨年中国製ダイエット食品にかかわる健康障害の事例が大きな社会問題となり、そのなかにシブトラミンなどの医薬品成分が検出されたダイエット食品が多く含まれていました。中国政府もこうしたダイエット食品に対する販売中止と回収の処分を下しました。

 ダイエット食品における医薬品成分の違法添加の問題は繰り返されています。国内外における過去の事例を生かし、同じ被害が発生しないことを願います。

「中国で摘発されている保健食品中に含まれる塩酸シブトラミンについて」

 シブトラミン (sibutramine) は、メリディア (Meridia) という名称でも呼ばれ、肥満抑制薬としてアメリカのFDA (Food and Drug Administration;アメリカの食品医薬品局) の許可 (1997年) を受けています。日本では肥満抑制薬として、現在治験が行われているところです。しかし、この薬物の利用により、心臓に悪影響を及ぼし死者 (32名、この中でアメリカは28名) も出ているため、アメリカの消費者団体からFDAに対して使用を禁止する陳情書が出されています。

 この薬物の作用機序は、神経伝達物質のモノアミン (ノルエピネフリン、セロトニン、ドパミン) の再取り込みを阻害し、モノアミンの作用を高めることに関係しています。もし、モノアミンの分解を阻害する薬剤であるMAO (モノアミンオキシダーゼ) 阻害薬 (抗うつ薬として利用されている薬物) と併用すると、モノアミンの分解も抑制され、心拍と血圧が上昇し、副作用の発現がさらに高くなります。シブトラミンは薬物であり、医師等の適切な指示がない状況での使用は、極めて重大な健康障害を起こします。



 日本でもシブトラミンを含有するダイエット食品がインターネットで販売されています。食品という名称がついているものは一般消費者に安全という印象を与える傾向があります。このような食品を医師等の指示がない状況で摂取すると、昨年の中国製ダイエット食品による健康障害のような事例がまた起こる懸念があります。