ビタミンD解説

画面を閉じる

 

 

発信者

構築グループ

本文

A.ビタミンDとは?
ビタミンDとは、ビタミンD2 (エルゴカルシフェロール) とD3 (コレカルシフェロール) の総称です。紫外線の照射によって、ビタミンD2は植物に存在するエルゴステロールから生成され、、ビタミンD3は動物に存在する7-デヒドロコレステロール (7-DHC) から生成されます (17) (19) 。ビタミンDは、カルシウムやリンなどのミネラルの代謝や恒常性の維持、骨の代謝に関係しており、不足すると子供ではくる病、成人では骨軟化症などが起こることが知られています (11) (17) 。

B.ビタミンDの供給源になる食品

主な食品のビタミンD含有量は以下の通りです (5) 。(可食部100 gあたり)




*・・・ビタミンD活性代謝物を含む。

※ビタミンDを多く含むメニュー紹介はこちら

C.ビタミンDの特性 (単位・化学的安定性)
ビタミンDについても、ビタミンAと同様にビタミンD効力 (国際単位:IU) の表示を行ってきましたが、近年はビタミンD効力に代え、重量 (μg) で表示する傾向があります。μgからIUへ換算する時は、μg×40、IUからμgへ換算する時はIU×0.025で計算することができます (17) 。ビタミンD2およびD3は共に有機溶媒に溶け、水には溶けません。光、熱、空気酸化、酸には不安定で、アルカリには比較的安定です (17) 。

D.ビタミンDの吸収や働き
ビタミンDは、食品からの摂取と生体内での合成の2つの方法で供給されています。7-デヒドロコレステロールは、動物の皮膚において紫外線によってビタミンDへ転換された後、肝臓で25位が水酸化されて25ヒドロキシビタミンD (25-OH-D) が生成されます。続いて腎臓で1α位が水酸化されて活性型の1α-25ジヒドロキシビタミンD (1α-25 (OH) 2D) に代謝され、体内で利用されます (11) 。食品由来のビタミンDは、体内に吸収されるとカイロミクロンに取り込まれて、リンパ管を経て、最終的には肝臓、腎臓で同様に代謝されます (18) 。
生体内でのビタミンDの代謝は以下の図の通りです (17) (18) 。



 ビタミンDは、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進します。骨組織においてビタミンDは、甲状腺から分泌されるペプチドホルモンのカルシトニンや副甲状腺ホルモン (PTH) と協力しあって、血液中のカルシウムやリン酸の恒常性を維持します (11) (17) 。ビタミンDの代謝は、血漿カルシウム濃度やPTHのほかに、カルシトニンや血中リン濃度によって調節されます (17) 。

E.ビタミンD不足の問題
ビタミンD不足はどのような時に起こるのか?
食事から充分な量を摂取できなかった時、消化管からの吸収が不十分な時、腎臓でビタミンD活性型 (1,25 (OH) 2D) に変換されない時、日光に当たる時間が不十分な時などにおこることがあります (11) 。

ビタミンD不足の判断基準
血中25ヒドロキシビタミンD (25-OH-D) は血液中のビタミンD代謝物の中で最も濃度が高く、ビタミン補充状態をよく反映するため、体内ビタミンDレベルの指標となっています。血中25-OH-Dの基準値は15〜40 ng/mL、10 ng/mL以下は潜在性ビタミンD欠乏症であると判断されます (17) 。

ビタミンDが不足すると、どのような症状が起こるのか?
ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収低下や骨代謝異常を引き起こします。代表的な症状として、子供ではくる病、大人では骨軟化症が起こることが知られています (11) (17) 。くる病になると、くるぶし、ひざ、手首などの関節が肥大して二重関節になります (17) 。近年、積雪寒冷地域在住の完全母乳栄養児で、日照を受ける機会が少ないことによるビタミンD不足が報告されており、くる病のリスクが高いことが指摘されています (2012344306) 。高齢者では、ビタミンD不足状態が長期間続いた場合、骨密度が低下し、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まると言われています (11) 。

F.ビタミンD過剰摂取のリスク
ビタミンDを短期的、または長期的に過剰摂取すると、骨からのカルシウムの動員が激しく起こり、血清中のカルシウムとリン酸濃度が高くなり、腎臓や筋肉へのカルシウムの沈着や軟組織の石灰化が見られます (11) (17) 。その他の症状としては、嘔吐、食欲不振、体重減少などが起こることがあります (17) 。

G.ビタミンDはどのぐらい摂取すればよいか?
各年齢別のビタミンDの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2015年版) は以下の通りです (11) 。


H.ビタミンD摂取状況
平成25年の国民健康・栄養調査では男性で平均8.1μg、女性で平均6.9μg摂取しています。男女とも目安量を充たしています (16) 。

I.栄養機能食品としての関連情報
ビタミンDは、栄養機能食品として表示許可されています。
上限値は5.0μg (200 IU) 下限値は1.5μg (60 IU) です。
ビタミンDの栄養機能表示
「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。」
注意喚起表示
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。

栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。→資料1資料2

参考文献

1.Dietary Reference Intake :National Academy Press
2.栄養学総論:三共出版株式会社
3.PDR for Nutritional Supplement :MEDICAL ECONOMICS
4. 体に役立つ脂溶性ビタミンとそのファミリー:雪印乳業株式会社健康生活研究所
5.五訂増補日本食品標準成分表:文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会
7.ビタミンハンドブック1 脂溶性ビタミン 日本ビタミン学会編:化学同人
8.専門領域の最新情報 最新栄養学 第8版:健帛社
9.薬理書 第9版:廣川書店
11. 日本人の食事摂取基準 2015年版:第一出版
13.Q&A 保健機能食品制度の手引き:新日本法規
17.ビタミンの事典:朝倉書店
18.ハーパー・生化学:丸善株式会社
19.生化学辞典 第4版:東京化学同人
16.平成25年 国民健康・栄養調査報告
(2012344306) 小児科臨床 2012 65(8) 1860-4