ノニ (noni) (ver.090219)

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ノニ (Noni) について

●  ノニとは?
 ノニ (Noni) はアカネ科 (Rubiaceae) の植物で、学名はモリンダ・シトリフォリア〔Morinda citrifolia〕です。ノニはハワイで呼ばれている植物の名称で、他に“Indian Mulberry”、“Nonu”、”Nono“、沖縄では”ヤエヤマアオキ“とも呼ばれています。
 ノニはポリネシアから東南アジア、沖縄など、熱帯から亜熱帯の広い地域に自生し、5〜8 m程になる常緑の灌木で、表面がゴツゴツした果実を付けます。果実は最初は緑色で、熟すと黄色になり中鎖脂肪酸による発酵臭を出します。古くから民間薬、赤色染料として利用されてきました。健康食品として販売されているノニジュースは、ノニの果実から調製した果汁に、少量のグレープジュースやブルーベリージュースまたは香料を添加して飲みやすくしたものです。

●  ノニジュースの有効性と安全性
 ノニジュースは、俗に糖尿病、高血圧、免疫力の強化、心臓病、ガンの予防、美容や健康に効果があるといわれていますが、ヒトにおけるそのような効果に対する科学的根拠は現時点では見当たりません。動物や細胞の実験において抗ガン作用を示した報告はありますが (PMID:11795436) (PMID:10441776) 、その作用についてはさらなる検討が必要とされています (PMID:14664736)

 ノニの根にはアントラキノン (anthraquinones) が含まれていますが、果実には含まれていないと報告されています (1) 。特に発ガン性があるアントラキノン誘導体のlucidin とrubiadinは、果実から調製するジュースには含まれていないと報告されています (2) 。

 2002年12月に欧州委員会 (Scientific Committee on Food) は、タヒチアン・ノニ・ジュース (モリンダ社 (MorindaInc.)) の安全性についての報告書を出しています (2) 。その報告書には、ノニジュースに (1) 亜急性および亜慢性毒性、遺伝毒性、アレルギー誘発性の試験において有害作用は検出できないこと、また数カ国で市販されてから数年経過しているが健康被害の報告はほとんどないこと (2) 、有効性においても他の果実ジュース以上の健康効果はないと記載されています。市販されているノニジュースにはいろいろな商品がありますので、全て同じとはいえません。特に天然のものから調製するときは、同じメーカーの商品であっても、常に同じ成分組成のジュースを作成することは極めて難しいことです。従って、この報告書の内容が全てのノニジュース商品に当てはまるとはいえません。

●  ノニジュースが関連した海外の健康被害事例
 米国で慢性腎臓障害をもつ男性が、代替医療としてノニジュースを摂取して高カリウム血症を起こした事例があります (PMID:10676732) 。摂取したノニジュース中のカリウム量はオレンジジュースやトマトジュースと同じでした。病気の人が、特別な効果を期待して自己判断で健康食品を利用すると、類似した障害が起こったり、適切な治療の妨げになる可能性があります。疾病があって健康食品を利用する場合は、必ず専門家や医師に相談することをおすすめします。

 オーストリアなどでノニジュース摂取との関連が疑われる肝障害の症例が報告されています。

  • 事例1: 29才男性 (少量のアセトアミノフェン摂取に関連した中毒性肝炎の既往症あり) が、ノニジュース1日1.5リットルを3週間摂取して亜急性肝不全を発症し、緊急肝移植手術を受けた (PMID:16094725)
  • 事例2: 62才女性 (肝臓病の既往症なし) が、ノニジュースを1日2リットル3ヶ月間摂取して自然治癒性の急性肝炎を発症した (PMID:16094725)
  • 事例3: 45才の患者 (病歴や医薬品服用は特になし) がノニジュース1日グラス一杯を3週間摂取して血中トランスアミナーゼの顕著な増加とLDH (乳酸脱水素酵素) の増加を示し、肝生検により肝障害と診断された (PMID:15756098) 。その後ノニジュースの摂取中断により血中トランスアミナーゼは正常域に回復した。
  • 事例4:多発性硬化症で6週間インターフェロンβ-1a (IFN) の投与を受けていた24歳女性 (薬物誘導性肝炎の疑いでIFN治療停止) が肝障害 (黄疸) と診断され、免疫増強目的で4週間摂取していたノニジュース (Morinda citrifolia) がその原因と推定された (PMID:16837801)

 上記のノニと肝臓毒性については、ノニに含まれるアントラキノン類が関与していると推定されていますが、因果関係は明確ではありません。健康食品等の摂取による健康障害の発生は、利用者の体質なども関連しますので、食品=安全という考えで過大な期待をして利用することには注意が必要です。



参考文献

(PMID:11795436) Ann N Y Acad Sci. 2001 Dec;952:161-8.
(PMID:10441776) Phytother Res. 1999 Aug;13(5):380-7.
(PMID:14664736) Integr Cancer Ther. 2002 Jun;1(2):110-20; discussion 120. Review.
(PMID:10676732) Am J Kidney Dis. 2000 Feb;35(2):310-2.
(1) Zenk MH, El-Shagi H, Schulte U, Planta Medica (Suppl) 27: 79-101(1975).
(PMID:16094725) World J Gastroenterol. 2005 Aug 14;11(30):4758-60.
(PMID:15756098) Eur J Gastroenterol Hepatol. 2005 Apr;17(4):445-7.
(2) EUROPEAN COMMISSION
(PMID:16837801) Digestion. 2006;73(2-3):167-70. Epub 2006 Jul 11.