ビオチン解説

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A.ビオチンとは?
ビオチンは哺乳類では生合成ができないため必須の水溶性ビタミンです (16) 。食品から摂取するほか、腸内細菌によっても合成されますが、その合成量だけでは生体における必要量を維持できないと言われています (12) (16) 。ビオチンは、生体において4種類のカルボキシラーゼ[ピルビン酸カルボキシラーゼ:PC, アセチルCoAカルボキシラーゼ:ACC,プロピオニル CoAカルボキシラーゼ:PCC, メチルクロトニル CoA カルボキシラーゼ:MCC]の補酵素として、カルボキシル化反応を触媒しています。これらの酵素反応は糖新生、分岐鎖アミノ酸、脂肪酸合成、エネルギー代謝などに関連しています。ビオチンは色々な食品に含まれているため、通常の食生活をしている人では欠乏症は起こりません (6) (12) 。


B.ビオチンの供給源になる食品
ウシレバー (96μg) や卵黄 (52μg) 、大豆などの豆・穀類に多く含まれます。一方、野菜や果物では10μg以下と少量です (値はすべて100 gあたり) (6) (12) 。

C.ビオチンの特性 (単位・化学的安定性)
ビオチンは無色の針状結晶で、中性、酸性、アルカリ性、酸素、光には安定ですが、熱には不安定です。また、水、アルカリ溶液、エタノールには溶けますが、アセトンなどの有機溶剤には溶けません (6)。
また、ビオチンは食品加工や保存加工によって損失し、残存率は20〜90%(肉では77%)です (12) 。


D.ビオチンの吸収や働き
食物中のビオチンは、組織内では大部分がタンパク質と共有結合しています (3) (12) (16) 。膵臓から分泌されるビオチニダーゼによって食物中のタンパク質からビオチンが遊離し、能動輸送によって主に空腸から吸収されます (16) 。血液中に移行したビオチンは、肝臓で合成された輸送タンパク質であるビオチニダーゼと結合し、細胞内に取り込まれます (16) 。細胞内で遊離したビオチンは、4種類のカルボキシラーゼの補酵素として働きます。ビオチンの体内代謝は、以下の図の通りです。

4種のカルボキシラーゼの働きは以下の通りです。

E.ビオチン不足の問題
ビオチン不足はどのようにして起こるのか?
通常の食生活ではビオチンが不足することはありませんが、生卵白を多量に長期間にわたって摂取した人では、ビオチン欠乏症になる可能性があります。卵白に含まれているアビジン (糖タンパク) は、ビオチンと強く結合してビオチン-アビジン結合体を作るため、消化管でのビオチンの吸収を阻害するためです (12) 。また、ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症やビオチニダーゼ欠損症などの先天性代謝異常症で欠乏症が起こることが知られています (12) 。抗けいれん薬を長期間にわたって使用している場合や長期間血液透析を受けている患者さんにもビオチン欠乏が疑われます (12) 。ビオチンは平成15年6月に指定添加物となり、平成26年6月の規格基準改正によって、調製粉乳及び母乳代替食品並びに保健機能食品以外では使用不可となっています (9) 。

ビオチンが不足すると、どのような症状が起こるのか?
食欲不振、吐き気、悪心、うつ症状、舌炎、蒼白、乾燥鱗片皮膚炎、筋肉痛、結膜炎、脱毛、運動失調、緊張低下、ケト乳酸アシドーシス、有機酸尿、けいれん、皮膚の感染、知覚過敏などが起こることが知られています (3) 。

F.ビオチン過剰摂取のリスク
ビオチンを多量に摂取しても、速やかに尿中に排泄されるので、一般的には過剰症はみられません (6) 。しかし、妊娠中に多量のビオチンを投与すると、哺乳動物では胎仔の吸収 (妊娠初期の胚死亡) や胎盤、卵巣の委縮がおこるとの報告もあります (12) 。

G.ビオチンはどのぐらい摂取すればよいか?
各年齢別のビオチンの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2015年版) は以下の通りです (1) 。

H.ビオチン摂取状況
現在、国民健康・栄養調査の調査項目には入っておりませんが、食事から平均45.1μg/日摂取しているという報告があります (1) 。

I.栄養機能食品としての関連情報
ビオチンは、栄養機能食品として表示許可されています。
上限値は500μg 下限値は15μgです。

・ビオチンの栄養機能表示
「ビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
・注意喚起
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。

栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。

参考文献

1.日本人の食事摂取基準 2015年版:第一出版
2.栄養学総論:三共出版株式会社
3.専門領域の最新情報 最新栄養学:建帛社
4.FOOD CHEMISTRY THIRD  EDITION:Owen R.Fennema
5.五訂食品成分表:科学技術庁資源調査会編
7.DIETARY REFERENCE INTAKE for Thiamin,Riboflavin,Niacin,VitaminB6,Folate,VitaminB12,Pantothenic Acid,Biotin,and Choline National Academy Press
8.薬理書:廣川書店
10.Q&A 保健機能食品制度の手引き:新日本法規
12.ビタミンの辞典:朝倉書店
13.日本薬局方解説書:廣川書店
14.消化・吸収:第一出版
15.健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック:第一出版
16.ビタミン研究のブレークスルー:日本ビタミン学会編
6.ビタミン学会ホームページ
11.健康ネット
17.Trance Nutrients Research23:5-12(2006)
9.厚生労働省ホームページ