ビタミンK解説

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A.ビタミンKとは?
天然に存在するビタミンKは2種類あり、緑黄色野菜・海藻類・緑茶・植物油などに含まれるビタミンK1 (フィロキノン) と、もうひとつは腸内細菌によっても合成されるビタミンK2 (メナキノン) です。ビタミンK2には11種類の同族体 (類似の化合物) がありますが、この中で食品に多く含まれるのは、動物性食品に広く分布するメナキノン-4と、納豆菌によって産生されるメナキノン-7です。通常、フィロキノン・メナキノン-4・メナキノン-7を総称してビタミンKと呼びます (1) (14) 。ビタミンK3 (メナジオン) は天然には存在せず、大量摂取すると毒性が認められる場合があるため、使用は認められていません (4) 。ビタミンKは、各種タンパク質のグルタミン酸をγ-カルボキシグルタミン酸に変換する時の補酵素として働きます (15) 。この働きによって、血液凝固因子はカルシウムと結合できるようになり、正常な血液凝固が起こります (15) 。また、ビタミンKは骨の形成に必要とされ、日本ではメナキノン-4 (メナテトレノン) が骨粗鬆症治療薬として用いられています (14) 。

B.ビタミンKの供給源になる食品
主な食品のビタミンK含有量 (フィロキノンとメナキノン-4の合計) は以下の通りです (6) 。(可食部100gあたり)
 *糸引き納豆・挽きわり納豆のみメナキノン-7を含む



Tr(trace)・・・微量。含まれてはいるが、成分の記載限度に達していないもの。

※ビタミンKを多く含むメニュー紹介はこちら

C.ビタミンKの特性 (単位・化学的安定性)
ビタミンK1およびK2はエーテル、石油エーテル、ベンゼン、ヘキサン、アセトンには溶けますが、エタノールやメタノールには溶けにくく、水には溶けません。また、空気と熱に対して安定ですが、アルカリや紫外線に対しては不安定です (16) 。

D.ビタミンKの吸収や働き

食事から摂取したビタミンKは、胆汁酸や膵液と混合され、小腸で吸収されたのち、カイロミクロンに取り込まれてリンパ管を通り、肝臓に運ばれます。その後、肝臓でリポタンパク質に取り込まれて血中を通り、各末梢組織へ運搬されます。生体内でのビタミンKの代謝は以下の通りです (15) 。



E.ビタミンK不足の問題
ビタミンK不足はどのようにして起こるのか?
ビタミンKの不足は、

1.ビタミンKの摂取不足 
2.長期間の抗生物質投与により、腸内細菌からのビタミンK供給が減少した時
3.慢性の胆道閉塞症
4.脂肪吸収不全
5.肝臓病
などによって起こります。しかし、通常の食事をしている人ではビタミンKが不足することはほとんどありません (1) 。

ビタミンKが不足すると、どのような症状が起こるのか?
鼻血、胃腸からの出血、月経過多、血尿、血液凝固の遅延などといった症状が現れます。また、慢性的なビタミンK不足は、骨粗鬆症や骨折を引き起こすことが知られています (14) 。


F.ビタミンK過剰摂取のリスク
ビタミンK1およびK2は、大量に摂取しても毒性がないことが報告されています。しかし、合成品であるビタミンK3は人体に悪影響を与えるため、使用が中止されています (4) 。

ビタミンK3の人体への悪影響
・ビタミンK3を幼児に5 mg/日以上与えると、溶血性貧血、高ビリルビン血症、核黄疸を生じます (4) 。
・ビタミンK3は遺伝的にグルコース−6−リン酸脱水素酵素を欠損した患者で溶血を引き起こします (10) 。
・重篤な肝疾患の患者にビタミンK3を与えると、肝機能を抑制します (10) 。

G.ビタミンKはどのぐらい摂取すればよいか?
各年齢別のビタミンKの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2015年版) は以下の通りです (1) 。


※乳児 (0〜5か月) の目安量については、出生後数日で起こる新生児メレナ (消化管出血) や約1か月後に起こる特発性乳児ビタミンK欠乏症 (頭蓋内出血) の予防として、臨床領域では出生後ただちにビタミンKの投与が行われているので、これを前提として策定されている (1) 。

H.ビタミンK摂取状況
平成25年の国民健康・栄養調査では男性で平均227μg/日、女性で平均213μg/日摂取しています。男女とも目安量を充たしています (13) 。

I.栄養機能食品としての関連情報
ビタミンKは、まだ規格基準型の栄養機能食品の対象成分にはなっておりませんが、個別評価型の特定保健用食品としてビタミンK2 (メナキノン-7) 高生産納豆菌 (Bacillus subtilis OUV 23481株) を含む納豆が許可されています (2010年8月23日現在) 。

J.その他の情報
ビタミンKは、ビタミンK欠乏症の予防及び新生児低プロトロンビン血症、分娩時出血、抗生物質投与中に起こる低プロトロンビン血症の治療薬として用いられています(医薬品名:フィトナジオン、メナテトレノン)。また、メナテトレノンは、骨粗鬆症における骨量・疼痛改善の治療薬 (45 mg/日を食後3回に分けて服用) としても用いられています (14) 。これらの治療薬による副作用の報告は以下の通りです (17) (18) 。
フィトナジオン (ビタミンK1製剤)
(内服)
1.妊娠末期の妊婦に大量投与で、新生児等に高ビリルビン血症が現れる。
2.悪心、吐き気、軟便など。

(注射)
3.新生児や低出生体重児に大量投与で過ビリルビン血症や核黄疸が現れる。
4.まれにショックを起こす。

メナテトレノン (ビタミンK2製剤)
(内服)
胃部不快感、悪心・嘔吐、下痢、発疹、頭痛、血圧上昇、浮腫など。

(注射)
発疹、ショックなど。

注意
ビタミンK製剤は抗凝血薬のワルファリンカリウムとの併用は禁忌です。また、ワルファリンを服用している方は、納豆・青汁・クロレラなどの摂取について、必ず医師と相談してください。
※ワルファリンとビタミンKの相互作用の詳細は、下記を参照してください。
 静岡県立大学グローバルCOE ―ワルファリンとビタミンKの相互作用に関する適切なビタミンK摂取について―

参考文献

1.日本人の食事摂取基準 2015年版:第一出版
2.栄養学総論:三共出版株式会社
3.ビタミンハンドブック(1) 脂溶性ビタミン:化学同人
4.専門領域の最新情報 最新栄養学:建帛社
5.FOOD CHEMISTRY THIRD  EDITION:Owen R.Fennema
6.五訂増補日本食品標準成分表:文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会
8.消化・吸収−基礎と臨床−:第一出版
9.DIETARY REFERENCE INTAKE  for Vitamin A,Vitamin K,Arsenic,Boron,Chromium,Copper,Iodine,Iron,Magganese,Molybdenum,Nickel,Silicon,Vanadium and Zinc
10.薬理書 第9版:廣川書店
12.Q&A 保健機能食品制度の手引き:新日本法規
14.ビタミンの事典:朝倉書店
15.ヒューマン・ニュートリション 第10版:医歯薬出版
16.生化学辞典 第4版:東京化学同人
17.今日の治療薬2010:南江堂
18.治療薬マニュアル2010:医学書院
13.平成22年 国民健康・栄養調査報告