健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

朝鮮ニンジン (オタネニンジン、高麗人参) [英]Oriental ginseng, Chinese ginseng, Korean ginseng,、Ginseng root. [学名]Panax ginseng C.A.Mey. ウコギ科 [トチバニンジン属]

概要

朝鮮ニンジンは、高麗ニンジンとも呼ばれて古くから珍重され、中国では強壮剤として名の知れた生薬で、薬用部分は根 (人参<ニンジン>局) である。オタネニンジンの中国語名は「人参」であり、調製法により「白参」と「紅参」に大別されている。俗に、「疲労回復効果がある」「強心作用がある」などと言われ、認識能力の向上、II型糖尿病などに対して、一部にヒトでの有効性が示唆されている。ドイツのコミッションE (ドイツの薬用植物の評価委員会) は、疲労衰弱時あるいは病後の回復期に対する使用を承認している。安全性については、種々の副作用、医薬品との相互作用の報告があり、特定の使用制限があるハーブとされている。妊娠中・授乳中および小児に対する安全性については信頼できるデータがないので使用を避ける。また、出血時、血栓症患者、高血圧の人には禁忌とされている。なお別項でふれるエゾウコギやサンシチニンジンとは若干成分や作用が異なっている。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・別名としてコウライニンジン/オタネンニンジンがある。
・果実、根、根茎、葉は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・サポニン約4% (日本ではジンセノシドと呼ばれる) 、精油0.05% (主成分はパナセンpanacene、β‐エレメンβ‐elemeneなど) 、単糖類約1.5% (D-glucose、D-fructose) 、三糖類 (trisaccharideA、trisaccharideB、 trisaccharideC) 、β‐シトステロール (β‐sitosterol) 、β‐シトステリルグルコシド (β‐sitosteryl‐glucoside) 、パナキシノール (panaxynol[1,9-(cis)‐heptadecadiene‐4、6-dyen‐3-ol]) 、パナキシドール (panaxydol) 、 heptadece‐1‐en‐4,6‐diyn‐3,9‐diol、デンプン、ペクチン、ビタミンB1、B2、B12、コリン、脂肪、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、バナジウムなどを含む (10) (18) 。
・ジンセノシドには、ジンセノシドRo、Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、Rg2、Rhなどがある (18) 。
・ジンセノシドRoのサポゲニンはオレアノール酸oleanolic acid、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rdのサポゲニンは20s-プロトパナキサジオール(20s)-protopanaxadiol、ジンセノシド Re、Rg1、Rg2のサポゲニンは20s-プロトパナキサトリオール (20s)-protopanaxatriolである (18) 。

分析法

・品質の指標としてジンセノシド (Rb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1、Rf) が紫外可視 (UV) 検出器 (検出波長:203 nm) 付HPLC により分析されている。使用カラムは250×4 mm Lichrospher, 5μm, 100 A diol columnで、検出限界は20 ngである (PMID:11816014) 。UV検出器付HPLC (PMID:12541707) 、蛍光検出器付HPLC (PMID:11261731) 、LC-MS-MS法 (PMID:11080895) などもある。
・朝鮮ニンジン中の成分をUV検出器 (検出波長196 nm) 付HPLCにより分析した報告がある (2006162368) 。
・朝鮮ニンジン中のジンセノシド Rb1、Rc、Rd、Re、Rg1をUV 検出器 (検出波長:210 nm) 付HPLCにより分析した報告がある (2007093541) 。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・朝鮮ニンジンと抗生物質の併用で、抗生物質単独よりも気管支内の細菌数が減少したという報告があるが、この現象についてはさらなる検証が必要である (94) 。
RCT
・脳動脈硬化症の診断基準のA〜Cに該当する脳動脈硬化症患者40名 (試験群20名、平均61.7±11.5歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、0.3 gの日本薬局方コウジン粉末カプセルを1日9カプセル、8週間摂取させたところ、自覚症状 (不眠、手足の痺れと冷え、心悸亢進、耳鳴り) の改善、総脂質、中性脂肪の低下、HDLコレステロールの増加、動脈硬化指数の改善が認められた (1984130602) 。
・健康な成人17名 (平均30±9歳、カナダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン3 gまたは、朝鮮ニンジンから抽出した同等量のジンセノシド、ポリサッカライドを単回摂取させたところ、3時間後までの血圧に影響は認められず、朝鮮ニンジン摂取群でのみAugmentation index (動脈硬化の指標) の低下が認められた (PMID:20134405)
・降圧薬で治療中の高血圧患者64名 (試験群30名、平均55±9歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン3 g/日を3ヶ月間併用させたところ、血圧や上腕-足首伝播速度 (baPWV) に影響は認められなかった (PMID:21235416)
・健康な成人60名 (試験群29名、平均43.1±10.6歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン4.5 g/日を12週間摂取させたところ、腹囲、血圧、血中脂質値、血糖値、インスリン値、HOMA-IR、C反応性蛋白、白血球数、上腕-足首伝播速度 (baPWV) に影響は認められなかった (PMID:22916320)
・健康な成人男性10名 (平均29±1歳、日本) を対象とした無作為化二重盲検プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン粉末250 mg、牛黄粉末50 mg、甘草粉末50 mgを含むカプセルを単回経口摂取させた結果、摂取60分後の心電図における補正QT値及びRT値が短縮する傾向 (心機能障害のリスク減少傾向) が認められたという予備的な報告がある (PMID: 18490845) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。
・急性心筋梗塞患者50名 (試験群25名、平均61.4±12.4歳、韓国) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、冠動脈ステント留置術後に朝鮮ニンジン3 g/日を8ヶ月間摂取させたところ、冠動脈血流予備能 (SFR) や血管新生細胞 (CD34+、CXCR4+、CD117+) の増加が認められた (PMID:20641058)
・健康な成人100名 (試験群50名、平均45.5±8.1歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン3 g/日を12週間摂取させたところ、急性呼吸器疾患の罹患リスクの低下が認められたが、罹患期間や症状スコアに影響は認められなかった (PMID:23255845)
その他
・高脂血症患者67名 (平均56.7±1.5歳、うち糖尿病併発患者49名、日本) に、300 mgの薬用人参局方コウジン6年根の錠剤1日9錠 (コウジン末として 2.7 g) を3〜24ヶ月間摂取させたところ、摂取前と比較して血清総コレステロール、中性脂肪、動脈硬化指数、遊離脂肪酸は低下、HDLコレステロール値は上昇したという予備的な報告がある (1984126446) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。


消化系・肝臓

RCT
・胆石患者28名 (試験群14名、平均63±2.8歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン7.5 g/日を24週間摂取させたところ、結石の大きさ、完全溶解リスク、自覚症状、胆嚢切除のリスク、副作用リスクに影響は認められなかったという予備的な報告がある (PMID:23051744)

糖尿病・
内分泌

一般情報
・II型糖尿病に対し、経口摂取は有効性が示唆されている (64) 。
メタ分析
・2011年6月までを対象に14種のデータベースで検索できた無作為化比較試験3報について検討したメタ分析において、II型糖尿病患者による12週間以上の朝鮮ニンジン摂取は、空腹時血糖値やインスリン濃度に影響を与えなかった (PMID:22139546)
RCT
・II型糖尿病患者36名 (試験群24名、平均79歳、フィンランド) を対象とした二重盲検プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン100 mg/日または200 mg/日を8週間摂取させたところ、空腹時血糖値の低下が認められた (PMID:8721940)
・II型糖尿病患者19名 (平均64±2歳、カナダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン6 g/日を12週間摂取させたところ、HbA1cに影響は認められなかったが、空腹時および糖負荷試験によるインスリン濃度の低下、インスリン感受性の上昇が認められた (PMID:16860976)
・過体重または肥満の成人68名 (試験群34名、平均42.6±9.1歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン6 g/日を12週間摂取させたところ、インスリン感受性 (空腹時血糖値、空腹時インスリン濃度、HOMA-IR、QUICKI) や血中脂質濃度 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド) に影響は認められなかった (PMID:23945406)
・耐糖能異常またはII型糖尿病患者62名 (試験群32名、平均58.9±8.9歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン、クワの葉抽出物、バナバの葉抽出物混合物 (1:1:1含有) を6 g/日、24週間摂取させたところ、血漿中ICAM-1の低下が認められたが、その他炎症マーカー (VCAM-1、酸化LDL、リポ蛋白a、PAI-1、高感度C反応性蛋白) や、空腹時血糖、インスリン濃度、HOMA-IR、糖負荷試験による血糖、インスリン濃度、インスリン感受性、HbA1cに影響は与えなかった (PMID:22474520)
・閉経後女性93名 (試験群49名、平均58.4±5.5歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、発酵朝鮮ニンジン粉末を2.1 g/日、2週間摂取させたところ、HOMA-IR、インスリン値のわずかな低下、およびエストラジオール、DHEA-Sの低下抑制が認められた (PMID:23675990)
・空腹時高血糖、耐糖能異常またはII型糖尿病患者41名 (試験群21名、平均58.81±1.72歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン5 g/日を12週間摂取させたところ、BMI、血圧、血清脂質濃度 (トリグリセリド、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール) 、血糖値、インスリン濃度、HbA1cに影響は認められなかった (PMID:24456363)
・男子体操選手12名 (平均20.5±0.3歳、台湾) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ比較において、レジスタンス運動実施後にジンセノシドRb1を1 ng/kg/日、5日間摂取させたところ、血糖値、インスリン濃度、コルチゾール濃度に影響は認められなかった (PMID:26300710)

生殖・泌尿器

一般情報
・経口摂取で勃起不全 (ED) に対して有効性が示唆されている (94) 。
・閉経後の女性におけるほてりなどの血管運動性の症状に対しては、経口摂取で効果がないことが示唆されている (64) 。
メタ分析
・2010年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた臨床試験について検討したシステマティックレビューにおいて、ブラックコホシュ、イソフラボ ン、レッドクローバー、ダイズ、ビタミンE、朝鮮ニンジン、トウキ、メマツヨイグサ油、ヤムイモ、カバ、メラトニンを代替医療としてそれぞれ単独使用することが、更年期女性のホットフラッシュ (ほてり、のぼせ) に与える影響には一定の傾向が認められず、長期使用の安全性データが不十分であった (PMID:20833608)
RCT
・EDの男性患者45名 (平均54歳、韓国) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化比較試験において、朝鮮ニンジン900 mg/日を8週間摂取させたところ、症状の改善 (IIEF) が認められた (PMID:12394711)
・EDの男性患者60名 (試験群30名、平均52.6歳、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン1,000 mg/日を12週間摂取させたところ、症状の改善 (IIEF-5) が認められた (PMID:16855773)
・EDの男性患者86名 (試験群65名、平均57.51±1.24歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン抽出物2,000 mg/日を8週間摂取させたところ、症状の改善 (IIEF) が認められた (PMID:19234482)
・EDの男性118名 (試験群59名、平均57.49±7.94歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジンの実抽出物350 mg×4個/日を8週間摂取させたところ、早漏の評価 (premature ejaculation diagnostic tool) の改善が認められたが、全体の症状 (IIEF-15) に影響は認められなかった (PMID:23254461)
・更年期の女性28名 (平均51.2±4.1歳、韓国) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン3 g/日を8週間摂取させたところ、性機能が向上した (PMID:20141583)
・閉経後の女性384名 (平均53.5±4.0歳、試験群193名、ノルウェー) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、標準朝鮮ニンジンエキス200 mg/日を16週間摂取させたところ、QOL (PGWB、WHQ、VA) や更年期症状に影響は認められなかった (PMID:10761538)
・閉経後女性72名 (試験群36名、平均52.98±3.04歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン1 g×3回/日を12週間摂取させたところ、更年期症状の評価4項目中3項目の改善、血中総コレステロール値、LDLコレステロール値、頸動脈内膜中膜厚の低下が認められたが、HDLコレステロール値、トリグリセリド値、高感度CRP、エストラジオール濃度に影響は認められなかった (PMID:22027944)

脳・神経・
感覚器

一般情報
・認識能力を向上させるのに経口摂取で有効性が示唆されている(64)。ニンジンだけでは記憶力の向上には効果がないと思われるが、朝鮮ニンジン100 mgとイチョウ葉エキス60 mgを 1日2回摂取したところ、38〜66歳の人において記憶力が向上したという知見もある(64)。
RCT
・健康な成人112名 (試験群55名、平均51.4±7.9歳、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジンエキス400 mg/日を8〜9週間摂取させたところ、認識機能の指標12項目中、2項目でのみ向上が認められたが、他の項目に影響は認められなかった (108) 。
・線維筋痛症の患者38名 (試験群12名、平均43.6±2.2歳、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン抽出物100 mg/日を12週間摂取させたところ、症状の自己評価 (VAS) やQOLにプラセボ以上の影響は認められなかった (PMID:23567596)
・閉経後女性93名 (試験群49名、平均58.4±5.5歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、発酵朝鮮ニンジン2.1 g/日を2週間摂取させたところ、血中インスリン濃度の低下が認められたが、その他血液マーカー (糖代謝、脂質、ミネラル、ホルモン等) やうつ症状評価 (ベックうつ評価尺度) に影響は認められなかった (PMID:24088416)
その他
・末梢循環障害のある慢性リウマチ患者5名 (49〜74歳、日本) を対象とし、コウジン末を6 g/日、4〜26ヶ月摂取させたところ、レイノー現象 (手指の白色か、しびれ、疼痛を生じる指動脈の攣縮) を伴っている患者は全て臨床症状が改善され、3名のサーモグラフィ所見の改善が見られたという予備的な報告がある (1989083807) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・インフルエンザワクチン接種の4週間前から朝鮮ニンジンを8週間摂取したところ、カゼや流感の発症を抑えたという報告があるが、この現象についてはさらなる検証が必要である (94) 。
・朝鮮ニンジンを摂取すると、乳がんによる死亡数や再発が減少するとの報告があるが、タモキシフェンと併用した可能性も考えられるため、さらなる検証が必要である (94) 。
・疫学調査によると、朝鮮ニンジン (特に新鮮なニンジンエキス) を摂取すると胃、肺、肝臓、卵巣、皮膚のがんの発生率が低下する可能性が報告されているが、この現象についてはさらなる検証が必要である (94) 。
メタ分析
・2007年12月までを対象に14種のデータベースで検索できた論文を検討したシステマティックレビューによると、朝鮮ニンジンによる風邪予防に関する無作為化比較試験は1報しかなく、有効性を裏づけるデータは不十分である (PMID:19592479)
RCT
・慢性的な胃炎患者643名 (試験群325名、平均47.5±8.0歳、中国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン1 g/週を3年間摂取させ、その後8年間追跡したところ、男性でのみ、がんの発症率が低下した (PMID:20521975)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当らない。

発育・成長

調べた文献の中に見当らない。

肥満

調べた文献の中に見当らない。

その他

一般情報
・疲労衰弱時の活性化及び防御に、また作業能力と集中力の低下したときに、あるいは病後の回復期に強壮剤としてコミッションE (ドイツの薬用植物の評価委員会) より承認されている (58) 。
・健康な若者における運動能力の向上に対しては、経口摂取で効果がないことが示唆されている (64) 。
・健康な若年成人において、健康感 (sense of well-being) を増大させる目的には、経口摂取で効果がないことが示唆されている (64) 。
RCT
・慢性疲労を訴える成人90名 (中央値39.5歳、試験群60名、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン20%エタノール抽出物を1 g/日または2 g/日を4週間摂取させたところ、疲労の自己評価4項目中、1 g/日摂取で1項目、2 g/日摂取で2項目のみ、改善が認められた (PMID:23613825)
・健康な成人28名 (平均23.2±3.2歳、試験群13名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン200 mg/日を21日間摂取させたところ、エルゴメーターによる運動負荷時のVO2 (peak) や心拍数、最大負荷量、運動時間などに影響は認められなかった (PMID:9791844)
・健康な男子学生57名 (試験群28名、平均19.6±0.8歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン3 g/日を8週間摂取させたところ、エルゴメーターによる運動負荷時の乳酸性閾値、心拍数、最大負荷量、運動時間などに影響は認められなかった (PMID:17624213)
・健康成人83名 (平均25.7歳、試験群49名、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン200 mg/日もしくは 400 mg/日を60日間摂取させたところ、肯定的気分や否定的気分、総合感情障害指標 (TMD) に影響は認められなかった (PMID:11424544)
・健康な成人57名 (20〜65歳、試験群38名、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン6 g/日を8週間摂取させたところ、血中抗酸化酵素活性 (SOD、GPx、カタラーゼ) の上昇、尿中酸化ストレスマーカー (8-Epi-PGF-2α) の低下、リンパ球DNA損傷、酸化LDLの減少が認められたが、3 g/日の摂取では尿中酸化ストレスマーカーの低下と酸化LDLの減少しか認められなかった (PMID:22805313)
・再発寛解型多発性硬化症の女性52名 (試験群26名、平均33.3±7.5歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、朝鮮ニンジン250 mg×2回/日を3ヶ月間摂取させたところ、多発性硬化症患者における疲労 (MFIS) およびQOL (MSQOL-54) に関する自己評価スコアの改善が認められた (PMID:23301896)
その他
・涙液分泌減少症患者15名 (24〜77歳、日本) に、薬用人参 (コウジン末) を6 g/日 (3回分服) 、1%コンドロン、システインなどの点眼剤と併用して 1〜9ヶ月間経口投与したところ、涙液中のラクトフェリン濃度が低下し、自覚所見の改善が見られたという予備的な報告がある (1990169468) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。





試験管内・
動物他での
評価

・含水エタノールエキスは、血圧降下、赤血球数及びヘモグロビン増加、消化管運動亢進、グルココルチコイド分泌、血糖降下、呼吸促進などの作用を示す (17) (18) (23) 。
・水性エキスには、血糖降下、肝RNA合成促進作用が期待されている(17)。
・ジンセノシドRb群に中枢抑制、抗腫瘍、解熱、抗不安作用、Rg群に中枢興奮作用が期待されている (18) (10) (23) 。
・人参のサポニン分画には、血糖値降下、肝グリコーゲン値の減少、作業能力増進、抗疲労、性腺発育促進作用が期待されている(18) (20) (23) 。
・1948年以来行われているロシアの実験では、集中力と持久力を向上させると指摘されている (10) (64) 。
・動物実験において、多糖類の免疫機能正常化、オレアノール酸の抗アレルギー作用、ストレスへの耐性強化が示されている (23) (58) 。
・コレステロール、脂質、DNA、RNA、蛋白質の生合成促進作用、ヒトの赤血球に対する抗酸化作用が期待されている (23) 。

安全性

危険情報

<一般>
・短期間適切に用いれば、経口摂取で安全性が示唆されている。3ヶ月以内ならば安全と思われる (94) 。しかし、長期間の摂取は危険性が示唆されている (94) 。
・経口摂取では副作用は出にくいと思われる。最も多い副作用は不眠症である。頻度は減るが、乳腺痛、膣出血、無月経、頻脈、動悸、血圧上昇、血圧低下、浮腫、食欲不振、高熱を伴う下痢、掻痒、バラ疹、頭痛、めまい、陶酔、狂騒が起こることがある。ごくまれに、脳動脈炎、スティーブン・ジョンソン症候群、脂肪肝、新生児死亡も知られている(22) (63) (94) 。
・朝鮮ニンジンの「濫用症候群」についてはさまざまな議論がある。1970年代には、長期間使用後に高血圧、神経過敏、不眠症、エストロゲン様作用などを含む症候群が現れたという報告もあったが、現在では、このような症候群はないと考えられている。しかし一部の人においては、短期間の摂取であっても同様の症状が起きることがある (64) 。
・過剰摂取は頭痛 (20) (22)、動悸 (22)、憂うつ (22)、落ち着きのなさ (20)、血圧上昇 (20) (22) の原因となり、また性的機能の減退と体重の減少 (22)、人によってはアレルギー皮膚症状 (94) を招くことがある。
・朝鮮ニンジンを摂取すると、躁症状を起こす可能性がある (63) (94) 。
・詳細は不明であるが、朝鮮ニンジンを摂取後、鼻血や膣出血が認められたという報告がある (63) 。
・外用 (SSクリーム) は、短期間であれば安全性が示唆されている (94) 。外用 (SSクリーム) を塗布した場合、一時的な勃起不全、射精時間の異常な遅延、軽い痛み、部分的な炎症が起こることがある (63) (94) 。
<小児>
・乳児の経口摂取はおそらく危険である (94) 。朝鮮ニンジンを新生児が摂取すると、中毒を起こし、死に至る可能性があるため使用を避ける (94) 。3人の新生児が朝鮮ニンジンの煎剤0.3〜0.6 gの摂取により中毒を起こし、1人は死亡したという報告もある (22) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中の経口摂取はおそらく危険であるため避ける (94) 。妊娠中には禁忌とする情報もあるが、アジアの伝承的な使用方法と一致しておらず、それを裏付けるデータはない (22) 。しかし、妊娠中に朝鮮ニンジンを摂取したところ、男性の特徴があった新生女児が死亡したという報告もあるため、妊娠中の朝鮮ニンジンの使用は推奨できない (63) 。
・多くのチンキ剤には高濃度のアルコールが含まれているため、妊娠中に使用してはならない (63) 。
・授乳中の経口摂取は信頼できる情報が十分ではないため使用を避ける (63) (94) 。
<その他>
・40歳以下、うつ病、不安、急性炎症性疾患は使用を避けたほうがよい (20) 。
・心疾患患者において、悪影響が起きることがある (94) 。
・慢性腎不全の83歳女性 (台湾) が、朝鮮ニンジンを含む製品を1週間摂取したところ (摂取量不明) 、徐脈性不整脈を起こした (PMID:20466260)
・健康な男性にオタネニンジンエキス200 mg/日を摂取させたところ、摂取2時間後の補正QT時間が延長 (心律動異常のリスク増加) したという報告がある (63) 。
・急性の炎症や気管支炎の時には症状を悪化させるので使用すべきではない (10) 。
・臓器移植をした患者は使用を避けたほうがよい (94) 。
・ウコギ科の植物にアレルギーがある人は使用してはならない (63) 。
・糖尿病患者または低血糖症患者、血糖値に影響を与える薬物を服用している人は使用を避ける (63) 。

・朝鮮ニンジン (Panax ginseng C. A. Meyer) とアメリカニンジン (P. quinquefolius) 中の残留農薬および重金属を測定したところ、残留農薬については、17社30製品のうち13製品 (43%) で最大残留限界 (Maximum Residue Limit、MRL) が遵守されておらず、うち11製品ではMRLの55〜30倍の残留農薬が検出された。重金属については、20社47製品中殆どの製品でカドミウム、水銀、鉛、ヒ素が検出されたがいずれもMRL以下であった (PMID:16356886)
・多数の中国産生薬の人参・紅参から高濃度の有機塩素系農薬BHC (残留値1.0 ppm以上、残留基準値0.2 ppm以下) が検出された (2002087700) 。
<被害事例>
・28歳女性 (台湾) がアセトアミノフェン500 mgを服用2時間後に、朝鮮ニンジン約25 gをアルコール400 mLに浸したエキス約200 mLを摂取し、激しい頭痛を訴え、脳動脈炎と診断された (PMID:7723981)
・右の腎臓摘出歴のある39歳男性 (チェコ) が朝鮮ニンジン製品を約3年間摂取し (摂取量不明) 、血圧の上昇を呈し、摂取中止により改善した (PMID:7254115)
・64歳男性 (スペイン) が朝鮮ニンジン500 mg/日を13日間摂取し、急激な血圧上昇と一過性黒内症を発症し、一過性脳虚血発作と診断された (PMID:15479769)
・アレルギー歴のない20歳男性 (タイ) が、朝鮮ニンジンシロップを飲み (摂取量不明) 、3分後に蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難を伴うアナフィラキシーを起こした (PMID:15520631)
・季節性アレルギー鼻炎のある44歳男性 (韓国) が、朝鮮ニンジンを摂取し (摂取量不明) 、10分後に鼻漏、鼻づまり、喘鳴、呼吸困難、腹痛を起こし、オープンチャレンジ負荷試験 (50 g) 、好塩基球活性化試験、プリックテストにより、朝鮮ニンジンによるアナフィラキシーと診断された (PMID:22379608)
・アレルギー性鼻炎があり、朝鮮ニンジンの卸業に5年間従事する34歳女性 (韓国) が、6ヶ月前から繰り返し呼吸困難や喘鳴を発症し、朝鮮ニンジン粉塵による喘息と診断された (PMID:18437005)
・46歳女性 (トルコ) が更年期症状のためにブラックコホシュ20 mg/日と朝鮮ニンジン50 mg/日を含むサプリメントを15ヶ月間以上摂取したところ、口唇ジスキネジアを発症し、摂取の中止と加療により回復した (PMID:24247891)
・エストロゲン様作用があると思われるので、乳がん・子宮がん・卵巣がん・子宮内膜症・子宮筋腫など、ホルモン感受性疾患がある患者は使用してはならない (94) (63) 。
・高年女性に対して明らかなホルモン様作用があった事例が3つ報告されている (22) 。また、朝鮮ニンジンにはエストロゲン様作用があるため、朝鮮ニンジン摂取後の乳房圧痛や閉経後の膣出血、男性の乳房腫大などが認められた (63) (94) 。
・70歳女性 (イギリス) が朝鮮ニンジン末を3週間摂取し (摂取量不明) 、乳房痛を呈した (PMID:565662)
・14年前に子宮摘出術を受けた62歳女性 (フィンランド) が朝鮮ニンジン含有製品を2週間ごとに1年間摂取し (摂取量不明) 、膣細胞の鏡検によるエストロゲン作用が認められた (PMID:7191760)
・72歳女性 (アメリカ) が朝鮮ニンジン200 mg/日含有製品を摂取し (期間不明) 、膣出血を起こした (PMID:6834589)
・12歳男児 (日本) が、運動能力向上を目的に、朝鮮ニンジン抽出物を500 mg/日、2ヶ月前より摂取したところ、摂取開始から1ヶ月で乳房の肥大および圧痛が生じた。摂取中止により回復したため、朝鮮ニンジンによる女性化乳房と診断された (PMID:23006978)
・製品の汚染が原因と思われるが、27歳男性 (中国) が朝鮮ニンジンを含む製品を3日間摂取 (摂取量不明) し、白血球数の大幅な低下やスティーブンス・ジョンソン症候群(多型紅斑)を発症した (PMID:8622550)
・32歳女性 (アメリカ) が、痩身を目的に、ゴールデンシールや朝鮮ニンジン、ハチ花粉、ショウガなどを含む製品を1ヶ月程度摂取したところ (摂取量は不明) 、皮膚が露出している腕および足に痛みを伴う掻痒性皮疹が出現。摂取中止により回復したため、当該製品摂取との因果関係が疑われる光過敏症と診断された (PMID:14677798)
・閉経後の44歳の女性 (アメリカ) が、朝鮮ニンジン含有フェイスクリームを利用し、膣出血を起こし、利用の中止で改善したが、再開したところ再発した (PMID:3189445)
・急性心筋梗塞で冠動脈ステントを受けた男性2名 (47歳、56歳、トルコ) が、術後、朝鮮ニンジン、ハマビシ、オート麦を含むハーブ製品 (Clavis Panax) を1回/日、摂取したところ (量、期間の詳細不明) 、それぞれ6ヶ月後、2ヶ月後に非ST上昇心筋梗塞を発症し、外科的血行再建術が必要となった (PMID:22864326)
・41歳女性 (トルコ) が、虚弱や疲労改善のためハマビシ、オートムギ、朝鮮ニンジンを含むハーブ製品を普段から2粒/日摂取していたが、夫との口論の際に過剰 (15粒;ハマビシ6,000 mg、オートムギ3,000 mg、朝鮮ニンジン2,250 mg含有) に摂取したところ、8〜10時間後に息切れ、発汗、虚弱、意識消失を呈し救急搬送され、肺塞栓症と診断された (PMID:25192869)

禁忌対象者

・高血圧には禁忌である (22) 。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・43歳女性 (アメリカ) が、カフェイン700 mL/日と朝鮮ニンジン4 L/日を約6ヶ月間摂取し、その間に2回、QT延長症候群による失神を起こした (PMID:20888003)
・39歳女性 (トルコ) が、7ヶ月間、コーヒー4〜6カップ/日と喫煙20本/日とともに朝鮮ニンジンカプセル1,000〜1,500 mg/日を摂取し、朝鮮ニンジン入りのフェイスクリーム、マスク、化粧水を同時に利用したところ、機能性子宮出血と不整頻拍を呈した (PMID:15385077)
・フェネルジン服用中の64歳女性 (アメリカ) が、朝鮮ニンジン含有製品を摂取し(摂取量、期間不明) 、不眠、頭痛、不安を呈した (PMID:3988971)
・うつ症状でフェネルジン45 mg/日を服用中の42歳女性 (カナダ) が、朝鮮ニンジンとハチ花粉製品を摂取し (摂取量、期間不明) 、躁状態、頭痛、幻視を呈した (PMID:3597812)
・うつ症状で炭酸リチウム 1,200 mg/日、アミトリプチリン75 mg/日を服用中の35歳女性 (スペイン) が、朝鮮ニンジン製品を4日間摂取し (摂取量不明) 、躁状態を呈した (PMID:8748439)
・情動障害でクロミプラミン75 mg/日、ハロペリドール1 mg/日を服用中の56歳女性 (スペイン) が朝鮮ニンジン抽出物300 mg/日を2週間摂取し、躁状態を呈した (PMID:12086230)
・弁置換術を受け、ワルファリン服用中の47歳男性 (アメリカ) が、朝鮮ニンジンカプセルを3回/日 (摂取量不明) 、2週間摂取したところ、INR (国際標準化プロトロンビン比) が低下し、朝鮮ニンジンの摂取を中止したところ回復した (PMID:9075501)
・人工大動脈弁術を受け、ワルファリン服用中の58歳男性 (アメリカ) が、朝鮮ニンジン含有製品を摂取し (摂取量、期間不明) 、INR (国際標準化プロトロンビン比) が不安定となり、血栓症を呈した (PMID:12711887)
・虚血性脳卒中患者25名 (試験群12名、平均62.75±7.71歳、韓国) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、朝鮮ニンジン抽出液0.5 g×3回 /日をワルファリンと2週間併用 (最初の1週間は2 mg/日、次の1週間は5 mg/日) させたところ、プロトロンビン時間およびINR (国際標準化プロト ロンビン比) のピーク値と曲線下面積に影響は認められなかった (PMID:18637764)
・弁置換術を受け、ワルファリン治療中 (平均40.6±14.5 mg/週、平均17.1±9.6年間) の患者25名 (18歳以上、韓国) を対象とした二重盲検 クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ワルファリンと朝鮮ニンジン (Korean red ginseng) 抽出物1 g/日を6週間併用させたところ、INR (国際標準化プロトロンビン比) の変化に影響は認められなかった (PMID:19913311)
・朝鮮ニンジンは約6%の人でCYP2D6を阻害するとのいくつかのエビデンスがあるが、相反する結果も出ているため、さらに情報が得られるまではCYP2D6で代謝される薬物と併用しないほうがよい (94) 。
・健康な高齢者12名 (平均67±5.2歳、アメリカ) を対象とした臨床試験において、朝鮮ニンジン500 mg×3回/日を28週間摂取させたところ、CYP2D6を僅かに阻害した (PMID:15974642)
・健康な成人12名 (中央値32歳、アメリカ) を対象としたオープンラベルクロスオーバー試験において、朝鮮ニンジン500 mg×2回/日を28日間摂取させたところ、フェキソフェナジンの血中濃度に影響は認めらず、ミダゾラムの血中濃度減少が認められたことから、P糖タンパク質には影響しないが、肝臓のCYP3A活性を亢進する (PMID:21646440)
・健康な成人12名 (中央値32歳、アメリカ) を対象としたオープンラベル試験において、ロピナビル・リトナビル (400 mg・100 mg) (抗HIV薬、CYP3A基質) ×2回/日を2週間摂取させ、その後、朝鮮ニンジン500 mg×2回/日と2週間併用させたところ、ロピナビル、リトナビルのいずれの血中濃度にも影響は認められなかった (PMID:25142999)
・慢性骨髄性白血病治療のためイマチニブ400 mg/日を7年間投与されていた26歳男性 (アメリカ) が、朝鮮ニンジン含有栄養ドリンクを3ヶ月間毎日摂取したところ、薬物性肝障害と診断され、朝鮮ニンジンによるCYP3A4阻害の影響と考えられた (PMID:20332334)
・HIV陽性、ミトコンドリア毒性、長期C型肝炎の既往歴があり、ラクテグラビル 400 mg×2回/日、ロピナビル400 mg×2回/日、リトナビル100 mg ×2回/日、アスピリン100 mg/日、エゾメプラゾール40 mg/日を服用していた56歳男性 (スペイン) が、朝鮮ニンジン1,000 mg含有の錠剤を39日間摂取したところ、肝酵素の上昇、黄疸、体重減少を生じた (PMID:23092794)
・抑うつ、胃食道逆流症などの既往歴があり、鹿の幼角、朝鮮ニンジンを4ヶ月前から摂取していた44歳男性 (アメリカ) が、強直間代発作を生じラモトリギン (抗てんかん薬) を服用し始めたところ、19日後から頭痛、35日後に掻痒性発疹、43日後に全身性びまん性発疹を生じた。ラモトリギンの服用を中止したが、発疹と頭痛が継続し、服用中止から11日目には筋肉痛、嘔吐を生じ、好酸球増加と全身症状を伴う薬疹 (DRESS症候群) と診断され、薬物相互作用の評価DIPSにて5 (probable) であったことから、朝鮮ニンジンとラモトリギンの相互作用によるものと考えられた (PMID:25756365)
<試験管内・動物>
・動物実験 (ラット) において、ジンセノシドRg1、ジンセノシドRb1 (朝鮮ニンジン成分) 、シザンドリン (朝鮮五味子成分) の混合静注は、それぞれの血中濃度 (AUC) を増加させた (PMID:24462784)
・朝鮮ニンジンがワルファリンの作用を減弱させたという試験管内での結果が報告されている。ヒトでは未確認であるが、ワルファリンなど抗血小板薬、抗血液凝固薬服用中の患者には注意を与えること(106) (63) 。
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、市販の朝鮮ニンジン製品9製品のいずれにもCYP3A4阻害作用は認められなかった (PMID:19353999)
・in vitro試験 (スーパーソーム、ヒト肝ミクロソーム) において、朝鮮ニンジンはCYP2C9活性を阻害した (PMID:24730468)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、朝鮮ニンジンはタモキシフェンの代謝を阻害した (PMID:25153228)
・in vitro試験 (ヒトCYPタンパク) において、朝鮮ニンジン抽出物はCYP1A1、CYP1A2、CYP1B1活性を低下させた (PMID:11901090)
<理論的に考えられる相互作用>
・コーヒー、茶、ガラナなどにはカフェインが含まれるため、同時摂取で朝鮮ニンジンの作用を強めることがある (101) 。また、詳細は不明だが、カフェイン、アルコール、カブ、苦味またはスパイシーな料理と一緒に摂取すると様々な副作用が出る (102) との情報もある。
・朝鮮ニンジンの使用はカフェインや他の興奮薬の効果を増強する可能性がある。加工されていない朝鮮ニンジンには刺激効果は無いとされる (22) 。
・神経系の医薬品や免疫抑制薬 (94) (PMID:10880039)、モノアミノオキシダーゼ (MAO) 阻害薬 (94) の作用に影響を与えることが考えられる。
・インスリンの作用を強めるおそれがあるため、糖尿病薬の作用を増強する可能性がある (94) (105) 。
・血液凝固と血糖値に関する検査の結果に影響を与えることがある (PMID:8721940) (PMID:8951159) (63) 。
・朝鮮ニンジンは、血圧や心臓の治療薬 (ニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬など) ならびに同様の作用があるハーブ・サプリメントと相互作用を起こす可能性がある (63) 。
・肝酵素チトクロームP450によって代謝される薬物と相互作用を起こす可能性がある (63) 。
・多くのチンキ剤には高濃度のアルコールが含まれているため、メトロニダゾールやジスルフィラムと併用すると、悪心や嘔吐を引き起こす可能性がある (63) 。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (50%致死量)
・根の水抽出物 (10%) を投与:マウス経口1,650 mg/kg (92) 。
・根のエーテル抽出物を投与:マウス腹腔内2,000〜3,000 mg/kg (92)。
・根のトータルサポニンを投与:マウス腹腔内545〜695 mg/kg (92) (91) 、マウス皮下1,490 mg/kg (92) 、マウス静脈内367 mg/kg (91) 。
2.TDLo (最小中毒量)
・オタネニンジン抽出物を投与:ヒト経口2.857 mg/kg、ヒト経口(間欠的)110.25 mg/kg/9日 (91) 、マウス経口150 mg/kg (91) 、マウス経口 (間欠的) 300 mg/kg/30日、ラット経口 (間欠的) 9,100 mg/kg/13週、119 mg/kg/7日、9 g/kg/90日 (91) 。
・果実の75%エタノール抽出物を投与:マウス腹腔内 (間欠的) 750 mg/kg/5日 (91) 。
・根のサポニンを投与:マウス腹腔内100 mg/kg (91) 、ラット経口10 mg/kg、ラット腹腔内 (間欠的) 1,200 mg/kg/120日、ラット経口 (間欠的) 353 mg/kg/5日 (91) 。
3.LDLo(最小致死量)
・根のサポニンを投与:ラット腹腔内200 mg/kg、マウス32,500 mg/kg (91) 。
4.その他
・in vitro試験 (ラット胚) において、ジンセノシドRb1に催奇形性が見られた (PMID:14507839)

AHPAクラス分類
及び勧告

・クラス2d (禁忌対象者の項目参照) (22) 。

総合評価

安全性

・妊娠中はおそらく危険であるため使用を避ける。また、授乳中、および小児に対する安全性については十分な情報がないので使用を避ける。3人の新生児が朝鮮ニンジンの煎剤0.3〜0.6 gの摂取により中毒を起こし、1人は死亡したという報告もある。
・高血圧患者は禁忌。
・エストロゲン様作用があると思われるので、乳がん・子宮がん・卵巣がん・子宮内膜症・子宮筋腫の患者は摂取を避けたほうがよい。
・コーヒー、茶などに含まれるカフェインと同時摂取すると朝鮮ニンジンの作用を強め、長期摂取で血圧上昇が起きた人が複数報告されている。
・ワルファリンなどの抗血液凝固薬や抗血小板薬を服用中の患者は注意。
・糖尿病患者は注意して使用すること。
・興奮剤との併用で、その作用を増強することがある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・朝鮮ニンジン経口摂取で認識能力の向上とII型糖尿病に対する有効性が示唆されている。
・作業能力と集中力が低下したとき、あるいは病後の回復期に強壮剤としての作用がある。健康な若者における運動能力向上や健康感 (sense of well-being) を増大させる目的には、経口摂取で効果がないことが示唆されている。

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